ノーザンファーム早来
厩舎リポート

牡馬も牝馬も逸材ぞろい 厩舎長の推し≠直撃!

今年は天気に恵まれ、絶好の取材日和。皆さんが「一気に暖かくなった」と話すように、寒さがない分、本当に助かりました。

今年は牡馬厩舎から、全11厩舎の注目馬を紹介していきます!


木村厩舎(牡馬)木村浩崇厩舎長

木村厩舎長

シェリール21
(父ルーラーシップ)

すべてにおいて順調です。最初は、のほほんとしていましたが、坂路に入り始めてから、気持ちも入るようになりました。体力があり、進めているグループでやってもへこたれませんね。
6月の東京1800mを目標にしています

木村厩舎長

ユキチャン21
(父ヘニーヒューズ)

血統的にはダート馬だと思われますが、背中だけならダート馬じゃないですね。個人的には洋芝でもよさそうだと思っています。入場当初から、皆が背中の良さを推していますね。ここまで順調にきていて、周回コースでも抑えられないような手応えで走っていますね。距離に関しては、先々は短くなると思っています

木村厩舎の現3歳世代といえば、きさらぎ賞を快勝したフリームファクシ。2歳世代は調教量を増やしており、先輩よりも調教メニューを積んでいるそう。「去年はめちゃくちゃ自信があったわけではないけど、そのわりには重賞も勝てました。この世代は、調教を課しているので」と期待している様子。
その他に、木村厩舎長のオススメなのがソブラドラインク21(父ドゥラメンテ)。「まだ体がコンパクトで幼いけど、ドゥラメンテ産駒では一番いいかな。走りが軽いです」とのこと。短めの距離で活躍しそうなアドマイヤローザ21(父モーリス)、こっそり楽しみにしているというウイングステルス21(父サトノダイヤモンド)の名前も挙がりました。

小笠原厩舎(牡馬)小笠原博厩舎長

小笠原厩舎長

クリスプ21
(父ハーツクライ)

年末までビシビシやっていましたが、成長を考慮して年明けから少しペースを落としました。その甲斐もあり、だいぶしっかりしてきた印象。移動は少し待って、秋デビューでもいいかなと思っています。血統的にはダートですし、走り方も掻き込み型なので、ダートでも走ると思います

小笠原厩舎長

Starlet's Sister21
(父Siyouni)

本馬の全兄が凱旋門賞馬のソットサスです。本馬は、身のこなしがすごくいい。デビュー時期は、おそらく秋になると思っています。馬体重は450キロくらいですが、入場時は410キロ前後しかなかった。外国から輸送した部分もあると思いますが、だいぶ成長していますね。話題性に負けない、いい馬だと思います

挙げていただいた以外にも、粒がそろっている小笠原厩舎。ホームカミングクイーン21(父モーリス)は、「コントロールが難しい部分があるけど馬はいいですね」と素質を褒めていました。第一陣で1勝目の期待が大きいのは、ハピネスダンサー21(父ドレフォン)。緩さはあるものの、早期デビューを目指しているそうです。穴なら、ピエリーナ21(父リオンディーズ)、ポルケテスエーニョ21(父リアルインパクト)あたりが面白い存在。

石井厩舎(牡馬)石井宇宙厩舎長

石井厩舎長

ミセスワタナベ21
(父オルフェーヴル)

現在、3F46秒まで進めています。走りが軽く気もいいので、動かせば45秒くらい楽に走れてしまいます。早ければ、4月中に移動できると思っています。オルフェーヴル産駒なので、気の悪いところが出たら嫌だと思っていましたが、今のところ、うるさくありません。母系が短距離血統なので、距離は短めがよさそうですね

厩舎長初年度の石井厩舎長。「最初の世代から重賞を勝ちたい。それほど、いい馬が集まっているので」と自信をのぞかせていました。
そんな石井厩舎長が他にオススメするのは、オープンウォーター21(父ダイワメジャー)。「5月のGW明けあたりに移動できたら。マイルくらいが適性になりそうです」
あとは、見た目がモーリスに似て、走りのセンス抜群のアドマイヤリード21(父モーリス)。そしてローザブランカ21(父ルーラーシップ)にも、期待しているとのことでした。

桑田厩舎(牡馬)桑田裕規厩舎長

桑田厩舎長

ランズエッジ21
(父ブリックスアンドモルタル)

新種牡馬ですが、タイプ的にはお母さんの特徴が出ていますね。芝の中距離あたりで走ってきそう。最初に入って来たときは成長がゆっくりな印象がありましたが、今ではだいぶ変わってきています。今のところ一番進んでいる組ですし、夏デビューを目指しています。我の強さはありますが、グッと前に出てきてくれる。初戦から走ってくれそうだと期待しています

桑田厩舎長

ジンジャーパンチ21
(父スワーヴリチャード)

