私の競馬はちょっと新しい
ゲーム作家 薗部 博之さん
- 「セリの前にはTARGETで配合を調べます」
- 1961年生まれ、茨城県出身、ゲーム作家。株式会社アスキーで「ベストプレープロ野球」開発後、フリーとなる。91年に競馬シミュレーションゲーム「ダービースタリオン」を発表、競馬ファン以外からも幅広い層から好評を博す。96年に中央競馬の馬主となり、現在はアブソリュート(東京新聞杯)が活躍中。
初重賞制覇の新潟2歳Sは夢見ごこちでよく覚えていない
市丸:事前にも調べてからセリへ行かれると思いますが、注目されるのはどんなところでしょうか?
薗部:それはターゲット(TARGET frontierJV)を使っていろいろ見てますね。種牡馬のデータとか調べますよ。勝馬率がどうだとか。
市丸:最初の頃は、ダビスタ(薗部氏開発の競馬シミュレーションゲーム・ダービースタリオン)に出てくる「モデル牝馬」の系統を狙うとか聞いたことがありますが……。
薗部:あと、「おもしろい配合」(ダービースタリオンでの配合理論)になる馬を調べて、セリ名簿に「おもしろマーク」とかつけてました(笑)。
市丸:「ダビスタ」についてはまた後ほどうかがいますが、いろいろと配合理論がありますよね。「見事な配合」とか……。
薗部:そこまでは調べてないです(笑)。ただ、馬体は見てもわからないので、血統を見るしかないんですけれど。
市丸:そして、バランスオブゲームが出たわけですが、なにか買われた頃のエピソードなどありますか?
薗部:宗像先生はどちらかといえばあまり強気なことは言わないのですが、この馬は「薗部さん、これは当たりかもしれませんよ」と珍しく。ですから「え、これそんなすごいの?」って。あと、スタープログラマーも3歳になってからのデビューでしたし、あんなにデビューが早い(2歳8月)とは思ってませんでしたね。
市丸:それが、いきなり新潟2歳Sまで2連勝。
薗部:夢にも思っていなかったですね。宗像厩舎の重賞初制覇はぜひ自分の馬で、とは考えていましたが、関屋記念あたりかなあ、とか(笑)。それで、重賞を勝つと、優勝馬にかけるレイを半分に切って、それを調教師さんに渡したりするらしいのです。私も初めてでしたし、先生にとっても記念だろうと思って「そうしますか?」と聞くと、「僕は要らないです、馬がいれば十分です」って。すごい方です。
市丸:口取りとか表彰式とかはどうでしたか?
薗部:人気もなかったですし(5番人気)、びっくりですよ。実はよく覚えていないんです、夢見ごこちで。これより前、はじめて特別を勝ったスタープログラマーの葵Sで……、カップもらえますよね? それで後ろのお姉さんに「はい」って渡したら、そのままいつまで経っても送られてこないんですよ。「先生、あのカップはいつ送られてくるんですか?」って聞いたら、あれは表彰式用だと。もらえるものだとばかり思ってました(笑)。
市丸:あ、あれって特別はもらえないんですか! 重賞はもらえるんですよね?
薗部:特別でもスポンサーがついてると違うのかもしれませんけれど……。重賞で驚いたのは毎日王冠を勝ったときで、本当に王冠がもらえるとは思っていませんでした。王冠なんて見たことないじゃないですか(笑)。
市丸:ちゃんとかぶれるんですか?(笑)
薗部:ええ、かぶれますよ(笑)。
市丸:G2はほかにセントライト記念や中山記念も勝ちましたが、G1も惜しいレースがありましたよね。
薗部:宝塚記念(06年3着)ですね。ディープインパクト相手に逃げ切っちゃうんじゃないかと。場内が一瞬静まりかえりましたから、僕らだけ騒いでて(笑)。その後に「どーっ」と場内が沸いて、こっちが「しゅーん」って。あれは本当にすごい何秒間かでしたよ、勝っちゃうかと思いました。
市丸:そのバランスオブゲームは……去年でしたっけ?
薗部:去年子供が生まれましたね。私もタイニーモデルという牝馬につけて、1年目は不受胎だったのですが、2年目、今年生まれるはずなんですよ。
市丸:楽しみですよね。