第1460回 前走よりも2走前に注目!? スプリンターズS分析|競馬情報ならJRA-VAN

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第1460回 前走よりも2走前に注目!? スプリンターズS分析

2020/10/1(木)

2019/9/29 中山11R スプリンターズステークス(G1) 1着 8番 タワーオブロンドン(2番人気)

秋前半の中山競馬最終週を迎える今週は、いよいよ秋のG1シーズンが開幕する。その第1弾はスプリント王決定戦・スプリンターズS。残念ながら昨年の覇者・タワーオブロンドンこそ態勢が整わず回避となったが、昨年の2〜4着馬、そして今春の高松宮記念1〜4着馬が参戦予定(モズスーパーフレアは重複)。好メンバーによる白熱した戦いが期待される。データからはどの馬が有力なのか、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して分析したい。

■表1 人気・単勝オッズ別成績

人気・単オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
人気:1〜3 8-6-1-15/30 26.7% 46.7% 50.0% 131% 98%
人気4〜8 0-1-4-45/50 0.0% 2.0% 10.0% 0% 41%
人気:9〜 2-3-5-70/80 2.5% 6.3% 12.5% 94% 100%
単オッズ:1.0〜11.9 8-7-1-26/42 19.0% 35.7% 38.1% 93% 77%
単オッズ:12.0〜27.9 0-0-6-36/42 0.0% 0.0% 14.3% 0% 71%
単オッズ:28.0〜 2-3-3-68/76 2.6% 6.6% 10.5% 99% 89%

過去10年の人気別・単勝オッズ別成績は「連対馬」と「3着馬」にそれぞれ大きな偏りが出ている。単勝オッズでみるとその傾向がよりわかりやすく、まず連対馬は20頭中15頭が単勝12倍未満で、残る5頭は28倍以上。単勝12倍台から27倍台の馬は【0.0.6.36】と連対がない。また、3着馬は単勝12倍以上の馬が10頭中9頭を占め、12倍未満で3着に入ったのは昨年のダノンスマッシュ(単勝2.8倍)1頭のみ。まとめると「連対候補は単勝12倍未満か28倍以上」「3着候補は単勝12倍以上」となる。

■表2 性齢別成績

性別 年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
牡・セン馬 8-5-5-94/112 7.1% 11.6% 16.1% 88% 77%
3歳 0-0-0-7/7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
4歳 2-2-2-9/15 13.3% 26.7% 40.0% 48% 138%
5歳 3-1-1-18/23 13.0% 17.4% 21.7% 57% 63%
6歳 2-0-1-25/28 7.1% 7.1% 10.7% 177% 70%
7歳以上 1-2-1-35/39 2.6% 7.7% 10.3% 75% 80%
牝馬 2-5-5-36/48 4.2% 14.6% 25.0% 32% 92%
3歳 0-1-1-6/8 0.0% 12.5% 25.0% 0% 156%
4歳 1-1-3-7/12 8.3% 16.7% 41.7% 93% 161%
5歳 0-3-1-16/20 0.0% 15.0% 20.0% 0% 54%
6歳 1-0-0-4/5 20.0% 20.0% 20.0% 88% 36%
7歳以上 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

性別では牡・セン馬8勝(勝率7.1%)、牝馬2勝(同4.2%)と、勝ち馬に関しては牡・セン馬が優勢だ。しかし2、3着はそれぞれ5頭ずつで並び、連対率や複勝率は該当馬の少ない牝馬のほうが高い。また、年齢別では牡牝とも4歳馬が複勝率40%台の好成績を残している。

■表3 枠番別成績(2014年の新潟代替を除く)

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 4番人気以下
1枠 1-1-2-14/18 5.6% 11.1% 22.2% 24% 111% 1-4-7-58
2枠 0-2-3-13/18 0.0% 11.1% 27.8% 0% 187%
3枠 0-0-3-15/18 0.0% 0.0% 16.7% 0% 112%
4枠 4-2-0-12/18 22.2% 33.3% 33.3% 212% 93%
5枠 2-1-0-14/17 11.8% 17.6% 17.6% 73% 61%
6枠 0-0-0-18/18 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 0-0-1-44
7枠 1-2-1-13/17 5.9% 17.6% 23.5% 54% 79%
8枠 1-1-0-16/18 5.6% 11.1% 11.1% 24% 23%

新潟で代替された2014年を除く過去10年中9回の枠番別成績は、4枠が4勝、5枠が2勝で、複数の優勝馬を出しているのはこの4、5枠のみ。また、3着馬9頭中8頭が1〜3枠から出ていることも特徴的だ。6〜8枠は特に4番人気以下の馬が不振で、計【0.0.1.44】に終わっている。

