データde出〜た
第1561回 今年も牝馬が勝ちそう!? オールカマーを占う!
2021/9/23(木)
今週は日曜日に中山競馬場でオールカマーが行われる。秋のG1シリーズに向けて重要な一戦だ。今回もいつものように過去10年(新潟で行われた2014年は除く、以下同様)のデータを分析し、今年のレースを占っていきたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 過去10年のオールカマー好走馬(新潟開催の2014年は除く)
年 | 着順 | 馬名 | 人気 | 性別 | 年齢 | ※1 | ※2 | ※3 |
20年 | 1 | センテリュオ | 5 | 牝 | 5 | マーメイドS2着 | 初 | |
2 | カレンブーケドール | 2 | 牝 | 4 | 京都記念2着 | ○ | ||
3 | ステイフーリッシュ | 3 | 牡 | 5 | アメリカJCC2着 | ○ | □ | |
19年 | 1 | スティッフェリオ | 4 | 牡 | 5 | 小倉大賞典1着 | △ | ■ |
2 | ミッキースワロー | 3 | 牡 | 5 | 七夕賞1着 | ◎ | ||
3 | グレイル | 6 | 牡 | 4 | ○ | |||
18年 | 1 | レイデオロ | 1 | 牡 | 4 | 京都記念3着 | ◎ | □ |
2 | アルアイン | 3 | 牡 | 4 | 大阪杯3着 | ◎ | □ | |
3 | ダンビュライト | 2 | 牡 | 4 | アメリカJCC1着 | ◎ | ■ | |
17年 | 1 | ルージュバック | 5 | 牝 | 5 | ○ | □ | |
2 | ステファノス | 1 | 牡 | 6 | 大阪杯2着 | ○ | □ | |
3 | タンタアレグリア | 3 | 牡 | 5 | アメリカJCC1着 | ◎ | ||
16年 | 1 | ゴールドアクター | 1 | 牡 | 5 | ◎ | □ | |
2 | サトノノブレス | 3 | 牡 | 6 | 鳴尾記念1着 | △ | ■ | |
3 | ツクバアズマオー | 6 | 牡 | 5 | 函館記念3着 | 初 | ||
15年 | 1 | ショウナンパンドラ | 3 | 牝 | 4 | 宝塚記念3着 | △ | ■ |
2 | ヌーヴォレコルト | 1 | 牝 | 4 | 中山記念1着 | ◎ | ■ | |
3 | ミトラ | 7 | セ | 7 | アメリカJCC2着 | ○ | ||
13年 | 1 | ヴェルデグリーン | 9 | 牡 | 5 | 初 | ||
2 | メイショウナルト | 2 | セ | 5 | 小倉記念1着 | 初 | ||
3 | ダノンバラード | 1 | 牡 | 5 | 宝塚記念2着 | ◎ | ■ | |
12年 | 1 | ナカヤマナイト | 2 | 牡 | 4 | アメリカJCC2着 | ○ | ■ |
2 | ダイワファルコン | 4 | 牡 | 5 | 中山金杯2着 | ○ | ||
3 | ユニバーサルバンク | 6 | 牡 | 4 | △ | □ | ||
11年 | 1 | アーネストリー | 1 | 牡 | 6 | 宝塚記念1着 | △ | ■ |
2 | ゲシュタルト | 6 | 牡 | 4 | ○ | □ | ||
3 | カリバーン | 2 | 牡 | 4 | 初 |
※1 同じ年に芝1800〜2200mの重賞で3着以内
※2 過去に中山芝重賞で1着なら◎、3着以内なら〇、4着以下なら△
※3 同じ年に芝1600m以上のG1に出走していれば□(宝塚記念に出走していれば■)
表1は過去10年のオールカマーで3着以内に好走した馬の一覧。人気や性別、年齢に加えて、とある3つの条件を満たしているかどうかをチェックした。1つ目(※1)は同じ年に芝1800〜2200mの重賞で3着以内に入っているかどうか。該当していればその成績を記した。2つ目(※2)は過去の中山芝重賞の実績。1着ならば◎、2〜3着ならば〇、4着以下ならば△の印をつけた。3つ目(※3)は同じ年に芝1600m以上のG1に出走していれば□、それがもし宝塚記念であれば■の印をつけた。これらのポイントに注目して過去の好走馬を見ていきたい。
まず年齢面では4歳と5歳が非常に強い。毎年2頭以上が3着以内に入り、2018〜20年にかけては3年連続で上位を独占中だ。
■表2 過去10年のオールカマー出走馬の年齢別成績(14年除く)
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収率 | 複回収率 |
3歳 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
4歳 | 3- 4- 4- 11/ 22 | 13.6% | 31.8% | 50.0% | 57 | 109 |
5歳 | 5- 3- 4- 29/ 41 | 12.2% | 19.5% | 29.3% | 166 | 73 |
6歳 | 1- 2- 0- 19/ 22 | 4.5% | 13.6% | 13.6% | 6 | 21 |
