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第1023回 積極性が大事? 続・新人騎手をチェック

2016/6/27(月)

先週月曜日の当コラム(第1021回)でケンタロウ氏が取り上げた、今年の新人騎手についてもう少し考えてみたい。現時点での成績を見て、要因となったデータや馬券に生かせそうな特徴をもう少し探ってみることにする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用した。

■表1 今年デビューの新人騎手成績(6/19終了時点)

騎手名 着別度数 1 2 3 4以下 鞍数 勝率 連対率 複勝率
木幡巧也 14- 12- 11-165(202) 14 12 11 165 202 6.9 12.9 18.3
荻野極 8-  8-  5-115(136) 8 8 5 115 136 5.9 11.8 15.4
坂井瑠星 8-  7-  7-104(126) 8 7 7 104 126 6.3 11.9 17.5
藤田菜七子 4-  5-  3-124(136) 4 5 3 124 136 2.9 6.6 8.8
菊沢一樹 3-  5-  5-155(168) 3 5 5 155 168 1.8 4.8 7.7
森裕太朗 3-  5-  1- 64( 73) 3 5 1 64 73 4.1 11 12.3

表1は今年デビューした6人の新人騎手の成績。先週の当コラムで取り上げたものに1週分加わっただけだが、現時点では木幡巧也騎手が14勝をマーク。騎乗数が最も多いことも影響しているが、勝率も坂井瑠星騎手を押さえて6.9%でトップ。連対率12.9%、複勝率18.3%もトップの成績だ。

2位が荻野極騎手。2着の回数の差でわずかながら坂井騎手が3位。注目の女性騎手・藤田菜七子騎手は4勝をマーク。それから菊沢一樹騎手、森裕太朗騎手がそれぞれ3勝となっている。

まだデビューして間もないが、現状このような成績順となった理由を少し考えてみたい。無論、馬の質の違いがあるので、一概に正しいとは言えないと思うが、脚質面の特徴について指摘したい。

■表2 新人騎手6人の脚質別シェア数

脚質/騎手 木幡 荻野 坂井 藤田 菊沢
平地・逃げ 7.9% 11.0% 4.0% 7.4% 6.5% 6.8%
平地・先行 34.2% 19.9% 22.2% 14.0% 13.1% 13.7%
平地・中団 38.6% 33.1% 41.3% 30.9% 29.8% 28.8%
平地・後方 19.3% 36.0% 31.0% 47.8% 50.6% 50.7%
平地・マクリ 0.0% 0.0% 0.8% 0.0% 0.0% 0.0%

表2は6人の騎手の脚質別シェア数。ここまで騎乗した全レースを対象に、逃げ・先行・中団(差し)・後方(追い込み)・マクリの5タイプに分け、どの位置取りでレースをした割合が多いかを調べたもの。例えば、木幡騎手は先行と中団が30%台。追い込みは19.3%で、逃げが7.9%となっている。荻野騎手は中団・後方がそれぞれ30%台。坂井騎手は中団の比率が高く40%台。藤田騎手、菊沢騎手、森騎手は後方の割合が高く、約50%となっている。こうしてみると人によってかなり違うことがわかる。同時に、ここまで一番勝ち鞍を挙げているのが木幡騎手であることも納得できる。

というのも、やはり競馬はある程度いい位置(好位)につけることが大事だからだ。先行の割合が34.2%と、他の5人に比べて圧倒的に高い木幡騎手が一番勝っているのは偶然ではないと思う。現在、リーディングトップである戸崎圭太騎手の脚質別シェア数を見ると、先団と中団が30%台となっていた。逃げ・追い込みといった極端な脚質の割合は、少なかった。

先ほども述べたように無論、馬の質の違いはある。前に行きたくてもいけない馬に騎乗するケースもあるのは承知の上だ。しかし、それでも後方に位置する割合が約50%というのは、かなり多い印象だ。展開がはまる可能性としても、後ろにいるよりは前々で競馬をしていた方が、「何かが起きる」可能性が高いのではないだろうか。先輩ジョッキーに囲まれて遠慮してしまう面もあるかもしれないが、新人ジョッキーらしく積極的なレース運びをすることが重要ではないだろうか。そうすれば勝ち鞍につながるだろうし、周囲へのアピールにもなる気がする。

次は個々の騎手についての特徴を見ていく。木幡騎手と森騎手については、先週ケンタロウ氏が述べていたように距離別の成績に特徴があることがすぐにわかる。木幡騎手は中長距離の成績がいい。この点は新人らしからぬ特徴だ。ただ、まだ特別戦では馬券になっていない(藤田騎手は特別戦で勝利経験がある)。

対照的に森騎手は短距離で好成績を挙げている。1000〜1300mの忙しい距離で、ここまで3勝をマーク。表2では後方のシェアがもっとも高かったが、もう少し前々で競馬ができるようになれば、この距離で活躍できそうだ。

