サークルオブライフが、昨年の阪神JFを勝利するなど、絶好調の名門牧場は、今年のラインナップも充実している。
まず、飯田正剛代表が「イチ押し」と自信をもって送り出すのは、ヴァタルサイビーチ20(牝・父サトノアラジン)だ。
「皮膚は薄いし、牝馬でこの筋肉量ですからね」と大絶賛。長年、馬作りに携わる代表の言葉だけに期待が高まる。
調教面を管理する飯田貴大専務が推すのは、リボンフラワー20(牡、父マクフィ)だ。母は朝日杯FSを制すなど、早い段階から活躍していたダノンプラチナの半妹にあたる。
「雪の中でもぶれないぐらい体幹がいい。ガッチリしてきたのでダート向きかもしれませんが、スピードもあるので力がいる芝なら」と期待している。
サークルオブライフの半弟、シーブリーズライフ20 (父デクラレーションオブウォー)もスタンバイ。代表は、
「母がコロンとしたタイプなので、胴の長い父のいいところがほしかった。どんどん成長しているし、まだまだ良くなる。芝、ダートどちらも良さそう」
専務も「GI馬の弟ということを抜きにしても、雰囲気のある馬です。距離はもちそうですし、フットワークが大きいので広いコースが合いそう。大舞台に進んでほしいですね」とクラシックを意識している様子だ。
またスティールパス20(牡、父エピファネイア)の曾祖母は、サークルオブライフと同じスターマイライフ。
「大柄なので器用なタイプではないですが、動きはダイナミック。オフの時は本当にかわいいんですが、オンの時は闘争心がすごいです」と競走馬向きの気性の持ち主だ。
スターマイライフは95年にアメリカの1歳セリで購入され、千代田牧場にやってきた。孫の代になってGIホースを生み出し、「うちで今、一番ホットな牝系」と専務は胸を張る。
カントリー牧場から引き継いだ、ウオッカに連なる牝系も見逃せない。ウオッカの娘であるタニノアーバンシーの初仔がスピリタス(牡、父キズナ)。
「大きいですが手先が軽く、重さを感じません。フットワークは大きいので、ゆったりと走れる広いコースが良さそう」と専務。
サクラトップクリス(牝、父エピファネイア、母ブルーブラッド)は、
「挫跖で休んだ期間があるので太めに映るかもしれませんが、すでに調教は15−15まで進んでいます。体幹の強さ、パワーがあります」と専務の評価は高い。代表は
「ウオッカの直仔の繁殖牝馬は2頭だけで、どちらもうちの牧場にいる。この血統を大きくしていかなくては」と名牝の血脈を守り抜く意思は堅い。
良血馬は、これだけではない。母がフェアリーS馬のルルパンブルー20(牡、父サトノダイヤモンド)は「動きに柔軟性があって、身体能力が高い」
北米チャンピオンを祖母に持つElarose20(牡、父Runhappy)は
「米国で生産し昨秋に輸入してきました。来日当初から、しっかりした馬で、雄大な馬体で欠点らしい欠点は見当たりません。乗り込んで、気も入ってきました。スピードに優ったタイプですね」
とのこと。老舗牧場が誇る名牝の仔たちが、今年もターフを賑わせそうだ。
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2022-2023(双葉社)の一部を掲載しています。