7歳以上 | 0- 0- 1- 29/ 30 | 0.0% | 0.0% | 3.3% | 0 | 11 |
年齢傾向をもう少し詳しく述べるため、表2にオールカマー出走馬の年齢別成績を記した。3着以内の頭数は4歳が11頭、5歳が12頭、6歳が3頭、7歳以上が1頭。4〜5歳が圧倒的に強い。4歳と5歳の比較では、勝率はほぼ互角だが、連対率や複勝率は4歳の方がだいぶ優勢だ。
表1に戻り4歳が上位を独占した18年を見ると、1着レイデオロ、2着アルアイン、3着ダンビュライトは※1、※2、※3すべてにおいて該当実績があった。同じ年に別定のG2以上で好走し、なおかつ過去に中山芝重賞で1着というハイレベルな実績もあった。これは理想的な実績と言えるものであり、本競走においては間違いなく有力となる。ただ、上位人気になるのは必至。3番人気以内には入る可能性が高そうだ。
4歳馬で配当妙味を求めるのであれば、※1の実績はないが、※2や※3の実績がある馬が面白い。19年はグレイルが3着、12年はユニバーサルバンクが3着、11年はゲシュタルトが2着といずれも6番人気で好走した。
5歳馬も※1の実績がない馬が意外と勝っている。13年は9番人気ヴェルデグリーンが1着だった。16年ゴールドアクターは前年に有馬記念を制し、17年ルージュバックは前年に毎日王冠1着、3歳時にオークス2着と実績上位の馬だったが、本競走と同じ年に芝1800〜2200mの重賞で3着以内の実績はなかった。
20年センテリュオや19年スティッフェリオも5歳でオールカマーを制したが、両馬の※1の実績はハンデ戦のG3だった。なおかつ過去に中山芝の重賞で勝ったことはなかった(※2)。にもかかわらず実績上位の人気馬よりも先着したのだ。
6歳以上で3着以内に入った馬は、11年アーネストリー、15年ミトラ、16年サトノノブレス、17年ステファノスで最近3年は好走例がない。※3で記した同年の宝塚記念出走馬も、11〜16年までは毎年好走していたが、近年はそうでもなくなってきた。いずれにしても6歳以上は、※1、※2、※3の実績は高いレベルが要求される。アーネストリーは宝塚記念を勝っており、同じ年の芝1800〜2200m重賞の好走実績は必須だろう。
【結論】
それでは今年のオールカマーを占っていこう。出走予定馬は表3の通り。
■表3 今年のオールカマー出走予定馬
馬名 | 性別 | 年齢 | ※1 | ※2 | ※3 |
アールスター | 牡 | 6 | △ | ||
アドマイヤアルバ | セ | 6 | △ | ■ | |
ウインキートス | 牝 | 4 | △ | ||
ウインマリリン | 牝 | 4 | ◎ | □ | |
キングオブコージ | 牡 | 5 | 初 | ||
グローリーヴェイズ | 牡 | 6 | クイーンエリザベス2世C2着 | 初 | □ |
ゴールドギア | 牡 | 6 | △ | ||
サトノソルタス | 牡 | 6 | 新潟大賞典3着 | 初 | |
ステイフーリッシュ | 牡 | 6 | 京都記念2着 | ○ | |
セダブリランテス | 牡 | 7 | ◎ | ||
ソッサスブレイ | セ | 7 | △ | ||
ブレステイキング | 牡 | 6 | △ | ||
マウントゴールド | 牡 | 8 | △ | ||
ランブリングアレー | 牝 | 5 | 中山牝馬S1着 | ◎ | □ |
レイパパレ | 牝 | 4 | 大阪杯1着 | 初 | ■ |
ロザムール | 牝 | 5 | 七夕賞2着 | ○ |
※1 同じ年に芝1800〜2200mの重賞で3着以内
※2 過去に中山芝重賞で1着なら◎、3着以内なら〇、4着以下なら△
※3 同じ年に芝1600m以上のG1に出走していれば□(宝塚記念に出走していれば■)
まず注目の4歳馬はウインキートス、ウインマリリン、レイパパレと3頭がエントリー。この中では今年の大阪杯を制し、宝塚記念では3着に入ったレイパパレが実績最上位。データ的には中山が初めてという点は、特に気にならない。レース当日は1番人気に支持される可能性が高そうだ。しかし、人気に応えてすんなり勝てるかどうか、というのが本競走の大きなポイント。近年の傾向からは、他の馬の単勝に惹かれるし、狙ってみる価値は十分ある。
ウインマリリンは今年の日経賞を優勝。距離が2500mのレースだったので※1の実績には該当しなかったが、中山の重賞を勝ったという点は大きな評価ポイントだ。
5歳馬はキングオブコージ、ランブリングアレー、ロザムールがエントリー。この中では※1と※2の実績があるランブリングアレーとロザムールを上位に取り、勝機も十分あると見たい。
6歳以上の馬の中ではグローリーヴェイズとステイフーリッシュが有力か。グローリーヴェイズは中山が初めてだが、実績は上位。ステイフーリッシュは20年の本競走で3着の実績がある。勝ち切るイメージは薄いが、2〜3着候補として軽視はできないだろう。いずれにしても今年は4〜5歳の牝馬の層が厚い。昨年のセンテリュオに続き、牝馬が勝つ可能性が高いのではないだろうか。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。