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第1532回 札幌芝1500m戦の傾向は?

2021/6/14(月)

先週から夏の北海道開催がスタート。今年は東京オリンピックの一部競技が札幌で行われる予定のため中央競馬は同時期の札幌開催を避け、札幌−函館−札幌の順で行われる。その札幌競馬場で特徴的なコースといえば、今週土曜メインのSTV賞などが行われる芝1500mだ。日本ではこの札幌競馬場だけにしかない芝1500m戦について、その傾向を分析してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.TARGET frontier JVを利用し、集計期間は2011年〜20年の10年間とした。

■表1 馬番別成績(14頭立て)

馬番 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収 1〜5番人気 同複勝率
1 4-5-8-62 5.1% 11.4% 21.5% 37% 73% 3-4-6-18 41.9%
2 8-10-2-59 10.1% 22.8% 25.3% 45% 63% 8-7-1-15 51.6%
3 6-7-5-61 7.6% 16.5% 22.8% 212% 105% 4-5-3-14 46.2%
4 3-11-6-59 3.8% 17.7% 25.3% 43% 78% 2-7-5-26 35.0%
5 5-5-4-65 6.3% 12.7% 17.7% 31% 48% 5-3-3-19 36.7%
6 7-3-5-64 8.9% 12.7% 19.0% 85% 100% 5-2-2-20 31.0%
7 3-4-7-65 3.8% 8.9% 17.7% 49% 62% 0-4-3-22 24.1%
8 5-6-9-59 6.3% 13.9% 25.3% 20% 95% 5-4-5-11 56.0%
9 9-3-6-61 11.4% 15.2% 22.8% 164% 73% 8-1-3-13 48.0%
10 7-4-2-66 8.9% 13.9% 16.5% 108% 63% 6-2-1-19 32.1%
11 6-3-4-66 7.6% 11.4% 16.5% 91% 58% 4-1-3-21 27.6%
12 4-7-8-60 5.1% 13.9% 24.1% 42% 95% 2-5-2-16 36.0%
13 7-6-6-60 8.9% 16.5% 24.1% 106% 57% 5-5-5-10 60.0%
14 6-4-8-61 7.6% 12.7% 22.8% 36% 73% 6-3-2-11 50.0%

札幌芝1500mのコースは、中山芝1600mや旧阪神芝1600mと同じような1コーナー奥にある引き込み線からのスタートになる。2コーナーが近いコース形態のため、まず「外枠は不利になりそう」というのが第一印象だ。

そこで、同コースのフルゲート14頭立てで行われたレースについて馬番別の成績を調べたものが表1である。馬番2番が群を抜く連対率22.8%をマークするなど内の1〜4番の好走確率が高く、一見するとやはり外よりは内のほうが良さそうにも見える。しかし一方で、外の13番が勝率・連対率で3位タイ、そして12〜14番はいずれも複勝率20%以上。また、上位5番人気以内にかぎった成績でも13番や14番の複勝率が高く出ているように外枠も決して悪くはないため、コース形態に惑わされないよう注意したい。

■表2 人気別成績(13〜14頭立て)

人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1 40-21-10-33 38.5% 58.7% 68.3% 92% 89%
2 25-21-18-40 24.0% 44.2% 61.5% 103% 100%
3 10-16-11-67 9.6% 25.0% 35.6% 56% 66%
4 5-10-12-77 4.8% 14.4% 26.0% 42% 60%
5 8-4-12-80 7.7% 11.5% 23.1% 75% 69%
6 6-9-10-79 5.8% 14.4% 24.0% 84% 84%
7 5-6-10-83 4.8% 10.6% 20.2% 104% 106%
8 1-3-4-96 1.0% 3.8% 7.7% 17% 39%
9 2-6-4-92 1.9% 7.7% 11.5% 52% 73%
10 2-1-2-99 1.9% 2.9% 4.8% 87% 41%
11〜 2-6-11-372 0.5% 2.0% 4.9% 55% 72%

2020/9/5 札幌5R 2歳新馬 1着 9番 シュネルマイスター(1番人気)

続いて表2は、13〜14頭立てで行われたレースにかぎった人気別成績である。1番人気が複勝率68.3%など安定しており、単複の回収率も90%前後と上々。続く2番人気も複勝率は61.5%と高く、こちらは単複の回収率が100%を超えている。3番人気とは好走確率・回収率とも大きな差があるため、このコースとしては多頭数の13〜14頭立てで行われるレースなら、まず1〜2番人気馬に注目したい。

