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第1556回 秋競馬開幕! 秋華賞トライアル・紫苑S分析
2021/9/6(月)
秋華賞トライアル・紫苑S。オープン特別として行われていた2015年までは本番・秋華賞にほとんどつながらないレースだったが、2016年にG3の重賞に昇格すると状況は一変。以降の5年間で秋華賞優勝馬2頭、2着馬3頭を出す有力なステップレースとなった。今回はその紫苑Sを、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。集計期間は重賞昇格後の5年間とした。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1 | 2-1-1-1/5 | 40.0% | 60.0% | 80.0% | 112% | 106% |
2 | 2-0-0-3/5 | 40.0% | 40.0% | 40.0% | 174% | 60% |
3 | 0-1-1-3/5 | 0.0% | 20.0% | 40.0% | 0% | 88% |
4 | 0-0-1-4/5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 42% |
5 | 1-0-1-3/5 | 20.0% | 20.0% | 40.0% | 192% | 126% |
6 | 0-2-0-3/5 | 0.0% | 40.0% | 40.0% | 0% | 114% |
7 | 0-0-1-4/5 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 62% |
8 | 0-0-0-5/5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
9 | 0-0-0-5/5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
10 | 0-1-0-4/5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 132% |
11〜 | 0-0-0-35/35 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表1は過去5年の人気別成績で、1番人気が【2.1.1.1】。昨年のスカイグルーヴこそ9着に敗退したが、他の4頭は馬券に絡んで複勝率80.0%、単複の回収率も100%超と信頼の置ける成績を残している。また、8番人気以下の好走馬は昨年のパラスアテナ(10番人気2着)の1頭だけ。単勝オッズでは16倍以上の馬が【0.1.0.52】と苦戦しており、7番人気以内・単勝16倍未満を目安としたい。
なお「1番人気の馬券圏外敗退」と「8番人気以下からの好走」が同時に起きた昨年は稍重馬場で、勝ち時計2分2秒1。他の4回は良馬場で、優勝馬の走破タイムは2分を切っていた。
■表2 枠番・馬番別成績
枠番・馬番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1枠 | 0-1-1-7/9 | 0.0% | 11.1% | 22.2% | 0% | 44% |
2枠 | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
3枠 | 0-0-0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
4枠 | 0-1-2-7/10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0% | 79% |
5枠 | 1-1-0-8/10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 96% | 57% |
6枠 | 0-1-0-9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 30% |
7枠 | 1-0-0-12/13 | 7.7% | 7.7% | 7.7% | 32% | 11% |
8枠 | 3-1-2-7/13 | 23.1% | 30.8% | 46.2% | 77% | 110% |
1〜9番 | 0-3-3-39/45 | 0.0% | 6.7% | 13.3% | 0% | 31% |
10〜18番 | 5-2-2-31/40 | 12.5% | 17.5% | 22.5% | 59% | 56% |
枠番別の成績をみると8枠が【3.1.2.7】で複勝率46.2%の好成績。馬番では9番以内【0.3.3.39】複勝率13.3%に対し、10番より外が【5.2.2.31】同22.5%と、中から外よりの枠を引いた馬が優勢だ。秋の中山開幕週、距離損のない内枠が良さそうだとも考えてしまいがちだが、内にこだわると的中から遠ざかりそうな点には注意したい。
■表3 前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
未勝利 | 0-0-0-5/5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
1勝 | 1-1-0-26/28 | 3.6% | 7.1% | 7.1% | 16% | 12% |
2勝 | 1-1-1-7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 25% | 63% |
OPEN | 0-0-0-5/5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
