データde出〜た
第1588回 今年も堅くおさまるのか? ホープフルSを分析する
2021/12/27(月)
有馬記念が終わり、今年の中央競馬は28日(火曜)を残すのみとなった。28日の中山メインで行われるのが2歳中距離チャンピオンを決めるホープフルS。来春の皐月賞と同じ中山芝2000mを舞台に、2014年からはG2、17年からはG1として行われている。今回は14年以降・近7年のデータから今年のホープフルSを展望していきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 ホープフルS近4年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半1000m通過 |
2020 (良/15頭) |
1 | ダノンザキッド | 2分2秒8 | 1 | 3 | 36秒4 | 61秒9 |
2 | オーソクレース | 1馬身1/4 | 3 | 2 | 36秒7 | ||
3 | ヨーホーレイク | 1/2馬身 | 4 | 7 | 36秒4 | ||
2019 (良/13頭) |
1 | コントレイル | 2分1秒4 | 1 | 2 | 35秒8 | 60秒9 |
2 | ヴェルトライゼンデ | 1馬身1/2 | 3 | 4 | 35秒8 | ||
3 | ワーケア | 2馬身 | 2 | 7 | 35秒9 | ||
2018 (良/13頭) |
1 | サートゥルナーリア | 2分1秒6 | 1 | 4 | 35秒3 | 62秒5 |
2 | アドマイヤジャスタ | 1馬身1/2 | 2 | 2 | 35秒6 | ||
3 | ニシノデイジー | 3/4馬身 | 3 | 9 | 35秒3 | ||
2017 (良/17頭) |
1 | タイムフライヤー | 2分1秒4 | 1 | 9 | 35秒5 | 59秒6 |
2 | ジャンダルム | 1馬身1/4 | 4 | 4 | 36秒2 | ||
3 | ステイフーリッシュ | クビ | 8 | 8 | 35秒9 |
表1はG1に昇格した2017年以降・近4年の3着以内馬一覧。勝ちタイムは近4年ともに2分1秒を超えており、時計が掛かるレースとなっている。上がり3ハロンは前半のペースにかかわらず、いずれも35秒〜36秒台で瞬発力よりも持久力が問われる一戦といえそうだ。4コーナー通過順では10番手以下の馬はいないものの、7番手以下の馬が毎年1頭は3着以内に入っている。
人気順では1番人気馬が4連勝中、G2時を含めると5連勝中。2・3着馬も17年の8番人気3着ステイフーリッシュ以外はすべて4番人気以内。17年は3連単5万2380円の配当となったが、近3年はいずれも3連単6000円以下の堅い決着が続いている。今年も堅い傾向が続くのか、表2以下のデータから分析していきたい。
■表2 ホープフルS近7年のキャリア別成績
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1戦 | 2- 0- 2- 7/ 11 | 18.2% | 18.2% | 36.4% | 108 | 94 |
2戦 | 4- 4- 4- 25/ 37 | 10.8% | 21.6% | 32.4% | 20 | 61 |
3戦 | 0- 1- 0- 22/ 23 | 0.0% | 4.3% | 4.3% | 0 | 6 |
4戦 | 1- 1- 1- 14/ 17 | 5.9% | 11.8% | 17.6% | 24 | 56 |
5戦以上 | 0- 1- 0- 12/ 13 | 0.0% | 7.7% | 7.7% | 0 | 30 |
表2は近7年のキャリア別成績。出走数最多の2戦の馬が近3年続けて勝利しており、一昨年・昨年と上位3着までを独占している。1戦の馬は14年シャイニングレイ、15年ハートレーと2勝。勝率・複勝率はトップだ。これら1・2戦の馬で大半の6勝をあげている。
3戦の馬は2着1回のみと不振。4戦の馬は17年タイムフライヤーが勝利している。なお、5戦以上の馬は16年マイネルスフェーン(6戦)の2着1回のみとなっている。
■表3 ホープフルS近7年の前走着順別成績
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1着 | 6- 7- 7- 42/ 62 | 9.7% | 21.0% | 32.3% | 31 | 75 |
前走2着 | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 60 | 22 |
前走3着 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走4着 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走5着 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走6〜9着 | 0- 0- 0- 11/ 11 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走10着以下 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表3は前走着順別成績。出走馬の過半数を占める前走1着馬が好走馬の大半を占めている。前走勝利で勢いに乗る馬が2歳G1の舞台では続けて好走しやすいのだろう。前走2着から勝利したのは17年タイムフライヤー(前走京都2歳S2着)のみ。前走3着以下から好走馬が出ていないのがホープフルSの大きな特徴だ。
■表4 ホープフルS近7年の前走人気別成績
前走人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
前走1人気 | 6- 5- 4- 17/ 32 | 18.8% | 34.4% | 46.9% | 59 | 90 |
前走2人気 | 1- 1- 1- 11/ 14 | 7.1% | 14.3% | 21.4% | 32 | 77 |
前走3人気 | 0- 0- 1- 12/ 13 | 0.0% | 0.0% | 7.7% | 0 | 37 |
前走4人気 | 0- 0- 0- 11/ 11 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
