データde出〜た
第1437回 JRA今年最初の2歳重賞・函館2歳Sを分析する
2020/7/13(月)
今週は函館競馬場で土曜に函館2歳S、日曜に函館記念と連日重賞が組まれている。今回のデータde出〜たでは、JRA今年最初の2歳重賞となる函館2歳Sをピックアップ。2015年以降・近5年のデータから馬券的な狙いどころを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 函館2歳S 近5年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半600m通過 |
2019 (良/15頭) |
1 | ビアンフェ | 1分9秒2 | 4 | 1 | 35秒6 | 33秒6 |
2 | タイセイビジョン | 1馬身3/4 | 2 | 12 | 34秒7 | ||
3 | プリンスリターン | 1馬身1/4 | 11 | 4 | 35秒8 | ||
2018 (良/16頭) |
1 | アスターペガサス | 1分9秒4 | 2 | 11 | 34秒8 | 33秒9 |
2 | ラブミーファイン | ハナ | 7 | 2 | 35秒3 | ||
3 | カルリーノ | 3/4馬身 | 3 | 4 | 35秒2 | ||
2017 (良/15頭) |
1 | カシアス | 1分10秒0 | 1 | 5 | 34秒8 | 34秒5 |
2 | ウインジェルベーラ | アタマ | 12 | 2 | 35秒4 | ||
3 | アリア | 3/4馬身 | 4 | 7 | 34秒6 | ||
2016 (良/16頭) |
1 | レヴァンテライオン | 1分9秒2 | 2 | 3 | 35秒5 | 33秒5 |
2 | モンドキャンノ | 1/2馬身 | 1 | 4 | 35秒4 | ||
3 | タイムトリップ | 1馬身1/4 | 13 | 4 | 35秒7 | ||
2015 (稍重/16頭) |
1 | ブランボヌール | 1分10秒6 | 1 | 5 | 35秒7 | 34秒1 |
2 | メジャータイフーン | 3馬身1/2 | 3 | 13 | 36秒0 | ||
3 | ヒルダ | クビ | 10 | 5 | 36秒8 |
まず表1は函館2歳S近5年の3着以内馬一覧。勝ちタイムは良馬場で行われた近4年は1分9秒2〜10秒0の間におさまっている。前半のペースは年によって違うものの、上がりは35秒前後でまとめている馬が好走していることがわかる。
一昨年1着アスターペガサスや昨年2着のタイセイビジョンなど4コーナー10番手以下から追い込む馬はいるものの、5番手以内からなだれ込む逃げ・先行馬が多いのも特徴だ。
そして3着以内馬の人気を見ると、1・2番人気馬はともに【2.1.0.2】で、どちらかは毎年連対している。また、一昨年を除いて10番人気以下の人気薄が激走している点にも注目。近4年はいずれも3連単6万円以上と小波乱が続いている。キャリアの浅い2歳馬が集まる重賞で不確定要素も多く、馬券的にも妙味がある一戦といえそうだ。
■表2 函館2歳S 近5年の所属別成績
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
美浦 | 0- 2- 3-31/36 | 0.0% | 5.6% | 13.9% | 0 | 90 |
栗東 | 5- 3- 2-21/31 | 16.1% | 25.8% | 32.3% | 82 | 97 |
地方 | 0- 0- 0-11/11 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表2は出走馬の所属別成績。黄色で強調したように栗東所属の関西馬が全5勝をあげており、連対率・複勝率でも群を抜いている。昨年は上位3着までを占めており、近4年は3着以内に2頭以上入っている。
美浦所属の関東馬は複勝率13.9%と関西馬に差をつけられているものの、3着以内馬5頭中3頭は10番人気以下の人気薄だった。なお、地方所属馬は11頭すべて4着以下に敗れている。
■表3 函館2歳S近5年の枠番別成績
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1枠 | 1- 0- 0- 9/10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 70 | 21 |
2枠 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
3枠 | 1- 2- 3- 4/10 | 10.0% | 30.0% | 60.0% | 52 | 216 |
4枠 | 0- 1- 2- 7/10 | 0.0% | 10.0% | 30.0% | 0 | 267 |
5枠 | 1- 1- 0- 7/ 9 | 11.1% | 22.2% | 22.2% | 35 | 72 |
6枠 | 2- 1- 0- 7/10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 102 | 56 |
7枠 | 0- 0- 0- 9/ 9 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
8枠 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
表3は枠番別成績。黄色で強調したように好走馬は真ん中付近の3〜6枠に集中している。なかでも3枠は複勝率60%と非常に高い。外の7・8枠は3着以内馬なし。逆に内の1・2枠も昨年1枠から逃げて勝利したビアンフェしか好走馬が出ていない。ここまで極端な傾向が出るのも珍しいが、内外ではなく、中枠の3〜6枠が好相性といえる。
■表4 函館2歳S 近5年の前走距離別成績
