データde出〜た
第1261回 波乱もあるアルテミスSの狙い目は?
2018/10/22(月)
日曜に秋の天皇賞が行われる今週は土曜にも東京でアルテミスS、京都でスワンSと計3鞍の重賞が行われる。今回のデータde出〜たでは、暮れの阪神JFに向けて重要なステップレースとなっているアルテミスSをピックアップ。新設された2012年以降の近6年のデータならびに今開催の東京芝マイルの2歳戦の傾向から狙い目を探っていく。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 アルテミスS近6年の上位3着以内馬一覧
年/馬場 | 着順 | 馬名 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半800m通過 |
2017 (良/15頭) |
1 | ラッキーライラック | 1分34秒9 | 2 | 3 | 34秒7 | 47秒5 |
2 | サヤカチャン | 3/4馬身 | 13 | 1 | 35秒2 | ||
3 | ラテュロス | 1馬身 | 4 | 3 | 35秒0 | ||
2016 (良/18頭) |
1 | リスグラシュー | 1分35秒5 | 1 | 7 | 33秒5 | 48秒8 |
2 | フローレスマジック | 1/2馬身 | 2 | 10 | 33秒3 | ||
3 | シグルーン | 3馬身1/2 | 5 | 2 | 34秒7 | ||
2015 (良/15頭) |
1 | デンコウアンジュ | 1分34秒1 | 12 | 11 | 33秒3 | 47秒3 |
2 | メジャーエンブレム | クビ | 1 | 1 | 34秒2 | ||
3 | クロコスミア | 1馬身1/2 | 6 | 9 | 33秒7 | ||
2014 (稍重/17頭) |
1 | ココロノアイ | 1分34秒4 | 9 | 3 | 34秒3 | 47秒6 |
2 | レッツゴードンキ | ハナ | 1 | 9 | 33秒6 | ||
3 | トーセンラーク | 1馬身1/4 | 11 | 3 | 34秒5 | ||
2013 (良/18頭) |
1 | マーブルカテドラル | 1分35秒2 | 2 | 8 | 33秒9 | 47秒7 |
2 | パシフィックギャル | 1/2馬身 | 6 | 5 | 34秒2 | ||
3 | ニシノミチシルベ | 1/2馬身 | 5 | 5 | 34秒4 | ||
2012 (良/18頭) |
1 | コレクターアイテム | 1分33秒8 | 1 | 11 | 33秒9 | 46秒6 |
2 | アユサン | 1/2馬身 | 4 | 16 | 33秒5 | ||
3 | ウインプリメーラ | 3馬身 | 7 | 2 | 35秒4 |
まず表1は2012年以降のアルテミスSの3着以内馬一覧。2012年は1分33秒台の非常に速い時計の決着となったが、近5年は1分34秒〜35秒台の決着となっている。昨年はラッキーライラックが4コーナー3番手から差し切り勝ち。同馬は暮れの阪神JFも勝利する活躍を見せた。他にもレッツゴードンキやリスグラシューといった現在でもG1戦線で活躍する実力馬を輩出しており、出世レースといえる一戦だ。
ペースは12年を除いて平均〜ややスローで流れることが多く、4コーナー10番手以内から速い上がりで好走、というタイプが上位馬の大半を占める。ペース次第では33秒台の速い上がりで差してくるケースもある。
また人気順では1番人気馬が【2.2.0.2】で一昨年のリスグラシューら2勝で、連対率・複勝率66.7%。2番人気馬も【2.1.0.3】で昨年のラッキーライラックら2勝をあげているが、その他は9・12番人気馬が1勝ずつと伏兵の一発がある。一昨年のように上位人気馬で堅く決まる年もあれば、13番人気サヤカチャンが激走した昨年のように波乱となることもある。2歳重賞でキャリアも浅く、波乱要素のある一戦といえそうだ。
■表2 アルテミスS近6年の所属別成績
調教師分類 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
美浦 | 2- 4- 2- 57/ 65 | 3.1% | 9.2% | 12.3% | 30% | 34% |
栗東 | 4- 2- 4- 24/ 34 | 11.8% | 17.6% | 29.4% | 271% | 145% |
表2は出走馬の所属別成績。黄色で強調したように栗東所属の関西馬が昨年のラッキーライラックら4勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれも関東馬を圧倒している。昨年は上位3着までを独占しており、近3年で毎年2頭以上は3着以内に入っている。最近では阪神JFの関東での前哨戦ではなく、関西から狙っての東上というケースが多い。
対して、関東馬は14年ココロノアイら2勝。近3年では2番人気以内だった2頭しか連対しておらず、苦戦傾向が続いている。
■表3 アルテミスS近6年のキャリア別成績
キャリア | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
1戦 | 1- 1- 1- 25/ 28 | 3.6% | 7.1% | 10.7% | 15% | 26% |
