新たな調教主任の誕生、新厩舎が開業されるなど、革新的な変化が起きたノーザンファーム早来。
昨年はチェルヴィニアが2冠を達成、レガレイラが有馬記念を勝利するなど牝馬の活躍が目立ったが、アーバンシックが菊花賞を制覇するなど牡馬も負けてはいない。
今年も逸材が揃った牡馬7厩舎、牝馬6厩舎を総力取材。どの馬を指名するか迷ってしまいそうだ。
一番動かしている組で、坂路で3F41秒を切るところまで進めています。ここまで何の頓挫もなく順調です。調教を進めても大きくへこむこともなく、コントロールが利くようになってきました。若干前にもたれ気味になることもありますが、それも修正していける範囲内。距離の融通は利きそうで、新馬戦は1800mあたりでおろして、クラシックディスタンスも狙えると思います。3月下旬の移動を目標にしています。
全体的にフレームが大きく、体を持て余している部分はありますが、それでもグングン進んでいくのは能力の証だと思っています。うちの厩舎で一番動いていて、3月上旬の移動、6月の新馬戦を目標に進めてきました。距離はマイルくらいが良さそうです。
世界を舞台に躍進を続けるフォーエバーヤングを輩出した桑田厩舎。今年は、例年よりも調教を課し、全体的にしっかりした馬が多いとのこと。どうやら豊作のようです。2頭以外にもアロマティコ23(父ドレフォン)、トリプライト23(父ナダル)、ミスエリカ23(父サトノアラジン)、サマーハ23(父キタサンブラック)と続々と注目馬の名前が挙がりました。
最初から平均点が高く、特に心配する面はありませんでした。いつも後ろから見ているのですが、トモの蹴り、力強さがすごく、前進気勢も強いですね。6月の東京デビューを目標にしており、将来的にもかなり期待している1頭です。
現在馬体重が590kgで、坂路3F43〜44秒くらいまで進めています。馬体重の数字ほど重苦しさはなく、想像していた以上に順調で、楽しみな馬です。まだトモが高いので、もう少し大きくなる可能性もあります。GW明けには移動をするイメージです。広いコースが向くのではないでしょうか。芝・ダートどちらでもこなせそうなイメージを持っています。
エリキングが3戦3勝と、見事結果を出してくれましたが、昨年はそのエリキングの出来が抜けていたそう。一方、現2歳世代は全体の平均点が高く、底上げされていると話す野崎厩舎長。粒ぞろいの中でも将来性が高いシーブルック23(父ロードカナロア)、早めから使えそうなサトノジュピター23(父モーリス)が面白いとのことでした。
坂路3F42秒の段階まできています。体の使い方が上手で、バネも感じさせますね。しっかりやるときはやり、休む時は休ませたことで、メリハリが出てきたと思います。クラシックに乗ってほしいと期待しています。5月の移動が目標です
小笠原厩舎長によると、今年は順調に調教を進められた世代とのこと。もう1頭、厩舎長がクラシックへと期待を寄せているのがピノ23(父キタサンブラック)。「9月の阪神か、10月の京都デビューに合わせることができれば」と、かなりの手応えを掴んでいる様子でした。
イヤリングから何も申し送り事項がなかったくらい順調にきた馬。体力的にも問題がなく、ここまで進めてこられました。気性面の不安もありません。乗っていてまだトモが緩い分、前重心ですが、左右のブレはありませんし、前後のバランスが良くなれば言うことありません。移動時期は未定ですが、夏にデビューできたらと思っています。
こちらに来た当初はかなり緩さがあったのですが、へこたれることなく順調に進められ、厩舎の中で1番変化があった馬だと思っています。3月に移動する馬と、動きに関しては遜色ありません。気持ちが強い面はありますが、オンとオフが利いています。夏のデビューを目指しています。
