データde出〜た
第1547回 真夏の3歳ダート重賞・レパードSを分析!
2021/8/5(木)
今週末の重賞は新潟でレパードS、函館でエルムSと、ダートのG3が2レース組まれている。昨年の当該週では前者を取り上げているため、今回は3歳限定の後者を過去10年のデータから調べてみたい。近年は波乱の決着が続いているが、今年はどんな結末が待っているのか。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 牡牝・所属別成績
項目 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 | |
性別 | 牡馬 | 10- 9- 8-106/133 | 7.5% | 14.3% | 20.3% | 107% | 74% |
牝馬 | 0- 1- 2-12/15 | 0.0% | 6.7% | 20.0% | 0% | 164% | |
所属 | 関東 | 5- 2- 5-49/61 | 8.2% | 11.5% | 19.7% | 194% | 84% |
関西 | 5- 8- 5-67/85 | 5.9% | 15.3% | 21.2% | 28% | 84% |
表1は、牡牝別成績と東西の所属別成績をまとめたもの。過去10年はすべて牡馬が勝っているが、複勝率では牝馬も負けていない。東西別では関東馬・関西馬ともに5勝と分け合うかたち。それ以上に着目したいのが単勝回収率で、関東馬の単勝回収率194%に対して関西馬は同28%と大きな差がついている。この東西の人気傾向の違いには注意したいところだ。
■表2 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1番人気 | 4- 2- 2- 2/ 10 | 40.0% | 60.0% | 80.0% | 120% | 111% |
2番人気 | 2- 2- 1- 5/ 10 | 20.0% | 40.0% | 50.0% | 73% | 77% |
3番人気 | 0- 2- 0- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 40% |
4番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 18% |
5番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% | 107% | 74% |
6番人気 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0% | 36% |
7番人気 | 1- 1- 0- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% | 20.0% | 223% | 108% |
8番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
9番人気 | 0- 0- 2- 8/ 10 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0% | 116% |
10番人気〜 | 2- 2- 3- 51/ 58 | 3.4% | 6.9% | 12.1% | 155% | 113% |
表2は人気別成績。1番人気は4勝、複勝率80.0%という優秀な成績を収めている。ただし、その内訳を確認すると勝ち馬を出したのは15年までに限られ、16年以降は【0.2.1.2】。近年波乱が続いているのも、この1番人気の成績と関係していそうだ。次いで2番人気は水準レベルの成績と言えるが、3〜6番人気は総じて低調。むしろ7番人気や9番人気、さらには10番人気以下の回収率が高く、穴を狙うのであれば思い切った判断も必要になるかもしれない。
■表3 枠番別成績
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1枠 | 1- 0- 1- 8/10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% | 223% | 91% |
2枠 | 1- 0- 2-16/19 | 5.3% | 5.3% | 15.8% | 348% | 65% |
3枠 | 1- 1- 2-15/19 | 5.3% | 10.5% | 21.1% | 17% | 51% |
4枠 | 3- 3- 0-14/20 | 15.0% | 30.0% | 30.0% | 188% | 81% |
5枠 | 2- 2- 1-15/20 | 10.0% | 20.0% | 25.0% | 26% | 137% |
6枠 | 0- 1- 3-16/20 | 0.0% | 5.0% | 20.0% | 0% | 120% |
7枠 | 2- 1- 1-16/20 | 10.0% | 15.0% | 20.0% | 39% | 74% |
8枠 | 0- 2- 0-18/20 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 48% |
表3は枠番別成績。好走率は比較的なだらかな差にとどまるが、強いて言えば真ん中あたりの4枠や5枠の数値が高めで、外の8枠は少し落ちる。より興味深いのは回収率で、内寄りの1、2、4枠は単勝回収率、外寄りの6、7枠は複勝回収率がそれぞれ高い。つまり、穴馬が勝ち切る枠と、2、3着に突っ込んでくる枠が別になっている点に注目したい。
■表4 キャリア別成績
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
2戦 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 530% |
