例年、九鬼場長のインタビューから始まるビッグレッドファーム真歌のPOG取材。今年は、九鬼さんが定年に伴い、場長職を降りられたため、いつも楽しみにしていた九鬼節≠ェ聞けないことに寂しさを覚えつつ、新たに成田幸市場長を迎えて、フレッシュな気持ちで育成馬たちの近況を伺った。
一番手に名前が挙がったのは、やはりこの馬、ユーバーレーベンの全弟になるマイネテレジア24(牡、父ゴールドシップ)。
「自分も跨ったことがあるのですが、乗り始めの頃は自ら走る気があまりなく、のんびりとした走りでしたが、乗り込んできてからは評価が上がってきました。背中も柔らかいし、ブレのない走りで大物感というか、奥の深さ、能力を感じさせますね」
ユーバーレーベンと同じ成長曲線を辿り「あと二段階は良くなる」と、偉大な姉を上回る活躍に期待を寄せている。
この馬が今年の目玉かと思いきや、成田場長の推し馬は、レオンドーロ24(牝、父ゴールドシップ)だという。昨年も全兄マイネルホウセンを推奨馬として紹介したが、取材時点では未勝利。
「兄には相当期待していたので現状は歯痒いのですが、やっぱり良い馬なんです。妹の方が脚長で体型が全然違いますし、将来性への期待を込めて」
そこに満を持して登場した九鬼氏が「俺はこの馬」と指名したのがスマイルカナ24(牝、父ベンバトル)だ。
「そんなに目立つタイプではないけど、走らせるとフットワーク良くて、回転も速い。調教師の先生にはこの馬は走るから、仕上がったらすぐ持ってくからね≠ニ言ってあります」
と、早期デビューから2歳戦での活躍を見込んでいる。
その他の有力馬としては「芝もダートも経験させてみたい」という父Flightlineの米国産馬Farrell24(牝)、今まで育成してきた多くのダノンバラード産駒と異なり「トモが大きく柔らかみのあるパワー型で、大物感がある」とスタッフから高評価を得ているナーゲルリング24(牡)の名前が挙げられた。
続いてはビッグレッドファーム泊津。こちらでも人事異動があり、長年明和の調教主任を担ってきた榎並健史さんが場長に就任。
しかしまだ異動して1か月足らずということで、スタッフの番園直さんとともに各馬の育成状況を説明してくれた。
「今年は牡馬で2頭抜けた馬がいます」というのがヘリンヌリング24とアイノア24。ともにゴールドシップ産駒だ。
「同じ父の産駒ですがタイプが違いますね。ヘリンヌリング24はシュッとしていて、アイノア24はコロンとしています。両馬ともに反応が良く、力強さと脚力があって距離も持ちそう。2頭ともダービーを目指したいです」
この2頭にも劣らない可能性を感じ、クラシックへの期待が高まっているのはマイネソルシエール24(牡、父ダノンバラード)。
「軽い走りから長く良い脚を使えると騎乗者からの評価が高いです。クラシックを視野に育成したいですね」
牝馬の中でトップクラスの動きを見せているというのがヴァレディクトーリアン24(父ゴールドシップ)。
「前向きで追ってからの反応が良く、どこまでも伸びていくような走りはトップレベルの評価に値しますね。牝馬ではこの馬で2歳GIを目指したいです」
一方、ビッグレッドファーム明和では「今年はベンバトル産駒が豊作」と自信を覗かせる金子仁調教主任。
「期待を込めて」と推奨されたのは、同じベンバトル産駒のルシェルドール24(牡)。半姉に京王杯2歳Sをレコード勝ち、阪神JF3着のコラソンビートがいる血統馬だ。
「姉たちが前向きすぎる気性で距離適性に課題を抱えたのに対し、この馬は抑えが利き、距離の融通が利きやすい点が強みですね。今年のベンバトル産駒は総じてピリッとしていて反応が良く、瞬発力のあるタイプが多いので、この馬もその特徴を受け継いでいます」
そして、セットプレイ24(牡、父スワーヴリチャード)。「動きは世代で1、2を争うハイレベル。前向きな性格で、フットワークも大きく、開幕初戦から使っていく予定です。今年の2歳世代の初勝利を期待したいですね」
牝馬のクラシック候補だというのがパフォーム24(父ゴールドシップ)。
「ここ最近で一気に力がついて、踏み込みに力強さが増し、緩さが解消。しぶとく長く脚を使うタイプなので、芝のマイル〜2000m向きですね。重賞級の器だと思っているので、オークスを目指したいですね」
今年も2歳戦からクラシックまで楽しめそうなラインナップを披露してくれたビッグレッドファームの育成馬たち。
特に、ベンバトルを知り尽くした牧場で今年は豊作と言わしめたベンバトル産駒は2年目で躍進の予感がする。
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2026-2027(双葉社)の一部を掲載しています。