セレクトセール2018
丹下日出夫のセレクトセール日記
7月9日(月)|7月10日(火)
セレクト当歳の第一注目は、新種牡馬ドゥラメンテと、もう一頭モーリスに対する好き嫌い、そして評価。トップバッター301番のコンヴィクション2で、まずはドゥラメンテについて考えようじゃないか。
母は今流行りのアルゼンチーナ(芝2200mG1勝ち)、オープニングを任せるだけあって、骨量豊かで見栄えもいい。さあどうぞと、質問を投げかけてきたが、ドゥラメンテ産駒は、ダイレクトに前方方向に向いて歩き出せるよう、肩回りと前肢が、実にうまく連動しているのではないか。
前へ前へと比重をかけて歩いていれば、少しくらいトモが薄くても、月日を重ね、歩きが精密になり、走り出しもスムーズになる。自然と後肢の送りもついてくるし、実に便利なサスペンションを産駒たちはもっている(ような気がする)。
配合はキングカメハメハ×サンデーサイレンス。キンカメを種付けするか、SS系にするのか。これまでみんなが、贅沢にも悩んでいたように思う。
しかしドゥラメンテを種付けすれば、その両方の血を一発で加えることが可能。ダイナカール→エアグルーヴという牝馬の血も、おまけについてくる。
もしかしてもしかして、ディープインパクトやキングカメハメハに万が一のことがあっても、ドゥラメンテさえ成功してくれれば、ディープ・キンカメ喪失の怖さからも、生産者は解放される?。
SS系やキンカメの肌の牝馬との交配が効かないじゃないかと、マイナスに考える人もいるけれど、どちらが正解なのか。あと2年が過ぎ新馬戦を迎え、結果が出ないと何とも言えないけれど、ワタクシは楽天的に配合美と肉体としての機能性の高さを推奨したい。
冒頭で記した、トップバッターのコンヴィクション2も、もちろん良駒だが、325番のアンズチャンは、ドゥラメンテ産駒にしては、少し脚が短くムチっとした母似の肉体派。397番アイムユアーズは、母は2歳夏の北海道デビュー、フィリーズレビューなど5勝。ミシっと張った母そっくりの栗毛の馬体、展示会場でも人垣ができていた人気者だったが、落札価格・1億8000万円にも納得。461番ブライトメッセージは、トーセンジョーダン一族。336番のダイワパッションは、皐月賞馬エポカドーロの半弟。7200万円は、意外やお買い得だったりして?。
もう一頭の新種牡馬モーリスは、父はスクリーンヒーロー。配合牝馬にSSの血が入っていれば、自然にきれいなインブリードが出来上がる。
産駒たちはみな父に似て、首差しも胸前も厚く、構えの大きな下腹に高性能のエンジンが備わっており、339番のラスティングソング(1億7000万円)は、同産駒を占う、リードする存在になるんでしょう。
なんて、新種牡馬のアレコレの夢想状態も、良血ディープインパクトの登場で、おめめはぱっちり。320番リトルゲルダ、329番シャムロッカーと、漸次お値段も高騰。364番シルヴァースカヤは、1億8000万円。個人的には、この兄弟の中では、シルエット、肌合いが一番好きかも。
400番リアアントニアの登場で、テンションはマックス。お母さんはBCジュヴェナイルフィリーズ優勝。現2歳1歳とディープインパクトを配合してきたし、姉たちも見てきたが、母譲りの、この兄弟の皮膚の薄さ、艶っぽさを、どのように表現すればいいのだろう。
415番ライトニングパール(1億5000万円)は、母が英G1・チェヴァリーパークSの勝ち馬。祖母はジョコンダ2、母の兄弟はサトノクラウン。将来はドバイ、フランス遠征も視野に入っている大駒もいたりする。
キングカメハメハも、昨日に続き当歳セールの売れ行きは好調。317番サンデースマイル2は1億1500万円、382番ヒカルアマランサスは、1億4000万円。404番はホエールキャプチャー―いやまあ、なんともいえない、しなやか四肢を持つ馬だったなぁ。
ハーツクライは309番セレスタ、314番ノーブルステラ、410番オールザウェイベイビー。385番のレディスキッパーの姉は、昨年のオークス3着アドマイヤミヤビ。目元、脚元のラインが姉にソックリです。
当歳セールは、血統馬の品ぞろえも多く、キタサンブラックの全弟(ブラックタイド×シュガーハート・1億2500万円)が、去年に続いて上場。ロードカナロア産駒の356番アゲヒバリは、現2歳の半兄リオンリオン(父ルーラーシップ)もいい馬だなと思ったが、当歳はもしかしてそれ以上かもしれない。
そうして、夕暮れ。大トリのオルフェーヴル×シェルズレイ、7600万円で2018年のセレクトセールも大団円。
億超えの頭数は昨日より少なく、いつもの年より静かにセリが進行していったような気がしていたが、一頭平均価格は4028万円。総売り上げは82億5750万円ですか。
みなさま、しっかり、がっつり、お買い物をなさったんですね。
お疲れ様です。
※金額はすべて税抜き
ライタープロフィール
丹下日出夫(競馬評論家)
「ホースニュース馬」を経て現在は毎日新聞本紙予想。POG大魔王の通称も定着している。