近年は重賞ウィナーを多数輩出し、躍進が続く浦河地区。BTC(軽種馬育成調教センター)を中心にズラリと並んだ育成牧場群から次々とスターが生まれ、かつての輝きを取り戻している。
その代表格が浦河きっての老舗、三嶋牧場だ。2024年〜2025年の間に4頭のGIホースを輩出。そのうちの1頭、ルガルは先日行われたドバイWCデー『GIアルツオークスプリント』で僅差の2着。ついに世界の扉をこじあけた。
そのルガルの半弟アタブ24(父コントレイル)について同場の藤井健太調教主任は、
「調教は順調。今はワンランク上の段階を求めて乗り込んでいます。父の血を濃く受け継いだ感じはありますが、バランスの良さや背中の良さは兄似。母の子は牡馬の方が走る傾向にあるので、楽しみですね」
と期待を寄せる。取材時の馬体重451kgということで、「もう少しこちらで成長を促がしたいと思います」と藤井主任。さらなるパワーアップを遂げた先には大舞台が待っていることだろう。
ひと目でわかる格好良さと、シュッと垢抜けた馬体が目を引いたのはトレースイスラ24(牡、父シルバーステート)。母の半弟には牧場の歴史に名を刻んだGI馬メイショウハリオとテーオーロイヤルがいる。
「入厩時より30kg以上体重が増えて、見栄えのする馬体になりました」というとおり、取材時の馬体重485kgとすでに十分なサイズ感。
「ここにきて背がグンと伸びて全体のバランスが良くなりました。ハロン14〜15秒のスピード調教でも動けていますし、操縦性もいいです。父の仔ですしクラシックディタンスでの活躍を期待したいです」
まだ具体的な予定は決まっていないものの、移動へ向けた準備は万端。デビューの日もそう遠くはなさそうだ。
メイショウオウヒ24(父ブリックスアンドモルタル)はトレースイスラ24の叔父にあたる関係性。
「身体能力は、うちにいつ同世代で一番。性格も兄メイショウハリオに似ていますし、能力も遜色ない」と藤井主任が一目置く存在。
「年明けから15-15をこなし、ここまで順調。背中のいい血統なのでしょうね。柔らかさは目立ちますし。芝2000mあたりが良さそう」
ラヴアンドフェイス24(牡、父モーリス)は、まだ腰高で幼さの残る馬体ながら、トモに筋肉がしっかりついている。
「入厩時から良い馬体でした。普段は牡馬らしい、やんちゃな面がありますが、調教で速いところに行っても、いい動きをしています。大柄な馬体のイメージどおり、走りはダイナミック。パワフルなのでダートも良さそうですね」
ランドネ24(牝、父ゴールドシップ)は、ほどよい胴の伸びのある馬体でいかにも距離が延びて良さそうなタイプだ。
「父の仔らしい気のキツさはありますが、スピード調教もこなしています。サイズはもう少し出てほしいところですが、全兄が2000m以上で結果を出しているので、桜花賞よりオークス向きだと思います」
母が果たせなかったクラシック制覇の夢実現へ。迷うことなく王道路線を歩むつもりだ。
本誌初登場となった『ブルーミング』は、諏訪守オーナー率いる日高町ブルーミングファームの後期育成部門。自家生産馬やクラブ法人ブルーミングレーシング所属馬のほか、個人オーナー所有馬の育成を担っている。
育成牧場としての歴史はまだ浅いものの、大手牧場で要職を担ってきたベテランホースマンが集まり、それぞれの得意分野で手腕を発揮。さっそく現3歳世代の育成馬グリーンエナジーが京成杯を制した。
そのグリーンエナジーの全妹、シンバルII24(父スワーヴリチャード)はブルーミングの柏木章治厩舎長が「兄に似て動きが柔らかく、能力を感じます」と評する好素材。
「成長は兄よりもゆっくりですが、ここまでじっくり乗ってきて、冬場にかなり力をつけました。父の子らしいテンションの高さも、調教が進むごとに落ち着いてきましたよ」
確かな成長と手応えを感じていた。もう1頭、柏木厩舎長から名前が挙がったのはマリーファー24(牡、父スワーヴリチャード)。
「一番進んでいるグループで調教をしています。気性は前向きで、大柄ながら身のこなしに素軽さがあります。力強いですよ」
と同じ父でもこちらの方がよりパワー型。早期デビューですぐに結果を出してくれそうなタイプだ。
レネーズタイタン24(牝、父キズナ)は葛西正隆副厩舎長のイチオシ馬。母はサンタイネスSなど海外で2勝を挙げており、その半妹はギルデッドミラーという良血だ。
「健康面に何の問題もなかったので、ここまで順調にこられました。トモに凄味があって、走っても息が乱れません。1800〜2000mくらいの適性が高そうです」というタフネスだ。
リブエターナル24(牡、父ワールドプレミア)を挙げたのはブルーミング全体を統括する今井翔一マネージャー。
「入厩当初は走りが軽すぎると感じていましたが、日に日に力がついて素軽さにパワーがプラスされています。筋肉が柔らかく、身のこなしがいいですよ。クラシックを目指してほしいですね」
ブルーミングにとってクラブ1期生を初めてターフに送る大事なシーズン。スタッフの熱量をビシビシと感じる取材となった。
ナムラクレア、インカンテーションらの故郷、谷川牧場には今年もスター候補がズラリ。注目の2歳馬について高澤秀一育成場長にお話を伺った。
ドリームオブジェニー24(牡、父ヴァンゴッホ)は、デビューから無傷の3連勝でフラワーカップを制したファンディーナの半弟。
「父が替わったことで、兄姉よりもパワフルなタイプになっています。体力がありますし、人に促がされて気がのってくるような一面があるので、距離はあっても良さそう」