3戦 | 0- 0- 0- 8/ 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
4戦 | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 0% | 40% |
5戦 | 0- 3- 1- 15/ 19 | 0.0% | 15.8% | 21.1% | 0% | 122% |
6戦 | 4- 2- 2- 15/ 23 | 17.4% | 26.1% | 34.8% | 169% | 116% |
7戦 | 1- 1- 1- 16/ 19 | 5.3% | 10.5% | 15.8% | 13% | 35% |
8戦 | 3- 2- 1- 16/ 22 | 13.6% | 22.7% | 27.3% | 431% | 112% |
9戦 | 1- 0- 2- 12/ 15 | 6.7% | 6.7% | 20.0% | 19% | 98% |
10戦 | 1- 0- 2- 11/ 14 | 7.1% | 7.1% | 21.4% | 23% | 127% |
11戦〜 | 0- 1- 0- 18/ 19 | 0.0% | 5.3% | 5.3% | 0% | 5% |
表4はキャリア別成績。キャリア5〜10戦に収まっていれば無難で、そのなかではキャリア6戦や8戦の成績が優秀。一方、キャリア4戦以下は合算して【0.1.1.15】、キャリア11戦以上も19走で2着1回だけと振るわない。このデータを見る限り、多くも少なくもない、ほどほどのキャリアを積んだ馬がレパードSでは結果を残しやすいようだ。
■表5 前走着順別成績
前走着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1着 | 1- 5- 4- 46/ 56 | 1.8% | 10.7% | 17.9% | 5% | 93% |
2着 | 2- 2- 0- 9/ 13 | 15.4% | 30.8% | 30.8% | 41% | 40% |
3着 | 2- 0- 1- 9/ 12 | 16.7% | 16.7% | 25.0% | 208% | 68% |
4着 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0% | 116% |
5着 | 1- 1- 2- 8/ 12 | 8.3% | 16.7% | 33.3% | 38% | 125% |
6〜9着 | 3- 1- 1- 17/ 22 | 13.6% | 18.2% | 22.7% | 459% | 126% |
10着〜 | 1- 0- 0- 21/ 22 | 4.5% | 4.5% | 4.5% | 15% | 9% |
表5は前走着順別成績。なお、のちの表6、表9を含め、前走予定のベルモントSを取り消した直後に出走したエピカリス(17年3着)は集計対象から省くこととする。
前走1着馬が4割弱にあたる56頭を占め、1〜3着に入った例も計10頭と最大勢力となっているが、その好走率は決して高いとは言えない。勝ち切ったのは13年のインカンテーションだけで、単勝回収率は5%にとどまる。また、前走10着以下から巻き返したのは14年のアジアエクスプレスだけで、残る21頭は馬券圏外に終わっている。この表を見る限り、狙いやすいのは前走2〜9着馬ということになるだろうか。
■表6 前走クラス別成績
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 | |
クラス | 着順 | ||||||
1勝 | 1着 | 0- 2- 0-24/26 | 0.0% | 7.7% | 7.7% | 0% | 67% |
2〜9着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | |
2勝 | 1着 | 1- 3- 2-16/22 | 4.5% | 18.2% | 27.3% | 15% | 49% |
2〜9着 | 0- 1- 0-21/22 | 0.0% | 4.5% | 4.5% | 0% | 36% | |
3勝 | 1着 | (出走例なし) | |||||
2〜9着 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 300% | |
オープン特別 | 1着 | (出走例なし) | |||||
2〜9着 | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 600% | 202% | |
リステッド | 1着 | (出走例なし) | |||||
2〜9着 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | |
G3 | 1着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
2〜9着 | 3- 0- 0-12/15 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 238% | 72% | |
G2 | 1着 | (出走例なし) | |||||
2〜9着 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | |
地方 | 1着 | 0- 0- 2- 5/ 7 | 0.0% | 0.0% | 28.6% | 0% | 342% |
2〜9着 | 4- 3- 4-11/22 | 18.2% | 31.8% | 50.0% | 346% | 159% |