■表3 坂井瑠星騎手の上位人気成績

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1〜2人気 5-  3-  1-  1/ 10 50.0% 80.0% 90.0% 203 146
1〜3人気 6-  4-  1-  3/ 14 42.9% 71.4% 78.6% 195 140

坂井騎手の特徴は、上位人気での信頼の高さ(表3参照)。1〜2番人気での勝率が50%、連対率が80%、複勝率が90%。地力・成績上位の馬に乗れたとはいえ、この成績はかなり優秀だ。単・複回収率がとも100%を超えている点もめずらしく、かなり魅力。人気のプレッシャーにも強いと言えるだろう。

■表4 坂井瑠星騎手の乗り替わり時の成績

順位 前走騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 ◆乗替り 8-  6-  6- 85/105 7.6% 13.3% 19.0% 271 103
2 川田将雅 1-  1-  0-  1/  3 33.3% 66.7% 66.7% 7036 1406
3 酒井学 1-  0-  0-  5/  6 16.7% 16.7% 16.7% 86 31
4 岩田康誠 1-  0-  0-  2/  3 33.3% 33.3% 33.3% 90 53
5 中井裕二 1-  0-  0-  1/  2 50.0% 50.0% 50.0% 2330 300
6 藤岡康太 1-  0-  0-  1/  2 50.0% 50.0% 50.0% 155 80
7 池添謙一 1-  0-  0-  1/  2 50.0% 50.0% 50.0% 270 105
8 武豊 1-  0-  0-  1/  2 50.0% 50.0% 50.0% 195 90
9 M.デムーロ 1-  0-  0-  0/  1 100.0% 100.0% 100.0% 700 300

また、坂井騎手は乗り替わり時(表4参照)が狙い目。勝ち鞍はすべて前走からの乗り替わりだった。川田、岩田、池添、武豊、デムーロとったトップジョッキーからの手替わりで結果を出している点が素晴らしい。単・複回収率も優秀。リーディング上位のジョッキーからの乗り替わりでも、プラスに考えることができる。オッズ的にもおいしいと言えるケースが多いことだろう。

■表5 菊沢一樹騎手の前走騎手別成績

順位 前走騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
1 菊沢一樹 3-  2-  2- 39/ 46 6.5% 10.9% 15.2% 138 69
2 ◆同騎手 3-  2-  2- 39/ 46 6.5% 10.9% 15.2% 138 69
3 ◆乗替り 0-  3-  3-109/115 0.0% 2.6% 5.2% 0 18
4 木幡初也 0-  1-  0-  7/  8 0.0% 12.5% 12.5% 0 25
5 柴田善臣 0-  1-  0-  2/  3 0.0% 33.3% 33.3% 0 93
6 三浦皇成 0-  1-  0-  1/  2 0.0% 50.0% 50.0% 0 100
7 藤田菜七 0-  0-  1-  3/  4 0.0% 0.0% 25.0% 0 265
8 黛弘人 0-  0-  1-  2/  3 0.0% 0.0% 33.3% 0 56
9 石橋脩 0-  0-  1-  1/  2 0.0% 0.0% 50.0% 0 95

それと対照的なのが菊沢騎手。前走からの乗り替わりではまだ勝利していない。勝利しているのは継続騎乗時のみ。一度実戦で騎乗し、その感触をつかんでから次の騎乗に生かすタイプの騎手なのかもしれない。馬券的にはこうしたケースの際に注目したい。

■表6 荻野極騎手の脚質別成績

脚質 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収率 複回収率
平地・逃げ 4-  3-  1-  7/ 15 26.7% 46.7% 53.3% 3163 865
平地・先行 4-  3-  1- 19/ 27 14.8% 25.9% 29.6% 88 146
平地・中団 0-  2-  3- 40/ 45 0.0% 4.4% 11.1% 0 192
平地・後方 0-  0-  0- 49/ 49 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

2016/4/10 阪神3R 3歳未勝利 1着 12番 タガノインペーロ

最後に荻野騎手について。彼の特徴は何と言っても前々で競馬した時の破壊力。逃げ・先行がそれぞれ4勝。4月10日、阪神3Rでは15番人気のタガノインペーロに騎乗し、逃げ切り勝ち。単勝433.9倍という超大穴を提供したことでも話題となった。6月5日、阪神12Rでも14番人気のグルーヴァーを2着に残す騎乗で、万馬券を提供。インパクトに残る結果を出している。表2のシェア率では中団・後方の割合が30%台となっているが、逃げの割合は6人の中で最も高い。前々に行く積極性は、最も感じさせる騎手だ。今後もこのようなアピールを続けていれば、乗り馬にも恵まれるし、好結果が出そうな印象だ。この夏の競馬で、大いに注目したい。

ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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