去年吹きすぎてしまったので、今年は自重しながら」と話した木村厩舎長。慎重に言葉を選びながらも、期待値は高そうな印象でした。その他には、イヴニングコール23(父American Pharoah)、リリーノーブル23(父キズナ)の出来が良く、そのあとに控えているのが、ソシアルクラブ23(父フィエールマン)、ラクアミ23(父レイデオロ)とのことでした。
フレームがしっかりできるまで時計を上げないで、成長を待っている段階です。能力は高いものを持っており、すごく真面目で前進気勢もあり、体の使い方も上手ですね。6月の移動、秋頃のデビューを目標にしています。
ノーザンファーム空港から古巣の早来に戻ってきた伊藤隆行厩舎長。その伊藤厩舎長の代わりに話をしてくれた大野厩舎長補佐によると、今年は粒ぞろいの世代だといいます。大野厩舎補佐が個人的にオススメだというのがファディラー23(父キタサンブラック)。秋デビューを目指して進められているようです。メリート23(父アドマイヤマーズ)、イルーシヴハピネス23(父スワーヴリチャード)は早期デビューを視野に入れているようです。
すごく前向きでパワフルなので、パンパンの良馬場で切れ味を生かすというよりは長く良い脚を使うタイプかもしれません。6月の阪神、7月の函館・小倉デビューをイメージしています。
開業度初年度となる加我厩舎。「トップグループは順調に成長していっているので、その後のグループをどううまく運ぶか」と意気込みを語ってくれた加我厩舎長。アドマイヤマリン23と同じように、厩舎を勢いづけてくれる1頭となりそうなのがパリスビキニ23(父クリソベリル)。東京ダートのデビューを目標にしているそうです。その他にドリームアンドドゥ23(父ロードカナロア)の名前が挙がりました。
うちの厩舎の東のエース≠ナす。動かしたときのフットワークの軽さ、背中の柔らかさはピカイチですね。坂路もグイグイ進んでくれています。移動時期は5〜6月頃になるかと思いますが、それまでに幅も出てくるでしょうし、さらに良くなると思います。
現在は坂路3F48秒を切るくらいまで進めています。背中が柔らかく、フットワークも軽いですし、操作性も良いですね。うちの厩舎の西のエース≠ナす。しいて言えば、もう少し大きくなってくれればと思います。距離の融通は利きそうです。6月以降の移動を目標にしていますが、十分動けているので、前倒しになる可能性もあります。
石井厩舎出身のアーバンシックが昨年の菊花賞を制覇。今年も東西のエース≠ェクラシックを賑わしてくれそうです。その他には、ダート向きのレンブランサ23(父キズナ)、現状はダート寄りも、芝でも走れそうなリリカルホワイト23(父シスキン)は、早期デビューが望めそうとのことでした。
一番進んでいる組で、早期移動に向けて良い状態で春を迎えられました。気持ちが前向きなところはありましたが、そのあたりも解消して上手に走れるようになってきました。マイル〜中距離での活躍を期待している1頭です。
期待が高い1頭で、イヤリング厩舎にいる時から高い評価を受けていたと聞いていました。こちらに来て、実際に動きが良く、ポテンシャルの高い馬です。それでもまだ、成長の余地を残しているので、入厩の時期はしっかり見定めていければと思っています。フィジカル面でも恵まれています。
昨年のオークスと秋華賞をチェルヴィニアが制覇したことで、自信を深めているかと思いきや、「まだ分かりません」と謙遜していた山根厩舎長。それでも、今年は層が厚い世代と手応えを掴んでいる印象でした。その他に、ハウメア23(父キズナ)、そして山根厩舎の代名詞となった「夏の千二シリーズ」の注目馬としてムーングロウ23(父ミッキーアイル)の名前が挙がりました。
坂路3F44〜45秒台まで乗り進められています。体幹がしっかりとしていて完成度が高い1頭です。調教の負荷が上がっているので、脚元や背腰の疲れに気を遣いながら乗り込み量を調整してきました。距離は1600〜1800mあたりが良さそうです。持続力を生かした競馬が合いそうなイメージを持っています。6月の東京マイルでのデビューを目標にしています。
