データde出〜た
第1495回 牝馬の活躍が目立つ東京新聞杯を分析する
2021/2/4(木)
今週日曜は古馬マイル重賞の東京新聞杯が東京のメインレースとして行われる。昨年はプリモシーンが勝利し、シャドウディーヴァが2着と牝馬のワンツーフィニッシュとなった。近5年で3勝するなど一見するだけでも牝馬の活躍が目立っている。今回のデータde出〜たでは、東京新聞杯の2016年以降・近5年のデータから馬券的に狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 東京新聞杯近5年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 性齢 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半800m通過 |
2020 (良/16頭) |
1 | プリモシーン | 牝5 | 1分33秒0 | 4 | 6 | 33秒6 | 46秒3 |
2 | シャドウディーヴァ | 牝4 | 1/2馬身 | 6 | 11 | 33秒3 | ||
3 | クリノガウディー | 牡4 | ハナ | 5 | 4 | 33秒9 | ||
2019 (良/15頭) |
1 | インディチャンプ | 牡4 | 1分31秒9 | 1 | 6 | 33秒5 | 45秒7 |
2 | レッドオルガ | 牝5 | 1/2馬身 | 6 | 6 | 33秒6 | ||
3 | サトノアレス | 牡5 | アタマ | 4 | 9 | 33秒4 | ||
2018 (良/16頭) |
1 | リスグラシュー | 牝4 | 1分34秒1 | 3 | 7 | 33秒6 | 47秒6 |
2 | サトノアレス | 牡4 | 1馬身 | 5 | 14 | 33秒3 | ||
3 | ダイワキャグニー | 牡4 | クビ | 2 | 6 | 33秒9 | ||
2017 (良/10頭) |
1 | ブラックスピネル | 牡4 | 1分34秒9 | 3 | 1 | 32秒7 | 49秒8 |
2 | プロディガルサン | 牡4 | クビ | 5 | 6 | 32秒0 | ||
3 | エアスピネル | 牡4 | 1/2馬身 | 1 | 5 | 32秒3 | ||
2016 (良/14頭) |
1 | スマートレイアー | 牝6 | 1分34秒1 | 5 | 1 | 33秒5 | 48秒4 |
2 | エキストラエンド | 牡7 | 2馬身 | 6 | 3 | 33秒5 | ||
3 | マイネルアウラート | 牡5 | 1馬身1/4 | 11 | 2 | 33秒8 |
まず表1は東京新聞杯近5年の3着以内馬一覧。近5年すべて良馬場で行われ、16〜18年はいずれもスローペースで勝ち時計が1分34秒台と遅かったものの、近2年は速いタイムの決着となっている。また、3着以内馬はすべて33秒9以下の速い上がりを使っており、瞬発力に秀でたタイプでないと厳しい。
また、昨年のプリモシーンら牝馬が3勝をあげ、近5年で【3.2.0.4】。牝馬の出走がなかった17年を除いて毎年1頭は連対しており、連対率55.6%・複勝率55.6%と非常に高い。東京芝マイルにおける牝馬の活躍は東京新聞杯だけでなく、その他の牡馬混合重賞でも2016年以降【5.8.5.27】で連対率28.9%・複勝率40.0%と優秀だ。昨年の安田記念でも3頭出走し、1着グランアレグリア、2着アーモンドアイ、4着ノームコアとすべて上位に入っている。「東京芝1600m重賞は牝馬が狙い目」は覚えておきたい。
人気別では、1番人気馬【1.0.1.3】、2番人気馬【0.0.1.4】でともに信頼度が高くない。3〜5番人気馬で4勝をあげており、中でも5番人気は【1.2.1.1】で複勝率80%と優秀だ。また、6番人気馬も【0.3.0.2】で連対率・複勝率60%と健闘が目立つ。なお、16年は3着に11番人気マイネルアウラートが激走したが、近4年は上位6番人気以内の馬で決着している。
■表2 東京新聞杯近5年の枠番別成績
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1枠 | 1- 0- 1- 5/ 7 | 14.3% | 14.3% | 28.6% | 111 | 75 |
2枠 | 2- 1- 0- 5/ 8 | 25.0% | 37.5% | 37.5% | 113 | 72 |
