データde出〜た
第1505回 今年も難解で激戦必至!? フィリーズレビューを占う!
2021/3/11(木)
今週は平地重賞が3つと障害の重賞が1つ組まれている。今回は日曜日に阪神競馬場で行われる桜花賞トライアルのフィリーズレビューを分析していくことにする。2019年は12番人気ノーワンと3番人気プールヴィルによる1着同着という結果となり、20年は5番人気エーポスが勝利するなど、例年予想が難しく、波乱傾向が強いレースだ。今年はフルゲート18頭を超える出走登録数があり、なおかつ実力も伯仲したメンバー構成という印象だ。桜花賞への優先出走権をかけた激しいレースになることだろう。いつものように過去10年のレース結果を分析し、今年のレースを展望していくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年のフィリーズレビュー上位馬
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 前走レース名 | 馬場 | 前距離 | 前着 | 前人 | 前2角 | 前3角 | 前4角 | 前走上り3F |
20年 | 1 | エーポス | 5 | エルフィ(L) | 芝 | 1600 | 4 | 8 | 2 | 2 | 36.1 | |
2 | ヤマカツマーメイド | 2 | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 5 | 7 | 8 | 8 | 35.9 | ||
3 | ナイントゥファイブ | 12 | 千両賞・1勝 | 芝 | 1600 | 4 | 5 | 3 | 4 | 34.5 | ||
19年 | 1 | ノーワン | 12 | 未勝利・牝 | 芝 | 1600 | 1 | 4 | 6 | 3 | 34.3 | |
1 | プールヴィル | 3 | 紅梅S(L) | 芝 | 1400 | 2 | 1 | 7 | 7 | 35.1 | ||
3 | ジュランビル | 6 | 万両賞500 | 芝 | 1400 | 1 | 2 | 2 | 2 | 34.6 | ||
18年 | 1 | リバティハイツ | 8 | 500万下・牝 | 芝 | 1400 | 2 | 1 | 9 | 8 | 34.6 | |
2 | アンコールプリュ | 2 | つわぶき500 | 芝 | 1400 | 1 | 3 | 13 | 11 | 33.5 | ||
3 | デルニエオール | 5 | 500万下・牝 | 芝 | 1400 | 1 | 5 | 6 | 6 | 34.7 | ||
17年 | 1 | カラクレナイ | 2 | 万両賞500 | 芝 | 1400 | 1 | 1 | 8 | 7 | 35.6 | |
2 | レーヌミノル | 1 | クイーンG3 | 芝 | 1600 | 4 | 3 | 1 | 1 | 34.6 | ||
3 | ゴールドケープ | 6 | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 6 | 14 | 3 | 2 | 35.9 | ||
16年 | 1 | ソルヴェイグ | 8 | 500万下・牝 | 芝 | 1400 | 5 | 1 | 4 | 4 | 36.4 | |
2 | アットザシーサイド | 1 | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 5 | 4 | 12 | 12 | 35.3 | ||
3 | キャンディバローズ | 2 | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 9 | 5 | 4 | 3 | 36.6 | ||
15年 | 1 | クイーンズリング | 1 | 菜の花賞500 | 芝 | 1600 | 1 | 2 | 8 | 5 | 5 | 34.6 |
2 | ペルフィカ | 7 | こぶし賞500 | 芝 | 1600 | 1 | 2 | 7 | 6 | 34.5 | ||
3 | ムーンエクスプレス | 2 | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 4 | 12 | 3 | 4 | 35.0 | ||
14年 | 1 | ベルカント | 2 | フューチG1 | 芝 | 1600 | 10 | 3 | 1 | 1 | 1 | 36.8 |
2 | ニホンピロアンバー | 13 | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 17 | 14 | 1 | 1 | 38.7 | ||
3 | エスメラルディーナ | 6 | ジュニア | 芝 | 1600 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 34.8 | |
13年 | 1 | メイショウマンボ | 3 | こぶし賞500 | 芝 | 1600 | 1 | 2 | 6 | 7 | 34.3 | |
