データde出〜た
第1656回 前走からの斤量増減がカギ! キーンランドCを分析する
2022/8/25(木)
今週日曜は札幌競馬場で芝1200m重賞のキーンランドCが行われる。秋の大一番、スプリンターズSに向けても注目の一戦だ。今回のデータde出〜たではキーンランドCをピックアップし、2017年以降近5年のレース傾向ならびにCコース替わりだった先週の芝レース傾向から馬券で狙えそうなタイプを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 キーンランドC近5年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 性齢 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半600m通過 |
2021 (良/16頭) |
1 | レイハリア | 牝3 | 1分9秒1 | 3 | 3 | 34秒8 | 34秒0 |
2 | エイティーンガール | 牝5 | アタマ | 7 | 10 | 34秒0 | ||
3 | セイウンコウセイ | 牡8 | クビ | 9 | 6 | 34秒6 | ||
2020 (重/16頭) |
1 | エイティーンガール | 牝4 | 1分10秒6 | 5 | 12 | 34秒7 | 34秒8 |
2 | ライトオンキュー | 牡5 | 1馬身1/4 | 2 | 5 | 35秒4 | ||
3 | ディメンシオン | 牝6 | 1/2馬身 | 9 | 9 | 35秒3 | ||
2019 (稍重/16頭) |
1 | ダノンスマッシュ | 牡4 | 1分9秒2 | 1 | 6 | 35秒3 | 33秒2 |
2 | タワーオブロンドン | 牡4 | 3/4馬身 | 2 | 12 | 34秒9 | ||
3 | リナーテ | 牝5 | ハナ | 3 | 8 | 35秒2 | ||
2018 (稍重/16頭) |
1 | ナックビーナス | 牝5 | 1分9秒4 | 1 | 1 | 35秒7 | 33秒7 |
2 | ダノンスマッシュ | 牡3 | 2馬身1/2 | 4 | 2 | 35秒9 | ||
3 | ペイシャフェリシタ | 牝5 | クビ | 9 | 4 | 35秒9 | ||
2017 (良/13頭) |
1 | エポワス | セ9 | 1分9秒0 | 12 | 8 | 34秒4 | 33秒5 |
2 | ソルヴェイグ | 牝4 | クビ | 2 | 2 | 35秒5 | ||
3 | ナックビーナス | 牝4 | 1/2馬身 | 5 | 1 | 35秒6 |
まず表1はキーンランドC近5年の3着以内馬一覧。2年連続で3着以内に入ったのがナックビーナス、ダノンスマッシュ、エイティーンガールの3頭で、リピーターが多いレースといえる。一昨年2着ライトオンキューも19年は僅差の4着で、札幌芝1200mへの適性の高さを示していた。
重馬場の一昨年は勝ちタイムが1分10秒6、良〜稍重でも1分9秒台と遅い時計の決着となるキーンランドCは、高速決着となる小倉芝1200m戦とは明らかに適性が異なる。時計の掛かる馬場への適性が明暗を分けるレースだ。4コーナーでの通過順では近3年は10番手以下の馬が1頭ずつ馬券に絡んでおり、差し傾向となっている。
人気順では1番人気馬が【2.0.0.3】で19年ダノンスマッシュら2勝も、1着か4着以下かがハッキリしている。以下、3・5・12番人気馬が1勝ずつ。2着馬は7番人気までにおさまっているが、3着馬は9番人気馬が3頭と目立っている。
性別では牝馬が【3.2.4.21】で昨年のレイハリアら3勝をあげ、複勝率30.0%と優秀だ。19年以外は毎年2頭ずつ3着以内に入っており、複勝回収率も100%を超えている。今年も牝馬には注目しておきたい。
■表2 キーンランドC近5年の枠順別成績
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1枠 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2枠 | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0 | 61 |
3枠 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
4枠 | 0- 2- 1- 7/10 | 0.0% | 20.0% | 30.0% | 0 | 117 |
5枠 | 0- 1- 1- 8/10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0 | 83 |
6枠 | 3- 1- 0- 6/10 | 30.0% | 40.0% | 40.0% | 298 | 110 |
7枠 | 2- 1- 0- 7/10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 178 | 66 |
8枠 | 0- 0- 2- 8/10 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0 | 75 |
表2は枠順別成績。勝ち馬はすべて5枠・6枠から出ており、ともに連対率が高い。また、中〜外の4〜8枠の好走馬が多いのに対して、内の1〜3枠からは2枠の3着1回しか馬券に絡んでいない。近5年では明らかに内枠不利のレース傾向が出ている。
■表3 キーンランドC近5年の年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3歳 | 1- 1- 0- 8/10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 49 | 45 |
4歳 | 2- 2- 1-10/15 | 13.3% | 26.7% | 33.3% | 118 | 76 |
5歳 | 1- 2- 2-18/23 | 4.3% | 13.0% | 21.7% | 16 | 67 |
6歳 | 0- 0- 1-16/17 | 0.0% | 0.0% | 5.9% | 0 | 33 |
7歳以上 | 1- 0- 1-10/12 | 8.3% | 8.3% | 16.7% | 176 | 111 |
