【高松宮記念 × 過去データ分析】ステップレース組の取捨のポイントは?
2025/3/27(木)
今週は春のG1開幕戦・高松宮記念が行われる。今年は重賞戦線に大きな変更があり、この高松宮記念に向けたステップレースも阪急杯が従来の中3週から中4週に、そしてオーシャンSが中2週から中3週へと、それぞれ1週ずつ間隔が開いた。この影響がどう出るのか判断は難しいところだが、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去10年の傾向を分析してみたい。
近年は穴馬の台頭が目立つ
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 過去3年 |
1 | 1-1-1-7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 0-0-0-3 |
2 | 2-5-0-3/10 | 20.0% | 70.0% | 70.0% | 0-2-0-1 |
3 | 1-1-3-5/10 | 10.0% | 20.0% | 50.0% | 0-0-0-3 |
4 | 1-0-1-8/10 | 10.0% | 10.0% | 20.0% | 0-0-0-3 |
5 | 1-1-1-7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 0-1-1-1 |
6~10 | 3-1-1-45/50 | 6.0% | 8.0% | 10.0% | 2-0-0-13 |
11~ | 1-1-3-75/80 | 1.3% | 2.5% | 6.3% | 1-0-2-21 |
(表1 人気別成績)
過去10年の人気別では、2番人気が【2.5.0.3】で連対率70.0%、3番人気が【1.1.3.5】で複勝率50.0%と上々の結果を残している。ただ、ここ3年にかぎると2番人気こそ【0.2.0.1】だが、1、3、4番人気はいずれも【0.0.0.3】。3着以内の好走馬9頭中5頭を6番人気以下の穴馬が占めており、近年は波乱傾向が強い。
牝馬は好走多数も1勝のみ
性別 | 年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
牡・セン | 全 | 9-3-8-96/116 | 7.8% | 10.3% | 17.2% |
4歳 | 2-0-1-15/18 | 11.1% | 11.1% | 16.7% | |
5歳 | 3-1-1-23/28 | 10.7% | 14.3% | 17.9% | |
6歳 | 2-2-4-18/26 | 7.7% | 15.4% | 30.8% | |
7歳 | 2-0-1-21/24 | 8.3% | 8.3% | 12.5% | |
8歳 | 0-0-1-14/15 | 0.0% | 0.0% | 6.7% | |
9歳以上 | 0-0-0-5/5 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | |
牝馬 | 全 | 1-7-2-54/64 | 1.6% | 12.5% | 15.6% |
4歳 | 0-3-1-17/21 | 0.0% | 14.3% | 19.0% | |
5歳 | 1-3-1-15/20 | 5.0% | 20.0% | 25.0% | |
6歳 | 0-1-0-18/19 | 0.0% | 5.3% | 5.3% | |
7歳 | 0-0-0-4/4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
(表2 性齢別成績)
性別の成績をみると、牡・セン馬【9.3.8.96】勝率7.8%に対し、牝馬は【1.7.2.54】同1.6%。複勝率は16%前後でほぼ互角ながら、牝馬は好走時の2着止まりが多く優勝したのは2020年のモズスーパーフレア1頭だ。
年齢も含めてみると、牡・セン馬は7歳まで勝率はほぼ互角だが、複勝率では6歳が30.8%で他を大きくリードしている。牝馬は4歳よりも5歳のほうが好走確率はやや高い。そして牡・セン馬は8歳以上のベテランになると【0.0.1.19】、牝馬は6歳以上が【0.1.0.22】。牡・セン馬なら7歳以下、牝馬は4~5歳馬が狙いだ。
前走G3組に好走馬多数
前走クラス・レース | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
OPEN | 0-0-0-3/3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
G3 | 7-8-7-128/150 | 4.7% | 10.0% | 14.7% |
G2 | 0-1-1-7/9 | 0.0% | 11.1% | 22.2% |
G1 | 0-1-0-3/4 | 0.0% | 25.0% | 25.0% |
海外 | 3-0-2-9/14 | 21.4% | 21.4% | 35.7% |
シルクロードS | 5-2-0-25/32 | 15.6% | 21.9% | 21.9% |
香港SP(前年のみ) | 2-0-1-4/7 | 28.6% | 28.6% | 42.9% |
阪急杯 | 1-2-3-34/40 | 2.5% | 7.5% | 15.0% |
オーシャンS | 1-1-4-52/58 | 1.7% | 3.4% | 10.3% |
京都牝馬S | 0-3-0-11/14 | 0.0% | 21.4% | 21.4% |
阪神カップ | 0-1-1-7/9 | 0.0% | 11.1% | 22.2% |