2 | ナンシーシャイン | 4 | 春菜賞500 | 芝 | 1400 | 1 | 5 | 1 | 1 | 33.7 | ||
3 | ティズトレメンダス | 11 | はこべら500 | ダ | 1400 | 1 | 3 | 2 | 2 | 38.7 | ||
12年 | 1 | アイムユアーズ | 1 | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 2 | 8 | 4 | 4 | 34.9 | |
2 | ビウイッチアス | 8 | クロッカ | 芝 | 1400 | 5 | 4 | 3 | 3 | 34.1 | ||
3 | プレノタート | 7 | クイーンG3 | 芝 | 1600 | 4 | 9 | 9 | 9 | 33.6 | ||
11年 | 1 | フレンチカクタス | 3 | クイーンG3 | 芝 | 1600 | 4 | 3 | 3 | 3 | 35.1 | |
2 | スピードリッパー | 6 | フェアリG3 | 芝 | 1600 | 2 | 7 | 4 | 6 | 2 | 36.6 | |
3 | エーシンハーバー | 5 | 500万下 | 芝 | 1400 | 1 | 1 | 5 | 4 | 35.7 |
表1は過去10年のフィリーズレビューで3着以内に入った馬の一覧。今回は特に前走レースの成績・位置取り・上がり3ハロンに注目した。前走レースはクラスごとに色分けをしている。前走重賞組(橙)、オープン特別(L・非L)組(青)、1勝(500万)クラス組(桃)、新馬・未勝利組とで分けて考えたい。
まず前走重賞組は12頭いて、芝1600mのレースに出走していた。その内7頭は阪神ジュベナイルフィリーズ組だった。2012年1着アイムユアーズは前走同レースで2着に入っており、本競走では1番人気に応えた。やはり2歳G1で好走した実績は評価すべきだろう。15年3着ムーンエクスプレスや16年2着アットザシーサイドも前走阪神ジュベナイルフィリーズで5着以内に入っていた。
一方で、14年2着ニホンピロアンバーは前走阪神ジュベナイルフィリーズで17着と惨敗していた。ただ、同レースでは3コーナーと4コーナーの位置取りが1番手と、逃げて大きく失速したという内容だった。また、14年1着ベルカントは前走朝日杯フューチュリティSに挑戦し、逃げて10着と敗れていた。2歳G1でハナを切れるスピードがあるというのは武器であり、芝1400mのG2では生きる可能性が高まる。
このように前走重賞組は4コーナーで4番手以内に位置するレースをしていた馬が多かった。11年2着スピードリッパーや17年1着レーヌミノルも該当する。まとめると前走芝1600mの重賞で逃げ〜先行の競馬をして、5着以内に入っていた馬には特に注目したい。
続いて前走オープン特別組(L・非L)だが4頭と少ない。前走レースはバラバラだが、最近2年で連対馬が2頭出ている。20年1着エーポスは前走エルフィンSを4コーナー2番手で通過し、4着という結果だった。前走重賞組同様、逃げ〜先行で5着以内に入っていた馬に注目すべきかもしれない。
続いて前走1勝(500万)クラス組をみていく。好走馬は13頭と前走重賞組を上回った。牝馬限定の平場戦を使われていた馬の3頭が最も多いものの、レースの内訳はかなりバラバラで、13年3着のティズトレメンダスはダート1400mのはこべら賞に出走して勝っていた。
ただし、前走距離は1400〜1600mに限られる。前走1200mを使われていた馬が一頭もいない点は、大きな特徴であることを認識しておきたい。
また、前走の上がり3ハロンはメンバー中3位以内に入っていた馬が比較的多い。18年の1〜3着馬はすべて前走1勝クラスに出走し、速い上がりを使って好走していた。15年の1〜2着馬も同様で、前走メンバー中上がり1位をマークして勝っていた。前走重賞・オープン特別組は先行力に注目したが、前走1勝クラス組は末脚が鋭い馬の方がよく馬券に絡んでいる。
最後に前走新馬・未勝利組は1頭(19年1着ノーワン)しかいない。今回は格上挑戦となるので出走例自体が他の組に比べて少ないが、いい結果を残すのは難しいかもしれない。
【結論】
それでは今年のフィリーズレビューを占っていくことにする。出走予定馬は表2の通りだ。
■表2 今年のフィリーズレビュー出走予定馬(フルゲート18頭)
馬名 | 前走レース名 | 馬場 | 前距離 | 前着 | 前人 | 前2角 | 前3角 | 前4角 | 前走上り3F |
アンブレラデート | 1勝クラス | 芝 | 1400 | 2 | 4 | 1 | 1 | 35.1 | |
エイシンヒテン | クイーンG3 | 芝 | 1600 | 4 | 8 | 1 | 1 | 35.1 | |
エイボンクリフ | 1勝クラス | 芝 | 1400 | 9 | 9 | 4 | 6 | 36.2 | |
エコロデイジー | 菜の花賞・1勝 | 芝 | 1600 | 7 | 6 | 1 | 1 | 1 | 35.4 |
エルカスティージョ | 新馬・牝 | 芝 | 1400 | 1 | 2 | 3 | 3 | 34.9 | |
