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第1462回 道悪の可能性が高い毎日王冠を分析する!

2020/10/8(木)

開幕週となる東京競馬では日曜に伝統のG2、毎日王冠が行われる。秋競馬本番を迎えるが、今週は週末にかけて雨予報が続き、日曜段階で道悪馬場になっている可能性が高い。今回のデータde出〜たでは毎日王冠をピックアップし、近10年のレース傾向ならびに東京芝1800mにおける道悪馬場での脚質別成績から狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 毎日王冠 近10年の人気別成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
1番人気 6-  0-  0-  4/ 10 60.0% 60.0% 60.0% 176 93
2番人気 0-  2-  0-  8/ 10 0.0% 20.0% 20.0% 0 31
3番人気 1-  2-  1-  6/ 10 10.0% 30.0% 40.0% 58 69
4番人気 1-  1-  1-  7/ 10 10.0% 20.0% 30.0% 79 70
5番人気 0-  1-  3-  6/ 10 0.0% 10.0% 40.0% 0 103
6番人気 1-  1-  1-  7/ 10 10.0% 20.0% 30.0% 158 110
7番人気 0-  0-  1-  9/ 10 0.0% 0.0% 10.0% 0 32
8番人気 1-  1-  0-  8/ 10 10.0% 20.0% 20.0% 131 87
9番人気 0-  0-  2-  8/ 10 0.0% 0.0% 20.0% 0 111
10番人気以下 0-  2-  1- 30/ 33 0.0% 6.1% 9.1% 0 97

まず表1は毎日王冠・近10年の人気別成績。1番人気馬が昨年のダノンキングリーら過半数の6勝と勝ち切る傾向が強い。ただ、1着か4着以下か、ハッキリ分かれている。以下、3・4・6・8番人気馬が1勝ずつ。2・3着馬は下位人気まで幅広く分布しており、10番人気以下も2着2回(11・12番人気)、3着1回(11番人気)と激走している。

昨年は1→2→3番人気の順で3連単1000円と非常に堅い決着でおさまったが、過去10年では3連単30万円以上が3回と波乱となるケースもある。結果的に1番人気馬が勝ち切れるかどうかの比重が大きい一戦といえる。

■表2 毎日王冠 近10年の1番人気馬 成績と前走成績

施行年 馬名 性齢 着順 前走成績
2019 ダノンキングリー 牡3 1 日本ダービー 2着
2018 アエロリット 牝4 1 安田記念 2着
2017 ソウルスターリング 牝3 8 オークス 1着
2016 ルージュバック 牝4 1 エプソムC 1着
2015 エイシンヒカリ 牡4 1 エプソムC 1着
2014 ワールドエース 牡5 13 安田記念 5着
2013 ショウナンマイティ 牡5 6 安田記念 2着
2012 カレンブラックヒル 牡3 1 NHKマイルC 1着
2011 ダークシャドウ 牡4 1 エプソムC 1着
2010 ペルーサ 牡3 5 日本ダービー 6着

表2は1番人気馬の着順と前走成績をまとめたもの。昨年のダノンキングリーら人気に応えて勝利した6頭はいずれも3・4歳馬で、今回と同コースのエプソムCを勝利もしくは東京芝のG1で連対を果たしていた。

前走5着以下だった2頭は今回も馬券圏外に敗れているように、前走東京で好走している経験が大きいといえそうだ。

■表3 毎日王冠 近10年の年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
3歳 3-  4-  0- 11/ 18 16.7% 38.9% 38.9% 116 157
4歳 4-  2-  5- 19/ 30 13.3% 20.0% 36.7% 41 79
5歳 2-  2-  2- 24/ 30 6.7% 13.3% 20.0% 63 65
6歳 1-  2-  1- 17/ 21 4.8% 14.3% 19.0% 37 65
7歳以上 0-  0-  2- 22/ 24 0.0% 0.0% 8.3% 0 72

表3は年齢別成績。3歳馬が昨年のダノンキングリーら3勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップ。連対した7頭はいずれも前走東京芝のG1を使われていた。

4歳馬は一昨年のアエロリットら最多の4勝をあげ、複勝率は3歳馬に次ぐ36.7%と高い。5歳馬は17年リアルスティールら2勝、6歳馬は13年エイシンフラッシュが勝利。なお、7歳以上からは連対馬が出ていない。

■表4 稍重で行われた毎日王冠の3着以内馬

年(馬場/頭数) 着順 馬名 性齢 勝ちタイム 人気 4角通過順 上がり3F 前半1000m通過
2016
(稍重/12頭)
1 ルージュバック 牝4 1分46秒6 1 11 33秒4 60秒3
2 アンビシャス 牡4 クビ 3 9 33秒6
3 ヒストリカル 牡7 3馬身 11 12 33秒6
2010
(稍重/10頭)
1 アリゼオ 牡3 1分46秒4 6 6 34秒5 58秒9
2 エイシンアポロン 牡3 ハナ 8 3 34秒8
3 ネヴァブション 牡7 1馬身1/2 9 8 34秒4

表4は近10年の毎日王冠において良馬場以外で行われた10年と16年の3着以内馬一覧。ともに稍重で行われ、前半のペースこそ違っていても勝ちタイムは1分46秒台半ばの決着となっている。

また、好走馬の4コーナー通過順を見ると、10年・16年ともに差し・追い込み馬が多く好走している。特に16年はスローペースにもかかわらず、後方からの追い込み馬が上位を占める結果となった。稍重なら差し・追い込み馬に注目しておきたい。