前走5人気 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0 | 32 |
前走6〜9人 | 0- 0- 1- 17/ 18 | 0.0% | 0.0% | 5.6% | 0 | 7 |
前走10番人気以下 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表4は前走人気別成績。前走1番人気馬が近6年続けて勝利しており、連対率34.4%・複勝率46.9%と非常に高い。昨年は1・3着馬が該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。前走2番人気馬は14年シャイニングレイが優勝。勝ち馬はいずれも前走2番人気以内に支持されていた。ただし、前走3番人気以下であっても、前走で勝利している馬には注意したい。今回穴を開ける馬が出るならば、そういったタイプかもしれない。
■表5 ホープフルS近7年の前走上がり順位別成績
前走上がり順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3F 1位 | 5- 5- 4-22/36 | 13.9% | 27.8% | 38.9% | 48 | 77 |
3F 2位 | 2- 1- 3-18/24 | 8.3% | 12.5% | 25.0% | 25 | 57 |
3F 3位 | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0 | 94 |
3F 〜5位 | 0- 0- 0-18/18 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
3F 6位以下 | 0- 0- 0-13/13 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表5は前走上がり順位別成績。前走上がり最速だった馬が昨年のダノンザキッドら最多の5勝をあげ、複勝率38.9%と優秀だ。一昨年・昨年と近2年は上位3着以内を独占している。前走上がり2位の馬は18年サートゥルナーリアら2勝。勝ち馬7頭を含む好走馬の大半は前走で上がり2位以内の脚を使っていた。
前走上がり3位からは14年2着コメートのみ。前走上がり4位以下からは3着以内馬が出ていない。
■表6 ホープフルS近7年ディープインパクト産駒の前走距離別成績
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1600m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1800m | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 28 | 15 |
2000m | 2- 0- 1- 3/ 6 | 33.3% | 33.3% | 50.0% | 198 | 113 |
表6は近7年で出走数最多のディープインパクト産駒における前走距離別成績。黄色で強調したように前走2000m組が14年シャイニングレイ、15年ハートレーと2勝をあげ、複勝率50%と高い。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。
前走1800m以下は19年に優勝したコントレイルしか好走馬が出ていない。コントレイルは翌年に三冠制覇したほどで実力が抜けていたが、後に重賞馬となるヴァンドギャルド6着(前走東京スポーツ杯2歳S3着)、サングレーザー5着(前走デイリー杯2歳S3着)など苦戦している馬が多い。
<結論>
■表7 今年のホープフルS出走馬
枠番 | 馬番 | 馬名 | 前走成績 |
1 | 1 | シェルビーズアイ | 新馬(芝2000m)1着 |
2 | 2 | アケルナルスター | 未勝利(芝2000m)1着 |
3 | ラーグルフ | 芙蓉S 1着 | |
3 | 4 | グランドライン | 葉牡丹賞 3着 |
5 | キラーアビリティ | 萩S 2着 | |
4 | 6 | コマンドライン | サウジアラビアRC 1着 |
7 | サトノヘリオス | エリカ賞 1着 | |
5 | 8 | ジャスティンパレス | 黄菊賞 1着 |
9 | ボーンディスウェイ | 葉牡丹賞 1着 | |
6 | 10 | マテンロウレオ | 新馬(芝2000m)1着 |
11 | クラウンドマジック | 萩S 3着 | |
7 | 12 | オニャンコポン | 百日草特別 1着 |
13 | フィデル | 京都2歳S 3着 | |
8 | 14 | タイラーテソーロ | 新馬(芝1800m)1着 |
15 | アスクワイルドモア | 札幌2歳S 2着 |
ホープフルSの出走馬は表7のとおり。
1番人気に支持されるのは前走サウジアラビアRCで重賞を制したコマンドラインだろう。キャリア2戦、前走1番人気で1着のデータは良いものの、サウジアラビアRCは上がり4位。勝ち時計が1分36秒4と遅かった点も気にかかる。ディープインパクト産駒の前走1600m組でもある。1番人気馬が5連勝中のレースだが、今年は付け入る隙がありそうだ。
データから推奨したいのがジャスティンパレス。こちらもディープインパクト産駒だが、前走2000m組。キャリア2戦で前走1番人気1着と強調材料は多い。前2戦のルメール騎手から今回はC.デムーロ騎手に乗り替わりとなるが、C.デムーロ騎手は17年タイムフライヤーでホープフルSの勝利経験がある。初めての関東遠征で輸送さえクリアすれば、好勝負になる可能性は高い。
サトノヘリオスはキャリア3戦が気になるところだが、近2戦はともに2歳コースレコードで連勝。力をつけてきた印象で、坂があるコースも問題ない。重賞初挑戦ながら一気のタイトル獲得も十分にありえる。
穴ならアケルナルスターを推したい。前走東京芝2000mの未勝利戦は道中後方から上がり33秒5の末脚で一気に差し切り勝ち。上がり2位が34秒8で、1秒3上回っている。勝ちタイムの2分2秒0も前週にオニャンコポンが勝った百日草特別よりも0秒7速い優秀なものだった。末脚比べになるレース展開ならば、一発があっておかしくない。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。