【ホープフルS×過去データ分析】前走芝1800mと2000mの違いに注目
2024/12/26(木)
有馬記念が終わっても中央競馬は続く。今週土曜には2歳G1・ホープフルSが組まれている。先週、昨年の勝ち馬レガレイラが有馬記念を制したのはご存知のとおり。来年に向けて注目すべき一戦を、G1昇格後の過去7年のデータから展望したい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
前走芝1800m出走馬が過去7年で6勝
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
芝1600m | 0- 1- 0- 2/ 3 | 0.0% | 33.3% | 33.3% | 0 | 76 |
芝1800m | 6- 2- 2-24/34 | 17.6% | 23.5% | 29.4% | 302 | 76 |
芝2000m | 1- 4- 4-52/61 | 1.6% | 8.2% | 14.8% | 6 | 46 |
ダート | 0- 0- 1- 8/ 9 | 0.0% | 0.0% | 11.1% | 0 | 150 |
(表1 前走距離別成績)
前走距離は芝1800mと芝2000mが主流。前走芝1800mは出走34頭で6勝を挙げ、勝率で大きくリードする。前走芝2000mは出走61頭で1勝にとどまるが、2、3着は各4回と馬券には絡んでくる。ほかに前走芝1600mや前走ダートにも好走例はあるが、今年の登録19頭には該当する馬がいない。
1〜3着馬を複数出した4レースが前走の主流
レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
東京スポーツ杯2歳S・G2 | 3- 0- 1-10/14 | 21.4% | 21.4% | 28.6% | 676 | 126 |
萩S・L | 2- 1- 0- 3/ 6 | 33.3% | 50.0% | 50.0% | 81 | 65 |
京都2歳S・G3 | 1- 2- 0- 8/11 | 9.1% | 27.3% | 27.3% | 38 | 62 |
アイビーS・L | 1- 1- 1- 1/ 4 | 25.0% | 50.0% | 75.0% | 77 | 107 |
デイリー杯2歳S・G2 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.0% | 100.0% | 100.0% | 0 | 230 |
芙蓉S | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0 | 81 |
カトレアS | 0- 0- 1- 0/ 1 | 0.0% | 0.0% | 100.0% | 0 | 1350 |
野路菊S | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
札幌2歳S・G3 | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
サウジアラビアRC・G3 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
(表2 前走レース別成績・オープンクラスのみ)
前項で前走芝1800mが過去7年で6勝と述べた。この6勝の内訳を前走レース別成績(オープンクラスのみ。格付けは現在のもの)で確認すると、東京スポーツ杯2歳Sが3勝、萩Sが2勝、アイビーSが1勝となっている。そして、前走芝2000mの1勝は京都2歳Sから出ている。複数のホープフル1〜3着馬を出しているこの4レースが主要ステップと考えていいだろう。
前走オープン・芝1800mの場合、4角通過順と上がり順をチェック
前走 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 | |
前走4角通過順 | 1番手 | 0- 0- 0- 0/ 0 | |||||
2番手 | 2- 0- 0- 3/ 5 | 40.0% | 40.0% | 40.0% | 1874 | 310 | |
3〜4番手 | 3- 1- 1- 4/ 9 | 33.3% | 44.4% | 55.6% | 77 | 67 | |
5〜6番手 | 1- 0- 0- 6/ 7 | 14.3% | 14.3% | 14.3% | 28 | 15 | |
7番手〜 | 0- 1- 1- 4/ 6 | 0.0% | 16.7% | 33.3% | 0 | 53 | |