2戦 | 4- 3- 3- 28/ 38 | 10.5% | 18.4% | 26.3% | 272% | 94% |
3戦 | 1- 1- 0- 18/ 20 | 5.0% | 10.0% | 10.0% | 18% | 22% |
4戦 | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0% | 61% |
5戦 | 0- 1- 1- 2/ 4 | 0.0% | 25.0% | 50.0% | 0% | 465% |
6戦以上 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3はキャリア別成績。出走数が多いキャリア2戦の馬が一昨年のリスグラシューら過半数の4勝をあげ、勝率・連対率・複勝率ともに優秀だ。昨年は3着ラテュロスが該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。
他では1戦の馬は昨年のラッキーライラック、3戦の馬は13年マーブルカテドラルがそれぞれ勝利しているが、連対率・複勝率は高くない。なお、5戦の馬は昨年2着サヤカチャンら3着以内馬2頭とも6番人気以下で穴を開けていた。
■表4 アルテミスS近6年の前走レース別成績
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
未勝利 | 2- 0- 2- 4/ 8 | 25.0% | 25.0% | 50.0% | 1065% | 292% |
未勝利・牝 | 1- 1- 0- 7/ 9 | 11.1% | 22.2% | 22.2% | 175% | 60% |
芙蓉S | 1- 1- 0- 0/ 2 | 50.0% | 100.0% | 100.0% | 185% | 220% |
新馬・牝 | 1- 0- 0-13/14 | 7.1% | 7.1% | 7.1% | 31% | 13% |
デイリー杯2歳S | 1- 0- 0- 1/ 2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 135% | 65% |
新馬 | 0- 1- 1-12/14 | 0.0% | 7.1% | 14.3% | 0% | 39% |
札幌2歳S | 0- 1- 1- 3/ 5 | 0.0% | 20.0% | 40.0% | 0% | 128% |
りんどう賞 | 0- 1- 0- 4/ 5 | 0.0% | 20.0% | 20.0% | 0% | 280% |
アスター賞 | 0- 1- 0- 3/ 4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% | 0% | 30% |
サフラン賞 | 0- 0- 1-13/14 | 0.0% | 0.0% | 7.1% | 0% | 20% |
クローバー賞 | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 275% |
その他の出走馬 | 0- 0- 0-22/22 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表4は前走レース別成績。表の一番上の未勝利戦組が一昨年のリスグラシューら2勝をあげ、複勝率50%と優秀だ。昨年は3着ラテュロスが該当しており、近3年で1頭ずつ3着以内に入っている。一昨年に勝利したリスグラシューは新潟芝マイルの新馬戦で2着、前走の未勝利戦は牡馬相手に4馬身差で快勝していた。この組の3着以内馬4頭中3頭は前走上がり最速で勝利していた。
他では13年の1・2着が芙蓉S組で、連対率100%と好相性。前走新馬戦組は牝馬限定の新馬戦を勝った昨年のラッキーライラックの1勝のみで、表3のキャリア1戦のデータどおり連対率・複勝率ともに高くない。
なお、前走重賞組はデイリー杯2歳S組の12年コレクターアイテムが勝利しているものの、のべ【1.1.1.12】で複勝率20.0%とそれほど高くない。
■表5 アルテミスS近6年の種牡馬別成績
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
ハーツクライ | 2- 0- 0- 6/ 8 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 63% | 31% |
ダイワメジャー | 1- 1- 0- 2/ 4 | 25.0% | 50.0% | 50.0% | 92% | 65% |
ステイゴールド | 1- 0- 2- 2/ 5 | 20.0% | 20.0% | 60.0% | 316% | 234% |
メイショウサムソン | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 8280% | 1620% |
オルフェーヴル | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 440% | 190% |
ディープインパクト | 0- 2- 1- 7/10 | 0.0% | 20.0% | 30.0% | 0% | 73% |