3枠 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0 | 37 |
4枠 | 2- 1- 0- 6/ 9 | 22.2% | 33.3% | 33.3% | 167 | 87 |
5枠 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0 | 26 |
6枠 | 0- 1- 1- 7/ 9 | 0.0% | 11.1% | 22.2% | 0 | 157 |
7枠 | 0- 0- 2- 8/10 | 0.0% | 0.0% | 20.0% | 0 | 41 |
8枠 | 0- 0- 1- 9/10 | 0.0% | 0.0% | 10.0% | 0 | 17 |
表2は枠番別成績。勝ち馬はいずれも内の1〜4枠から出ており、1・3・4枠の複勝率が高い。連対馬についてもすべて1〜6枠から出ており、外の7・8枠は3着止まりとなっている。なお、大外の馬番に入った馬は【0.0.0.5】と苦戦傾向にある。
■表3 東京新聞杯近5年の年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
4歳 | 3- 3- 3-14/23 | 13.0% | 26.1% | 39.1% | 63 | 84 |
5歳 | 1- 1- 2-14/18 | 5.6% | 11.1% | 22.2% | 43 | 102 |
6歳 | 1- 0- 0-13/14 | 7.1% | 7.1% | 7.1% | 68 | 24 |
7歳 | 0- 1- 0-11/12 | 0.0% | 8.3% | 8.3% | 0 | 28 |
8歳 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表3は年齢別成績。4歳馬が一昨年のインディチャンプら3勝をあげており、連対率26.1%・複勝率39.1%と高い。5歳馬も昨年のプリモシーンが勝利しており、複勝率22.2%と4歳馬に次いで高い。6歳以上の馬は16年に1・2着に入っているものの、17年以降の3着以内馬はすべて4・5歳馬で占められている。
■表4 東京新聞杯近5年の前走クラス別成績
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3勝クラス | 1- 1- 0- 4/ 6 | 16.7% | 33.3% | 33.3% | 45 | 80 |
OPEN特別 | 0- 1- 0-20/21 | 0.0% | 4.8% | 4.8% | 0 | 13 |
G3 | 1- 2- 2-19/24 | 4.2% | 12.5% | 20.8% | 26 | 42 |
G2 | 0- 0- 2- 6/ 8 | 0.0% | 0.0% | 25.0% | 0 | 165 |
G1 | 3- 1- 1- 5/10 | 30.0% | 40.0% | 50.0% | 229 | 138 |
※国内レースのみ
表4は前走クラス別成績。前走国内G1だった馬が18年リスグラシューら3勝をあげ、連対率40%・複勝率50%と優秀だ。好走馬5頭はいずれも3〜5番人気で、複勝回収率でも100%を超えている。
他では前走3勝クラス組が一昨年1着インディチャンプ、昨年2着シャドウディーヴァと近2年続けて連対し、連対率・複勝率33.3%と健闘している。連対した2頭はいずれも4歳馬で、前走で勝利をおさめていた。
■表5 東京新聞杯近5年の前走上がり順位別成績
前走上がり順位 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
3F 1位 | 3- 2- 0- 9/14 | 21.4% | 35.7% | 35.7% | 127 | 93 |
3F 2位 | 0- 1- 0- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% | 16.7% | 0 | 40 |
3F 3位 | 0- 1- 0- 7/ 8 | 0.0% | 12.5% | 12.5% | 0 | 42 |
3F 〜5位 | 1- 0- 1- 7/ 9 | 11.1% | 11.1% | 22.2% | 71 | 30 |
3F 6位以下 | 1- 1- 4-26/32 | 3.1% | 6.3% | 18.8% | 24 | 72 |
