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第1508回 荒れるハンデ重賞、マーチSの傾向は?

2021/3/22(月)

2012年に3連単232万馬券、一昨年には124万馬券が飛び出したマーチS。その他の年も荒れ模様で、3連単の発売があった過去16回はすべて2万馬券以上。そのうち14回は5万馬券以上と、穴党ファンにとっては見逃せない一戦だ。そんなマーチSの傾向を、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。集計期間は表1〜3が過去10年、表4〜7は4月・阪神開催だった2011年を除く過去9年とした。

■表1 人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 27% 43%
2 2-2-1-5/10 20.0% 40.0% 50.0% 102% 94%
3 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 83% 49%
4 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 26%
5 0-2-1-7/10 0.0% 20.0% 30.0% 0% 89%
6 2-1-1-6/10 20.0% 30.0% 40.0% 260% 154%
7 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 120% 93%
8 2-0-1-7/10 20.0% 20.0% 30.0% 353% 157%
9 0-1-0-9/10 0.0% 10.0% 10.0% 0% 63%
10 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 254% 155%
11〜 0-2-2-55/59 0.0% 3.4% 6.8% 0% 105%
1〜5 4-6-4-36/50 8.0% 20.0% 28.0% 42% 60%
6〜 6-4-6-93/109 5.5% 9.2% 14.7% 90% 114%

2019/3/24 中山11R マーチステークス(G3) 1着10番 サトノティターン(8番人気)

人気別では勝率、連対率、複勝率いずれも2番人気がトップ(勝率はタイ)だが、他の上位人気はいまひとつ。6番人気以下が計【6.4.6.93】で、単勝回収率90%、複勝回収率114%を記録している。複勝率は1〜5番人気28.0%、6番人気以下14.7%と差がついているものの、配当妙味も考えれば穴馬を積極的に狙っていきたいレースだ。

■表2 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以下
4歳 1-2-2-27/32 3.1% 9.4% 15.6% 25% 34% 0-0-0-10
5歳 4-1-4-25/34 11.8% 14.7% 26.5% 119% 120% 3-0-4-16
6歳 4-6-1-35/46 8.7% 21.7% 23.9% 98% 92% 2-3-0-28
7歳 1-1-2-23/27 3.7% 7.4% 14.8% 94% 178% 1-1-1-20
8歳 0-0-1-10/11 0.0% 0.0% 9.1% 0% 110% 0-0-1-10
9歳以上 0-0-0-9/9 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-9

年齢別の成績は、5歳馬と6歳馬が4勝ずつ。4歳馬は複勝率15.6%と不振で、特に6番人気以下だった馬はすべて馬券圏外に敗退している。また、7歳以上の馬は馬券に絡んだ5頭中4頭が2桁人気馬。好走確率こそ低いが、一発大穴を狙うならベテラン馬への注目は欠かせない。

■表3 ハンデ別成績

ハンデ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以下
〜53kg 0-0-0-11/11 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-11
54kg 1-0-1-19/21 4.8% 4.8% 9.5% 97% 56% 1-0-1-16
55kg 2-4-3-23/32 6.3% 18.8% 28.1% 85% 201% 2-2-1-17
56kg 2-2-2-29/35 5.7% 11.4% 17.1% 62% 91% 1-0-2-22
56.5kg 0-0-1-4/5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 34% 0-0-0-0
57kg 2-1-1-22/26 7.7% 11.5% 15.4% 33% 25% 0-0-0-12
57.5kg 1-2-1-13/17 5.9% 17.6% 23.5% 149% 140% 1-1-1-10
58kg 2-1-1-6/10 20.0% 30.0% 40.0% 161% 139% 1-1-1-3
58.5kg 0-0-0-2/2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-2

ハンデ別では57.5キロや58キロ、55キロが好成績。荒れるレースというと軽ハンデ馬に目が行きがちだが、このマーチSでは53キロ以下の馬はすべて6番人気以下で【0.0.0.11】と好走がないのに対し、57.5〜58キロの馬は3着以内馬8頭中6頭が6番人気以下だった。

■表4 前走クラス別成績(過去9年、前走平地のみ)

前走クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 6番人気以下
3勝 1-0-2-15/18 5.6% 5.6% 16.7% 82% 90% 1-0-1-7
OPEN 4-7-4-55/70 5.7% 15.7% 21.4% 47% 54% 1-1-1-43
中央G3 1-1-0-12/14 7.1% 14.3% 14.3% 89% 254% 1-1-0-10
中央G2 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-0-6
中央G1 2-0-1-8/11 18.2% 18.2% 27.3% 306% 133% 1-0-1-4
地方 1-0-2-18/21 4.8% 4.8% 14.3% 64% 119% 1-0-2-14
海外 0-1-0-0/1 0.0% 100.0% 100.0% 0% 1070% 0-1-0-0