オパールムーン | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 6 | 5 | 15 | 16 | 33.8 | |
クープドクール | 萌黄賞・1勝 | 芝 | 1200 | 1 | 14 | 11 | 9 | 36.0 | |
ゴールドチャリス | 中京2歳 | 芝 | 1200 | 1 | 7 | 6 | 4 | 34.5 | |
シゲルピンクルビー | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 17 | 11 | 5 | 4 | 35.7 | |
スティクス | 未勝利 | 芝 | 1200 | 1 | 4 | 1 | 1 | 33.9 | |
スマイルアモーレ | 春菜賞・1勝 | 芝 | 1400 | 6 | 8 | 2 | 2 | 34.4 | |
スンリ | エルフィ(L) | 芝 | 1600 | 2 | 12 | 5 | 5 | 5 | 33.9 |
テリーヌ | 未勝利・牝 | 芝 | 1200 | 1 | 1 | 6 | 3 | 35.6 | |
フォティノース | 1勝クラス | 芝 | 1400 | 5 | 4 | 9 | 10 | 34.6 | |
フリード | ファンタG3 | 芝 | 1400 | 11 | 8 | 1 | 1 | 36.2 | |
ブルーバード | 新潟2歳G3 | 芝 | 1600 | 8 | 5 | 2 | 2 | 36.3 | |
ベッラノーヴァ | フェアリG3 | 芝 | 1600 | 3 | 6 | 13 | 15 | 14 | 34.9 |
ポールネイロン | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 18 | 9 | 2 | 2 | 36.6 | |
ミニーアイル | あざみ賞・1勝 | 芝 | 1200 | 1 | 1 | 9 | 7 | 34.6 | |
メイショウツツジ | 未勝利 | 芝 | 1200 | 1 | 2 | 9 | 8 | 35.0 | |
ヤマニンルリュール | こぶし賞・1勝 | 芝 | 1600 | 6 | 1 | 6 | 6 | 34.7 | |
ヨカヨカ | 阪神ジュG1 | 芝 | 1600 | 5 | 10 | 1 | 1 | 34.8 | |
ラストリージョ | フェアリG3 | 芝 | 1600 | 11 | 12 | 3 | 5 | 7 | 36.6 |
ララクリスティーヌ | 紅梅S(L) | 芝 | 1400 | 2 | 6 | 6 | 6 | 35.6 | |
ラヴケリー | 黒松賞・1勝 | 芝 | 1200 | 2 | 1 | 7 | 4 | 35.1 | |
リュクスフレンド | 未勝利 | 芝 | 1600 | 1 | 5 | 10 | 11 | 34.9 | |
ヴァーチャリティ | アルテミG3 | 芝 | 1600 | 10 | 7 | 4 | 4 | 34.5 |
フルゲート18頭に対して1週前の段階で27頭もの登録があった。本稿執筆時点では出走馬が確定していないので、除外の可能性がある馬も候補として考える。前走重賞組は10頭いて、そのうち阪神ジュベナイルフィリーズ組はオパールムーン、シゲルピンクルビー、ポールネイロン、ヨカヨカの4頭。この中で前走再先着を果たしたのがヨカヨカ(5着)。熊本産馬としてデビューから3連勝を飾り、一時注目を浴びた。2走前、阪神芝1400mで行われたファンタジーSでは5着と敗れている点は気になるものの、前走G1で逃げて5着に粘った地力をあらためて評価したい。
シゲルピンクルビーは前走17着、ポールネイロンは前走18頭と惨敗したが、それぞれ4コーナーでは4番手、2番手とかなり前目で競馬をしていた。オパールムーンは前走4コーナーで16番手にいたが、メンバー中3位の脚を使って6着まで追い上げた。この3頭も軽視はできそうにない。
前走クイーンCで逃げて4着だったエイシンヒテンも要注目。ちなみに2走前の阪神ジュベナイルフィリーズでは11着に敗れたが、4コーナーを3番手で通過していた。ベッラノーヴァは前走フェアリーSを鋭い脚で追い込み3着と好走した。デビュー戦の東京芝1400mでもメンバー中最速の上がりをマークして勝っていた。差し馬ならば本馬に注目か。
前走オープン特別(L・非L)組は3頭。強力な逃げ〜先行タイプはいないが、いずれも前走で連対を果たしている。
前走1勝クラス組は9頭。その内芝1400〜1600mを走り、メンバー中3位以内の上がりを使って連対していた馬はアンブレラデートしかいなかった。ただ、同馬の場合は前走で逃げており、それ以前のレースでは2番手からの競馬をしていた。母がダイワスカーレットという良血馬で、本質的には瞬発力を生かすというタイプではなさそうだ。
前走新馬・未勝利組も5頭登録があった。もし出走できれば前走東京芝1600mでメンバー中最速の上がりをマークして勝ったリュクスフレンドが面白いか。総合的に考えると、今年は前走重賞組に有力馬が多い印象だ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。