坂路3F47〜48秒で進めています。少し神経質なところがありましたが、最近はこの馬なりに幼さが抜けてきました。走り自体はものすごく軽いです。トモにもう少し力がついてくれば、さらに良い走りを見せてくれるはずだと思っています。距離はマイルから中距離までこなしてくれるのではと思っています。6月頃の移動を目標にしています。
タレントぞろいの中でも、早期デビュー組、秋デビュー組を見極めながら進めていると話す村上厩舎長。大物感がある2頭以外では、フットワークがきれいだというアドマイヤミヤビ23(父エピファネイア)、「化けてくれそう」とアメリ23(父リアルスティール)に期待しているようでした。
3F45秒まで進んでいます。まだ緩さがあるので、これから調教と時計を詰めた時にどのような動きをしてくれるのか楽しみです。運動神経が良く、柔軟性も高いので、距離は中距離くらいが合っていそうです。5〜6月に移動、夏から秋口のデビューを目標にしています。
坂路3F42秒台まで進めています。動きはしっかりしていて、少しワンペースな面があるので、ギアチェンジがうまくなればさらに良くなりそうです。血統通りダートで活躍してくれると期待しています。距離は、1400〜1600mが活躍の舞台となりそう。3月末の移動、6月の東京ダートでのデビューを目指しています。
成長が早い馬、遅い馬を見極めながら、いくつかのグループに分けて進めてきたと話す倉宗厩舎長。開業2年目で、色々とブラッシュアップをしてきた成果が着実に表れているようです。その他には、カレドニアレディ23(父ダノンキングリー)、トレジャーステイト23(父インディチャンプ)がオススメとのことでした。
坂路3F48秒くらいで進めています。成長を最優先に考えて進めてきました。ここにきて筋肉の張りなどは変わってきましたね。手先がしなやかで背中も柔らく、バランスもかなり良いですね。跳びが大きいので、広いコース向き。距離はあった方が良いタイプだと思います。
開業初年度となる岡本厩舎長からは、「イメージ通りにきています」と自信がある様子を垣間見ることができました。その他の期待馬として挙がったのがベルスリーブ23(父スワーヴリチャード)。「6月東京デビューを目指していて、距離は2000m前後。スピードは結構あります」と期待十分。フェルミオン23(父サートゥルナーリア)は、2歳戦から活躍してくれそうという話でした。
坂路45秒を切るところです。スピードがあり、体の使い方が柔らかくてすごく乗りやすい馬です。促したらスッと反応もしてくれますし、センスが良いですね。当初は力みやすい面があったのですが、それも解消してきました。距離は持ちそうですね。6月にデビューができたらと思っています。期待している1頭です。
「今のところ全体の平均点は高いですが、これから変わってきそうな馬が何頭かいる」と話してくれた岡厩舎長。その他に、活躍してくれそうな筆頭として、アミークス23(父ルヴァンスレーヴ)、コスモポリタンクイーン23(父エピファネイア)の名前が挙がりました。
本当に欠点がないので、これからどのような成長を遂げるのか楽しみです。お母さんは操縦性の面で苦労するところがあったようですが、この馬に関しては優等生。3月末の移動を目標にしています。
ノームコア23に関しては、慎重な口ぶりながらも、相当な期待を寄せているようでした。そんな大谷厩舎長に他の期待馬について話を聞くと、「お兄ちゃんと入れ替わりで活躍してくれたら」と、ダストアンドダイヤモンズ23(父シルバーステート)の名前が挙がりました。ドウデュースと同様に、いかにも切れそうなタイプとのこと。さらにレガレイラの半妹となるロカ23(父インディチャンプ)も、能力を秘めた1頭だそうです。
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2025-2026(双葉社)の一部を掲載しています。