近年、活躍馬を多数輩出している浦河地区。躍進の源はBTC(軽種馬育成調教センター)だ。
施設総面積1500ヘクタールという広大な土地に、雪深い北海道の冬でも屋内直線1000mの屋内ウッドチップ馬場、1000mの坂路などが備えられており、季節に合わせた調教メニューで、若駒たちが鍛えあげられている。
昨年、2頭のGIホースを出した三嶋牧場。戦前から馬産を行ってきた日本有数の老舗牧場は、これまでもコンスタントに重賞ウィナーを生み出してきた。天皇賞(春)をテーオーロイヤルが、ルガルがスプリンターズSを制覇。今年も、GI馬候補が何頭もスタンバイしている。
藤井健太調教主任が「期待は大きい」と話すのが、三嶋牧場出身で、新種牡馬となるダノンキングリーの産駒だ。
そんな父を持つサラーバ23 (牡)は、「この母の仔は、これまで固めな子が多かったですが、この馬は背中が柔らかいですし、乗り味も含めてポテンシャルは相当ですね。力強さもあります。父の特徴がかなり出ています」管理予定の田中克典調教師も期待しているという。
同じく新種牡馬であるコントレイル産駒のステラエージェント23(牡)は、「もう少し体重はほしいですが、乗り味も含めて伸びしろ十分。コントレイルの産駒はみんな品があってきれい。脚元のトラブルも少ないです」と期待している。
昨年活躍馬を多く生み出したナダル産駒のメイショウササユリ23(牡)は、「入場当初から、これが1歳馬なの?≠ニいうくらい、しっかりしていました。馬っぷりが良いですし、背中とトモがすごく良かったですね。走り出すと冷静なので、距離はある程度もつと思います」
メイショウショウブ23(牡)はデイリー杯2歳Sで2着した母の初仔。「ドレフォン産駒なので、いずれはダートかもしれませんが、胴が伸びてきたしバネがあってスピードがあります。芝で走ってほしいですね」
全姉がフェアリーSを制したエリカエクスプレスのエンタイスド23(牝・父エピファネイア)は、「普段はおだやかですが、最近は気の強さが出てきました。背中も良いし、バランスも良い。総合点の高い馬。姉同様に目指せ桜花賞≠ナす」
浦河地区で最大といっていい規模を誇る吉澤ステーブル。サトノレーヴが高松宮記念を制し、勢いに乗っている。今年のラインナップについて、鷲尾健一場長に話を聞いた。
ディヴィニティ23(牡・父エピファネイア)は、「年明けから一気にパワーアップしました。筋肉がついて、もともと恵まれていた馬体が、さらに見栄えが良くなりました。ハードな調教にも耐えられています」
ハイタッチクイーン23(牝・父サートゥルナーリア)は、セントライト記念を制したアサマノイタズラの半妹。「これまでの兄弟の中では、バランスの良さが目立ちます。半兄に比べると小柄ですが、まだ成長しそうです。動きにセンスがあるし、坂路を楽々上がってきますよ」という有望株だ。
トウカイシェーン23(牡・父リオンディーズ)は、「攻めが進んで一気に良くなりました。気性は前向きな熱血タイプで、グイグイ進んでいきます。春のうちに本州へ移動するプランがあります」
グレイスフルダンス23(牡・父デクラレーションオブウォー)は、「大柄で筋骨隆々です。スピードを出してからの動きが目を惹きます。気が入るとパワーがあるので、トップスピードに到達するのが早いですね」
谷川牧場は名門ならではの血統馬がずらり。高澤秀一育成場長が話を聞かせてくれた。
今年1番の期待馬というのがファンディーナ23 (牝・父エピファネイア)。「バネがあって乗り味は抜群。バランスの良い馬体で体力があります。桜花賞を狙ってほしいですね」という期待のクラシック候補だ。
ドリームオブジェニー23(牡・父コントレイル)は、「この母の仔は、これまで牝馬が走る印象でしたが、兄たちと比べると身が入っていて、バランスの良い馬体をしています。体力がありますね。距離は1600〜2000mが良さそうです」
牧場自慢の血統馬もスタンバイ。全姉にナムラクレア、半姉にナムラクララを持つ、サンクイーンU23(牡・父ミッキーアイル)は、「どちらかと言うと、クララに似ています。もう少し前向きさが欲しいですが、体の使い方は上手です。距離は長めでも良さそう。期待の大きい馬なので、もう少し成長を促していきたい」とのこと。秋デビュー目標で進められている。
ルパンU23(牝、父キズナ)は高澤さんのイチ押し。「兄たちより力強いですね。でも、走りには軽さがあります。坂路での手応えには余裕がありますし、ポテンシャルは相当だと思います」と、重賞戦線での活躍に期待がかかる。
白毛のアオラキを送り出し話題となったディアレストクラブ。今年もカスタディーヴァ23(牝・父フィエールマン)は純白の馬体。「うちにいる同世代のなかでも一番といっていい骨量があって筋骨隆々です。成長曲線は兄のアオラキに似ています。競走馬らしい気の強さもあります」と吉田裕也場長。
ノーブルライラック23(牝・父パイロ)は、「馬格に恵まれたところは母に似ています。脚元も含めて、ここまで順調です。性格は真面目で、走りに対してのファイトがあります。オンオフが利くので、しっかり食べて休み、調教に臨めます。ストライドも伸びてきました」
メイショウナデシコ23(牡・父ヴァンゴッホ)は、「持っているエンジンは大きそうで、パワーがあります。まだ、体を持て余していますが、堅さはないですし、脚捌きの良さから芝でも走れそうです」
近年はバスラットレオンなど、卒業生が海外でも活躍しているシュウジデイファーム。ディメンシオン23(牝・父エピファネイア)は、「うなるようなスピードがすごいですね。まだ小柄ですが、動きはうちにいる同世代に中で一番です。筋力がついたら、さらに良くなるでしょうね」と話す、池上昌平マネージャー。
半兄が菊花賞馬のドゥレッツァのモアザンセイクリッド23(牡・父ブリックスアンドモルタル)は、「血統馬らしい好馬体。芝の中距離ぐらいがよさそう。まだ緩さもがあるので、秋デビューのイメージでじっくり乗り込んでします」
母が函館スプリントS馬のグランプリエンゼル23(牡・父モズアスコット)は、「将来的にはダートかもしれませんが、今の時点では芝でもやれそう。距離は短いほうが良さそう」
レディオブキャメロット23(牝・父コントレイル)は、「走りの軽さは、同世代の中で一番。バネもあって一気にスピードが上がります」という素質馬。夏デビューも視野に入っており、早くから活躍してくれそうだ。
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2025-2026(双葉社)の一部を掲載しています。