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第1600回 クラシックの登竜門! 共同通信杯を分析する
2022/2/10(木)
日曜東京では3歳重賞の共同通信杯が行われる。昨年はエフフォーリアが勝利し、その後に皐月賞・天皇賞(秋)・有馬記念を制覇。3着シャフリヤールは日本ダービーを制する活躍を見せた。その後クラシックで活躍した馬が多く、登竜門といえる一戦だ。今回は2012年以降・近10年のデータから共同通信杯のレース傾向ならびに馬券的に狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 共同通信杯の人気別成績(過去10年)
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1番人気 | 1- 3- 1- 5/ 10 | 10.0% | 40.0% | 50.0% | 22 | 58 |
2番人気 | 2- 1- 3- 4/ 10 | 20.0% | 30.0% | 60.0% | 72 | 106 |
3番人気 | 3- 2- 2- 3/ 10 | 30.0% | 50.0% | 70.0% | 163 | 155 |
4番人気 | 2- 1- 2- 5/ 10 | 20.0% | 30.0% | 50.0% | 124 | 115 |
5番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 45 |
6番人気 | 2- 1- 0- 7/ 10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 362 | 127 |
7番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 63 |
8番人気 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
9番人気 | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0 | 83 |
10番人気 | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0 | 215 |
11番人気以下 | 0- 0- 0- 12/ 12 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表1は共同通信杯近10年の人気別成績。1番人気馬は14年イスラボニータの1勝のみで、連対率40%・複勝率50%はそれほど高くない。2番人気馬は17年スワーヴリチャードら2勝で複勝率60%。3番人気馬が一昨年のダーリントンホールら最多の3勝をあげ、連対率50%・複勝率70%はともにトップだ。以下、4・6番人気馬が2勝ずつ。勝ち馬は6番人気以内におさまっている。
2着馬はすべて7番人気以内で、3着馬は10番人気まで分布。配当面では18年に6→3→10番人気の順で3連単56万6290円の波乱はあったものの、その他の年は10万円未満。堅め〜10万円未満の小波乱といったレース傾向が出ている。
■表2 共同通信杯の出走馬所属別成績(過去10年)
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
美浦 | 6- 6- 5- 49/ 66 | 9.1% | 18.2% | 25.8% | 83 | 98 |
栗東 | 4- 4- 5- 25/ 38 | 10.5% | 21.1% | 34.2% | 49 | 70 |
地方 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表2は出走馬所属別成績。栗東所属の関西馬が15年リアルスティールら4勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれも美浦所属の関東馬を上回っている。ただ、関西馬で3着以内に入った13頭中12頭は上位5番人気以内だった。
対して、出走数が多い関東馬は昨年のエフフォーリアら6勝をあげ、毎年1頭は3着以内に入っている。3着以内馬17頭中5頭は6番人気以下の伏兵で、複勝回収率は100%に近い数字となっている。なお、地方所属馬の好走はなかった。
■表3 共同通信杯のキャリア別成績(過去10年)
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1戦 | 1- 2- 2- 6/ 11 | 9.1% | 27.3% | 45.5% | 55 | 146 |
2戦 | 2- 1- 3- 14/ 20 | 10.0% | 15.0% | 30.0% | 55 | 53 |
3戦 | 4- 5- 3- 20/ 32 | 12.5% | 28.1% | 37.5% | 88 | 132 |
4戦 | 3- 1- 1- 15/ 20 | 15.0% | 20.0% | 25.0% | 144 | 58 |
5戦以上 | 0- 1- 1- 23/ 25 | 0.0% | 4.0% | 8.0% | 0 | 42 |
表3はキャリア別成績。黄色で強調した3戦以内の複勝率が高い。3戦の馬は18年オウケンムーンら最多の4勝をあげ、連対率トップ。複勝回収率も100%を超えている。また、新馬戦を勝ったばかりの1戦の馬は15年リアルスティールが勝利し、複勝率は45.5%でトップ。前走新馬勝ちの馬が通用しているのが大きな特徴だ。
2戦の馬は19年ダノンキングリーら2勝で、複勝率30%。4戦の馬は16年ディーマジェスティら3勝をあげ、勝率トップだ。なお、5戦以上となると勝ち星がなく、連対率・複勝率ともに低い。
■表4 共同通信杯の前走クラス別成績(過去10年)
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
新馬 | 1- 2- 2- 6/11 | 9.1% | 27.3% | 45.5% | 55 | 146 |
未勝利 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1勝クラス | 4- 2- 2-26/34 | 11.8% | 17.6% | 23.5% | 90 | 58 |
OPEN特別 | 1- 1- 0- 4/ 6 | 16.7% | 33.3% | 33.3% | 93 | 60 |
G3 | 3- 2- 6-23/34 | 8.8% | 14.7% | 32.4% | 27 | 115 |
