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第1510回 存在感を増すキズナ産駒の特徴を探る!

2021/3/29(月)

阪神大賞典でディープボンドが勝利し、重賞9勝目となったキズナ産駒。2019年に初年度産駒がデビューするとビアンフェが函館2歳Sを制し、2020年は重賞を6勝。今年もディープボンドの他にファインルージュがフェアリーSを勝利するなど年々存在感を増している。今回はキズナ産駒に注目し、2019年以降のデータからその特徴を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 キズナ産駒の重賞勝利一覧(2021/3/21終了時点)

施行年 レース名 馬名 性齢 人気
2021 阪神大賞典 ディープボンド 牡4 3
フェアリーS ファインルージュ 牝3 3
2020 紫苑S マルターズディオサ 牝3 5
葵S ビアンフェ 牡3 1
京都新聞杯 ディープボンド 牡3 4
フラワーC アブレイズ 牝3 12
チューリップ賞 マルターズディオサ 牝3 4
京成杯 クリスタルブラック 牡3 7
2019 函館2歳S ビアンフェ 牡2 4

2021/3/21 阪神11R 阪神大賞典(G2) 1着 6番 ディープボンド

まず表1はキズナ産駒の重賞勝利一覧。初年度産駒がデビューした2019年にビアンフェが函館2歳Sを勝利。同馬は2020年の葵Sも制している。また、マルターズディオサ、ディープボンドも重賞を2勝。ディープボンドは先日の阪神大賞典で、重馬場の中、5馬身差の快勝。産駒が1200mから3000mまで幅広く重賞を勝利しているのが大きな特徴だ。G1では一昨年の阪神JFにおけるマルターズディオサの2着が最高成績だが、近いうちにG1馬が出てくるだろう。

また、今年4歳になるビアンフェはオーシャンSで3着、マルターズディオサも阪神カップで2着と好走。単なる早熟馬ではなく、3歳秋以降の戦いでも活躍を続けているのも特徴として挙げられる。また人気面でも、昨年の葵Sにおけるビアンフェのみ1番人気で、他は3番人気以下での勝利だった。ディープインパクト産駒やロードカナロア産駒のように血統から人気になりやすいという傾向は見られず、重賞での単勝回収率は179%と高い

■表2 キズナ産駒のダート距離別成績(2021/3/21終了時点)

距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1000m 3-  0-  2- 16/ 21 14.3% 14.3% 23.8% 100 49
1150m 0-  0-  0-  3/  3 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
1200m 4-  6-  3- 66/ 79 5.1% 12.7% 16.5% 46 47
1300m 0-  0-  1-  4/  5 0.0% 0.0% 20.0% 0 48
1400m 9-  4-  2- 72/ 87 10.3% 14.9% 17.2% 104 54
1600m 5-  3-  2- 30/ 40 12.5% 20.0% 25.0% 69 62
1700m 6-  3-  6- 45/ 60 10.0% 15.0% 25.0% 68 66
1800m 31- 36- 22-164/253 12.3% 26.5% 35.2% 185 112
1900m 2-  3-  3- 15/ 23 8.7% 21.7% 34.8% 12 62
2000m 1-  1-  1-  5/  8 12.5% 25.0% 37.5% 21 45
2100m 2-  2-  2-  7/ 13 15.4% 30.8% 46.2% 203 131
2400m 2-  0-  3-  5/ 10 20.0% 20.0% 50.0% 45 210

ここからはキズナ産駒の特徴を具体的に芝とダートに分けて分析する。表2はダート戦における距離別成績。黄色で強調したようにダート1800m以上の各距離の連対率・複勝率が高い。出走数最多の1800mでは単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。また、2100m以上の複勝率は非常に高く、今後は要チェックだ。「キズナ産駒のダート戦は1800m以上に注目、2100m以上は要注意」としておきたい。

一方で1200m・1400mでは複勝率が低く、1800m以上とは2倍以上の差が開いている。

■表3 キズナ産駒のダート戦馬体重別成績(2021/3/21終了時点)

馬体重 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
399kg以下 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
400〜419kg 0-  0-  0- 11/ 11 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
420〜439kg 5-  3-  0- 54/ 62 8.1% 12.9% 12.9% 173 58
440〜459kg 9- 10-  8- 90/117 7.7% 16.2% 23.1% 32 55
460〜479kg 16- 19- 10-122/167 9.6% 21.0% 26.9% 216 109
480〜499kg 11- 11-  7- 77/106 10.4% 20.8% 27.4% 72 64
500〜519kg 12- 11- 15- 46/ 84 14.3% 27.4% 45.2% 95 111
520〜539kg 7-  1-  5- 22/ 35 20.0% 22.9% 37.1% 128 102
540kg以上 5-  3-  2-  9/ 19 26.3% 42.1% 52.6% 76 110

