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第1441回 人気薄で激走1着した馬の次走成績を調べる

2020/7/27(月)

先だっての7月19日に行なわれたふたつの重賞は、いずれも大波乱の結果となった。函館記念を15番人気のアドマイヤジャスタ(単勝77.3倍)が制すと、10分後の中京記念では18番人気のメイケイダイハード(単勝163.0倍)が差し切り勝ち。ところで、こうした大波乱の立役者たちは、その次走でどのような成績を収めているのだろうか。そこで今回は、「10番人気以下もしくは単勝100倍以上で1着となった馬の次走」について調べてみたい。集計期間は2017年1月5日〜2020年7月19日の平地競走で、次走となるはずのレースで出走取消となった馬は集計対象から除く。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

2020/7/19 函館11R 函館記念(G3) 1着 14番 アドマイヤジャスタ 2020/7/19 阪神11R トヨタ賞中京記念(G3) 1着 14番 メイケイダイハード  

■表1 クラス別成績

クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1勝 6-  9- 14-151/180 3.3% 8.3% 16.1% 30% 63%
2勝 5- 10-  6-116/137 3.6% 10.9% 15.3% 86% 87%
3勝 5-  3-  4- 66/ 78 6.4% 10.3% 15.4% 62% 65%
オープン特別 5-  2-  3- 34/ 44 11.4% 15.9% 22.7% 67% 70%
リステッド競走 0-  0-  0-  6/  6 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G3 0-  1-  0- 31/ 32 0.0% 3.1% 3.1% 0% 20%
G2 0-  0-  0-  7/  7 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
G1 0-  1-  0- 12/ 13 0.0% 7.7% 7.7% 0% 26%
全体 21- 26- 27-423/497 4.2% 9.5% 14.9% 50% 65%

表1はクラス別成績。明確に言えるのは、重賞(G1〜G3)およびリステッド競走では合わせて【0.2.0.56】とほとんど好走していないこと。言い換えれば、大穴1着の次走で好走を期待するなら条件戦(1勝〜3勝クラス)かオープン特別ということになる。

■表2 人気・単勝オッズ別成績

人気・オッズ 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
人気 1番人気 5-  1-  0-  2/  8 62.5% 75.0% 75.0% 176% 97%
2番人気 3-  1-  6-  2/ 12 25.0% 33.3% 83.3% 125% 149%
3番人気 2-  3-  4- 14/ 23 8.7% 21.7% 39.1% 81% 94%
4番人気 3-  0-  2- 23/ 28 10.7% 10.7% 17.9% 110% 40%
5番人気 3-  3-  4- 28/ 38 7.9% 15.8% 26.3% 78% 102%
6番人気 1-  6-  0- 28/ 35 2.9% 20.0% 20.0% 24% 74%
7番人気 1-  3-  2- 41/ 47 2.1% 8.5% 12.8% 34% 65%
8番人気 1-  2-  4- 31/ 38 2.6% 7.9% 18.4% 53% 106%
9番人気 0-  1-  2- 51/ 54 0.0% 1.9% 5.6% 0% 32%
10番人気〜 2-  6-  3-203/214 0.9% 3.7% 5.1% 45% 53%
オッズ 1.0〜1.9倍 0-  1-  0-  1/  2 0.0% 50.0% 50.0% 0% 55%
2.0〜2.9倍 2-  0-  0-  0/  2 100.0% 100.0% 100.0% 220% 125%
3.0〜3.9倍 3-  1-  3-  1/  8 37.5% 50.0% 87.5% 121% 126%
4.0〜4.9倍 2-  0-  1-  1/  4 50.0% 50.0% 75.0% 222% 132%
5.0〜6.9倍 2-  2-  2- 12/ 18 11.1% 22.2% 33.3% 71% 62%
7.0〜9.9倍 5-  3-  7- 28/ 43 11.6% 18.6% 34.9% 105% 94%
10.0〜14.9倍 3-  3-  3- 32/ 41 7.3% 14.6% 22.0% 88% 67%
15.0〜19.9倍 1-  7-  1- 38/ 47 2.1% 17.0% 19.1% 34% 82%
20.0〜29.9倍 1-  2-  4- 74/ 81 1.2% 3.7% 8.6% 25% 57%
30.0〜49.9倍 1-  5-  5- 90/101 1.0% 5.9% 10.9% 46% 89%
50.0〜99.9倍 1-  2-  1- 99/103 1.0% 2.9% 3.9% 49% 51%
100.0倍〜 0-  0-  0- 47/ 47 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表2は人気別とオッズ別の成績。つまり、大穴1着だった馬が次走でどのような人気を集め、どのような着順となったかを示したデータとなる。表2を見ると、人気では1〜3番人気、単勝オッズでは1.0〜4.9倍の範囲に収まっていると目覚ましい数字を残している。あるいは、単勝回収率110%の4番人気、複勝回収率102%の5番人気、オッズでは単勝回収率105%の7.0〜9.9倍も優秀。これらのデータから読み取れるのは、大穴1着の次走で上位人気に推された場合、その実力は本物であることが多いということだ。一方、次走でも10番人気以下だった場合の成績は芳しいものではなく、単勝100倍以上では3着すらない。次走でも人気薄に甘んじるようだと、今度は苦戦を覚悟すべきかもしれない。