中央G3 | 0-1-0-3/4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 165% |
中央G2 | 1-0-1-7/9 | 11.1% | 11.1% | 22.2% | 46% | 42% |
中央G1 | 2-2-3-15/22 | 9.1% | 18.2% | 31.8% | 57% | 73% |
地方競馬 | 0-0-0-1/1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
※除外・取消を挟む馬を除く
前走クラス別では、中央G1に出走していた馬が複勝率31.8%をマーク。3着以内馬15頭中7頭と半数近くを占めており、まずはこのG1組を中心視したい。また、数は少ないが前走2勝クラス出走馬が勝率、連対率ではG1組を上回り、複勝率もほぼ互角の好結果を出している。
■表4 前走G1からの好走馬
年 | 馬名 | 紫苑S | 前走 | 主な実績 | |||
人気 | 着順 | レース | 人気 | 着順 | |||
2016 | ビッシュ | 1 | 1 | オークス | 5 | 3 | オークス3着 |
フロンテアクイーン | 5 | 3 | 12 | 6 | クイーンC2着 | ||
2018 | マウレア | 1 | 2 | 6 | 5 | チューリップ賞2着 | |
ランドネ | 7 | 3 | 10 | 11 | スイートピーS1着 | ||
2019 | フェアリーポルカ | 6 | 2 | 11 | 16 | 若駒S3着 | |
カレンブーケドール | 1 | 3 | 12 | 2 | スイートピーS1着 | ||
2020 | マルターズディオサ | 5 | 1 | 12 | 10 | チューリップ賞1着 |
前走G1組の好走馬は表4の7頭で、いずれも前走ではオークスに出走していた。その7頭すべてオープンで3着以内の経験があり、フェアリーポルカ以外の6頭にはオープン勝ち、重賞連対、G1で3着以内のいずれかの実績があった。
また、7頭中3頭はオークス5着以内かつ紫苑S1番人気。この「オークス5着以内+紫苑S1番人気」を満たす馬は【1.1.1.0】。「オークス5着以内+紫苑S2番人気以下」だった馬は【0.0.0.2】で、昨年のマジックキャッスルが6番人気4着、そしてウインマイティーが2番人気で6着に敗退した。残る4頭は本競走5〜7番人気。表1にあった5番人気以下の好走馬6頭中4頭はこのオークス組から出ており、いずれもオークス掲示板外から巻き返している。
■表5 前走オークス以外からの好走馬
年 | 馬名 | 紫苑S | 前走 | |||||
人気 | 着順 | レース | 距離 | 人気 | 着順 | タイム差 | ||
2016 | ヴィブロス | 3 | 2 | 500万平場 | 芝20 | 3 | 1 | -0.7秒 |
2019 | パッシングスルー | 2 | 1 | 1勝クラス平場 | 芝20 | 1 | 1 | -0.5秒 |
2017 | ディアドラ | 1 | 1 | HTB賞(1000万) | 芝20 | 2 | 1 | -0.0秒 |
カリビアンゴールド | 6 | 2 | かもめ島(1000万) | 芝18 | 3 | 2 | +0.0秒 | |
ポールヴァンドル | 4 | 3 | 1 | 1 | -0.0秒 | |||
2018 | ノームコア | 2 | 1 | フローラS | 芝20 | 5 | 3 | +0.1秒 |
2020 | パラスアテナ | 10 | 2 | ラジオNIKKEI賞 | 芝18 | 1 | 4 | +0.9秒 |
シーズンズギフト | 3 | 3 | ニュージーランドT | 芝16 | 5 | 2 | +0.1秒 |
■表6 前走着順・タイム差別成績(前走オークス以外)
前走着順 | タイム差 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
1着 | 全 | 2-1-1-23/27 | 7.4% | 11.1% | 14.8% | 25% | 25% |
2着以下 | 0.0〜0.1秒 | 1-1-1-5/8 | 12.5% | 25.0% | 37.5% | 52% | 85% |
0.2秒以上 | 0-1-0-27/28 | 0.0% | 3.6% | 3.6% | 0% | 23% |
前走オークス以外からの好走馬は計8頭。うち6頭はこの紫苑Sで4番人気以内の支持を受けていた。この組の4番人気以内馬は計【3.1.2.7】複勝率46.2%で、前走オークス組の4番人気以内馬【1.1.1.4】同42.9%を上回っている。
前走の着順・タイム差についてみると、前走で2勝クラスを勝ってきた馬は【1.0.1.2】複勝率50.0%。1勝クラス1着なら、2着に0.5秒以上の差をつけていれば【1.1.0.1】同66.7%になる。
前走で敗れていた馬は、1着馬から0.1秒差以内なら複勝率37.5%と優秀だ。しかし0.2秒差以上で敗れた馬は【0.1.0.27】同3.6%止まり。唯一2着に食い込んだ昨年のパラスアテナは、前走・ラジオNIKKEI賞で1番人気に支持されていた。重賞で1番人気に推されるほどの馬でなければ、前走では負けても接戦に持ち込んでいることが好走条件だ。
以上、重賞昇格後の紫苑Sの傾向をまとめてみた。前走オークス組が中心になるレースだが、今回1番人気以外なら5〜7番人気とやや穴っぽい馬が多く好走していることがポイント。オークス以外の組なら、前走時のタイム差もみて取捨を考えたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。