■表4 前走クラス・レース別成績(レースは3着以内馬を出したレースのみ)

前走クラス・レース 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
OPEN 0-0-1-4/5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 70%
中央G3 3-3-6-59/71 4.2% 8.5% 16.9% 94% 78%
中央G2 5-3-3-47/58 8.6% 13.8% 19.0% 27% 81%
中央G1 1-3-0-11/15 6.7% 26.7% 26.7% 21% 89%
海外 1-0-0-8/9 11.1% 11.1% 11.1% 325% 100%
セントウルS 5-3-3-44/55 9.1% 14.5% 20.0% 28% 85%
キーンランドC 2-1-5-35/43 4.7% 7.0% 18.6% 134% 101%
安田記念 1-1-0-7/9 11.1% 22.2% 22.2% 35% 83%
CBC賞 1-0-0-2/3 33.3% 33.3% 33.3% 306% 126%
シャティンヴァーズ 1-0-0-0/1 100.0% 100.0% 100.0% 2930% 900%
北九州記念 0-1-0-11/12 0.0% 8.3% 8.3% 0% 15%
ヴィクトリアM 0-1-0-1/2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 150%
函館スプリントS 0-1-0-5/6 0.0% 16.7% 16.7% 0% 28%
高松宮記念 0-1-0-2/3 0.0% 33.3% 33.3% 0% 96%
朱鷺S 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 116%
京成杯オータムH 0-0-1-2/3 0.0% 0.0% 33.3% 0% 150%

※出走取消を挟む馬を除く

前走クラス別で好走馬が多いのは、中央G3組と中央G2組。G2組は、スプリンターズSで3着以内に入った11頭すべてが前走でセントウルSに出走していた。G3はキーンランドC組が中心で、次いで出走数の多い北九州記念組は【0.1.0.11】の不振。また該当馬こそ少ないが、中央G1組が連対率26.7%と頭ひとつ抜けた数字を残している点にも注目したい。

■表5 前走着順別成績

前走着順 2015〜2019年 2010〜2014年
着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 着別度数 複勝率
1着 3-0-3-11/17 17.6% 17.6% 35.3% 87% 95% 1-1-1-13/16 18.8%
2着 0-2-0-9/11 0.0% 18.2% 18.2% 0% 72% 2-0-1-9/12 25.0%
3着 1-0-0-6/7 14.3% 14.3% 14.3% 45% 20% 0-1-0-5/6 16.7%
4着 1-1-1-3/6 16.7% 33.3% 50.0% 73% 183% 0-1-0-6/7 14.3%
5着 0-0-1-4/5 0.0% 0.0% 20.0% 0% 280% 0-0-1-5/6 16.7%
6〜9着 0-0-0-18/18 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0% 1-0-2-17/20 15.0%
10着以下 0-2-0-13/15 0.0% 13.3% 13.3% 0% 60% 1-1-0-10/12 16.7%
1〜4着 5-3-4-29/41 12.2% 19.5% 29.3% 54% 89% 3-3-2-33/41 19.5%
5着以下 0-2-1-35/38 0.0% 5.3% 7.9% 0% 60% 2-1-3-32/38 15.8%

※出走取消を挟む馬を除く

前走着順別の成績を見ると、過去10年のうち前半の2014年までは5着以下から巻き返した馬も多かったが、2015年以降は前走1〜4着馬が3着以内馬15頭中12頭、前走5着以下は同3頭と、近年は前走で4着以内に入っていた馬が好走馬の大半を占めている。また、2走前の着順も重要だが、これについては前走レース別にみていきたい。

■表6 前走セントウルSからの3着以内好走馬

馬名 スプリンター セントウルS 2走前 過去2走平均着順
人気 着順 人気 着順
2011 エーシンヴァーゴウ 7 3 2 1 北九州記念3着 2.0
2012 ロードカナロア 2 1 1 2 函館スプリントS2着 2.0
カレンチャン 1 2 3 4 高松宮記念1着 2.5
2013 ロードカナロア 1 1 1 2 安田記念1着 1.5
ハクサンムーン 2 2 2 1 アイビスSD1着 1.0
マヤノリュウジン 15 3 7 7 OP特別(5月)4着 5.5
2015 ストレイトガール 1 1 3 4 ヴィクトリアM1着 2.5
2018 ファインニードル 1 1 1 1 チェアマンズSP4着 2.5
ラブカンプー 11 2 2 2 北九州記念3着 2.5
ラインスピリット 13 3 9 5 アイビスSD5着 5.0
2019 タワーオブロンドン 2 1 1 1 キーンランドC2着 1.5

