昨年は、キラーアビリティとナミュールをピックアップ!
逸材揃いとなった今年も、恒例となった事務局・門正憲さんによる「門馬」を、各厩舎から1頭ずつ挙げていただいた。
「15頭中10頭勝ち上がりを狙います!」(門さん)
入場時は、トモが薄く見えていましたが負荷を強めるにつれて、しっかりしてきました。性格は慎重だけど、いざ走って並びかけられると、いい意味で怒る感じがあります。そのときのパワーはすごいです
幅のあるパワフルな体をしていますが、ダートっぽさはなく、背中や腰が柔らかく、いい意味で少し緩さが残っていますね。最初のうちは、芝ダート関係なく、馬の完成度で通用するかなと期待しています
カービングパス20(父リオンディーズ)。
リオンディーズ産駒ならこの馬!
「馬のコンディションに関しては順調に進んでいます。ただ、去年の1年目の厩舎長たちがとんでもない成績を残しているので、それとは比べてほしくないです(笑)」と話す、1年目の田中厩舎長。それでも、しっかりと自信を胸に秘めた様子でした。2頭以外には、メジロマリアン20(父ドゥラメンテ)の名前が挙がりました。
動きは抜群。軽やかな走りとキャンターで、中距離あたりがよさそうですね。今でも十分、背中の安定感は出てきていますが、もう少し幅を出していけたらと思っています。5月の移動を目標にしています
気持ちがかなり強いタイプだったので、馴致に時間をかけたりしたんですけど、それがいい方向に進んでくれました。馬体はひと冬越えてメリハリがついてきましたね。スピードはあるので、あとは競馬に行って気持ちがカッとならなければ。6月の移動を考えています
サルスエラ20(父エピファネイア)。
成長力に期待。ダービーも
調教取材時に名前が出たフォンタネットポー20(父キンシャサノキセキ)について藤波厩舎長に聞いてみたところ、「隠し玉なんですよ。誰ですか、教えたの」と苦笑い。「函館トップで使えるように調整中です」と、非常に順調とのことでした。他にはGI馬を兄に持つキラーグレイシス20(父ジャスタウェイ)。能力はかなり高いそうです。
入場したときからバランスが良かったので、早めから行けるかなと思っていました。跳びが大きく、ゆったり走っているようで、スピードが出ている感覚です。少しリラックスしすぎる部分があるので、ここから集中力を高めていきたいですね
成長が少し緩やかなので、2番手グループで進めています。ポテンシャルが高く、走りそうですね。半兄のシュネルマイスターのように、東京マイルが合いそう。見栄えがよく、乗り味もいいし手間もかかりません
グローリアスデイズ20(父マインドユアビスケッツ)。
パワーとスピードを兼ね備えている
伊藤隆行厩舎長に代わり、取材に応じてくれた廣松厩舎長補佐。他にも、ラヴズオンリーミー20(父ドゥラメンテ)、シーヴ20(父ハーツクライ)など、おなじみの血統馬が揃っています。「ラヴズは走るのは間違いない。シーヴは王道路線で」
トモの緩さも解消されてきて、しっかりした動きができるようになっています。ハービンジャー産駒らしい緩さがあり、まだ良くなる余地がありますね。距離は中距離がいいと思います
サトノダイヤモンド産駒は、うちの厩舎に数多くいるわけではないですが、他のダイヤモンド産駒と比べると、しっかりしていますね。前向きさはありますが、いい方向に進んでいるので問題ありません。距離の融通も利きそうです
ロッカフラベイビー20(父ハービンジャー)。
いいスピードを持っています
「例年と比べてもいい。1頭でも多くダービーに出られればいいと思っています」と話す高見厩舎長。POGのオススメ馬として、メジロツボネ20(父ハーツクライ)、エセンテペ20(父キズナ)、リリーズキャンドル20(父Saxon Warrior)の名前が挙がりました。
スピードがあって、いい馬ですよ。中距離が合いそうですね。性格も真面目で扱いやすいです。成長力も相当ありそうな雰囲気がありますね。コンディションがよく、順調です
華奢でしたが体の幅も出て、筋肉もしっかりついてきています。4月には移動できそうですすね。この馬も、クセもなく扱いやすく、成長力もありそう。体力もあると思いますよ
タイトルパート20(父ルーラーシップ)。
スケール感があります
2頭+門馬と、すべてルーラーシップ産駒。種牡馬縛りPOGには、ありがたいチョイスです。その他にメジャーエンブレム20(父ロードカナロア)とトレジャーステイト20(父ダイワメジャー)は早期に移動できそうな2頭。サンタフェチーフ20(父リアルスティール)は、「走ると思う!」
