第1653回 荒れ模様のスプリント決戦・北九州記念分析|競馬情報ならJRA-VAN

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第1653回 荒れ模様のスプリント決戦・北九州記念分析

2022/8/15(月)

サマースプリントシリーズ第4戦・北九州記念。過去10年で1番人気が一度も勝っていないという点は同日の札幌記念も同じだが、馬連の平均配当は札幌記念が6千円台なのに対し、北九州記念は1万円を超えるなど波乱度には大きな差がある。今回はこの北九州記念をJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、過去10年を対象に分析したい。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 0-3-0-7/10 0.0% 30.0% 30.0% 0% 45%
2 1-0-2-7/10 10.0% 10.0% 30.0% 50% 62%
3 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 57% 64%
4 0-2-1-7/10 0.0% 20.0% 30.0% 0% 86%
5 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 88% 84%
6 2-0-1-7/10 20.0% 20.0% 30.0% 189% 113%
7 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 32%
8 4-0-0-6/10 40.0% 40.0% 40.0% 699% 176%
9 1-0-0-9/10 10.0% 10.0% 10.0% 308% 61%
10 0-0-1-9/10 0.0% 0.0% 10.0% 0% 43%
11〜 0-3-2-65/70 0.0% 4.3% 7.1% 0% 128%
1〜5 3-7-5-35/50 6.0% 20.0% 30.0% 39% 68%
6〜 7-3-5-105/120 5.8% 8.3% 12.5% 99% 110%

2021/8/22 小倉11R 北九州記念(G3) 1着 17番 ヨカヨカ(5番人気)2021/8/22 小倉11R 北九州記念(G3)
1着 17番 ヨカヨカ(5番人気)

まず表1は人気別の成績。1番人気は【0.3.0.7】で2009年から13連敗中だ。他の上位人気もそれを補うほどではなく、勝率〜複勝率のトップは8番人気【4.0.0.6】の40.0%。表の下部に記したように、1〜5番人気より6番人気以下のほうが単複の回収率は高い。

■表2 枠番別成績

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以下 同複勝率
1枠 1-0-0-17/18 5.6% 5.6% 5.6% 105% 31% 1-0-0-12 7.7%
2枠 2-0-0-17/19 10.5% 10.5% 10.5% 104% 31% 1-0-0-15 6.3%
3枠 1-3-0-15/19 5.3% 21.1% 21.1% 45% 51% 1-0-0-11 8.3%
4枠 1-3-1-15/20 5.0% 20.0% 25.0% 51% 343% 1-2-1-9 30.8%
5枠 1-1-1-17/20 5.0% 10.0% 15.0% 28% 38% 0-0-1-15 6.3%
6枠 1-2-4-13/20 5.0% 15.0% 35.0% 108% 136% 1-1-1-11 21.4%
7枠 0-1-1-24/26 0.0% 3.8% 7.7% 0% 20% 0-0-0-16 0.0%
8枠 3-0-3-22/28 10.7% 10.7% 21.4% 192% 127% 2-0-2-16 20.0%

続いて表2は枠番別の成績で、全体をみると内よりは外のほうが良さそうだが、これは参考程度にしたい。というのも、変則開催の影響で今年と同じ「4回小倉4日目」に行われたのは昨年1回だけ。一昨年は「2回小倉4日目」、それ以前は「2回小倉8日目」となっており、馬場の荒れ具合が違ってきそうなためだ。ちなみに昨年は8→3→6枠(17→6→12番)で決着している。

■表3 年齢別、性別成績

年齢・性別 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3歳 1-2-2-16/21 4.8% 14.3% 23.8% 41% 118%
4歳 3-2-4-17/26 11.5% 19.2% 34.6% 96% 94%
5歳 2-6-1-40/49 4.1% 16.3% 18.4% 59% 85%
6歳 3-0-3-37/43 7.0% 7.0% 14.0% 126% 167%
7歳以上 1-0-0-30/31 3.2% 3.2% 3.2% 70% 10%
牡・セン馬 5-5-3-81/94 5.3% 10.6% 13.8% 74% 112%
牝馬 5-5-7-59/76 6.6% 13.2% 22.4% 91% 79%

年齢別では4歳が【3.2.4.17】複勝率34.6%トップ。次いで3歳が同23.8%となるが、5歳や6歳の好走馬も少なくない。7歳以上は割引が必要だろう。性別では好走数、好走確率とも牝馬が牡・セン馬を上回る。特にここ4年にかぎると牝馬【2.3.4.27】複勝率25.0%に対し、牡・セン馬【2.1.0.32】同8.6%と差が大きくなる。

■表4 ハンデ別成績

性別 ハンデ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
牡・セン 51kg 0-0-0-1/1 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
52kg 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 605%
53kg 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 30%
54kg 1-0-2-24/27 3.7% 3.7% 11.1% 80% 168%
55kg 2-3-0-17/22 9.1% 22.7% 22.7% 111% 102%
56kg 1-0-1-17/19 5.3% 5.3% 10.5% 45% 99%
56.5kg 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
57kg 1-0-0-6/7 14.3% 14.3% 14.3% 212% 60%
57.5kg〜 0-0-0-4/4 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
牝馬 〜50kg 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
51kg 1-0-1-10/12 8.3% 8.3% 16.7% 73% 50%
52kg 0-2-1-12/15 0.0% 13.3% 20.0% 0% 120%
53kg 2-0-2-15/19 10.5% 10.5% 21.1% 129% 67%
54kg 0-0-1-5/6 0.0% 0.0% 16.7% 0% 41%
55kg 2-1-0-5/8 25.0% 37.5% 37.5% 447% 138%
55.5kg 0-0-1-3/4 0.0% 0.0% 25.0% 0% 107%
56kg 0-1-0-2/3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 36%
56.5kg 0-1-1-0/2 0.0% 50.0% 100.0% 0% 210%

