浦河地区
牧場現地リポート

各牧場の一番馬はどれだ!?

大小の牧場がひしめく、国内有数の馬産地の浦河。その中心にあるのが、BTC(軽種馬育成調教センター)だ。施設総面積1500ヘクタールと渋谷区に匹敵する広大な土地に、屋内直線1000mの屋内ウッドチップ馬場、1000mの坂路など、東洋一とも言われるトレーニング設備を備えている。
この地で最大の規模を誇る吉澤ステーブルは、BTCを利用する他に自前の屋根付き馬場もあり、バリエーションに富んだメニューを組んでいる。

実力派牧場で目を引いたのはポールポジションU22 (牡、父サトノダイヤモンド)だ。半兄は小倉2歳Sで2着のサイモンゼーレで、「運動神経が良くて、背中の収縮の仕方が上手です。勝ち上がり率の高い血統なので楽しみです」と話すのは鷲尾健一場長。

外国産馬のCurlin's Fox22(牡、父Medaglia d'Oro)は「動きはしなやかで素軽い。乗り込みの開始時期は遅かったのに、もうハロン15秒台で走っている。こういう馬が、将来は走るのだろうと思う」

また、ルコンセール22(牡、父シャンハイボビー)は、「素軽くスピードがある。調教でのやんちゃ面は、いい闘争心につながっています。レースでいいタイプですね。コンパクトにまとまっていますが、体重はあるし、しっかり身が詰まっている」と高評価だ。

牝馬で一番手に上げたのはトウカイミステリー22(父サトノダイヤモンド)で、母は北九州記念制覇を含め6勝。その母譲りの「スピードタイプの体のラインを引き継ぎも、父の素軽さも出ている。早く進めていけそう」と話す。

昨年はバスラットレオンがサウジアラビアでの1351ターフスプリントを、サウジCをパンサラッサが制覇と出身馬がワールドワイドな活躍をしたシュウジデイファーム。今年のラインナップを池上昌平育成主任、騎乗スタッフの下村一平氏、マネージャーの石川拓弥氏に聞いた。

函館2歳S馬を母に持つステラリード22(牝、父ルーラーシップ)は「母に似て短距離が良さそう。小柄ですが、筋肉がついてきて身が詰まった馬体です」という。

これまで、タッグを組んでビッグレースを制してきた矢作厩舎、にはスウィートマナ22が入厩予定。「折り合いに問題はないので距離の融通が利きそう。走りも軽く、芝1600mからの牝馬クラシックには良さそうです」と期待は高い。

世界を制したパンサラッサの半弟もスタンバイ。ミスペンバリー22(父レイデオロ)は「兄同様にスピード乗りがいい。その勢いが削がれない走りさせたほうが、力を発揮できそうなタイプです」

名門・三嶋牧場は昨年、ファストフォースが高松宮記念、メイショウハリオが帝王賞を制覇。

カンタービレ22 (牡、父・ブリックスアンドモルタル)は「乗り味は、うちの世代で一番。速いところをやってもぶれないし、乗っていて背中が動く感じがすごくする。もっと良くなる手応えがあります」と藤井健太調教主任は絶賛する。

さらに、ダーヌビウス22(牡、父エピファネイア)は入厩当初は450キロだった華奢な馬が、取材時は516キロと大きくなり「乗り始めてからドンドン成長しました。サイズアップしても素軽い走りですし、いい感じに馬体に身が詰まってきた」と成長の早さに目を見張る。

ミッキーチャーム22(牝、父エピファネイア)も体重は入厩時より約30キロアップ。「芯のシッカリしたブレない走りをしますし、動きの良さは抜群。秋華賞で2着だった母の無念を晴らしてくれれば」と期待は大きい。

フェルトベルク22(牝、父デクラレーションオブウォー)の母は新馬戦を勝利、オープンまで出世した。「ダートも良さそうですが、芝短距離で活躍した母譲りのスピードもある」と二刀流OKの素質馬だ。

昨年紹介した5頭中、4頭が勝ち上がった谷川牧場。話を聞かせてくれたのは、高澤秀一育成場長と、新井義典育成主任だ。

まず登場したのは、共同通信杯を制し、皐月賞で3着のファントムシーフの半妹、ルパンU22(牝、父モーリス)だ。「体全体を使った大きな走りをします。折り合いがついて長くいい脚を使うので、芝1600〜2000mぐらいの適性が高そうです。牧場初の桜花賞を狙うところまでいってくれれば」

同じく牝馬のサンクイーンU22(父アドマイヤマーズ)の半姉は、小倉2歳Sなど重賞4勝、今年の高松宮記念で2着だったナムラクレアだ。「調教が進むごとに、背中の使い方が上手になりました。動きも俊敏です」姉同様のスピード娘のようだ。

ドリームオブジェニー22(牡、父キズナ)の半姉はフラワーC馬のファンディーナで、「この兄弟はみんな大きいのですが、この子はちょうどいいサイズ。バネがあって完歩も大きいので、坂路を飛ぶように走ります」と将来有望だ。

ディアレストクラブは華麗なる血統馬が勢揃い。

注目はクロコスミア22(父サトノダイヤモンド)。母は、府中牝馬Sを制し、エリザベス女王杯で2着3回の名牝だ。「初仔の姉より、馬体はしっかりしています。この1か月ほどでボリュームが出て日々良くなっています」と高樽優也場長は話す。

場長のイチ押しだというのが、ディアコメット22(牝、父イスラボニータ)。全兄がユニコーンS、根岸Sで3着のバトルクライ。「乗り味は凄く良い。長い足を使ってダイナミックなフットワークで走ります。適性は1400〜1800mくらいでしょうか」と自信の1頭だ。

メリッサ22(牡、父キズナ)は半兄にニュージーランドT馬のカツジ、京成杯オータムHを制したミッキーグローリーがいる血統で、母自身も北九州記念を勝った重賞ウィナーだ。「馬格がありますね。まだ緩いですが夏を越してグンッと良くなりそうです」と今後の成長に手応えを感じている。

昨年、初登場の富田ステーブル。話してくれたのは、騎乗スタッフの堀部英斗さんだ。

ピュアアモーレ22(牡、父サトノクラウン)は「2月に入って12キロほど体重が増え、さらにトレーニングを積んだことで、馬体にメリハリが出てきました。それに伴って、重たい感じの走りが力強い走りに変わってきました」と手応え十分。

レッドコルディス22(牝、父ハービンジャー)は「気持ちが強く、柔らかさのある馬。両親のいいところを受け継いだようです。首の使い方が上手で、ストライドの大きなきれいなフォームです」と素質は高い。

何頭の浦河出身馬が、25年のクラシック戦線を賑わすか、目離せない!