表3は年齢別成績。4歳馬が一昨年のエイティーンガールら2勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。5歳馬は18年ナックビーナスが勝利し、複勝率は4歳馬に次いで高い。3歳馬は昨年のレイハリアが優勝。6歳馬は連対馬が出ておらず、不振傾向にある。なお、7歳以上で3着以内に入った2頭はともに9番人気以下の伏兵だった。
■表4 キーンランドC近5年の前走人気別成績
前走人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1人気 | 3- 1- 1- 6/11 | 27.3% | 36.4% | 45.5% | 367 | 127 |
前走2人気 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0 | 24 |
前走3人気 | 0- 1- 1- 8/10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0 | 78 |
前走4人気 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走5人気 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0 | 70 |
前走6〜9人気 | 0- 1- 0-11/12 | 0.0% | 8.3% | 8.3% | 0 | 15 |
前走10番人気以下 | 1- 0- 3-16/20 | 5.0% | 5.0% | 20.0% | 24 | 96 |
表4は前走人気別成績。黄色で強調した前走1番人気馬が17年エポワスら3勝をあげ、連対率・複勝率ともに優秀だ。3着以内馬5頭はいずれも前走で札幌か函館のレースを使われていた。また、健闘が目立つのが前走10番人気以下だった馬。昨年のレイハリア(前走葵S13番人気1着)が勝利し、3着3回。好走した4頭中3頭は牝馬だった。
■表5 キーンランドC近5年の前走からの斤量増減別成績
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
増減無し | 4- 3- 2-19/28 | 14.3% | 25.0% | 32.1% | 152 | 97 |
今回増 | 0- 0- 2-27/29 | 0.0% | 0.0% | 6.9% | 0 | 46 |
今回減 | 1- 2- 1-16/20 | 5.0% | 15.0% | 20.0% | 24 | 49 |
表5は前走からの斤量増減別成績。増減なしの馬が19年ダノンスマッシュら4勝をあげ、連対率・複勝率ともに高い。昨年は2着エイティーンガールが該当し、毎年1頭は3着以内に入っている。
斤量減の馬は昨年のレイハリアが勝利し、連対率・複勝率は増減なしの馬に次いで高い。なお、出走数最多の斤量増の馬からは連対馬が出ておらず、3着2回にとどまっている。
■表6 先週(8/20〜21)の札幌芝レースにおける脚質別成績
脚質上り | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
逃げ | 8- 1- 1- 5/ 15 | 53.3% | 60.0% | 66.7% | 811 | 197 |
先行 | 5- 7- 10- 27/ 49 | 10.2% | 24.5% | 44.9% | 38 | 187 |
差し | 1- 5- 2- 62/ 70 | 1.4% | 8.6% | 11.4% | 3 | 20 |
追い込み | 0- 1- 0- 45/ 46 | 0.0% | 2.2% | 2.2% | 0 | 8 |
マクリ | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0 | 0 |
最後に表6はCコース替わりだった先週の芝レース14鞍の脚質別成績。土曜の開催前に降った雨の影響があったにせよ、水分を含んで土日通して非常に時計が掛かっていた。先週日曜の札幌記念は勝ちタイムが2分1秒2。4コーナー3番手以内の馬で上位3着までを独占したように、差しが効きにくい馬場状態だった。全体的にも逃げ・先行馬の好走が目立っており、Cコース2週目となる今週その傾向に変化があらわれるか、注意しておきたい。
<結論>
■表7 今年のキーンランドCの注目馬(8/24現在)
馬名 | 性齢 | 前走成績 |
ウインマーベル | 牡3 | 葵S 1着 |
エイティーンガール | 牝6 | 高松宮記念 8着 |
ジュビリーヘッド | 牡5 | 青函S 2着 |
レイハリア | 牝4 | 函館スプリントS 4着 |
ヴァトレニ | セ4 | 青函S 1着 |
ヴェントヴォーチェ | 牡5 | アイビスSD 9着 |
※フルゲート16頭
2020/8/30 札幌11R キーンランドカップ(G3)
1着 14番 エイティーンガール
2022/6/25 函館11R 青函ステークス
1着 14番 ヴァトレニ
表7で今年のキーンランドCの注目馬を挙げてみた。
人気になりそうなウインマーベルは古馬初対戦で、札幌・函館では連対なしが気になるところだ。ジュビリーヘッドは函館スプリントS、青函Sと近2走2着続きで、前走は1番人気。前走函館も表4の分析で示した好走条件に合っており、引き続き期待できる。
これまでのデータから推奨したいのがエイティーンガールとヴァトレニの2頭。エイティーンガールは近2年のキーンランドCで好走しており、この条件への適性が非常に高い。牝馬、前走10番人気以下、前走と斤量増減なしと条件が揃っており、今年も期待できる。
ヴァトレニは前走自身初の芝1200m戦だった青函Sでジュビリーヘッドらを破って勝利。札幌芝はこれまで3戦3勝、前走函館芝でも勝利し、洋芝適性が非常に高い。4歳馬かつ前走から斤量増減なしも買い材料で、重賞初挑戦でいきなり勝ち切ってもおかしくない。
他では表6で示した先週の逃げ・先行有利の馬場が今週も継続していれば、テンが一番速いレイハリアの残り目も考えられる。昨年の勝ち馬で、前走函館スプリントSでは4着と粘れており、当然注目しておきたい。ヴェントヴォーチェは高速スプリント戦が合うタイプで、今回は厳しいと見る。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。