■表3 年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
2歳 1-  1-  1- 29/ 32 3.1% 6.3% 9.4% 27% 36%
3歳 9-  9- 14-181/213 4.2% 8.5% 15.0% 52% 57%
4歳 7- 10-  7- 73/ 97 7.2% 17.5% 24.7% 97% 94%
5歳 4-  4-  3- 64/ 75 5.3% 10.7% 14.7% 51% 108%
6歳 0-  2-  2- 47/ 51 0.0% 3.9% 7.8% 0% 37%
7歳以上 0-  0-  0- 29/ 29 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%

表3は年齢別成績。ご覧の通り、4歳の好走率がもっとも高く、単複の回収率も90%台を記録していることがわかる。この4歳以外の成績は水準以下と言わざるをえず、買うのであればせいぜい3歳か5歳。対して、2歳や6歳では好走率が下がり、7歳以上では該当する延べ29頭が一度も3着以内に入れなかった。

■表4 前走脚質別成績

前走脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
逃げ 9-  3-  3- 82/ 97 9.3% 12.4% 15.5% 77% 56%
先行 5-  7- 14-154/180 2.8% 6.7% 14.4% 47% 55%
中団 7-  8-  7-137/159 4.4% 9.4% 13.8% 57% 55%
後方 0-  8-  2- 49/ 59 0.0% 13.6% 16.9% 0% 120%
マクリ 0-  0-  1-  1/  2 0.0% 0.0% 50.0% 0% 640%

※脚質の分類は TARGET frontier JV による

表4は前走脚質別成績。誤解のないよう記しておくと、ここでいう前走とは10番人気以下もしくは単勝100倍以上で1着になったレースを指す(表5、6の項も同様)。差が出ているのは勝率ベースの数字で、「前走逃げ」で大穴1着だった馬がいちばん勝ちやすい。一方、連対率・複勝率ベースの数字では「前走後方」がもっとも高く、複勝回収率120%も優秀。後ろからいって大穴1着だった馬が、次走でも2、3着に突っ込んで再び穴をあけるケースに注意したいところだ。

■表5 前走タイム差別成績

前走タイム差 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
1.0秒〜 1-  1-  2-  7/ 11 9.1% 18.2% 36.4% 38% 53%
0.6〜0.9秒 1-  0-  0- 11/ 12 8.3% 8.3% 8.3% 16% 10%
0.3〜0.5秒 4-  4-  8- 69/ 85 4.7% 9.4% 18.8% 38% 68%
0.1〜0.2秒 11- 14-  8-183/216 5.1% 11.6% 15.3% 86% 73%
0.0秒 4-  7-  9-153/173 2.3% 6.4% 11.6% 15% 59%

表5は前走タイム差別成績。出走例が多いところでは、「0秒1〜0秒2」と「0秒0」で結構な差がついている点に着目したい。好走率、回収率ともに優位なのは明らかに前者。対して後者は特に単勝回収率が冴えない。このデータを見る限り、タイム差なしの大穴1着だった場合、その次走ではあまり期待できない。できれば0秒1差はつけておきたいところだ。また、出走例は少ないものの「1秒0以上」の差をつけていた場合の好走率はさすがに高い。ただし、前走の圧勝を受けて一挙に人気を上げる傾向があり、単複の回収率は振るわない。

■表6 前走馬場状態別成績

前走馬場状態 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回率 複回率
11- 11- 11-145/178 6.2% 12.4% 18.5% 68% 73%
稍重 2-  3-  2- 25/ 32 6.3% 15.6% 21.9% 41% 61%
0-  1-  0- 16/ 17 0.0% 5.9% 5.9% 0% 81%
不良 0-  0-  0-  2/  2 0.0% 0.0% 0.0% 0% 0%
ダート 6-  6-  9-141/162 3.7% 7.4% 13.0% 62% 64%
稍重 1-  4-  2- 57/ 64 1.6% 7.8% 10.9% 10% 38%
1-  0-  2- 18/ 21 4.8% 4.8% 14.3% 39% 63%
不良 0-  1-  1- 19/ 21 0.0% 4.8% 9.5% 0% 90%

表6は前走馬場状態別成績を芝・ダート別に示したもので、より傾向が出ている芝に注目したい。すぐに気づくのは前走の馬場が重・不良だった場合、合わせて【0.1.0.18】と厳しい結果に終わっていること。すなわち、前走の大穴1着は道悪の馬場がプラスに働いて激走した可能性が高く、あまり再現性がないことを示している。となると、前走が芝の場合は良・稍重で大穴1着だった馬を狙うべきということになる。実際、このケースで次走の単勝オッズが1.0〜4.9倍なら【5.1.1.0】と抜群。あるいは、1.0〜14.9倍でも【11.7.10.41】、勝率15.9%、複勝率40.6%、単勝回収率105%、複勝回収率101%という優秀な数値が残っている。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。


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