表6は前走でセントウルSに出走していた好走馬11頭(同レース取消のキンシャサノキセキを除く)で、そのうち9頭は前走、2走前ともに4着以内。もう少し細かくみると、単に「2戦連続4着以内」ではなく、その9頭すべて近2走の平均着順が2.5以下だった。2.5を超えた2頭はともに、セントウルS組が1〜3着を独占した年の3着馬(2013年マヤノリュウジン、2018年ラインスピリット)である。

■表7 前走キーンランドCからの3着以内好走馬

馬名 スプリンター キーンランド 2走前
人気 着順 人気 着順
2011 カレンチャン 3 1 1 1 函館スプリントS1着
パドトロワ 9 2 4 3 UHB杯(7月)1着
2012 ドリームバレンチノ 9 3 2 7 函館スプリントS1着
2014 スノードラゴン 13 1 4 8 北海道スプリントC2着
レッドオーヴァル 5 3 1 2 1600万条件(8月)1着
2015 ウキヨノカゼ 9 3 8 1 1600万条件(7月)1着
2016 ソルヴェイグ 9 3 4 4 函館スプリントS1着
2019 ダノンスマッシュ 1 3 1 1 ※高松宮記念4着

※ダノンスマッシュは高松宮記念後に函館スプリントS除外

続いて、セントウルSに次いで好走馬の多いキーンランドC組。こちらは函館スプリントS除外を挟んだダノンスマッシュを除く7頭が2走前に夏競馬(地方含む)で連対しており、そのうち6頭は2走前1着だった。ドリームバレンチノやスノードラゴンのように、キーンランドCでは掲示板外敗退を喫していても、2走前に夏競馬で連対していれば巻き返しは可能だ。

■表8 その他のレースからの3着以内好走馬(日本調教馬)

馬名 人気 着順 前走 前走人気 前走着順 2走前
2010 キンシャサノキセキ 3 2 ※高松宮記念 1 1 オーシャンS1着
サンカルロ 7 3 京成杯AH 3 5 安田記念13着
2014 ストレイトガール 2 2 函館スプリントS 1 11 ヴィクトリアM3着
2015 サクラゴスペル 11 2 安田記念 13 17 京王杯SC1着
2016 レッドファルクス 3 1 CBC賞 3 1 欅S1着
ミッキーアイル 2 2 高松宮記念 2 2 阪急杯1着
2017 レッドファルクス 1 1 安田記念 3 3 京王杯SC1着
レッツゴードンキ 5 2 ヴィクトリアM 3 11 高松宮記念2着
ワンスインナムーン 7 3 朱鷺S 1 1 1600万条件1着
2019 モズスーパーフレア 3 2 北九州記念 2 4 高松宮記念15着

※キンシャサノキセキは高松宮記念後にセントウルS取消

最後に表8は、その他のレース(セントウルS、キーンランドC以外)からの好走馬10頭である(外国馬除く)。その10頭中8頭は2走前に3着以内に入っており、残る2頭はG1で2桁着順。また、前走6着以下かつ2走前4着以下だった馬の好走はない

【結論】

2020/6/7 東京11R 安田記念(G1) 1着 11番 グランアレグリア(3番人気)

表4にあったように、スプリンターズSは前走中央G2・G3組の好走が多いレースだが、今年の該当馬はほかに減点材料を抱える馬ばかり。そこで、連対率の高い中央G1組からグランアレグリアを筆頭に挙げたい。近2走は高松宮記念2着、安田記念1着で、「その他のレース」組の好走条件をクリア(表8)。「前走1着」は近年の好走馬の傾向にも合致する(表5)。好走確率の高い4歳牝馬でもあり(表2)、引き続き期待が持てそうだ。

セントウルS組(表6)は、1〜3着馬がいずれも2走前に掲示板外敗退を喫しており、「近2走平均着順2.5以下」に合致する馬は不在。一方キーンランドC組(表7)は、2着ライトオンキュー、7着ダイメイフジ、そして15着ダイアトニックが「2走前に夏競馬で連対」を果たしている。ただ、表1の連対条件(単勝12倍未満か28倍以上)を満たせるかどうか、特にライトオンキューは微妙なところ。また、ダイメイフジとダイアトニックは前走着順(表5)がネックになるが、セントウルS組が推奨しづらい今年は、総合的にみてこの3頭を2番手グループと考えたい。もう1頭加えるなら昨年の2着馬・モズスーパーフレア。北九州記念組は【0.1.0.11】と不振だが(表4)、唯一の好走馬がモズスーパーフレア自身。表8の条件も満たしており、今年も上位争いになりそうだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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