動かしてみると、やっぱりいい馬だと感じます。スワーヴリチャード産駒はうちに2頭いるのですが、どちらも完成度が高く、今後成長してきそうな奥深さも感じます。坂路で楽に動けており、ハードに調教しても堪えるタイプではありませんね。腹袋があり、飼い食いも落ちません。初戦からしっかり走ってくれそう。持続力がありそうなタイプで、先行して抜け出すレースが合いそうかなと思っています

昨年の年度代表馬に輝いたイクイノックスを育成していたのが、何を隠そう桑田厩舎長。「今時期だと、年度代表馬になるまでとは思っていなかった」と、厩舎長自身も驚きの表情を浮かべていました。
その他には、フォエヴァーダーリング21(父リアルスティール)。「仕上がりがいいですね。早ければ3月にも移動できそう。現状、体も動きもいい。心配な点がない」と絶賛。これからの成長に期待しているのがダイヤモンドディーバ21(父サトノダイヤモンド)。「華奢な感じだけど背中はいい。この先もう少しグッとよくなれば夏のデビューも」と話していました。

山内厩舎(牡馬)山内大輔厩舎長

山内厩舎長

ザガールインザットソング21
(父キズナ)

成長が奥手な印象ですが、背中の良さは伝わりますね。待ったほうが良くなりそう。最初は緩かったけど、乗っていくにつれて、のびしろを感じています。跨ってみると、芝向きの乗り心地。これからのさらなる成長に期待しています

山内厩舎長

デグラーティア21
(父ルーラーシップ)

まだ緩さが残っているけど、スピードがあるし、乗り味もいいですね。入場時からよかったけど、まだ奥もありそう。少しムキになるようなところがあるので、その部分をコントロールできるようになればいいかなと思っています

「去年は絶対的な自信があった」と開口一番に話す山内厩舎長。思い返すと、ダノンザタイガーとダノンタッチダウンの2頭を中心に、ホープフルSを勝ったドゥラエレーデなども控えていたという、まさにタレント軍団でした。
「それに比べると・・・」と謙虚な口ぶりでしたが、それでもヒストリックスター21(父レイデオロ)とユードントラヴミー21
(父オルフェーヴル)あたりは注目してほしいとのこと。すると、「大輔が挙げてないのが走る」と横にいた横手調教主任がピシャリ。それに対し、「横手さんはベルダム21(父エピファネイア)でしょ」と、師弟のやりとりを見させていただきました(笑)。

野崎厩舎(牡馬)野崎孝仁厩舎長

野崎厩舎長

トリプライト21
(父エピファネイア)

現時点の進み具合は、厩舎の中では真ん中くらいの組に位置しています。体はもっとボリューム感が欲しいと感じる部分もありますが、これからさらに良くなると思います

野崎厩舎長

セルキス21
(父キズナ)

そんなにスパッと切れる感じはないけど、馬体の完成度が高く、息も動きもいい。トータルの点数が高いですね。動きにブレが全然ないし、坂路を軽々と上ってきます。3月中に移動してもいいくらい、ここまで順調に進められています。精神面だけ少し心配ではあるのですが、期待値は高い1頭です

先に取材した山内厩舎長も「今年はあっちだよ」と隣の厩舎を指して言うほど、逸材が集まっている野崎厩舎。セルキス21と並ぶエース格として、あちこちで名前が挙がっているのがプリンセスロック21
(父モーリス)。「うちだったら抜けてるかもしれません」と、力強い言葉をいただきました。
全体的に仕上がりが早く底上げできている中で、スウィッチインタイム21(父American Pharoah)、Waldjagd21(父Kingman)は、「短距離向きのスピードがある」とのことでした。

村上厩舎(牝馬)村上隆博厩舎長

村上厩舎長

ウェイヴェルアベニュー21
(父キズナ)

厩舎では、一番早いグループにいます。少し奥手なイメージで馬体は薄かったけど、冬場に乗り込んで身がついてきました。血統的には短いところですが、マイルから中距離が合うイメージ。体はまだ完成していませんが、しっかり動けていますし、暖かくなったらさらによくなりそう。GW前後の移動をイメージしています

村上厩舎長

レディスキッパー21
(父ドゥラメンテ)

まだ馬体に成長の余地があり、そこがしっかりすればもう少し調教で攻められると思っています。そうすればスピードへの対応も楽になるはず。フットワークはすごくいいので大事に育てていきたいです。血統的に、距離は長めが合っていそうで、オークスを目標にしています

2歳世代は、調教を変えて、特に年明けから2か月間、しっかり追い込めたそうです。「それが春になってどう変わっていくか楽しみです」と話してくれました。
2頭以外なら、まずはウィクトーリア21(父ロードカナロア)。「早めから乗り込み、タフにこなしてくれた1頭なので楽しみです」。成長力込みならシーウィルレイン21
(父サトノダイヤモンド)。「この馬は本当にいい。イヤリング時代から雰囲気がある。スピードの乗りは良いけど、サトノダイヤモンド産駒なので慌てなくていいかなと思っています」と大物感満点の様子。レーヴドゥラメール21(父エピファネイア)の名前も挙がりました。