2019/8/18 小倉11R 北九州記念(G3) 1着 16番 ダイメイプリンセス(牝6歳・55キロ)2019/8/18 小倉11R 北九州記念(G3)
1着 16番 ダイメイプリンセス(牝6歳・55キロ)

表4はハンデ別の成績。ハンデ重賞では重ハンデ馬ほど好走確率が高くなりがちだが、この北九州記念でその考えが通用するのは牝馬のみ。牡・セン馬なら55キロの連対率や複勝率が高い。

■表5 前走クラス別成績(前走取消馬を除く)

前走 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
2勝クラス 1-1-0-0/2 50.0% 100.0% 100.0% 720% 375%
3勝クラス 1-2-1-16/20 5.0% 15.0% 20.0% 28% 87%
OPEN 2-1-2-38/43 4.7% 7.0% 11.6% 74% 53%
重賞(未格付) 0-1-0-3/4 0.0% 25.0% 25.0% 0% 52%
中央G3 6-4-5-72/87 6.9% 11.5% 17.2% 100% 123%
中央G2 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
中央G1 0-1-2-7/10 0.0% 10.0% 30.0% 0% 87%

前走のクラス別では中央G3組の好走馬が多く、単複の回収率も優秀だ。また、一見すると前走条件戦組も悪くなさそうだが、降級制度が廃止になった2019年以降は該当馬が減り、好走馬も出ていないため高評価は与えづらい。G3組を中心に据えたい。

■表6 前走G3、重賞(未格付)からの3着以内好走馬

馬名 北九州記念 前走
人気 着順 レース 通過順 人気 着順
2014 リトルゲルダ 8 1 アイビスSD 6 7 4
カイシュウコロンボ 17 3 CBC賞 13-13 16 11
2015 ベルカント 2 1 アイビスSD 3 1 1
ベルルミエール 4 3 CBC賞 7-7 5 4
2016 ベルカント 1 2 アイビスSD 2 1 1
2017 ナリタスターワン 14 2 アイビスSD 11 12 9
ラインスピリット 15 3 アイビスSD 13 6 6
2018 アレスバローズ 6 1 CBC賞 10-8 4 1
ダイメイプリンセス 4 2 アイビスSD 5 1 1
ラブカンプー 7 3 アイビスSD 1 2 2
2019 ダイメイプリンセス 9 1 アイビスSD 15 2 6
ディアンドル 3 2 葵S(重賞) 4-4 1 1
2020 レッドアンシェル 8 1 CBC賞(阪神) 7-6 3 3
アウィルアウェイ 10 3 CBC賞(阪神) 14-14 6 7
2021 ヨカヨカ 5 1 CBC賞(小倉) 5-3 1 5
ファストフォース 4 2 CBC賞(小倉) 1-1 8 1

前走G3と葵S(重賞・未格付)からの3着以内好走馬は表6の通りで、この16頭は大きく2つのグループに分けられる。1つは「前走の道中10番手以内・前走5着以内・本競走8番人気以内」で、これが過半数の11頭。もう1グループは「前走の道中11番手以下・前走6着以下・本競走9番人気以下」で、こちらは5頭が該当する。大穴狙いなら、前走が差し脚不発だった馬に注目すると良さそうだ。なお、前走はすべて芝1200m以下で、ここ2年はCBC賞組が2頭ずつ馬券に絡んでいる。

■表7 前走オープン特別、G1からの3着以内好走馬

馬名 北九州記念 前走
人気 着順 レース 通過順 人気 着順
2012 シゲルスダチ 12 2 NST賞(芝18) 1-1 7 8
2013 ツルマルレオン 6 1 バーデンBC 14-16 3 8
2016 バクシンテイオー 8 1 バーデンBC 7-5 7 3
2016 オウノミチ 3 3 バーデンBC 4-4 4 1
2019 アンヴァル 5 3 バーデンBC 6-8 1 2
2012 エピセアローム 6 3 オークス 2-2-2-2 12 16
2020 モズスーパーフレア 1 2 高松宮記念 1-1 9 1
2021 モズスーパーフレア 2 3 高松宮記念 1-1 6 5

最後に表7は、前走オープン特別とG1からの3着以内好走馬8頭である。距離短縮で好走したのは北九州記念の過去10年全馬を見ても、この2012年のシゲルスダチとエピセアロームだけで、ここ9年は好走馬が出ていない。

オープン特別のうちバーデンバーデンC組の好走馬4頭は、すべて同レースの3コーナーを4番手以下で通過しており、3番手以内だった馬は【0.0.0.7】。先行力のある馬に注目したくなるが、2018年にゴールドクイーン(バーデンバーデンCで逃げて2着)が3番人気で16着に敗れるなど結果が出ていない。なお、夏の福島芝1200mでは2020年からバーデンバーデンC(ハンデ)にかわり福島テレビオープン(別定)が行われているが、この福島テレビオープン組は北九州記念で過去2年【0.0.0.7】に終わっている。

G1組は、オークス以来のエピセアロームを除くとモズスーパーフレア1頭・2回とやや参考にしづらい印象もある。ただ、前走G1で掲示板に乗っていたのはこのモズスーパーフレアだけで、G1組で馬券に絡めなかった7頭の前走はすべて掲示板外だった。前走G1組なら高松宮記念で5着以内だった馬がいれば注目したい。

以上、北九州記念の傾向をまとめてみた。該当馬、好走馬ともに多いG3組(表5)の取捨がポイントになるが、表6本文で記したようにこの組の好走パターンは2つに大別できる。どちらかのパターンに当てはまる馬について、年齢やハンデなど他の条件からふるいにかけてピックアップするのが良さそうな印象だ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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