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1000m | 0- 0- 0-17/17 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1150m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1200m | 5- 3- 5-43/56 | 8.9% | 14.3% | 23.2% | 45 | 99 |
1400m | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0 | 85 |
1700m | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
1800m | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 500 |
表4は前走距離別成績。勝ち馬はすべて前走1200m戦を使われており、今回と同じ前走函館芝1200mだった馬はのべ【5.3.4.28】。連対率20.0%・複勝率30.0%と1200m全体よりも高く、複勝回収率も113%と優秀だ。昨年3着のプリンスリターンなど10番人気以下も3頭激走している。
また、距離短縮馬は【0.2.0.2】で連対率・複勝率50%と高い。前走1400m組は昨年2着タイセイビジョン、前走1800m組は一昨年2着ラブミーファインがそれぞれ好走している。なお、前走1000m組を含む距離延長組はすべて着外に敗れている。
■表5 函館2歳S 近5年の前走からの間隔別成績
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
連闘 | 0- 0- 0- 6/ 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
中1週 | 0- 3- 1-13/17 | 0.0% | 17.6% | 23.5% | 0 | 186 |
中2週 | 2- 0- 3-22/27 | 7.4% | 7.4% | 18.5% | 37 | 75 |
中3週 | 3- 0- 1-11/15 | 20.0% | 20.0% | 26.7% | 104 | 51 |
中4〜 8週 | 0- 2- 0-11/13 | 0.0% | 15.4% | 15.4% | 0 | 21 |
表5は前走からの間隔別成績。黄色で強調したように勝ち馬は中2週もしくは中3週の馬から出ている。開催日でいうと、優勝馬5頭は1回函館3日〜6日の芝1200m戦を勝利した馬だった。また、中1週の馬は複勝率23.5%で、近3年続けて7番人気以下の伏兵が好走している。
なお、連闘の馬はいずれも着外に敗れており、中4週以上で連対した2頭はともに今回2番人気以内に支持されていた。
■表6 函館2歳S 近5年の騎手別成績
騎手 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
三浦皇成 | 1- 1- 0- 1/ 3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 240 | 140 |
藤岡佑介 | 1- 0- 1- 0/ 2 | 50.0% | 50.0% | 100.0% | 350 | 205 |
岩田康誠 | 1- 0- 0- 3/ 4 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 80 | 37 |
浜中俊 | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 150 | 70 |
小崎綾也 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 520 | 200 |
丸山元気 | 0- 1- 2- 1/ 4 | 0.0% | 25.0% | 75.0% | 0 | 442 |
ルメール | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 56 |
丹内祐次 | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 443 |
戸崎圭太 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 110 |
柴山雄一 | 0- 0- 1- 2/ 3 | 0.0% | 0.0% | 33.3% | 0 | 146 |
原田和真 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0 | 555 |
その他の騎手 | 0- 0- 0-50/50 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
最後に表6は騎手別成績。複数回好走しているのが黄色で示した騎手で、三浦騎手は16年レヴァンテライオン、藤岡佑介騎手は昨年のビアンフェでそれぞれ勝利している。三浦騎手は2・3番人気馬で2度連対、藤岡佑騎手は3・4番人気馬を馬券圏内にもってきていた。
また、丸山元気騎手は勝ち星こそないものの、複勝率75.0%と非常に高い。3着以内馬の人気も13、4、7番人気と伏兵で馬券に絡んでいた。これら3騎手が騎乗してくれば、ぜひチェックしておきたい。
<函館2歳Sの狙いまとめ>
・基本的に4コーナーで5番手以内につけられる馬。
・人気傾向としては人気薄が激走するチャンスあり。
・関西馬優勢。関東馬は穴に注意。
・真ん中の3〜6枠の馬が好成績。
・勝ち馬は前走函館芝1200m組。距離短縮馬もチェック。
・中2〜3週の馬から優勝馬が出ている。
・三浦騎手、藤岡佑騎手、丸山騎手に注目。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。