もうひとつキズナ産駒のダート戦における特徴を示したのが表3。馬体重500キロ以上の大型馬が好成績をあげている。勝率・連対率・複勝率いずれも高く、複勝回収率で100%を超えている。特に540キロ以上の超大型馬は連対率42.1%・複勝率52.6%と非常に高い。

表2と組み合わせて、「馬体重500キロ以上でダート2100m以上」の条件だと【3.0.4.4】で、複勝率63.6%。今年に関しては【3.0.4.1】で馬券圏外の1回も4着と非常に安定して走れており、この条件はぜひおさえておきたい。

■表4 キズナ産駒の前走からの距離増減別成績(芝レースのみ・2021/3/21終了時点)

前走距離 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
同距離 43- 32- 28-244/347 12.4% 21.6% 29.7% 92 73
今回延長 29- 20- 19-208/276 10.5% 17.8% 24.6% 162 98
今回短縮 23- 22- 20-143/208 11.1% 21.6% 31.3% 117 99

2020/9/12 中山11R 紫苑ステークス(G3) 1着 10番 マルターズディオサ

ここからはキズナ産駒の芝レースにおける特徴をあげていく。表4は芝での距離増減別成績。黄色で強調した距離短縮馬が複勝率31.3%と最も高い。なかでも牝馬はのべ【16.14.10.74】で連対率26.3%・複勝率35.1%と優秀、複勝回収率も135%と非常に高い。昨秋の紫苑Sを勝利したマルターズディオサも前走オークスからの距離短縮だった。

前走と同距離組は連対率で距離短縮馬と並んでおり、距離延長馬は勝率・連対率・複勝率ともに最も低い。ただし、ディープボンドのように距離延長で重賞を2勝したタイプもいるので、個々の好走パターンを探ることも重要だ。

■表5 キズナ産駒の前走着順別成績(芝レースのみ・2021/3/21終了時点)

前走着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
前走1着 16- 13-  9- 73/111 14.4% 26.1% 34.2% 152 95
前走2着 30-  5- 13- 41/ 89 33.7% 39.3% 53.9% 132 87
前走3着 9- 15-  9- 41/ 74 12.2% 32.4% 44.6% 41 84
前走4着 10-  9- 13- 57/ 89 11.2% 21.3% 36.0% 61 76
前走5着 4-  9-  8- 56/ 77 5.2% 16.9% 27.3% 56 72
前走6〜9着 14- 14- 11-159/198 7.1% 14.1% 19.7% 117 87
前走10着以下 12-  9-  4-163/188 6.4% 11.2% 13.3% 195 100

表5はキズナ産駒の芝レースにおける前走着順別成績。前走2着馬の勝利数が30勝と多く、勝率も33.7%と抜けて高い。前走1着馬とともに単勝回収率は100%を超えている

また、黄色で強調した前走10着以下の勝率が他の種牡馬に比べて高いことが特徴だ。他の上位種牡馬の前走10着以下における勝率(芝・20年〜今年3/21終了時点)をあげると、ディープインパクト産駒5.5%、ロードカナロア産駒6.0%、ハーツクライ産駒2.2%、ルーラーシップ産駒1.4%などとなっている。ディープボンドも皐月賞10着から京都新聞杯、中山金杯14着から阪神大賞典をそれぞれ勝利しており、大敗後でも一変しやすいのがキズナ産駒の特徴だ。

■表6 キズナ産駒の芝レース馬場状態別成績(2021/3/21終了時点)

馬場状態 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
芝・ 良 76-  70-  55- 527/ 728 10.4% 20.1% 27.6% 117 95
芝・稍重 19-  20-  16- 146/ 201 9.5% 19.4% 27.4% 101 79
芝・ 重 11-   6-   7-  55/  79 13.9% 21.5% 30.4% 59 67
芝・不良 8-   3-   5-  33/  49 16.3% 22.4% 32.7% 343 155

最後に表6はキズナ産駒の芝レース馬場状態別成績。出走数こそ少ないものの、不良馬場が勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を大きく超えている。重馬場でも複勝率30%以上と優秀だ。稍重だと良に比べて率は下がるものの、重・不良馬場まで悪化するとキズナ産駒のパワーがより発揮されるのだろう。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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