ゼンノロブロイ | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0% | 100% |
リーチザクラウン | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 1400% |
キングカメハメハ | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 180% |
タイキシャトル | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 145% |
アイルハヴアナザー | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 125% |
アルデバラン2 | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 550% |
その他の種牡馬 | 0- 0- 0-62/62 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5はアルテミスSの種牡馬別成績。表の一番上のハーツクライ産駒が12年コレクターアイテム、一昨年のリスグラシューと最多の2勝をあげるも、どちらも1番人気に支持されていた。黄色で強調したダイワメジャー産駒からは13年マーブルカテドラル、ステイゴールド産駒からは14年ココロノアイがそれぞれ勝利しており、ともに複勝率50%以上と優秀だ。その他ではメイショウサムソン産駒から15年デンコウアンジュ、オルフェーヴル産駒から昨年のラッキーライラックが勝利している。
なお、ディープインパクト産駒は勝ち星がなく、複勝率30%。ただし、近2年は一昨年2着フローレスマジック、昨年のラテュロスと続けて好走している。好走した3頭はいずれも母父がノーザンダンサー系だった。
■表6 今秋の東京芝1600mで行われた2歳戦の種牡馬別成績(〜10/14まで)
種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
ディープインパクト | 2- 3- 1- 0/ 6 | 33.3% | 83.3% | 100.0% | 111% | 128% |
ロードカナロア | 2- 0- 1- 3/ 6 | 33.3% | 33.3% | 50.0% | 168% | 76% |
ルーラーシップ | 1- 0- 1- 2/ 4 | 25.0% | 25.0% | 50.0% | 110% | 77% |
ハーツクライ | 1- 0- 1- 0/ 2 | 50.0% | 50.0% | 100.0% | 270% | 150% |
ジャスタウェイ | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.3% | 33.3% | 33.3% | 386% | 43% |
オルフェーヴル | 0- 1- 0- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% | 14.3% | 0% | 24% |
クロフネ | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 110% |
ヘニーヒューズ | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.0% | 50.0% | 50.0% | 0% | 85% |
サクラプレジデント | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0% | 390% |
ダンカーク | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 265% |
タートルボウル | 0- 0- 1- 1/ 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% | 0% | 160% |
ダイワメジャー | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0% | 130% |
その他の出走馬 | 0- 0- 0-62/62 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
最後に表6は今秋の東京芝1600m戦で行われた2歳戦の種牡馬別成績。黄色で強調したようにディープインパクト産駒が最多タイの2勝をあげており、複勝率100%。今開催の東京芝は上がりが非常に速く、瞬発力に秀でたディープインパクト産駒向きの馬場といえる。アルテミスSではこれまで勝ち星がなかったが、今年は待望の初勝利のチャンスだ。
ロードカナロア産駒も仕上がり早で2勝をあげており、注目といえる。他ではルーラーシップ、ハーツクライ、ジャスタウェイ各産駒が1勝ずつ。上がり1位の馬が【2.3.1.2】で連対率62.5%・複勝率75.0%と上がりの速さが成績に直結しており、今回のアルテミスSも末脚の速さが求められるレースとなるだろう。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。