セレクトセール2020

セレクトセールの歴史

セレクトセールに2度上場された馬が、63年ぶりの快挙を成し遂げた

セレクトセールの歴史というよりも、日本競馬にとって歴史的な快挙と言えよう。

「セレクトセール2018」の1歳セッションに上場され、1200万円で落札されたデアリングタクトは、今年の桜花賞、そしてオークスを無敗で優勝して牝馬二冠馬となった。無敗での牝馬二冠制覇は、1957年のミスオンワード以来63年ぶり、史上2頭目という快挙である。

デアリングタクト/2020年オークス

デアリングタクト/2020年オークス
「セレクトセール2018」1歳(1200万円)

デアリングタクトは、実はその前年となる「セレクトセール2017」の当歳セッションにも上場されていた。その時は主取りとなったデアリングタクトを、翌年にも同じせりに持ってきた生産者の長谷川牧場。その長谷川牧場から託される形で、見事なコンサイニングを行ったパイオニアファーム。そして、選び取ったデアリングタクトの才能を開花させたノルマンディーファームや厩舎関係者。ファンの声援だけでなく、様々な人々の思いを背負いながら、この秋、デアリングタクトは史上初となる無敗での牝馬三冠へと挑んでいく。

セール出身馬のディープインパクト、キングカメハメハが相次いで天に召される

昨年のセールの後は、セレクトセールだけでなく、日本競馬にとって悲しい出来事があった。

共にセレクトセールの出身馬で、共に日本ダービー馬となっただけでなく、種牡馬としてもリーディングサイアーとなるほどの活躍を見せたディープインパクトとキングカメハメハが、相次いで天国へと旅立っていった。

ディープインパクト

ディープインパクト
「セレクトセール2002」当歳(7000万円)

父亡き後もその名声を高めるかのように2頭の産駒は活躍を続けていき、セールで取引されたディープインパクト産駒では、2016年の当歳セッションにて2億4000万円で取引されたワールドプレミアが、その高い評価に応えるかのように昨年の菊花賞を優勝。2016年の1歳セッションにて5200万円で取引されたグローリーヴェイズは、昨年の香港ヴァーズを制して世界にその名を轟かせた。

ワールドプレミア/2019年菊花賞

ワールドプレミア/2019年菊花賞
「セレクトセール2016」当歳(2億4000万円)

グローリーヴェイズ/2019年香港ヴァーズ

グローリーヴェイズ/2019年香港ヴァーズ
「セレクトセール2016」1歳(5200万円)

種牡馬の父としても、その優れた能力を後世へと伝えているディープインパクトとキングカメハメハ。今年のセレクトセールの当歳セッションにも、ディープインパクトの後継種牡馬となるサトノダイヤモンドとリアルスティールが初年度産駒を送り出す。そして、サトノダイヤモンドもまた「セレクトセール2013」当歳セッションの取引馬であり、その時には2億3000万円という高い評価が与えられていた。

キングカメハメハの後継種牡馬に目を向けると、セレクトセールの取引馬ではないものの、ロードカナロア、ドゥラメンテ、リオンディーズ、ラブリーデイなどが、今年のセールに産駒を送り出している。父の名前だけでなく、優れた能力もまた、後世へと伝えられていく。

セレクトセールが日本競馬のレベルを向上させた

今や世界の競馬とも肩を並べるところまできた日本の競馬界だが、その発展とセレクトセールの歴史とは重なっている。不世出の名種牡馬サンデーサイレンスは、優れた能力を産駒に伝えたのはもちろんのこと、それ以外にも別の効用をもたらした。より強い馬を作るために、サンデーサイレンスの配合相手として、海外から名牝と言われるような繁殖牝馬を続々と日本へ輸入したのだ。

1998年にセレクトセールが始まると、血統的評価、馬体の良さがそろったサンデーサイレンス産駒が上場され、軒並み高額で落札。1億円以上の取引馬に与えられる「ミリオンホース」の言葉を競馬界に認知させた。

サンデーサイレンスがもたらしたセレクトセールの隆盛を、ディープインパクトやキングカメハメハといったトップサイアーがさらにレベルアップさせた。それに伴い、海外からも熱い眼差しが向けられるようになり、今や外国バイヤーの参戦は、珍しいものではなくなった。セレクトセールは、まさに世界のホースマンが注目する競走馬市場になったと言えるだろう。

今年のセレクトセールは、歴史的にも重要なセールとなる

「歴史は繰り返す」というが、競馬の世界、特にセレクトセールにおいては、「歴史は塗り替えられていく」と言っていい。昨年の1歳セッションでの落札総額は、過去最高となる107億3200万円。当歳セッションの落札総額となる97億8400万円を加えた、2日間トータルでの落札総額もまた、過去最高となる205億1600万円を記録。まさに「歴史が塗り替えられていく瞬間」が、毎年のように訪れている。

新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、来場者の限定、また、主催者が設置する「せり受付専用電話」を用いてのせり参加など、一部開催方法が変化した今年のセレクトセール。しかしながら、その歴史を止めなかった主催者だけでなく、せりに向けて上場馬の管理を続けてきた各関係者の思いは、来場者の数は少なくとも、例年と同様の「ストロングセール」という形で証明されていくに違いない。

数十年後、「セレクトセール2020」が、長きにわたる歴史の重要な出来事として語られる時が来るはず。競馬ファンの皆さんも、その節目となる2日間を、ぜひとも見届けてもらいたい。

注記:金額は、全て税抜金額

ライタープロフィール

村本浩平(競馬ライター)

北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。

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