第1792回 【高松宮記念 × 過去データ分析】ステップレース組の取捨のポイントは?|競馬情報ならJRA-VAN

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【高松宮記念 × 過去データ分析】ステップレース組の取捨のポイントは?

2025/3/27(木)

今週は春のG1開幕戦・高松宮記念が行われる。今年は重賞戦線に大きな変更があり、この高松宮記念に向けたステップレースも阪急杯が従来の中3週から中4週に、そしてオーシャンSが中2週から中3週へと、それぞれ1週ずつ間隔が開いた。この影響がどう出るのか判断は難しいところだが、JRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用して過去10年の傾向を分析してみたい。

近年は穴馬の台頭が目立つ

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 過去3年
1 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 0-0-0-3
2 2-5-0-3/10 20.0% 70.0% 70.0% 0-2-0-1
3 1-1-3-5/10 10.0% 20.0% 50.0% 0-0-0-3
4 1-0-1-8/10 10.0% 10.0% 20.0% 0-0-0-3
5 1-1-1-7/10 10.0% 20.0% 30.0% 0-1-1-1
6~10 3-1-1-45/50 6.0% 8.0% 10.0% 2-0-0-13
11~ 1-1-3-75/80 1.3% 2.5% 6.3% 1-0-2-21

(表1 人気別成績)

過去10年の人気別では、2番人気が【2.5.0.3】で連対率70.0%、3番人気が【1.1.3.5】で複勝率50.0%と上々の結果を残している。ただ、ここ3年にかぎると2番人気こそ【0.2.0.1】だが、1、3、4番人気はいずれも【0.0.0.3】。3着以内の好走馬9頭中5頭を6番人気以下の穴馬が占めており、近年は波乱傾向が強い。

牝馬は好走多数も1勝のみ

性別 年齢 着別度数 勝率 連対率 複勝率
牡・セン 9-3-8-96/116 7.8% 10.3% 17.2%
4歳 2-0-1-15/18 11.1% 11.1% 16.7%
5歳 3-1-1-23/28 10.7% 14.3% 17.9%
6歳 2-2-4-18/26 7.7% 15.4% 30.8%
7歳 2-0-1-21/24 8.3% 8.3% 12.5%
8歳 0-0-1-14/15 0.0% 0.0% 6.7%
9歳以上 0-0-0-5/5 0.0% 0.0% 0.0%
牝馬 1-7-2-54/64 1.6% 12.5% 15.6%
4歳 0-3-1-17/21 0.0% 14.3% 19.0%
5歳 1-3-1-15/20 5.0% 20.0% 25.0%
6歳 0-1-0-18/19 0.0% 5.3% 5.3%
7歳 0-0-0-4/4 0.0% 0.0% 0.0%

(表2 性齢別成績)

性別の成績をみると、牡・セン馬【9.3.8.96】勝率7.8%に対し、牝馬は【1.7.2.54】同1.6%。複勝率は16%前後でほぼ互角ながら、牝馬は好走時の2着止まりが多く優勝したのは2020年のモズスーパーフレア1頭だ。

年齢も含めてみると、牡・セン馬は7歳まで勝率はほぼ互角だが、複勝率では6歳が30.8%で他を大きくリードしている。牝馬は4歳よりも5歳のほうが好走確率はやや高い。そして牡・セン馬は8歳以上のベテランになると【0.0.1.19】、牝馬は6歳以上が【0.1.0.22】。牡・セン馬なら7歳以下、牝馬は4~5歳馬が狙いだ。

前走G3組に好走馬多数

前走クラス・レース 着別度数 勝率 連対率 複勝率
OPEN 0-0-0-3/3 0.0% 0.0% 0.0%
G3 7-8-7-128/150 4.7% 10.0% 14.7%
G2 0-1-1-7/9 0.0% 11.1% 22.2%
G1 0-1-0-3/4 0.0% 25.0% 25.0%
海外 3-0-2-9/14 21.4% 21.4% 35.7%
シルクロードS 5-2-0-25/32 15.6% 21.9% 21.9%
香港SP(前年のみ) 2-0-1-4/7 28.6% 28.6% 42.9%
阪急杯 1-2-3-34/40 2.5% 7.5% 15.0%
オーシャンS 1-1-4-52/58 1.7% 3.4% 10.3%
京都牝馬S 0-3-0-11/14 0.0% 21.4% 21.4%
阪神カップ 0-1-1-7/9 0.0% 11.1% 22.2%

(表3 前走クラス・主な前走レース別成績)

高松宮記念はG1にしては珍しくG2の前哨戦が存在せず、シルクロードS、阪急杯、そしてオーシャンSとステップレースはG3ばかりだ。好走馬が多いのもこれらG3組で、京都牝馬Sが休止された今年はG3組なら上記3競走に絞っていいだろう。