山根厩舎(牝馬)山根健太郎厩舎長

山根厩舎長

キングスローズ21
(父リアルスティール)

一番進んでいる組で乗り込みは、順調そのもの。大きな問題もなくここまで進められています。体も立派で動きもよくなっているので、早期、6月のデビューを目標にしていますし、それに見合う動きを見せ始めています。距離はマイルから1800mくらいを試してほしいと思う動きです。馬っぷりのよさに関しては言うことないので、期待は大きいですね

山根厩舎長

サロミナ21
(父ハーツクライ)

同様に一番早い組ですが、完成度的には、馬体を見ていてもまだまだ奥がある印象です。完成時の期待度の大きさもありながら、現時点で、世代トップクラスのパフォーマンスができていると思います。早めに勝って、そのあとしっかり休んで、さらに成長した姿で、秋に挑むことができたらいいですね。調教で堪えている様子もなく、体力は十分あるとジャッジしています

過去2世代と比べ、「全体的に粒ぞろいで、将来性に期待が持てる馬が多い世代」と話す山根厩舎長。きついメニューに、しっかり応えてくれる馬が多かったようです。
ブトンドール、メイケイエール枠を尋ねると、「今年もおります」とロゼシャンパーニュ21(父ビッグアーサー)を挙げてくれました。「スピードを持っていて楽しみだけど、本音はGIが欲しい(笑)」。
坂路でスピードある動きを見せているシルバーバレットムーン21(父リアルインパクト)。王道路線なら、チェッキーノ21
(父ハービンジャー)は、大物感がある馬。「速いペースで乗っても動きに素晴らしいものがあるので、6月の東京を目指して進めています」と話してくれました。

大谷厩舎(牝馬)大谷渡厩舎長

大谷厩舎長

キャリコ21
(父モーリス)

全体的な完成度が高いですね。背中の感触からは運動神経の良さ、ポテンシャルの高さが感じられます。来た当時から優等生で、そのまま成長してきている印象です。3月末の移動を目標にしていて、6月の東京の新馬戦をイメージしています

2世代目となる大谷厩舎。血統馬もズラリと並んでいます。まずはハルーワスウィート21(父スワーヴリチャード)。「年末に休んだことで馬がしっかりしました。コンディションは変わらないにしても、体重自体は増加していてさすが良血」だと素質の高さを感じているようでした。
そしてもう1頭、シーズアタイガー21
(父ハーツクライ)に関しては、「メンタルにムラがあるけど、集中して走るとすごいなと感じます。自分が見てきたシーズアタイガー産駒の中では一番やりやすいと思います」とこちらも高評価。

岡厩舎(牝馬)岡真治厩舎長

岡厩舎長

レーヴディソール21
(父ロードカナロア)

一番進んでいる組にいます。体が結構あるタイプですが、よく動きますね。距離はマイルくらいかな。厩舎としても期待の馬です。入場時430キロだったのが、今では480キロくらいある。馬体的には一番成長した馬だと思います。4月中には移動できればと思っています

「飛び抜けていい馬がいるというよりは、全体的にまとまっている」と話す岡厩舎長。イスパニダ21(父ドゥラメンテ)は、早めのデビューが期待でき、距離の融通も利きそう。切れ味ありそうなタイプ。スミレ21(父ニューイヤーズデイ)は、乗り味から芝でもいいそう。

佐藤厩舎(牝馬)佐藤洋輔厩舎長

佐藤厩舎長

メチャコルタ21
(父モーリス)

モーリス産駒らしいどっしり感があり、へこたれないですね。精神的にも問題なく、ここまで順調に進められています。6月東京デビューのビジョンを持っています。若干パワー寄りかなという感じがしますが、スピードの持続力もあり、坂路でも手応えよく上がってきます。一番手として、自信を持って送れると思います

佐藤厩舎長

ザズー21
(父キズナ)

メチャコルタ21よりは、ゆっくりめでしたが、2月くらいからスピードを上げてきています。体重だけ見たら小柄かと思うのですが、腹袋もしっかりしていますし、体重よりは間違いなく大きく見せてくれます。デビュー時には、420キロくらいになっていますかね。背中の使い方がきれいで乗り心地がいい。坂路で自らギアを変えて、スピードアップできれば、言うことないでしょう

「今年は早めに送れそうな馬が多いと思います。強気モードでいきます」といつになく自信満々だった佐藤厩舎長。
その他の馬について聞くと、「何でもいいですよ」と話していましたが、その中でもロカ21(父スワーヴリチャード)は、3月移動が目標で、早期デビューの期待が持てそう。
シャトーブランシュ21(父キズナ)は、活躍しても不思議はないとのこと。厩舎長の推しとしては、やはりメチャコルタ21、ロカ21が挙がりました。