ハービンジャー産駒特有の緩さはあったので、兄(ブラストワンピース)同様、じっくり進めていたんですけど、本当によく食べてよく動きます。しっかり攻めて体を作れました。現時点での完成度は、兄より高いと思います
粗削りなところはありますが、持ってるエンジンはなかなかのもの。ダイナミックな走りをします。これから、もう一段階、沈み込むような走りに持っていきたいですね。1800〜2000mに適性がありそうです
フォルテピアノ20(父キンシャサノキセキ)。
短くないので朝日杯FSも
ポテンシャルの高さなら、出していただいた2頭がツートップ。その他に大物感なら、ジェラシー20(父ドゥラメンテ)、ベルアリュールU20(父ドゥラメンテ)。POG向きなのが、オールドタイムワルツ20(父ダイワメジャー)、カラフルブラッサム20(父ロードカナロア)。
6月の東京マイルで使いたいと思っていた馬で、そのイメージ通り順調にきています。パワーがありながら、スピードも持っています。ハッピーパスの系統らしく気が入りやすいですが、初期に比べると力みもなくなってきました
スピードがあり、心肺機能も高いと感じますが、まだ完成は先だろうという緩さも残していて、非常に楽しみ。性格が難しい部分もあり、それが唯一の課題です。能力は間違いないので、それが良くなれば。6月の阪神を目標にしています
レーゲンボーゲン20(父ジャスタウェイ)。
距離は長めで一発ある!
昨年は、厩舎長初年度から、キラーアビリティとドウデュースを手がけた木村厩舎長。「危なかった」とこぼすあたり、相当なプレッシャーがあったのでしょう。2頭以外の大物候補は、ラキシス20(父エピファネイア)とクルミナル20(父エピファネイア)。2頭とも待てば良くなるタイプのようです。
動き抜群で、仕上がりも文句なし。最初はそこまででしたが、どんどん抜けてきました。柔らかいし、バネもあるし、乗り味もいい。6月の阪神でデビューしてくれたらうれしいですね
スラッとしていて、スーッというスピードがあります。うるささも、そこまでないですね。マイルから1800mくらいがいいと思いますが、スピードがあるので1400mでも通用するかも
ウルトラブレンド20(父キタサンブラック)。
雄大な馬体は空港でも上位
「この2頭は自信を持って出せますし、その他も、過去と比べて上位に入るほど粒が揃っています」と笑顔を見せた足立厩舎長。POG的にはモアザンセイクリッド20(父ドゥラメンテ)、クイーンビーU20(父ドゥラメンテ)、スカイダイヤモンズ20(父ハーツクライ)が順調でオススメとのことでした。
少しトモに緩さはあったんですが、だいぶ力強さが出てきました。まだ幼さがあるので、メリハリがつけばいいなと思います。芝の中距離あたりをイメージしています
恵まれた馬体で、キャンターも柔らかい。ハービンジャー産駒が走っているので、これも出しておかないと、と思って(笑)。きれいな走りをしていて、芯もしっかりしています。距離は長くてもいいと思います
動きはいいのですが、兄(エフフォーリア)が走りすぎていますからね。早めに移動しても、デビューは秋でもいいのかな。乗り手は、すべてにおいて平均点が高い≠ニ言っています
エイグレット20(父サトノクラウン)。
空港のクラウン産駒なら屈指
昨年は、ソネットフレーズ、フォラブリューテ、シゲルイワイザケと名前が挙がった3頭のエピファネイア産駒が新馬勝ち。「エピファネイアと相性がいいので」と、今年もエピファネイア産駒のガルデルスリール20を挙げていただきました。
早くにデビューできそうで、夏の北海道に使えたら。函館2歳Sを狙っています。背中が柔らかいし、動きも、体の使い方もいい。気が入りやすいので、そこだけ注意しています
少し奥手なところがあるので、やりすぎないように。バネを感じますし、いいものを持っています。秋のデビューを目指しているように、本格化するのは遅いかもしれませんが、まだ良くなると思います
ドゥラメンテ産駒は、線の細い馬が多いんですけど、この馬は幅があって、どっしりしていますね。マイルからオークスまで対応できると思います
プチノワール20(父キタサンブラック)。
キレるキタサンブラック産駒
「プレッシャーはありますが、馬の質はすごくいいと思います。頑張らないと」と決意を語ってくれた佐藤厩舎長。その他には、早期移動が見込め、「スピードの乗りが良い」というオーキッドレイ20(父ラブリーデイ)。
1歳から体幹がしっかりしていました。走りがどっしりしていて、終いまでしっかり伸びてくるところがいいですね。メンタルも強くなってきて動じなくなってきました
