浦河地区
牧場現地リポート

話題の白毛も登場

今年3月のドバイミーティングでは、パンサラッサがドバイターフを、バスラットレオンはゴドルフィンマイルを制すなど、浦河出身馬の活躍が近年は目覚ましい。

躍進を続ける浦河地区を支えるのは、軽種馬育成調教センター。通称BTCだ。総面積1500ヘクタールという東京都渋谷区に匹敵する広大な敷地内に、100ヘクタールのグラス馬場やウッドチップの1000m屋内直線馬場など、世界的にも類を見ない充実の設備がそろいバリエーションに富んだトレーニングが可能で、未来のクラシック候補たちが日々トラックで汗を流す。

さて、今年の一番のトピックは、全国の白毛ファン待望のカスタディーヴァ20こと、アオラキ (牡、父ゴールドシップ)だ。

ディアレストクラブの合同撮影会のトリに、真っ白な馬体が現れた瞬間、集まったマスコミ陣から「オオッ〜!」と、どよめきがおこった。

JRA史上初の南半球産の白毛馬として話題になった母カスタディーヴァに似た、均整の取れた馬体に白い毛並み。そして、キレイなブルーアイが印象的で、高樽優也場長は、「母の初子はきれいな白毛に生まれてくれました」とうれしそう。
「体高がないかなと思いましたが、標準サイズまで大きくなってくれました。骨格がしっかりしているので、脚元に不安はありません。芝向きの軽いフットワークで走ります」という素質馬。デビューに関しては、「母は洋芝の適性が高かったので、北海道デビューも視野に入れています」とのこと。昨年は純白の女王・ソダシが札幌記念に参戦し、札幌開催は盛り上がった。アオラキの北海道デビューが実現すれば、今年の夏も北の大地に白毛フィーバーが巻き起こりそうだ。

ディアレストクラブには、まだまだ才能あふれる若駒がデビューを待っている。

ルルシュシュ(牝、父リオンディーズ、母マダムチェロキー)は、チャンピオンズC(GI)などを制したダート王・ホッコータルマエの半妹。
「牝馬らしからぬ精神力があって堂々としています。調教が進んで筋肉がつくにつれて硬さも出てきたので、パワー型のダート馬になりそうです」

ゴールドシップなどを送り出し、浦河大躍進のきっかけを作った吉澤ステーブルは今年も素晴らしいラインアップ。

スマートヴィーヴル(牝、父ハーツクライ、母リトルブック)の兄はダービー馬のロジャーバローズ。
「走る馬特有のオーラがあります。調教の動きも目立ちますし、スピードがあります」と鷲尾健一マネージャー。

ケースバイケース20(牝、父ダイワメジャー)の母は名牝ウオッカの直仔。
「全体的な雰囲気や顔がウオッカにそっくり。柔らかさのあるフットワークでスピードも非凡。一族のいい面を受け継いでいますね」

マイグッドネス20(牝、父ハーツクライ)は半兄にダノンレジェンド、ダノンキングリーがいる。
「兄たちに似て、品のあるバランスのいい馬体をしています。飛びが大きくて切れのあるタイプ。走りのセンスを感じます」

名門、三嶋牧場からは、あのおなじみの血統のラストクロップが。昨年の夏に世を去ったメイショウベルーガは、弥生賞を制したメイショウテンゲンなど重賞ウイナーを輩出してきた。その最後の仔となるメイショウベルーガ20 (牝、父ロードカナロア)は
「こちらの想像を超えた成長をしています。オンオフはハッキリしていて、コースではリラックスして走っているので距離はそれなりに保ちそうです。タイトルを獲って、ここに戻ってきてほしいですね」と、松田聖史調教主任代理。

キルシュワッサー20(牡、父ヘニーヒューズ)は、今年3月の高松宮記念で3着と健闘したキルロードの半弟で、
「いったん休ませてから、すごく成長しました。体重は50キロほど増えましたし、キ甲も抜けて、父の子らしいフォルムになっています。気性に問題もなく乗りやすいですよ」

ラッシュカッター20(牝、父シルバーステート)は
「骨量があって丈夫ですし、飛びが大きくてパワーがあります。動きは抜群にいいですね。早めのデビューが良さそう」

今年のシュウジデイファームの育成馬の多くは、すでに坂路で15−15まで進み、近年の早期デビューの流れにいつでも対応できる態勢を整えている。岸本裕洋明場長にお話をうかがった。

テラステラ(牡、父モーリス、母ステラリード)は、母は函館2歳S(GIII)馬で半兄のキングエルメスは京王杯2歳S(GII)の優勝馬だ。
「走ると頭が高かった兄と違い、この子は沈みこむようなフォームです。背丈が出ればなおいいですが幅があるし、これから成長しそうなので楽しみです」

母が鳴尾記念(GIII)の優勝馬ステイインシアトルの半妹である、タンギモウジア20(牡、父ハービンジャー)は
「パワータイプで、力強い走りをします。前向きな性格で、手応えもいいですね。順調ですし、早めの移動にも対応できるデキにあります」

京王杯2歳S(GII)、京成杯オータムH(GIII)の優勝馬、レオアクティブの半弟、レオソレイユ20(牡、父ファインニードル)は
「ファインニードルの子はスピードがある馬が多いですね。この子もそう。調教が進むにつれて垢抜けてきましたし、成長して反応が良くなり、スッと動けます」

メリタテス(牝、父American Pharoah)の母Gem Gemの姉Careless Jewelは、米国重賞3勝馬でリフレイムの母。
「血統を考えるとダートっぽいかもしれませんが、脚さばきが軽くて、スピードがあるので芝も走れそう」

大樹ファームはオーナーブリーダーとして培ったノウハウをフル活用。浦河のビクトリーホースランチを中心にBTCを活用して若馬たちを鍛えあげる。

タイキラフター (牡、父ハーツクライ、母アッシュベリー)は、首差しのしっかりした、力強い馬体。
「すでにBTCの坂路で14秒台の時計を出していますが、楽な手応えで上がってきますし余裕たっぷりです。馬体の迫力も増しています」(調教スタッフの出戸裕人氏)

今年も競馬界に浦河旋風が巻き起こるか!?
目が離せない。