傾向と対策

POG’24からトータルポイント賞一本になったJRA-VAN POG。一方で競馬そのものも、コントレイル産駒のデビューなど、今年度は変化を感じさせる要素が多い。正直手探りではあるが、今年のPOGをどう戦うべきか考えていこう。


1. 牡馬・牝馬の指名のバランスは?

トータルポイント賞は、他人と指名がかぶってでも賞金を稼ぐ馬を指名しなければならない。昨年度からは、シェアポイント賞を楽しんでいた人たちも合流しているので、ゲームのレベルは今年もさらに上がるだろう。2〜3歳のGTをすべて勝つくらいの意気込みでいかねばならない。

まず、考えるべきは指名する10頭の馬の牡馬と牝馬のバランスだ。POG期間内のGTではダービーの賞金が圧倒的で、オークスとの賞金差は大きい。また、皐月賞と桜花賞の間にも賞金差がある。

そう考えると指名馬を牡馬で固めたほうが一見有利に見えるのだが、10頭すべてを牡馬で固めると牝馬限定GTは全くカバーできないので、牡馬と牝馬のトップホースを見事に当てたプレイヤーには先着できなくなる。期待値だけなら牡馬固めのほうが高いが、トップに立つにはパーフェクト指名を目指さなければならないということである。

この原稿の執筆時点では2024-25シーズンはまだ終了していないので、2023-24シーズンを参考にすると、ダービー週までの本賞金ベスト10(JRAの競走のみ)は牡馬・牝馬5頭ずつ。これはレガレイラがホープフルSを勝ったことも影響しているのではと思い2022-23シーズンも調べてみると、牡馬7頭・牝馬3頭。2021-22シーズンも同じだった。牡馬・牝馬の指名バランスは7:3か6:4あたりがよいように思う。牝馬指名が得意な人は5:5でもいいだろう。

馬のタイプとしては、打率タイプよりも本塁打タイプを狙うべきかと思う。こちらについては血統の話にもなるので、次項に続けていく。

2. 種牡馬はなにを重視すべき?

どの種牡馬を重視すべきかというのは、たいへん難しい問題である。個人的な見立てでは、昨年度のPOGはエピファネイア、キズナ、キタサンブラック、ドゥラメンテの四天王状態だったと思うのだが、そこからドゥラメンテ産駒がいなくなり、今年はコントレイルが加わってくる。コントレイルにはどの大手牧場も力を入れており、なんらかの大物が出ることは間違いないだろう。

そのコントレイル産駒についてだが、どのような配合が良いのかは血統専門の評論家でも生産者でも簡単に答えが出せるものではないので、あくまで競馬評論家の観点から考察してみたい。

コントレイルは、サイズ的には大きくはない種牡馬である。デビュー時が456キロで、最高馬体重472キロで臨んだ大阪杯では、生涯で唯一連対を外した。父ディープインパクトにタイプが似ているという指摘もあり、ならば父を参考にして配合パターンを考えればよいのではないだろうか、と考えた。

ディープインパクト産駒で大物が出た母の父を系統で見ると、ジェンティルドンナやサトノダイヤモンドのダンジグ系、コントレイル自身やワグネリアンのミスタープロスペクター系、グランアレグリアやシャフリヤールのエーピーインディ系、ショウナンパンドラやマカヒキのデピュティミニスター系、キズナやリアルスティールのストームキャット系が挙げられるが、ここから分かることは、「いまどきの主要系統とはたいてい合う」ということである。

ただ、コントレイル産駒という話だと、そこに母の父ミスタープロスペクター系ではミスタープロスペクターが濃くなりすぎることもある。エーピーインディ系やデピュティミニスター系との配合は、馬によってはダートに向く可能性もある。

単純計算だと母の父がダンジグ系かストームキャット系、母の母の父はその2系統に加えてミスタープロスペクター系も、という条件で探す方法が単純で実行しやすい。また、母の母の父がサンデーサイレンスの直仔であれば、サンデーサイレンスの3×4になるパターンからもなにかしら活躍馬が出るだろう。

その他の種牡馬のタイプでいうと、1項目で書いたように本塁打タイプを重視する必要があるので、キズナとキタサンブラックだと後者の産駒がより期待値が高いということになる。ただ、キタサンブラックのようなタイプは外したときのダメージも大きいので、ひねらずに評判の良い馬や早期デビュー馬を狙うのがよいだろう。

個人的には、この世代についてはエピファネイアを重視したい。筆者が編集している「POGの達人」(赤本)も、気が付けば巻頭の社台グループ写真コーナーに占めるエピファネイア産駒の割合がかなり高くなってしまった。それだけこの世代は配合相手に恵まれているということだ。エピファネイア産駒は気性さえまともなら距離はこなせるし、牝馬の場合は気性が勝ってきてもマイルにフィットする。ダートは得意でない種牡馬だが、POGではそこは問題にならない。

3. どうやって他プレイヤーと差別化する?

いわゆる「ベタな指名」だと他人と差がつかないので、いかに違いを作っていくかというのもPOGの重要なテーマである。ただ、間違った方向に変化をつけてもいけない。

厩舎選びについては、開業10年目以内の有望厩舎を積極的に指名することをおすすめしたい。桜花賞を美浦の森一誠厩舎(エンブロイダリー)が制したが、同厩舎は今年の2歳馬にも良さそうな素材がいる。栗東も高柳大輔厩舎(ミュージアムマイル)が皐月賞を制したように、厩舎勢力図が少しずつ変わってきているのを感じる。このタイプの指名をするときは、やはりノーザンファーム系のクラブ馬を狙うのがよいだろう。

桜花賞 エンブロイダリー

エンブロイダリーで桜花賞を制した森一誠厩舎

皐月賞 ミュージアムマイル

ミュージアムマイルで皐月賞を制した高柳大輔厩舎

トータルポイント賞のような方向性だと、どうしてもノーザンファームの生産馬・育成馬が多くなってしまうと思うが、そこに変化をつけるためにも社台ファーム生産馬・育成馬は盛り込んでいきたい。現3歳世代でもマスカレードボールとアドマイヤズームが賞金上位に入っているが、社台ファームは2024年に鈴鹿の拠点ができたこともあり、さらに走ってくる予感がする。

悩むのがノースヒルズ勢で、今年力を入れているコントレイルと、既に産駒が走ることが分かっているキズナと、どちらを取るかという問題がある。ただ先述したように、トータルポイント賞はハイリスク・ハイリターンな指名をしたいところ。個人的にはコントレイルにこだわりたい


国内最大級のPOG大会だけに、JRA-VAN POGで上位に入ったり、優勝したりすることは容易ではありません。しかしそれだけやり甲斐のあるチャレンジでもあります。ぜひ悔いの残らない指名馬選びをなさってください。

注記:当コンテンツは2025年5月14日時点での情報を基に制作しております。