その他では、前年末の香港スプリント組が【2.0.1.4】複勝率42.9%の好成績を残している(前々年の香港スプリント以来、約1年3カ月ぶりだった2023年13着ピクシーナイトは除く)。なお、レース間隔は開いてもその香港スプリントや阪神Cあたりまでで、前走が前年11月以前だった好走馬は不在だ。

前走G3組なら5番人気以内かつ5着以内だった馬

前走人気・着順 着別度数 勝率 連対率 複勝率
1番人気 2-5-2-11/20 10.0% 35.0% 45.0%
2番人気 1-1-1-21/24 4.2% 8.3% 12.5%
3番人気 0-0-1-13/14 0.0% 0.0% 7.1%
4番人気 3-0-1-13/17 17.6% 17.6% 23.5%
5番人気 0-2-0-12/14 0.0% 14.3% 14.3%
6~9番人気 0-0-1-31/32 0.0% 0.0% 3.1%
10番人気以下 1-0-1-27/29 3.4% 3.4% 6.9%
1着 1-5-0-22/28 3.6% 21.4% 21.4%
2着 3-2-2-17/24 12.5% 20.8% 29.2%
3着 0-0-1-13/14 0.0% 0.0% 7.1%
4着 1-0-1-4/6 16.7% 16.7% 33.3%
5着 1-0-2-8/11 9.1% 9.1% 27.3%
6~9着 1-0-1-28/30 3.3% 3.3% 6.7%
10着以下 0-1-0-36/37 0.0% 2.7% 2.7%

(表4 前走G3組の前走人気・前走着順別成績)

冒頭で触れたように、今年は阪急杯やオーシャンSとのレース間隔が従来より1週ずつ開いたほか、3頭の好走馬を出していた京都牝馬Sが休止になったことから、G3の各競走は判断が難しい。そこでレース個別ではなく「前走G3」という大きな括りでみると、この組の好走馬22頭中19頭が前走5番人気以内で、同じく19頭は前走5着以内だった。この双方、「前走G3で5番人気以内かつ5着以内」を満たす馬は【5.7.5.41】で複勝率29.3%と、G3組全体の同14.7%に比べかなり好走確率は高くなる。ここからさらに年齢や性別で絞るのが良さそうだ。

香港スプリント組は前年スプリンターズS連対の牡馬

馬名 性齢 着順
高松宮記念 香港スプリント スプリンターズS
2015 ストレイトガール 牝6 13着 3着 2着
2016 サクラゴスペル 牡8 17着 12着 2着
2017 レッドファルクス 牡6 3着 12着 1着
2021 ダノンスマッシュ 牡6 1着 1着 2着
2022 レシステンシア 牝5 6着 2着 2着
2023 メイケイエール 牝5 12着 5着 14着
2024 マッドクール 牡5 1着 8着 2着

(表5 前走香港スプリント(前年)からの出走馬)

最後に、前走で前年の香港スプリントに出走していた馬もみておきたい。該当馬は表5の7頭。このうち「5~6歳の牡馬」「前年のスプリンターズSで連対」していた馬は昨年1着のマッドクールなど【2.0.1.0】複勝率100%。逆にこれを満たせなかった馬は全馬が6着以下に敗退していた。

【結論】

ペアポルックスと香港スプリント組に注目!

今年の登録馬にはシルクロードSや阪急杯で「5番人気以内かつ5着以内」に入った馬はおらず、ステップレース3競走の中ではオーシャンS1番人気1着のママコチャ、3番人気2着のペアポルックスが候補に挙げられる(5番人気4着のヴェントヴォーチェは回避)。ただ、ママコチャは表2から減点が必要な6歳牝馬。G3組の筆頭格は4歳牡馬のペアポルックスでいいだろう。ここ3年は穴馬が多く好走していることから、あまり人気がなさそうな点も大きな魅力になる。

香港スプリント組は3頭の登録があり、このうち昨年のスプリンターズSで連対していたのはルガル(1着)とトウシンマカオ(2着)。特に6歳牡馬のトウシンマカオへの注目は欠かせない。香港スプリントではそれぞれ11着、9着だったが、表5にあるようにこの組は前走着順不問だ。

また、今年は阪神C組のナムラクレア、マッドクールも注目されそうだが、この組は過去10年で【0.1.1.7】と2頭しか好走がなく、その2頭の共通点も見つけがたい。性齢からは6歳牝馬のナムラクレアよりは、6歳牡馬のマッドクールのほうが有力になる。ただ、過去10年の6歳牝馬で唯一好走したレッツゴードンキ(2018年2着)は、前年の本競走でも2着に入っていた。ナムラクレアは本競走2年連続2着の実績馬。レッツゴードンキ同様に好走する可能性も考えておきたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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