母同様、クラシックディスタンスで能力を発揮してくれそうだ。
高松宮記念勝ちの母から生まれたモズスーパーフレア24(牡、父モズアスコット)は高澤場長がズバリ「ザ・スプリンター」と称する快速馬だ。 「ピッチ走法でスピードがあり、堂々とした気性。それでいて乗りやすい」
早めの移動にも対応可能とのことで、競馬場で出会える日も近そうだ。
これまでゴールドシップ、タニノギムレット、ウメノファイバーなど多くのGIホースを育成してきた浦河の名門・吉澤ステーブル。地域最大級の育成牧場だけあって、今年もさすがのラインナップ。パラスアテナ24(牡、父モーリス)は鷲尾健一場長が、
「当初からしっかりとしていて、首差しがきれいな好馬体。心肺機能も高いです。調教を重ねて、こちらの想像以上にいい成長曲線を描いてくれました」
と高く評価している1頭。祖母は函館2歳Sを制してクラシックに駒を進めたステラリード。本馬も早期デビューが叶いそうな調整過程で、2歳戦から息の長い活躍を期待できそうだ。
グリンテソーロ24(牡、父ベストウォーリア)はジョージテソーロの半弟。
「トモが大きくて肩に厚みがあります。良化も順調で、立派な馬格で動きはパワフル。ハミを取って進んでいきます。まだ背が伸びているので、もっと変わってきそうですね」とさらなる成長が期待できる。
ダイワパッション24(牡、父マカヒキ)は半兄にエポカドーロ、キングストンボーイがいる血統。
「ここまでしっかり乗り込んで、幼かった馬体が垢抜け、サイズも出てきました。動きも良くなっています。父のように王道路線に乗ってほしいですね」
レディオブキャメロット24(牡、父コントレイル)の母はプライドS2着など海外重賞戦線で活躍した。
「大柄ですがバランスがいいので重苦しさが感じられません。年明けから想像した以上に成長し、動きも良化。脚が長いのでゆったりと映る走りですが、しっかりとスピードが出ます」
ダート3冠路線を狙うなら、スターリーウインド24(牡、父シニスターミニスター)。コリアカップを制し、東京大賞典を制覇したディクテオンを管理する、大井の荒山勝厩舎に入厩予定。
「馬格はありますが重たい感じはなく、スピードがあります。大きなところを狙っていってほしいですね」
と本気度100%。中央デビューのダート馬よりも効率よくポイントを獲得するかも!?
さらに、撮影時のリスト外から上げてくれたのはロジーナ24(牝、父イスラボニータ)。取材時は453kgあり、「しっかりとボリュームのある馬体で調教も進んでいます。競走馬向きの気の強さがありますよ」とのこと。早めの移動が期待できそうだ。
パンサラッサ、モズアスコットなどの育成地として知られ、矢作厩舎を筆頭に多くのトップトレーナーに支持されているシュウジデイファーム。今年もワールドワイドな血統の2歳馬が揃っており、取材中も目移りするばかりだった。
同ファームの池上昌平マネージャーから終始、褒め言葉しか出てこなかったのはMangoustine24(牡、父Frankel)。母は仏1000ギニー勝ち馬で、近親にも重賞ウィナーがいる良血馬だ。
「身のこなしが軽くてスピードと切れもあるので、芝でビュンビュン飛ばして行けそう。夏のデビューを目指しています」と入場からここまでの過程で成長力は証明済み。2歳戦から長く楽しませてくれそうだ。
エーシンエムディー24(牡、父デクラレーションオブウォー)は、
「ガッシリした馬体で、パワーとスピードがあります。折り合いもしっかりつくし、乗り手を選ばない」
ステラリード24(父モズアスコット)は、
「まだ幼いですが好馬体で、今は長めに乗って体力のベースを作っているところです。現状でも坂路を楽々と上がってきますよ。距離は1600〜1800mくらいのイメージ」
函館2歳Sを制した母、半兄キングエルメス同様、早期からの活躍を期待したい。
白毛馬アオラキの故郷、ディアレストクラブの吉田裕也場長が送り出す2歳馬は実にバラエティに富んでいる。
ニシノマドカ24(牝、父ダノンプレミアム)は半兄に札幌2歳S2着のナイママがいる血統。
「少しピリピリした面があるのは、この父の産駒らしさ。まだ幼いですが背中が良く、フットワークもいいですよ。ポテンシャルの高さを感じます」
マーチS勝ち馬ヴァルツァーシャルの半妹、バイカターキン24(牝、父カラヴァッジオ)は「少し気性に勝るとこがあるので、今はコントロール面を中心に教えています。兄たちはダート中距離でしたが、この馬は1400から1600mぐらいでしょうか。動きが軽いので芝でも良さそうです」
と二刀流も狙える。
富田ステーブルでお話をうかがったのは騎乗スタッフの堀部英斗さん。選りすぐり2歳馬の中でも特にお気に入りだというのは、エクストラペトル24(牝、父エフフォーリア)。
「前進気勢がありながらコントロールはちゃんとききますので、距離の融通は利くと思います。背中の使い方が上手で乗りやすい馬ですよ」
もう1頭のオススメがエクスチェンジ24(牡、父モズアスコット)。
「体全体が使えるようになって、走りに力強さが増しました。落ち着いていて扱いやすく、コントロールが利くのもアピールポイントです。適性はダートの中距離ぐらいだと思います」
こちらも手応え十分。スピードの絶対値が高い母系と、芝・ダート不問だった父との配合だけあって、マルチな活躍を期待したくなる。
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2026-2027(双葉社)の一部を掲載しています。