データde出〜た
第1179回 1月の年齢別成績を考える
2018/1/8(月)
年が明けてサラブレッドはそれぞれ1つずつ年齢を重ね、昨年末の3歳馬は明け4歳に、そして4歳馬は明け5歳となる。慣れるまで1〜2週は戸惑うこともあるため、そこで月曜掲載分の今回は、年明け1月の年齢別成績を分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、13年〜17年の過去5年を対象とした。
■表1 1月・古馬平地1600万条件〜重賞の年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 | 平均人気 | 芝複率 | ダ複率 |
4歳 | 51-32-37-261/381 | 13.4% | 21.8% | 31.5% | 73% | 72% | 5.4人気 | 31.6% | 31.2% |
5歳 | 56-46-47-326/475 | 11.8% | 21.5% | 31.4% | 92% | 84% | 5.6人気 | 30.2% | 32.9% |
6歳 | 24-41-41-514/620 | 3.9% | 10.5% | 17.1% | 46% | 65% | 8.3人気 | 18.8% | 14.7% |
7歳 | 17-18-12-372/419 | 4.1% | 8.4% | 11.2% | 58% | 42% | 9.9人気 | 11.1% | 11.4% |
8歳 | 2-13-12-167/194 | 1.0% | 7.7% | 13.9% | 30% | 82% | 10.9人気 | 12.3% | 15.9% |
9歳以上 | 0-0-1-70/71 | 0.0% | 0.0% | 1.4% | 0% | 36% | 13.0人気 | 0.0% | 4.2% |
まず表1は、古馬平地競走の重賞・オープン特別・1600万条件を合計した1月の年齢別成績である。かなりはっきりした傾向が出ており、好走確率は芝ダート問わず4歳、5歳がほぼ互角で、6歳以上とは差がある。また、4、5歳馬の平均人気も差はないが、4歳馬は3番人気以内の勝利が51勝中40勝と8割ほど、5歳馬は56勝中34勝で6割程度などといった差があり、単複の回収率では5歳が少し高い。今年の中山金杯は1番人気の4歳馬・セダブリランテスが優勝したが、いずれにしてもこの4〜5歳馬が中心になるのは間違いなく、特に1着候補としては勝率から見ても、単勝回収率から見ても6歳以上はやや狙いづらい条件だ。
■表2 今週行われる古馬1600万〜重賞の年齢別複勝率(愛知杯は過去2年、初春Sは過去4年)
年齢 | 初富士S | ジャニュ | 新春S | 淀短距離 | 愛知杯 | 初春S | ニューイ | 雅S | 日経新春 |
4歳 | 43.8% | 16.7% | 17.6% | 43.8% | 20.0% | 28.6% | 25.0% | 72.7% | 43.8% |
5歳 | 33.3% | 28.6% | 28.6% | 25.0% | 40.0% | 29.4% | 38.5% | 15.8% | 19.0% |
6歳 | 15.0% | 29.2% | 16.0% | 18.2% | 7.1% | 20.0% | 16.7% | 13.6% | 28.6% |
7歳 | 0.0% | 17.6% | 18.2% | 6.7% | 0.0% | 0.0% | 12.5% | 10.0% | 0.0% |
8歳 | 0.0% | 15.4% | 0.0% | 0.0% | … | 14.3% | 14.3% | 0.0% | 0.0% |
9歳以上 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | … | 0.0% | 0.0% | … | 0.0% |
もちろんレースによっても差は出るもので、表1では今ひとつだった6歳馬も、6日に行われた京都金杯ではブラックムーンが優勝。このレースは17年までの過去10年で6歳馬が5勝を挙げ、勝率12.5%もトップだった。 そこで表2は、今週行われる1600万〜重賞競走それぞれについて、年齢別の複勝率を調べたものだ。全体を見渡すと、4歳馬はレースによってかなり上下があるのに対し、5歳馬はそれに比べればムラが少ない。特に注目したいのは、日曜に京都で行われるダート1800mの1600万条件戦・雅Sで、4歳馬がなんと【4.1.3.3】で複勝率72.7%をマーク。過去5年のうち、4歳馬の出走が1頭だけだった13年こそ6着に終わったが、14年からは4年連続で2頭が馬券に絡んでいる。このうち15年には、アムールブリエが1000万条件からの連勝を飾り、次走で交流Jpn2・エンプレス杯を制覇。そのエンプレス杯や、名古屋グランプリ連覇など、ダートグレード競走で活躍する足がかりとしており、今年も該当馬がいれば注目は欠かせない。なお、愛知杯は1月に移動した過去2年、初春Sは1600万条件になった過去4年を対象とした。