表5は前走上がり順位別成績。前走上がり1位だった馬が16年スマートレイアーら3勝をあげ、連対率・複勝率35.7%と高い。上がり2位以下になると、複勝率はさほど変わらない。2連系の軸には前走上がり最速馬を積極的に狙っていきたい。
■表6 東京新聞杯近5年の種牡馬別成績
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
ディープインパクト | 2- 4- 1-13/20 | 10.0% | 30.0% | 35.0% | 87 | 98 |
ハーツクライ | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 183 | 183 |
ステイゴールド | 1- 0- 1- 5/ 7 | 14.3% | 14.3% | 28.6% | 38 | 174 |
タニノギムレット | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 640 | 160 |
キングカメハメハ | 0- 0- 2- 5/ 7 | 0.0% | 0.0% | 28.6% | 0 | 40 |
スクリーンヒーロー | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0 | 100 |
その他の種牡馬 | 0- 0- 0-30/30 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
最後に表6は種牡馬別成績。出走数最多のディープインパクト産駒が昨年のプリモシーンら2勝をあげ、連対率30.0%・複勝率35.0%。毎年1頭は連対馬を出しており、今年も要注目だ。出走数こそ少ないが、ハーツクライ産駒は18年リスグラシューが勝利し、昨年もシャドウディーヴァが2着に入っている。16年以降の東京芝1600m重賞でもディープインパクト産駒【12.13.13.82】で連対率20.8%・複勝率31.7%に対して、ハーツクライ産駒は【5.3.2.21】で連対率25.8%・複勝率32.3%と上回っている。他にも自身や産駒が日本ダービーや東京芝G1で結果を残している種牡馬が並んでいる。
<結論>
■表7 今年の東京新聞杯の出走予定馬(2/3現在)
馬名 | 性齢 | 前走成績 |
ダイワキャグニー | セン7 | 日経新春杯 12着 |
ヴァンドギャルド | 牡5 | マイルCS 6着 |
ヴェロックス | 牡5 | 日経新春杯 9着 |
サトノアーサー | 牡7 | 京都金杯 12着 |
シャドウディーヴァ | 牝5 | エリザベス女王杯 8着 |
ロードマイウェイ | 牡5 | 京都金杯 16着 |
エントシャイデン | 牡6 | 京都金杯 3着 |
サトノインプレッサ | 牡4 | 日経新春杯 7着 |
カテドラル | 牡5 | キャピタルS 9着 |
カラテ | 牡5 | 若潮S(3勝クラス) 1着 |
サトノウィザード | 牡5 | ニューイヤーS 4着 |
トリプルエース | 牡4 | 京都金杯 8着 |
ショウナンライズ | 牡8 | ニューイヤーS 14着 |
エメラルファイト | 牡5 | ポルックスS 14着 |
ニシノデイジー | 牡5 | 函館記念 13着 |
サムシングジャスト | 牝5 | エリザベス女王杯 9着 |
トライン | 牡6 | キャピタルS 6着 |
プロディガルサン | 牡8 | スワンS 13着 |
※フルゲート16頭。サムシングジャストとトラインが抽選対象。
今年の出走予定馬は表7のとおり。
これまでのデータから昨年2着の牝馬シャドウディーヴァを推奨したい。東京新聞杯のみならず東京芝1600m重賞で買いの牝馬、ハーツクライ産駒も好相性だ。同馬の戦歴を見ると、3着以内に好走した7回中6回が10月〜2月の時期だった。今年も好走を期待したい。
ヴァンドギャルドは昨年の東京新聞杯では6着に敗れたが、昨秋は同コースの富士Sを勝利。前走マイルCSは6着に敗れたものの、外枠から後方追走では厳しかった。5歳馬、前走G1組、ディープインパクト産駒と好走できる条件は揃っている。
他に激走要素がある穴馬としては、牝馬のサムシングジャスト、前走オープン特別組ながら良馬場の東京芝1600mは合うカテドラルの2頭を挙げておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。