追分ファーム・リリーバレー
厩舎長リレーインタビュー

大物誕生の予感

恒例となった追分ファーム・リリーバレーの厩舎長によるリレーインタビュー。今年でリリーバレーを開場して15年。一昨年から厩舎数も増えて、大物が飛び出す条件が整ってきた。果たして今年は、どんな馬が登場するのか。

今年は牡馬厩舎からお話を聞いていきたいと思います。T-3、T-4厩舎の平沼敏幸厩舎長からよろしくお願いします。

平沼厩舎長

以前は1厩舎だったのですが、今年から2厩舎を担当することになりました。よろしくお願いします。

それでは、さっそく注目馬の紹介をお願いします。

平沼厩舎長

まずはコンパルティシオン24(父ミッキーアイル)です。厩舎内のグループの中でも進み具合が早い組にいます。特別に目立つ動きをしているわけではないのですが、調子に波がないところが大きな特徴ですね。

波がないということは、順調にメニューを消化できているということですね。

平沼厩舎長

そうですね。「調教で疲れているから休ませよう」といった心配をしなくて済む馬です。それに、とにかく頑丈なので、デビューしたらコンスタントに数を使えるのではないかと思います。出走数が多いとファンの方にも楽しんでもらえますから、そこも魅力ですね。

頼もしいですね。次はいかがでしょうか。

平沼厩舎長

ディヴィナプレシオーサ24(父サリオス)です。毎年、新種牡馬の産駒をリストアップしているのですが、今年はこの馬に注目しています。コンパルティシオン24と並ぶくらい頑丈な馬ですね。

距離適性はどう見ていますか。

平沼厩舎長

サリオス産駒ですが、お母さんの血統は距離をこなす馬が多いので、長めの距離でも問題ないと思います。まだ背が低くて見栄えはしないのですが、ハーツクライの系統は成長するにつれて背が伸びていくイメージがあるので心配はしていません。横幅はしっかりあるので、これから良い馬体へと成長してくれそうです。

続いての推奨馬を教えてください。

平沼厩舎長

アッフィラート24(父モーリス)ですね。ゴンバデカーブースの半弟にあたります。ペースは少しゆっくりですが、馬格は大きく、ここから夏に向けて負荷を高めていこうと考えています。もちろん血統背景は優れていますし、馬体からも高い素質を感じるので、今は「焦らない」ことをテーマに調整している段階です。

昨年1番手で挙げていただいたリアライズグリントが2月に雲取賞を勝ち、ダート三冠路線で楽しみな存在に育ちました。他に大成しそうな馬はいますか。

平沼厩舎長

グルファクシー24(父サートゥルナーリア)は走ってくると思います。

レクレドールの血統ですね。ありがとうございました。 続いて、T-5厩舎の小嶋万里さんです。

小嶋さん

笠寺厩舎長に代わり、私がご紹介します。よろしくお願いします。最初はサイマー24(父シルバーステート)になります。

進み具合はいかがですか。

小嶋さん

現状は週に3回の坂路調教をこなせており、3月17日に移動することが決定しています。初期から馬体がしっかりしていたので、ここまで青写真通りに進んできた1頭です。

手元の資料では、馬体重が531kgとありますね。

小嶋さん

入厩してきた時点でも490kg台後半ありました。私自身はサンライズジパングを直接見ていないのですが、調教師の先生も「似たような体の作りをしている」と話されていました。

小嶋さんは入社2年目で、もともとG1レーシングの会員だったという珍しい経歴をお持ちですね。

小嶋さん

はい、以前は九州の乗馬クラブに勤務していました。

そういった「会員さん目線」を持ったスタッフがいるのは、ファンにとっても斬新で頼もしく感じます。

小嶋さん

サイマーの父であるシルバーステートと、母父のZoffanyを含むサンデー系との組み合わせは、アドマイヤクワッズも該当しており相性が良いんです。サイマー自身もサンデー系種牡馬との配合で勝ち上がり率100%を誇っているので、そういう意味でもPOG期間中に確実に勝ち上がる1頭としてオススメしたいです。距離は、中距離より長めが合っていると思います。

説得力がありますね。次の1頭をお願いします。

小嶋さん

アレイヴィングビューティ24(父コントレイル)です。こちらもサイマー24と同等レベルのトレーニングを行っています。ただ、この仔は牧場でもう少し基礎体力をつけてから移動した方がパフォーマンスが上がりそうだと感じています。入厩してきた時からずっと「目指せ、東京スポーツ杯2歳S」をスローガンに掲げてやってきた馬で、高い素質を感じています。

乗り味はいかがですか。

小嶋さん

非常に前進気勢がある馬です。坂路を54秒ペースで上がった際、他の馬が苦しくなって下がっていく中、この馬だけ突き抜けてどこまでも前に行くような走りを見せていました。

毎年注目を集める母系ですが、コントレイル産駒になって変わった部分はありますか。

小嶋さん

歴代のアレイヴィングビューティの仔は、ガッチリしていてダート向きの硬さがある馬が多かったのですが、この馬はスピード感に溢れる馬体に出ましたね。

だからこそ、高いスピード能力が問われる東京1800m戦での期待が大きいのですね。

小嶋さん

そうですね。そこを勝てば当然クラシックが見えてきますからね。王道路線で活躍してほしいです。

他に注目馬がいれば教えてください。

小嶋さん

ミステリーエンジェル24(父コントレイル)は仕上がりが早くて、調教主任も動きの良さを高く評価しています。こちらも王道路線での活躍を目指しています。

ありがとうございました。続いては牝馬の厩舎に移ります。T-2の明石圭介厩舎長、よろしくお願いします。

明石厩舎長

まずはワッツダチャンセズ24(父シスキン)ですね。うちの厩舎では進んでいる組にいて、運動量もしっかりこなせています。

T-2厩舎に入厩してから、ここまでは常に順調ですか。

明石厩舎長

イヤリングから来た時点で「良い馬だな」という直感がありました。スピードがあるので多少の融通は利くと思いますが、ベストはマイルでしょうね。

気性面はいかがでしょうか。

明石厩舎長

あまり心配のいらないタイプです。調教ではしっかり集中して走り、馬房では大人しい。オンとオフのメリハリが付いている賢い馬ですね。実戦での折り合いは走ってみないと分からない部分もありますが、調教では馬の後ろにつけても鞍上の指示をしっかり待てるタイプです。

