データde出〜た
第1601回 混戦必至のハンデ戦! 小倉大賞典を分析する
2022/2/14(月)
今週は日曜日にG1・フェブラリーSが行われるが、その直前に行われる小倉大賞典にスポットを当てる。4歳以上・小倉芝1800mのハンデ戦で、予想は難しいが馬券的には楽しみなイメージがある一戦だ。いつものように過去のデータを分析し、同レース攻略のヒントを探っていく。なお、データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年の小倉大賞典の好走馬
日付 | 着順 | 馬名 | 人気 | 性別 | 年齢 | 騎手 | 斤量 | 所属 | 調教師 |
21年 | 1 | テリトーリアル | 11 | 牡 | 7 | 石川裕紀人 | 56.5 | (栗) | 西浦勝一 |
2 | ボッケリーニ | 1 | 牡 | 5 | 浜中俊 | 57 | (栗) | 池江泰寿 | |
3 | ディアンドル | 12 | 牝 | 5 | 団野大成 | 53 | (栗) | 奥村豊 | |
20年 | 1 | カデナ | 4 | 牡 | 6 | 鮫島克駿 | 57 | (栗) | 中竹和也 |
2 | ドゥオーモ | 10 | 牡 | 7 | 勝浦正樹 | 52 | (栗) | 野中賢二 | |
3 | ジナンボー | 2 | 牡 | 5 | シュタルケ | 55 | (美) | 堀宣行 | |
19年 | 1 | スティッフェリオ | 3 | 牡 | 5 | 丸山元気 | 57 | (栗) | 音無秀孝 |
2 | タニノフランケル | 1 | 牡 | 4 | 川田将雅 | 54 | (栗) | 角居勝彦 | |
3 | サイモンラムセス | 14 | 牡 | 9 | 小牧太 | 53 | (栗) | 梅田智之 | |
18年 | 1 | トリオンフ | 1 | セ | 4 | 川田将雅 | 54 | (栗) | 須貝尚介 |
2 | クインズミラーグロ | 15 | 牝 | 6 | 丸田恭介 | 53 | (美) | 和田正道 | |
3 | スズカデヴィアス | 4 | 牡 | 7 | 吉田隼人 | 56.5 | (栗) | 橋田満 | |
17年 | 1 | マルターズアポジー | 4 | 牡 | 5 | 武士沢友治 | 56 | (美) | 堀井雅広 |
2 | ヒストリカル | 8 | 牡 | 8 | 高倉稜 | 57 | (栗) | 音無秀孝 | |
3 | クラリティスカイ | 5 | 牡 | 5 | 田辺裕信 | 57.5 | (美) | 斎藤誠 | |
16年 | 1 | アルバートドック | 2 | 牡 | 4 | 川田将雅 | 55 | (栗) | 松田博資 |
2 | ダコール | 6 | 牡 | 8 | 小牧太 | 58 | (栗) | 中竹和也 | |
3 | ネオリアリズム | 5 | 牡 | 5 | 岩田康誠 | 55 | (美) | 堀宣行 | |
15年 | 1 | カレンブラックヒル | 3 | 牡 | 6 | 秋山真一郎 | 58 | (栗) | 平田修 |
2 | コスモソーンパーク | 6 | 牡 | 7 | 丹内祐次 | 56 | (美) | 池上昌弘 | |
3 | ダコール | 11 | 牡 | 7 | 藤岡佑介 | 57 | (栗) | 中竹和也 | |
14年 | 1 | ラストインパクト | 1 | 牡 | 4 | 川田将雅 | 55 | (栗) | 松田博資 |
2 | カフナ | 8 | 牡 | 6 | 藤岡康太 | 57 | (栗) | 池江泰寿 | |
3 | ブレイズアトレイル | 4 | 牡 | 5 | 丸田恭介 | 55 | (栗) | 藤岡健一 | |
13年 | 1 | ヒットザターゲット | 6 | 牡 | 5 | 大野拓弥 | 57 | (栗) | 加藤敬二 |
2 | ダコール | 2 | 牡 | 5 | 丸田恭介 | 55 | (栗) | 中竹和也 | |
3 | ダローネガ | 5 | 牡 | 4 | 北村友一 | 55 | (栗) | 佐々木晶三 | |
12年 | 1 | エーシンジーライン | 5 | 牡 | 7 | 川須栄彦 | 56 | (栗) | 坂口正則 |
2 | スマートギア | 10 | 牡 | 7 | 松山弘平 | 56 | (栗) | 佐山優 | |
3 | コスモファントム | 1 | 牡 | 5 | 蛯名正義 | 57.5 | (栗) | 宮徹 |
表1は過去10年の小倉大賞典の好走馬をまとめたもの。昨年は1番人気のボッケリーニが2着と好走したものの、11番人気のテリトーリアルが勝利し、3着には12番人気のディアンドルが残り、3連単は23万1750円という高配当となった。ここ4年は毎年、10番人気以下の馬が馬券に絡んでおり、特に3連複・3連単で大きな配当が生まれている。
そして、好走馬に目を向けると、ディープインパクト産駒のダコールが、2013年、15年、16年と3回も好走。勝利はできなかったが、15年は11番人気で3着に入り、高配当をもたらした。ディープインパクト産駒は過去10年で3勝2着4回3着2回と、合計9回3着以内に入っており、本競走との相性の良さがうかがえる。
年齢面では5歳馬が11頭と最も多く馬券に絡んでいる。7歳以上が10頭好走しており、ベテランの活躍も目立つ。性別は牡馬・セン馬が好走馬の大半を占める。牝馬の好走は18年2着クインズミラーグロと、前述のディアンドルの2頭だけ。ただし、ともに超人気薄での激走だっただけに、牝馬だからといって軽視はしづらい。
騎手では川田将雅騎手が4回好走している。そのうち3回は1番人気の馬に騎乗したときであり、人気馬での信頼度が高い。また、美浦の丸田恭介騎手も3回好走しており、もし騎乗する機会があるようなら要注目だ。また、中竹和也調教師の管理馬はダコールが3回、20年カデナが1回、計4回馬券に絡んでいる。
■表2 小倉大賞典の前走距離別成績(過去10年)
前走平地距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
同距離 | 0- 2- 0- 20/ 22 | 0.0% | 9.1% | 9.1% | 0 | 67 |
今回延長 | 1- 1- 2- 32/ 36 | 2.8% | 5.6% | 11.1% | 15 | 32 |
今回短縮 | 9- 7- 8- 73/ 97 | 9.3% | 16.5% | 24.7% | 95 | 116 |