前走上がり順 | 1位 | 3- 2- 1- 4/10 | 30.0% | 50.0% | 60.0% | 72 | 79 |
2位 | 2- 0- 1- 6/ 9 | 22.2% | 22.2% | 33.3% | 54 | 43 | |
3位〜 | 1- 0- 0- 7/ 8 | 12.5% | 12.5% | 12.5% | 1132 | 176 |
(表3 前走オープンクラス・芝1800m出走馬に関するデータ)
前走が芝1800m(オープンクラス)の馬に関しては、データをふたつチェックしたい。ひとつは前走の4角通過順。表3のとおり、4角を2番手や3〜4番手で回っていた馬の好走率が高い。もうひとつは前走の上がり順。上がり1位だった馬の好走率が高く、上がり2位も2勝を挙げている。対して、上がり3位以下だった馬では22年1着のドゥラエレーデが唯一の好走例。同馬は前走の東スポ杯が4角2番手で、4角通過順のデータは満たしていた。
前走オープン・芝2000mの場合、前々走の距離が重要
年 | 人気 | 着順 | 馬名 | 前走 | 前々走 | ||||||
レース名 | 着順 | レース名 | 条件 | 着順 | |||||||
17年 | 1 | 1 | タイムフライヤー | 京都2歳S・G3 | 2 | 萩S | 京都芝1800m | 1 | |||
21年 | 8 | 3 | ラーグルフ | 芙蓉S | 1 | 未勝利 | 新潟芝1800m | 1 | |||
22年 | 7 | 2 | トップナイフ | 京都2歳S・G3 | 2 | 萩S・L | 阪神芝1800m | 1 | |||
23年 | 2 | 2 | シンエンペラー | 京都2歳S・G3 | 1 | 新馬 | 東京芝1800m | 1 |
(表4 前走オープンクラス・芝2000m出走のホープフルS1〜3着馬)
前走が芝2000m(オープンクラス)で、ホープフルSで1〜3着に入った馬は4頭いる。そしてこの4頭には、前走で連対し、前々走が芝1800mで1着という興味深い共通点がある。主要ステップのひとつである京都2歳S組の好走馬3頭もすべて合致しており、前々走の距離と着順は要チェックと言える。
前走1勝・新馬出走の好走馬は2点に注目
年 | 人気 | 着順 | 馬名 | 前走 | ||||
レース名 | 条件 | 人気 | 着順 | 4角 | ||||
17年 | 8 | 3 | ステイフーリッシュ | 新馬戦 | 中京芝2000m | 3 | 1 | 4番手 |
18年 | 2 | 2 | アドマイヤジャスタ | 紫菊賞 | 京都芝2000m | 1 | 1 | 3番手 |
20年 | 4 | 3 | ヨーホーレイク | 紫菊賞 | 京都芝2000m | 1 | 1 | 4番手 |
21年 | 4 | 2 | ジャスティンパレス | 黄菊賞 | 阪神芝2000m | 1 | 1 | 2番手 |
22年 | 6 | 3 | キングズレイン | 百日草特別 | 東京芝2000m | 3 | 1 | 3番手 |
(表5 前走1勝クラス・新馬戦出走のホープフルS1〜3着馬)
前走が1勝クラスおよび新馬戦で、ホープフルSで1〜3着に入った馬は5頭いる。この5頭が前走1着であることはもちろん、前走の距離はいずれも芝2000mだった。さらに、5頭とも前走の4角通過順が2〜4番手と先行していたことも押さえておきたい。なお、前走未勝利戦は【0.0.0.16】と好走例がない。
【結論】
クロワデュノール、マスカレードボール、ピコチャンブラックの3頭
まずは、G1昇格後の過去7年で6勝の前走芝1800m(オープンクラス)出走馬から。この組は「前走4角2〜4番手」および「前走上がり1〜2位」に合致すると有望で、今年の登録馬で両方を満たすのはクロワデュノール、マスカレードボール、ピコチャンブラックの3頭。マジックサンズは前走札幌2歳Sの上がり3位が惜しいが、4角通過は2番手でこちらは満たしている。
次に前走芝2000m(オープンクラス)出走馬は、「前走で連対」「前々走で芝1800m1着」が好走馬の共通点だった。今年の登録馬にこの条件を満たす馬はいないが、京都2歳S2着のジョバンニは3走前の新馬戦が芝1800m1着で、準じる馬として名前を挙げておきたい。
最後に、前走1勝クラスおよび新馬戦の場合、芝2000mで4角通過が2〜4番手だったことが好走馬の共通点。この条件に該当するのは、百日草特別で4角3番手から1着のショウナンマクベスである。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。