表6は前走クラス別成績を「前走1着」と「前走2〜9着」に分けて示したもので、上から順に見ていこう。前走1勝クラスは1着だった馬でも苦戦。前走2勝クラスは1勝だった馬ならチャンスあり。前走G3に該当する馬はすべてユニコーンSを走っており、「前走2〜9着」馬は勝ち馬を3頭送り出した反面、あとの12頭は着外という極端な傾向が見られる。そして注目は、前走で地方戦に出走していた馬だ。前走地方1着からレパードSで3着に入ったのは11番人気、12番人気という穴馬2頭で複勝回収率342%を記録。この2頭の前走は地方交流重賞ではなかったため、盲点になっていた可能性がある。さらに注目すべきは地方戦で2〜9着だった馬で、このケースで好走した11頭中10頭はジャパンダートダービーを走っていた。好走率、回収率ともに抜群の数字が残っており、注目のローテーションと言える。
■表7 前走ジャパンダートダービー出走馬の各種データ
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 | |
着順 | 1〜9着 | 4- 3- 3- 9/19 | 21.1% | 36.8% | 52.6% | 401% | 165% |
10着〜 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | |
4角 | 1〜6番手 | 4- 3- 3- 5/15 | 26.7% | 46.7% | 66.7% | 508% | 209% |
7番手〜 | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
前項でも触れた、前走ジャパンダートダービー(JDD)出走馬に関するデータを補足したのが表7。着順別成績はおさらいとなるが、9着までならチャンス十分。そして、さらに高い関連性が見られるデータとして紹介したいのが4角通過順で、JDDで4角を1〜6番手で回っていた馬はかなり期待できる。
■表8 前走ユニコーンS出走のレパードS1〜3着馬
年 | 人気 | 着順 | 馬名 | 前走 | 2走前 | ||||||
人気 | 着順 | レース | 距離 | 人気 | 着順 | ||||||
14年 | 1 | 1 | アジアエクスプレス | 1 | 12 | 皐月賞・G1 | 中山芝2000m | 5 | 6 | ||
16年 | 2 | 1 | グレンツェント | 3 | 3 | 青竜S | 東京ダ1600m | 2 | 1 | ||
18年 | 5 | 1 | グリム | 2 | 9 | 青竜S | 東京ダ1600m | 5 | 1 | ||
20年 | 7 | 1 | ケンシンコウ | 11 | 3 | 1勝クラス | 東京ダ1600m | 7 | 1 |
表8は、前走ユニコーンS出走のレパードS1〜3着馬をまとめたもので、前走(ユニコーンS)と2走前の結果を掲載している。この4頭に共通するのが、前走のユニコーンSで「1〜3番人気」か「3着に入る」のどちらかひとつは満たしていたこと。また2走前は、芝の皐月賞に出走したアジアエクスプレスを除く3頭はいずれも勝利を挙げていた。ユニコーンS組はこのあたりに注目してみたい。
■表9 距離延長・同距離・短縮別成績
距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
延長 | 5- 1- 5- 55/ 66 | 7.8% | 9.4% | 17.2% | 98% | 91% |
同距離 | 1- 6- 0- 32/ 39 | 2.8% | 16.7% | 16.7% | 9% | 74% |
短縮 | 4- 3- 4- 31/ 42 | 9.5% | 16.7% | 26.2% | 181% | 83% |
表9は、前走との距離比較を示したデータ(前走地方を含む)。距離延長馬が5勝、短縮馬が4勝を挙げているのに対し、レパードSと同距離(1800m)を走っていた馬が1勝にとどまるのは興味深い。同距離でも2着は6回あり、致命傷とはならないが、詰めが甘い傾向は気になるところだ。
【結論】
今年のレパードSにはフルゲート15頭に対して22頭がエントリー。この22頭のうち収得賞金1500万円の4頭は出走可能で、収得賞金900万円の18頭は抽選対象となっている。
好走率が非常に高いJDD組は、今年はロードシュトロームのみ。JDDは6着、4角通過順は2番手で、レパードSの好走条件をクリアしている。キャリアは10戦とやや多いものの、ここまでは許容範囲。収得賞金900万円で抽選対象だが、出走が叶えば軽視はできないだろう。
過去10年で勝ち馬4頭を出したユニコーンS組も、今年はクリーンスレイトのみ。前走は4番人気5着という結果で、ユニコーンS組の好走条件である「1〜3番人気」か「3着に入る」は惜しくも満たせなかった。ただ、2走前に東京ダート1600mで1着という戦績は、2走前が芝だったアジアエクスプレスを除くユニコーンS組の勝ち馬3頭と同じで、こちらも抽選を通れば侮れない存在と言える。
収得賞金1500万円の4頭は、いずれも前走でダート1700mの2勝クラスを勝っての臨戦となる。この4頭のなかでは、ダートに転じて3連勝中で、レパードSで好成績のキャリア6戦に合致するルコルセールには特に注目してみたい。そのほか、前走レコード勝ちのホッコーハナミチ、7馬身差快勝のメイショウムラクモも相当な実力馬。4戦3勝のハンディーズピークもかなりの将来性を感じさせるが、キャリア4戦だと経験不足の懸念はある。
そのほか、前走1勝クラスで1着だった馬が12頭、前走2勝クラスで2〜9着だった馬が4頭おり、いずれも収得賞金900万円で抽選対象となっているが、表6のデータを見る限り、どちらのパターンも複勝率が10%に満たず、苦戦の傾向が見られる。そのなかで名前を挙げるとすれば、キャリア8戦かつ距離短縮という好走条件に当てはまるノースザワールドとなるか。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。