順調で一番進んでいる組です。マイルから長い距離が合いそうですが、距離の融通が利くと思います。乗り味はどっしりしていてスピード感のある走りをしていますね。オークスを目標にしています
ラテアート20(父シルバーステート)。
身体能力の塊
「10点候補はモルガナイト」と自信を持って話していました。その他に、大物感がありそうなヴェルザンディ20(父エピファネイア)。「クラシックにはいけると思います」と力強い言葉をいただきました。
馬に合わせてじっくり成長を促しながら進めています。まだトモの緩さはありますが、それでいて相当なスピードとパワーです。フットワークの力強さも感じます。さらに成長を促して、秋にはかなり良くなっているんじゃないでしょうか
年明けから、体つき、動きともにすごく良くなってきました。モーリス産駒の緩いところがありますが、ストライドが本当に大きくてダイナミックな走りをしています。8月の新潟マイルをイメージしています
レトU20(父リアルスティール)。
みなぎる活力
昨年はB-3厩舎の厩舎長補佐として取材に応じてくれた菅原厩舎長。「いいスタートを切れるように」と謙虚に話していました。期待馬にインダクティ20(父ロードカナロア)、スターアイル20(父ロードカナロア)、ローズマンブリッジ20(父ルーラーシップ)を挙げていただきました。
乗り味の柔らかさと、楽に走る余裕さも感じます。距離はそこそこ持ちそう。1600〜2000mのイメージですね。お母さんが遅咲きだったので、完成は少し先かもしれません
少し体が減ったりしやすいので、そのあたりを気にしながら進めています。動きの質、体の使い方が上手ですね。ここから変わってくれば、逞しさもプラスされると思います
早めに移動できそうですね。うちで一番乗っているけど、へこたれないし、飼い食いもよくてタフ。マイル前後、1400〜1800mが適性になりそうですね
マンデラ20(父リアルスティール)。
秋の新馬戦を勝って阪神JFに
昨年はB-1厩舎で、1頭目にナミュールを出していただいた林厩舎長。「たまたまです。馬の能力なので」と、謙虚を通り越して弱気(!?)な発言。ただ、昨年もそんな感じだったのを思い出しました。3頭以外なら、タリサ20(父キンシャサノキセキ)が早くはないものの、いいようです。
420キロですが、ライジングクロス産駒は、小さい仔が多いので、さほど気にしていません。走りは軽く、ピッチ気味。もう少し体を大きく使えればいいのですが、だいぶ動きも良くなってきました。距離は短いほうがよさそうです
ポテンシャルが高く、かなりいい馬だと思っています。心肺機能が高く、背中も柔らかい。手先が軽く、可動域も広いですね。まだまだ成長すると思います。繊細なところがありますが、それがいい方向に向けば、かなり活躍してくれると思います
サトノオニキス20(父ドレフォン)。
一番早い
全体的に順調な馬が多いからこそ「どの馬が走るか分からないです(笑)」と橋口厩舎長は話していました。コーステッド20(父ドゥラメンテ)は、少し遅めも、モノは良さそうということでした。
デビューは秋になるかと思いますが、動きはすごくいいですよ。半兄がドウデュースということを抜きにしても、当初からいい馬だと話していましたし、まだまだ良くなりそう。距離はマイル以上だと思います。クラシックまでいけたらいいなと期待しています
調教を進めていくにつれ、早いうちにデビューできそうだと感じていましたが、良くなるのはまだ先だと思います。キレよりは長くいい脚を使うタイプ。桜花賞よりはオークスが合いそう。今後の成長次第で、短い距離でのキレ味勝負にも対応できるようになると思います
(半姉の)アカイトリノムスメと比べて、今の時点の完成度はこちらのほうが高い。お姉さんと比較しても、素質は遜色ないと思います。クラシック路線に進むべき馬。マイルよりも中距離のほうがいいと思いますが、キレもありそうです
シャンブルドット20(父キズナ)。
動きのよさは世代随一
一昨年に出していただいたアカイトリノムスメが、昨年の秋華賞を制覇。昨年はサリエラを取り上げ、この春の飛躍が期待されます。今年もウリウリ20(父ラブリーデイ)、ステルヴィオの全妹であるラルケット20(父ロードカナロア)など、注目馬がズラリ!
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2022-2023(双葉社)の一部を掲載しています。