ここからは前走に関するデータをみていくが、過去10年のうち4月に阪神で行われた2011年を除く9回を対象とする。その9回の前走クラス別では、オープン特別組が【4.7.4.55】と3着以内馬27頭中15頭を占めている。ただ、6番人気以下の好走馬は3頭しかおらず、単複の回収率は50%前後と低い。

■表5 前走オープン特別からの好走馬(過去9年)

馬名 ハンデ 人気 着順 前走 距離 人気 着順
2013 グランドシチー 58 2 1 仁川S ダ20 1 3
バーディバーディ 58 6 2 仁川S ダ20 5 4
2014 ジェベルムーサ 57 2 2 フェアウェルS ダ18 2 1
ドコフクカゼ 55 5 3 仁川S ダ20 3 2
2015 イッシンドウタイ 56 5 2 総武S ダ18 3 5
マスクトヒーロー 57 1 3 師走SH ダ18 1 1
2016 ショウナンアポロン 54 8 1 総武S ダ18 11 6
バスタータイプ 56 1 2 総武S ダ18 1 1
ドコフクカゼ 56.5 2 3 仁川S ダ20 2 2
2017 ディアデルレイ 55 2 2 総武S ダ18 6 5
2018 センチュリオン 57 2 1 総武S ダ18 1 1
クインズサターン 55 5 2 総武S ダ18 3 3
2020 スワーヴアラミス 57 1 1 アルデバランS ダ19 2 2
クリンチャー 57.5 4 2 仁川S ダ20 3 2
レピアーウィット 55 8 3 ポルックスS ダ18 4 14

2020/3/31 中山11R マーチステークス(G3) 1着12番 スワーヴアラミス(1番人気)

オープン特別組の好走馬をみると、15頭中13頭は前走5着以内、同10頭は前走3着以内だった。この組の前走3着以内馬は【3.4.3.14】複勝率41.7%、前走4〜5着馬は【0.3.0.8】同27.3%、そして前走6着以下だった馬は【1.0.1.33】同5.7%。前走で好走し、このマーチSで上位人気の支持を受けた馬が多く馬券に絡んでいるのがオープン特別組だ。

■表6 前走重賞からの好走馬(過去9年、地方競馬・海外含む)

馬名 ハンデ 人気 着順 前走 人気 着順
2012 サイレントメロディ 55 6 1 平安S 12 6
メイショウタメトモ 55 16 2 みやこS 10 12
バーディバーディ 58 7 3 JCダート 12 10
2014 ソロル 56 3 1 フェブラリーS 10 12
2015 マイネルクロップ 56 6 1 佐賀記念 1 1
2017 インカンテーション 57.5 10 1 フェブラリーS 15 13
2018 ロワジャルダン 56 10 3 報知GPC(船橋) 2 2
2019 ロンドンタウン 57.5 11 2 コリアC(韓国) 1
リーゼントロック 56 12 3 佐賀記念 5 2

前走重賞(地方競馬の非ダートグレード競走や、海外を含む)からの好走馬は9頭中8頭が6番人気以下で、大きく2パターンに分けられる。
ひとつは地方競馬や海外のレースで連対してきたものの、ここでは人気がなかった馬。地方・海外組の前走1、2着馬は【1.1.2.5】で複勝率44.4%を記録しているのに対し、3着以下だった馬は【0.0.0.13】。一昨年にはテーオーエナジー(前走佐賀記念3着)が1番人気の支持を受けながら10着に敗退した。
もうひとつは中央競馬の重賞に出走し、6着以下に敗れていた馬の巻き返しだ。このJRA重賞組は前走9着以内【1.0.0.12】複勝率7.7%、10着以下【2.1.1.15】同21.1%と、特に2桁着順の大敗を喫していた馬の好走確率が高い

■表7 前走3勝クラスからの好走馬(過去9年)

馬名 ハンデ 人気 着順 前走 距離 人気 着順 上がり3F順位
2013 フレイムオブピース 55 3 3 伊丹S ダ18 2 1 1位
2017 アルタイル 54 11 3 白嶺S ダ16 4 1 2位
2019 サトノティターン 55 8 1 金蹄S ダ21 2 1 1位

最後に表7は、前走3勝クラス(旧1600万条件)組の好走馬3頭。この3頭は前走でメンバー中最速、または2位の上がり3ハロンタイムを記録して勝ち上がってきた馬だった。「前走1着」は3勝クラス組の出走馬全18頭に当てはまるが、前走上がりは1、2位馬【1.0.2.9】複勝率25.0%、3位以下【0.0.0.6】となる。

以上、マーチSの傾向をまとめてみた。ハンデ重賞における波乱の立役者というと「前走で重賞以外に出走していた軽ハンデ馬」あたりを想像してしまうが、このレースではまずそういった先入観を捨てることがポイント。53キロ以下の軽ハンデ馬は好走なし、前走オープン特別組は人気馬中心、穴馬の好走が多いのは重賞組、といったあたりをしっかり押さえて予想にあたりたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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