G2 | 1- 0- 0- 4/ 5 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 452 | 114 |
G1 | 0- 3- 0- 4/ 7 | 0.0% | 42.9% | 42.9% | 0 | 104 |
表4は前走クラス別成績。1勝クラス組が近4年続けて勝利しており、4勝と最多。3着以内馬8頭はいずれも前走で3着以内に入っていた。前走新馬戦組の複勝率が高いことは表3でも述べたが、新馬勝ち後に共同通信杯を使うのは実力を感じているからだろう。昨年は2着ヴィクティファルス、3着シャフリヤールが該当している。
オープン特別・重賞組では、前走G1組は勝ち星がなく、2着3回。前走G3組が12年ゴールドシップら最多の3勝をあげている。これらオープン特別・重賞組は計【5.6.6.35】で、3着以内馬17頭中15頭は前走で5番人気以内に支持されていた。
■表5 共同通信杯の前走距離別成績(過去10年)
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1200m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1400m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1500m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1600m | 1- 3- 1- 18/ 23 | 4.3% | 17.4% | 21.7% | 18 | 50 |
1800m | 3- 5- 2- 13/ 23 | 13.0% | 34.8% | 43.5% | 49 | 96 |
2000m | 6- 2- 7- 42/ 57 | 10.5% | 14.0% | 26.3% | 102 | 101 |
2200m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
2400m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表5は前走距離別成績。出走数最多の前走2000m組が昨年のエフフォーリアら過半数の6勝をあげ、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。前走1800m組は17年スワーヴリチャードら3勝をあげ、連対率34.8%・複勝率43.5%と優秀だ。
前走1600m組は19年ダノンキングリーの1勝のみ。この組の3着以内馬5頭はいずれも5番人気以内に支持されていた。
■表6 共同通信杯の前走馬体重別成績(過去10年)
前走馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
400〜419kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
420〜439kg | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
440〜459kg | 1- 0- 2- 10/ 13 | 7.7% | 7.7% | 23.1% | 32 | 86 |
460〜479kg | 2- 4- 4- 32/ 42 | 4.8% | 14.3% | 23.8% | 37 | 53 |
480〜499kg | 3- 5- 2- 21/ 31 | 9.7% | 25.8% | 32.3% | 47 | 125 |
500〜519kg | 2- 0- 2- 8/ 12 | 16.7% | 16.7% | 33.3% | 90 | 48 |
520〜539kg | 1- 1- 0- 3/ 5 | 20.0% | 40.0% | 40.0% | 120 | 152 |
540kg以上 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表6は前走馬体重別成績。黄色で強調した馬体重480kg以上の馬が過半数の6勝をあげており、複勝率が高い。440kg〜539kgの範囲では馬体重が増えるにつれて、複勝率も上がっていた。前走馬体重が重い馬を重視していきたい。
<結論>
■表7 今年の共同通信杯の出走予定馬(2/9時点)
馬名 | 前走成績 |
アケルナルスター | ホープフルS 7着 |
アサヒ | 東京スポーツ杯2歳S 2着 |
アバンチュリエ | ジュニアC 4着 |
エイシンシュトルム | 南部駒賞 1着 |
サンストックトン | 京成杯 7着 |
ジオグリフ | 朝日杯FS 5着 |
ジュンブロッサム | 未勝利(芝2000m) 1着 |
セイウンプラチナ | 若竹賞 8着 |
ダノンスコーピオン | 朝日杯FS 3着 |
ダノンベルーガ | 新馬(芝2000m)1着 |
ビーアストニッシド | シンザン記念 4着 |
フジマサフリーダム | 京成杯 9着 |
プレサージュリフト | 新馬(芝1600m)1着 |
メイショウラナキラ | 若駒S 3着 |
レッドモンレーヴ | 未勝利(芝1800m) 1着 |
※フルゲート16頭。除外予定馬なし
今年の出走予定馬は表7のとおり。
人気になりそうなのは前走朝日杯FS組のダノンスコーピオンとジオグリフ。両馬ともに前走で5番人気以内だったのは良いが、前走G1組は未勝利。ダノンスコーピオンは前走朝日杯FS3着ながら阪神コースの経験しかないことが不安点で、前走馬体重458kgも表6から割引材料。ジオグリフは前走496キロこそ良いものの、前走で見せた前半の行き脚の鈍さが気にかかる。
これまでのデータから推奨したいのはダノンベルーガとアサヒの2頭。ダノンベルーガは好相性の前走新馬戦組で、前走馬体重498kgも強調材料。東京芝2000mの新馬戦で見せたパフォーマンスも秀逸だった。相当な大物の可能性があり、勝機十分と見る。
アサヒは前走東京スポーツ杯2歳Sでイクイノックスの2着。走破時計も優秀で、東京芝1800m適性は高い。前走馬体重498kgも良く、今回も好勝負になりそうだ。
穴を挙げればフジマサフリーダム。前走の京成杯は9着に敗れたが、重い馬場で差し追い込み馬が上位に来る展開の中、先行しては厳しかった。共同通信杯と好相性のディープインパクト産駒で、前走馬体重530kg。スムーズに先行できれば、巻き返しておかしくない。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。