昨年、1000mの坂路をバークからウッドチップに変更し、飼い葉の見直しも実施。さらに、イヤリングも昼夜放牧の時間を変えるなどの工夫を加え、早い時期から使える体力作りに取り組んできた。
変化を恐れない名門牧場の改革は実を結び、昨年世代は「登録頭数が67頭と少ない中で18頭が勝ち上がり、22勝しました。負けてもすぐに立て直し、次の競馬に向かえる馬が多かったのは収穫でした」と下河辺隆行専務は、手応えを感じている。
丁寧に基礎を作ることで「一番変わったのは坂路でペースアップする期間が、これまでより短くなったことです。それでも、大きな怪我をする馬はいません」と現場を預かる、谷口勇介調教主任もいい変化を感じている。その谷口主任に、注目馬を伺った。
ドルチェモア (牡、父ルーラーシップ)の母は、桜花賞を制覇したアユサンで、全兄はエンギダルマという牧場ゆかりの血統。
「走りがきれいで、ザ・サラブレッドという感じ。性格はエンギダルマより、おっとりしていますね。当初から仕上がりが早そうなタイプだと思っていましたが、すでに移動しています」とのこと。
カナダのヘンドリーSの優勝馬を母に持つ、エンジェルスアスク(牝、父サトノダイヤモンド、母スカイランダーガール)は、
「サイズは小さいですが、肉付きがいいです。コンパクトな体をうまく使って、力強くゴムマリのような弾む走りをします。前向きで2歳戦向きの気性です」
スキーホリデー20(牝、父ルーラーシップ)の母は海外で3勝を挙げている。
「この父の仔らしく力強い走りをします。いい体をしていますね。パワーのいる馬場が良さそうですし、やはりダート向きでしょう」
新種牡馬サトノクラウンの仔、スナップドラゴン20(牡)は
「父にシルエットが似ています。胴長な感じですが、しっかり背中を使い重心の低い走りをします。移動は夏頃になりそうです」
昨年の全日本2歳優駿を制したドライスタウトの半弟、マストバイアイテム20(牡、父ドレフォン)は
「まだ緩くて持て余している感じはありますが、動きはすごくしなやか。手前の替え方もスムーズです。夏前には移動できそうです」
半兄が兵庫チャンピオンシップ、みやこSで2着のランウェイワルツのラウンドダンス20(牡、父コパノリッキー)は547キロの大型馬。
「大柄ですが重苦しさもありません。年明けに調教ペースを上げましたが、まったくへこたれませんね。ギアはスッと入るし加速もスムーズ。操縦性もいいですよ」
アンジュフィールド(牝、父Justify)は、
「線は細いですが、かき込みのしっかりした軽いいいフットワークです。牝馬らしい前向きな気性なので、距離はマイルぐらいが良さそう。洋芝が合いそうですね」
カラズマッチポイント20(牡、父ロードカナロア)はスタッフの評価が高い1頭。
「年明けからグングン成長しています。調教のペースを上げてから、体の使い方が良くなりました。脚の回転が速く、衝撃の少ない走りをします」
改革第2世代が、どんな走りを見せるか注目だ。
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2022-2023(双葉社)の一部を掲載しています。