■表5 稍重で行われた東京芝1800m戦の脚質別成績と上がり順位別成績

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
逃げ 2-  3-  0-  7/ 12 16.7% 41.7% 41.7% 260 141
先行 4-  2-  3- 29/ 38 10.5% 15.8% 23.7% 105 64
差し 3-  5-  5- 42/ 55 5.5% 14.5% 23.6% 77 80
追い込み 3-  2-  4- 32/ 41 7.3% 12.2% 22.0% 33 65
上がり順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
3F  1位 6-  2-  3-  3/ 14 42.9% 57.1% 78.6% 328 160
3F  2位 3-  2-  4-  3/ 12 25.0% 41.7% 75.0% 353 378
3F  3位 1-  2-  2- 10/ 15 6.7% 20.0% 33.3% 52 92
3F 〜5位 1-  5-  2- 16/ 24 4.2% 25.0% 33.3% 87 95
3F 6位以下 1-  1-  1- 78/ 81 1.2% 2.5% 3.7% 12 10

※2015年以降・3歳上2勝クラス以上を対象

表5は2015年以降に稍重で行われた3歳上2勝クラス以上の東京芝1800m戦、全12レースにおける脚質別成績と上がり順位別成績。脚質別では逃げ馬が17年府中牝馬Sでのクロコスミアら2勝をあげ、連対率・複勝率とも41.7%でトップ。先行、差し、追い込みは複勝率がほぼ同じだった。

上がり順位別成績は、2位以内の馬が大半の9勝をあげ、1位・2位ともに複勝率75%以上と馬券に絡む可能性が高い。また1位・2位は、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を大きく超えている。

■表6 重・不良で行われた東京芝1800m戦の脚質別成績と上がり順位別成績

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
逃げ 1-  2-  1-  4/  8 12.5% 37.5% 50.0% 40 570
先行 4-  2-  5- 17/ 28 14.3% 21.4% 39.3% 116 99
差し 3-  2-  2- 31/ 38 7.9% 13.2% 18.4% 27 42
追い込み 0-  2-  0- 28/ 30 0.0% 6.7% 6.7% 0 23
マクリ 0-  0-  0-  1/  1 0.0% 0.0% 0.0% 0 0
上がり順位 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収値 複勝回収値
3F  1位 2-  3-  0-  4/  9 22.2% 55.6% 55.6% 54 116
3F  2位 1-  2-  1-  3/  7 14.3% 42.9% 57.1% 45 112
3F  3位 2-  0-  1-  8/ 11 18.2% 18.2% 27.3% 94 85
3F 〜5位 2-  1-  4- 10/ 17 11.8% 17.6% 41.2% 34 72
3F 6位以下 1-  2-  2- 56/ 61 1.6% 4.9% 8.2% 36 92

※2015年以降・3歳上2勝クラス以上を対象

表6は2015年以降に重もしくは不良で行われた3歳上2勝クラス以上の東京芝1800m戦、全8レースにおける脚質別成績と上がり順位別成績。重・不良まで馬場が悪化すると、黄色で強調したように逃げ・先行馬の好走率が上がっている。というよりも後方にいたのでは追い込めないという状況で、前が残る結果になりやすい。

上がり順位別成績も2位以内の馬は3勝で、複勝率も稍重に比べて下がっている。複勝回収率は100%を超えているが、速い上がりが使える優位性は稍重に比べてかなり落ちている。

<結論>

■表7 今年の毎日王冠の出走予定馬(10/7時点)

馬名 性齢 前走成績
アイスストーム 牡5 新潟記念 12着
カイザーメランジェ 牡5 セントウルS 10着
カデナ 牡6 新潟記念 6着
コントラチェック 牝4 クイーンS 10着
ザダル 牡4 関越S 1着
サトノインプレッサ 牡3 日本ダービー 4着
サリオス 牡3 日本ダービー 2着
サンレイポケット 牡5 新潟記念 3着
ダイワキャグニー セン6 エプソムC 1着
トーラスジェミニ 牡4 札幌記念 8着
ワンダープチュック 牡6 長岡S(3勝クラス) 1着

※フルゲート18頭。除外対象馬なし。

2020/7/5 函館11R 巴賞 1着 4番 トーラスジェミニ 2020/8/2 新潟11R 関越ステークス 1着 12番 ザダル  

今年の出走予定馬は表7のとおり。

東京地方は日曜にかけて雨が降る予報となっており、良馬場以外で行われる公算が高い。ただ、どの程度馬場が悪化するかは未知数で、稍重となった場合、重・不良になった場合について別に考えたい。

1番人気が予想されるのは前走日本ダービーで2着だったサリオス。稍重馬場の皐月賞ではコントレイルと半馬身差の2着だった。前走G1で連対しており、好相性の3歳馬。不良馬場となると未知数だが、重馬場までなら勝つ可能性は最も高いだろう。

表5、表6で示したように稍重、重・不良どちらも逃げ馬の好走確率が高く、トーラスジェミニの逃げ粘りには期待したい。4走前のエプソムCでは最低人気ながら逃げて3着と好走している。近2走の2000mから1ハロン短縮するのも好都合で、侮れない一頭だ。

稍重までなら前走関越Sを勝利したザダルを推奨しておきたい。前走は上がり最速の32秒8で3馬身差の快勝。今回と同コースの2走前・メイSでは上がり最速で僅差3着に入っており、今回も上位の上がりを使える公算が高い。追い込みが効く馬場ならばサンレイポケットの差し脚にも注意したい。

差し・追い込み不発の不良馬場ならば、不良馬場のエプソムCを勝利したダイワキャグニーに注目。去勢明けとなるが、コース・距離ともにベストな条件だ。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。


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