これまで数多くの名牝を輩出してきた「日下グループ」。現3歳世代では、レガレイラがホープフルSを制覇するという偉業を成し遂げた。
今年も、才能の原石たちについて、日下和博調教主任を直撃した!
まずは、この馬から聞かないといけません。レガレイラが大仕事をやってくれましたね。
ありがとうございます。ただ、牝馬をやるからには、アルテミスS、ファンタジーS、阪神JFを目標にしているので、目指していたレースではなかった。そういう意味では、不思議な気持ちというか、正直、ビックリしました。
以前から日下主任は、「阪神JFを勝ちたい!」と仰っていますからね。
ホープフルSから3、4か月経って、牡馬との差がどうなっているのか、新たな挑戦としては本当に楽しみです。レガレイラが皐月賞で結果を残せば、距離が持つ牝馬にとって、ホープフルS→皐月賞というローテーションは、一つの選択肢になるわけですから。
レガレイラだけでなく、王道路線についても、クイーンズウォークやチェルヴィニアなど楽しみな馬が揃っています。
阪神JFの上位とどれくらい差があるのか。能力的には負けていないと思っているので、今から楽しみです。
ここ数年は、勝つことの難しさを日下主任、各厩舎長も感じていたかと思いますが、3歳世代に関しては結果が出たと言って良いのではないでしょうか。
全体的に見ても、方向性はしっかりしてきたのかなと思います。新しい取り組みだけでなく、もともとやっていたことに戻るのも必要かなと。正しかったことにプラスしていければいいわけで、引き算をするのはリスキーなのかなと改めて感じました。
以前やっていたことに戻るのも勇気がいることですよね。
そうですね。そういう意味では、先ほども言ったように毎日が挑戦です。馬に乗ってくれているスタッフにしても、"どうやって乗ろうか"と考えてやっていますし。こうして挑戦が続けられる仕事ってなかなかないと思うんです。私も30年以上挑戦できていますし、やりがいを持って楽しくやれていると思っています。
若いスタッフの人たちにも、そうした"やりがい"を感じてほしいですね。
自分が若かった時と比べて。今の若い子たちは本当にしっかりしているので、そのあたりは大丈夫でしょう。彼らに置いていかれないように、サポートしていきたいですね。
そうしたことも主任の仕事になるんですね。
馬に関しては厩舎長たちがしっかり見てくれますから。今は人を見るほうにウェイトを置いています。
それでは2歳世代について聞いていきたいと思うのですが、手応えはいかがでしょうか。
調教の強度に関しては昨年とさほど変えていないのですが、今年のほうが体力的にも馬体的にもへこまない馬が多かった印象です。昨年も手応えはありましたが、それと同じか、それ以上の手応えを感じていますよ。
2歳馬の中には、牡馬ではありますがアーモンドアイ22の名前があったりと、日下主任の思い入れがある血統が並んでいますね。
それが牝馬厩舎をやる楽しみの一つですよね。繁殖の厩舎を覗くと、ソングラインとソダシが並んでいるんですよ。早来と空港の代表牝馬が一緒にいる姿を見たら、"オー"っとなりますからね。アーモンドアイやリスグラシューの子どもで大きいところを勝ちたいですし、メイケイエールの仔でGTを獲りたいという思いもありますね。
それでは具体的に各厩舎の注目馬を聞いていきたいのですが、村上厩舎はいかがですか。
当然、ドナブリーニ22(父ドゥラメンテ)や、アドマイヤミヤビ22(父ロードカナロア)あたりが走ってくれると嬉しいですね。それ以外にもラドラーダ22(父キズナ)、ウェイヴェルアベニュー22(父ドゥラメンテ)も良いですね。あとは、祖母がブエナビスタのソシアルクラブ22(父モーリス)も出来が良くて早くから使えそうですし、楽しみですよ。
充実してますね。
山根厩舎ならコーステッド22(父キズナ)やシンハリーズ22(父サトノダイヤモンド)。あと期待が大きいのは、ミスエルテ22(父キズナ)。姉のミエスペランサも2連勝していますし、この血統はしっかり結果を残しますからね。
レガレイラを育成した佐藤厩舎はいかがですか。
ソーメニーウェイズ22 (父アドマイヤマーズ)、ツルマルワンピース22(父エピファネイア)は良いですね。あとは、お母さんが佐藤厩舎にいたDeirdre22(父Wootton Bassett)。来た時は少し不格好でしたが、お母さんに似てきましたよ。
お母さんと同様、海外まで活躍の場を広げるかもしれませんね。続いて岡厩舎についてお願いします。
ラヴズオンリーミー22(父サトノダイヤモンド)は、お姉ちゃんのラヴズオンリーユーに似て良いですよ。あとはアドマイヤキラメキ22(父スワーヴリチャード)も、堅実な血統で楽しみです。
スワーヴリチャード産駒の牝馬は走りますからね。
大谷厩舎ならジョイカネラ22(父Frankel)。タイタンクイーン22(父ロードカナロア)、バラダセール22(父レイデオロ)は、慌てずじっくり行こうかと思っています。
最後に初年度となる倉宗厩舎をお願いします。
全体的にまとまっていて、順調ですよ。その中でもマラコスタムブラダ22(父ドゥラメンテ)はかなり良いですね。(半姉の)レシステンシアのスピードがありつつ、ドゥラメンテ産駒なので距離も持ちそう。秋のデビューになると思います。
どの厩舎から大物が出てもおかしくありませんね。
今年こそ阪神JFを勝ちたい! その準備はできていると思います。
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2024-2025(双葉社)の一部を掲載しています。