(表3 前走クラス・主な前走レース別成績)
高松宮記念はG1にしては珍しくG2の前哨戦が存在せず、シルクロードS、阪急杯、そしてオーシャンSとステップレースはG3ばかりだ。好走馬が多いのもこれらG3組で、京都牝馬Sが休止された今年はG3組なら上記3競走に絞っていいだろう。
その他では、前年末の香港スプリント組が【2.0.1.4】複勝率42.9%の好成績を残している(前々年の香港スプリント以来、約1年3カ月ぶりだった2023年13着ピクシーナイトは除く)。なお、レース間隔は開いてもその香港スプリントや阪神Cあたりまでで、前走が前年11月以前だった好走馬は不在だ。
前走G3組なら5番人気以内かつ5着以内だった馬
前走人気・着順 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 2-5-2-11/20 | 10.0% | 35.0% | 45.0% |
2番人気 | 1-1-1-21/24 | 4.2% | 8.3% | 12.5% |
3番人気 | 0-0-1-13/14 | 0.0% | 0.0% | 7.1% |
4番人気 | 3-0-1-13/17 | 17.6% | 17.6% | 23.5% |
5番人気 | 0-2-0-12/14 | 0.0% | 14.3% | 14.3% |
6~9番人気 | 0-0-1-31/32 | 0.0% | 0.0% | 3.1% |
10番人気以下 | 1-0-1-27/29 | 3.4% | 3.4% | 6.9% |
1着 | 1-5-0-22/28 | 3.6% | 21.4% | 21.4% |
2着 | 3-2-2-17/24 | 12.5% | 20.8% | 29.2% |
3着 | 0-0-1-13/14 | 0.0% | 0.0% | 7.1% |
4着 | 1-0-1-4/6 | 16.7% | 16.7% | 33.3% |
5着 | 1-0-2-8/11 | 9.1% | 9.1% | 27.3% |
6~9着 | 1-0-1-28/30 | 3.3% | 3.3% | 6.7% |
10着以下 | 0-1-0-36/37 | 0.0% | 2.7% | 2.7% |
(表4 前走G3組の前走人気・前走着順別成績)
冒頭で触れたように、今年は阪急杯やオーシャンSとのレース間隔が従来より1週ずつ開いたほか、3頭の好走馬を出していた京都牝馬Sが休止になったことから、G3の各競走は判断が難しい。そこでレース個別ではなく「前走G3」という大きな括りでみると、この組の好走馬22頭中19頭が前走5番人気以内で、同じく19頭は前走5着以内だった。この双方、「前走G3で5番人気以内かつ5着以内」を満たす馬は【5.7.5.41】で複勝率29.3%と、G3組全体の同14.7%に比べかなり好走確率は高くなる。ここからさらに年齢や性別で絞るのが良さそうだ。
香港スプリント組は前年スプリンターズS連対の牡馬
年 | 馬名 | 性齢 | 着順 | ||
高松宮記念 | 香港スプリント | スプリンターズS | |||
2015 | ストレイトガール | 牝6 | 13着 | 3着 | 2着 |
2016 | サクラゴスペル | 牡8 | 17着 | 12着 | 2着 |
2017 | レッドファルクス | 牡6 | 3着 | 12着 | 1着 |
2021 | ダノンスマッシュ | 牡6 | 1着 | 1着 | 2着 |
2022 | レシステンシア | 牝5 | 6着 | 2着 | 2着 |
2023 | メイケイエール | 牝5 | 12着 | 5着 | 14着 |
2024 | マッドクール | 牡5 | 1着 | 8着 | 2着 |
(表5 前走香港スプリント(前年)からの出走馬)
最後に、前走で前年の香港スプリントに出走していた馬もみておきたい。該当馬は表5の7頭。このうち「5~6歳の牡馬」で「前年のスプリンターズSで連対」していた馬は昨年1着のマッドクールなど【2.0.1.0】複勝率100%。逆にこれを満たせなかった馬は全馬が6着以下に敗退していた。
【結論】
ペアポルックスと香港スプリント組に注目!
今年の登録馬にはシルクロードSや阪急杯で「5番人気以内かつ5着以内」に入った馬はおらず、ステップレース3競走の中ではオーシャンS1番人気1着のママコチャ、3番人気2着のペアポルックスが候補に挙げられる(5番人気4着のヴェントヴォーチェは回避)。ただ、ママコチャは表2から減点が必要な6歳牝馬。G3組の筆頭格は4歳牡馬のペアポルックスでいいだろう。ここ3年は穴馬が多く好走していることから、あまり人気がなさそうな点も大きな魅力になる。
香港スプリント組は3頭の登録があり、このうち昨年のスプリンターズSで連対していたのはルガル(1着)とトウシンマカオ(2着)。特に6歳牡馬のトウシンマカオへの注目は欠かせない。香港スプリントではそれぞれ11着、9着だったが、表5にあるようにこの組は前走着順不問だ。
また、今年は阪神C組のナムラクレア、マッドクールも注目されそうだが、この組は過去10年で【0.1.1.7】と2頭しか好走がなく、その2頭の共通点も見つけがたい。性齢からは6歳牝馬のナムラクレアよりは、6歳牡馬のマッドクールのほうが有力になる。ただ、過去10年の6歳牝馬で唯一好走したレッツゴードンキ(2018年2着)は、前年の本競走でも2着に入っていた。ナムラクレアは本競走2年連続2着の実績馬。レッツゴードンキ同様に好走する可能性も考えておきたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。