続いてお願いします。

明石厩舎長

パララサルー24(父ドレフォン)です。年が明けるまでは少し頼りない面があって、強い調教をやるとコンディションが落ちてしまうようなところがありました。ただ、年明けからは精神面で大きく成長してくれました。それに伴ってハードな調教もこなせるようになったので、私の中での評価がグッと上がった1頭です。

スピードに関してはいかがですか。

明石厩舎長

スピードも十分に水準以上のレベルにあると思います。それとこの馬は、底知れぬ奥深さのような雰囲気を持っています。言葉で上手に伝えるのが難しいのですが、走っている時の安定感が「並の馬ではないな」と感じさせます。

ドレフォン産駒というとダート馬の印象も強いですが、適性は芝・ダートのどちらにありそうですか。

明石厩舎長

走りに軽さや優雅さを感じるので、最初は芝でも良いのかなと思っています。実際、芝のGIホースも出ていますし、どちらかと言えば芝向きの印象すら受けています。

移動時期などは決まっていますか。

明石厩舎長

先日調教師の先生が来られたのですが、現時点でははっきり決まっていません。ただ、ここ何年かの傾向を見ていると、早く移動した馬が必ずしもスムーズにデビューできているわけではありません。動かしすぎてレース前に調子を崩しては意味がないので、牧場でさらにパワーアップを図っていきたいと考えています。

他の注目馬を教えてください。

明石厩舎長

パーソナルダイアリー24(父エピファネイア)です。仕上がりが特段早いわけではないですが、走る才能は高いレベルにあります。走る気持ちが強いので短い距離でもやれそうですが、馬体を見る限り中距離向きですね。

明石厩舎長が最も重視しているのは、どのような点ですか。

明石厩舎長

もちろん勝つに越したことはないですが、それ以上に「新馬戦の内容」を大事にしています。そのレース内容次第でその先の路線が決まってしまうので、たとえ負けたとしても、次につながる爪痕は残せたらと思っています。

POGファンにとっても新馬戦の内容は気になるところです。

明石厩舎長

たとえば、2月28日の未勝利戦を勝ったセットエトワールは、5着だったデビュー戦の内容が非常に良かったんです。新馬戦で良いパフォーマンスを見せ、才能の片鱗を示してくれるような馬を今後も作っていきたいです。

明石厩舎長、ありがとうございました。ラストはT-1の加地洋太厩舎長です。

加地厩舎長

1頭目はスパイスドパーフェクション24(父キタサンブラック)です。決して成長が早いタイプではなく、馬体もまだ緩いのですが、それなのにしっかり動けていることに驚かされます。先々の伸びしろは相当あるのではないかと感じています。

杉山調教師との絆も!

杉山晴紀厩舎に入厩予定ということで、期待も高まります。

加地厩舎長

杉山先生とは昔、小松温泉牧場で一緒に働いたことがあるんです。あの時は後輩だった彼が、まさかリーディングを獲る大先生になるなんて(笑)。

適距離はどれくらいになりそうですか。

加地厩舎長

キタサンブラックの牝馬なので、距離はある程度あった方が良いと思います。我が強いですが、人に甘えてくるかわいい一面も持っていますよ。

続いての馬の紹介をお願いします。

加地厩舎長

オリヒメ24(父イスラボニータ)です。夏のデビューを予定しています。上の兄姉も手掛けたことがあるのですが、非常にスピードのある血統ですね。短距離が合いそうなので、芝1200mのスペシャリストになってくれると期待しています。

毎年、オリヒメの産駒は推奨馬に挙がることが多いですよね。

加地厩舎長

見栄えのする仔が多い血統ですが、この馬はイスラボニータ産駒ということもあり、筋肉質でいかにもスピードがありそうな体つきをしています。

この2頭以外に、POG向きの馬がいれば教えてください。

加地厩舎長

個人的に函館2歳Sの勝利を目指していまして、今までの最高成績は2017年アリアの3着なんです。今回はそれを超える候補生を紹介しようと思います。それがハイリリー24(父ニューイヤーズデイ)。ダート戦でのデビューになるかもしれませんが、そこを勝って函館2歳Sへ向かうというルートも面白いと思っています。

2つ上の半姉であるリリーフィールドも、函館ダート1000m戦を勝って函館2歳Sに挑戦しましたね。

加地厩舎長

その時は6着だったので、妹にはぜひ勝ってもらいたいです。また、サマーローズ24(父マテラスカイ)も早期デビューが叶いそうなので、こちらも函館2歳Sを狙っていきたいですね。

距離が延びる路線で良い馬はいますか。

加地厩舎長

キュールエサクラ24(父ルーラーシップ)は覚えておいてください。ルーラーシップ産駒で、この時期にこれだけ動けるのは珍しいことだと思います。第一便で移動したので、6月の新馬戦で勝ってほしいですね。

皆様、今年もありがとうございました。