■表3 1月・古馬1000万条件の年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 | 平均人気 | 芝複率 | ダ複率 |
4歳 | 83-86-57-702/928 | 8.9% | 18.2% | 24.4% | 64% | 74% | 6.4人気 | 28.6% | 21.2% |
5歳 | 75-72-79-660/886 | 8.5% | 16.6% | 25.5% | 94% | 90% | 6.9人気 | 25.7% | 25.4% |
6歳 | 31-28-41-553/653 | 4.7% | 9.0% | 15.3% | 64% | 75% | 9.5人気 | 14.3% | 16.1% |
7歳 | 5-6-17-234/262 | 1.9% | 4.2% | 10.7% | 56% | 55% | 11.1人気 | 10.5% | 10.8% |
8歳 | 1-3-2-82/88 | 1.1% | 4.5% | 6.8% | 33% | 74% | 11.7人気 | 11.9% | 2.2% |
9歳以上 | 0-0-0-11/11 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | 13.5人気 | 0.0% | 0.0% |
続いて1000万条件の成績も見てみたい(表3)。こちらも4〜5歳優勢、回収率なら5歳、という傾向は、表1の1600万〜重賞と変わりはない。ただ、表1では4、5歳とも勝率10%以上、連対率20%以上、複勝率30%以上を確保していたのに対し、1000万条件に下がると、それぞれ好走確率は低下している。もっとも、6歳以上の好走確率が高いかといえばそうでもない。表1では全出走馬の中で4〜5歳馬の占める割合が4割ほどだったのに対し、表3では6割以上。4〜5歳馬同士でつぶし合っている面もあるだろう。
■表4 1月・古馬500万条件の年齢別成績
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 | 平均人気 | 芝複率 | ダ複率 |
4歳 | 190-195-177-2130/2692 | 7.1% | 14.3% | 20.9% | 78% | 78% | 7.8人気 | 20.8% | 20.9% |
5歳 | 118-116-115-1352/1701 | 6.9% | 13.8% | 20.5% | 66% | 75% | 8.0人気 | 18.0% | 21.4% |
6歳 | 24-20-33-362/439 | 5.5% | 10.0% | 17.5% | 91% | 74% | 9.0人気 | 14.5% | 18.7% |
7歳 | 2-3-10-80/95 | 2.1% | 5.3% | 15.8% | 57% | 106% | 10.4人気 | 14.8% | 16.2% |
8歳 | 0-0-0-19/19 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% | 10.8人気 | 0.0% | 0.0% |
9歳以上 | 1-1-0-1/3 | 33.3% | 66.7% | 66.7% | 473% | 713% | 11.7人気 | 100.0% | 50.0% |
最後に表4は、500万条件の成績だ。500万条件になると、4、5歳馬は平均人気も低くなり、複勝率は20%少々まで低下。そして1000万条件と違うのは、6〜7歳馬は複勝率、特にダート戦では4〜5歳馬との差がかなり小さくなり、回収率で見れば4〜5歳ばかりを狙う理由はなくなっている。6〜7歳になっても未だ500万条件にとどまっていては能力的に厳しそうだが、見どころがあるがゆえに中央登録を抹消されていない、と考えたほうがいいだろう。逆に、4歳や降級後の5歳で能力の高い馬なら、この時期には既に500万条件を卒業しているとも考えられる。いずれにしても、3着以内の候補としては6〜7歳でも年齢は気にせず、4〜5歳馬と平等に分析したい。なお、9歳馬は15年のスズカブリザード、そして17年のダブルイーグルと、2頭別の馬が好走している。
以上、1月の年齢別成績をクラスごとにまとめてみた。基本的にはクラスが上がるほど4〜5歳馬の好走確率が高く、下級条件では特に複勝率で4〜5歳とベテラン馬の差は小さくなる。クラスによって年齢別の出走馬占有率が異なるため、レースを見ていて「よく来る」という印象と、好走確率や回収率には差が出てくるだろうが、こういった数字も参考にしつつ馬券を組み立てていきたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。