1400m | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1600m | 1- 1- 2- 29/ 33 | 3.0% | 6.1% | 12.1% | 17 | 35 |
1800m | 0- 2- 0- 20/ 22 | 0.0% | 9.1% | 9.1% | 0 | 67 |
2000m | 7- 3- 5- 54/ 69 | 10.1% | 14.5% | 21.7% | 119 | 116 |
2200m | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0 | 58 |
2400m | 1- 3- 2- 8/ 14 | 7.1% | 28.6% | 42.9% | 19 | 145 |
2500m | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 195 | 205 |
2600m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
3000m | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表2は小倉大賞典の前走距離別成績で、非常に顕著な傾向が出ていることがわかった。今回距離延長・短縮の比較では、短縮の方が圧倒的に好走馬数は多く、好走率も高い。距離を個別で見ていくと、前走2000m組の成績が【7.3.5.54】で、単勝・複勝の回収率はともに100%を超えている。また、2400m組は【1.3.2.8】で連対率(28.6%)や複勝率(42.9%)が高い。2500m組は【1.1.0.2】と対象馬は少ないが、好走率・回収率ともに優秀だ。
一方、1600m組は【1.1.2.29】と平凡な成績。前走京都金杯組が【0.0.2.14】と不調なこともあり、本競走においては成績が芳しくない。
■表3 前走2000m組の前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
3勝 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 46 | 28 |
OPEN非L | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0 | 41 |
OPEN(L) | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
G3 | 5- 3- 4-41/53 | 9.4% | 15.1% | 22.6% | 141 | 140 |
G2 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 270 | 125 |
G1 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
重賞 | 6- 3- 4-43/56 | 10.7% | 16.1% | 23.2% | 143 | 137 |
表3は前走2000m組の前走クラス別成績。前走2000m組の中ではG3やG2のレースを使っていた馬の成績が良かった。G1組は1頭しかいなかったので、基本的には前走重賞組が強いと言ってもいいだろう。特に前走中山金杯組が【4.1.2.21】と好成績。12年エーシンジーライン、13年ヒットザターゲット、20年カデナ、そして昨年のテリトーリアルと4頭の勝ち馬が出ている。
■表4 前走2000m・重賞組の斤量増減別成績
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
今回増 | 2- 2- 0- 2/ 6 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 190 | 130 |
今回1〜1.5kg増 | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 135 | 105 |
今回2〜2.5kg増 | 1- 1- 0- 0/ 2 | 50.0% | 100.0% | 100.0% | 300 | 180 |
今回3kg以上増 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
今回減 | 0- 1- 2-14/17 | 0.0% | 5.9% | 17.6% | 0 | 270 |
今回1〜1.5kg減 | 0- 1- 1-12/14 | 0.0% | 7.1% | 14.3% | 0 | 186 |
今回2〜2.5kg減 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
今回3kg以上減 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0 | 990 |
表4は前走2000m・重賞組の斤量増減別成績。前走2000mの重賞組の中から、さらに有力馬を絞り込むために斤量別の成績をチェックした。すると、今回斤量増の馬が【2.2.0.2】で、単・複の回収率も100%以上という好成績だった。なお、好走した4頭はすべて前走芝2000mの重賞で5着以内、なおかつ小倉大賞典当日は3番人気以内に支持されていた。もし、この手のタイプが出走してくれば非常に有力とみたい。
一方、今回斤量減の馬は【0.1.2.14】と斤量増に比べると明らかに成績は悪い。しかし、好走した3頭は18年2着(15番人気)クインズミラーグロ、19年3着(14番人気)サイモンラムセス、21年3着ディアンドル(12番人気)とすべて超人気薄だったこともあり、複勝回収率は270%だった。ちなみに、この3頭は前走3、4コーナーを1、2番手で通過していた。前がかりの競馬をしていた馬は、惨敗していても巻き返す可能性を考えてみたい。
最後に表2へ戻り、前走2000m組以外にも少し触れておく。前走2400m組は【1.3.2.8】で好走馬は6頭いる。その内5頭がディープインパクト産駒だった。また、前走1800m組で好走した2頭も、ともにディープインパクト産駒だった。先ほども述べたが、同産駒は本競走と相性がいい。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。