そして4〜7番人気は好走確率に大差がなくほぼ横並び。そのため4〜7番人気の中では平均配当が低くなる4番人気の回収率が低く、平均配当が高い7番人気は単複とも回収率100%以上。6番人気も単複回収率84%とまずまずの結果を出しており、1〜2番人気以外ならこの6〜7番人気あたりの穴馬を狙うのがおもしろそうだ。

■表3 種牡馬成績(着別度数順)

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 3着内率 単回収 複回収
ディープインパクト 16-17-8-65/106 15.1% 31.1% 38.7% 88% 121%
ダイワメジャー 11-7-8-49/75 14.7% 24.0% 34.7% 81% 73%
ロードカナロア 7-4-4-24/39 17.9% 28.2% 38.5% 105% 71%
ハーツクライ 6-8-9-34/57 10.5% 24.6% 40.4% 164% 127%
ハービンジャー 6-1-7-31/45 13.3% 15.6% 31.1% 102% 64%
ネオユニヴァース 5-1-3-22/31 16.1% 19.4% 29.0% 57% 46%
ゼンノロブロイ 4-3-1-26/34 11.8% 20.6% 23.5% 46% 47%
グラスワンダー 4-3-0-13/20 20.0% 35.0% 35.0% 366% 143%
タイキシャトル 4-2-0-23/29 13.8% 20.7% 20.7% 74% 46%
キングカメハメハ 3-9-5-34/51 5.9% 23.5% 33.3% 10% 68%

種牡馬別では、ディープインパクトが断トツの16勝。11勝で2位のダイワメジャーともども勝率15%前後など好走確率や回収率も悪くない。ただ、ここで最注目として挙げたいのは3位に食い込んだロードカナロアだ。同馬は初年度産駒が2017年デビューのため、今回の集計期間10年のうち4年間しか出走馬がいない中で7勝をマーク。勝率17.9%はディープインパクトやダイワメジャーを上回っており、産駒の出走があれば見逃さないようにしたい。

そして、続く4位に食い込んだのがハーツクライ。ロジクライ(富士S)などマイル以下を主戦場にする馬もいるとはいえ、産駒全体としては1500m向きという印象は受けない種牡馬である。しかしこの表3では3着内率トップの40.4%。そして単複の回収率も164%・127%と優秀だ。ただ牡・セン馬【0.5.3.13】、牝馬【6.3.6.21】と、牝馬しか勝っていない点には注意したい(3着内率はともに40%前後)。

■表4 騎手成績(着別度数順)

騎手 着別度数 勝率 連対率 3着内率 単回収 複回収
ルメール 15-14-14-28/71 21.1% 40.8% 60.6% 58% 86%
池添謙一 13-7-8-65/93 14.0% 21.5% 30.1% 67% 59%
福永祐一 11-7-10-32/60 18.3% 30.0% 46.7% 66% 81%
横山典弘 10-4-5-24/43 23.3% 32.6% 44.2% 164% 100%
吉田隼人 8-6-14-56/84 9.5% 16.7% 33.3% 76% 101%
勝浦正樹 7-4-6-70/87 8.0% 12.6% 19.5% 87% 69%
松岡正海 7-3-6-36/52 13.5% 19.2% 30.8% 75% 95%
柴山雄一 6-3-6-52/67 9.0% 13.4% 22.4% 66% 46%
菱田裕二 6-1-4-44/55 10.9% 12.7% 20.0% 217% 75%
三浦皇成 5-13- 7-47/72 6.9% 25.0% 34.7% 20% 81%
団野大成 3-5-0-15/23 13.0% 34.8% 34.8% 232% 149%

※JRA所属の現役騎手のみ

2017/7/29 札幌5R 2歳新馬 1着 8番 タワーオブロンドン(ルメール騎手)

騎手成績では、15勝でトップに立つルメール騎手は3着内率60.6%。単勝回収率こそ58%といまひとつだが、複勝回収率は86%と水準以上を記録している。集計期間中の騎乗71回中52回が1〜2番人気馬で、計【15.12.10.15】3着内率71.2%。人気馬で信頼の置けるジョッキーだ。

ほかに福永祐一騎手や横山典弘騎手も好走確率が高く、特に横山典弘騎手は単複回収率100%以上。その横山典弘騎手の成績を単勝オッズ別にみると、1倍台【4.1.1.0】複勝回収率111%、2〜6倍台【1.1.1.10】同40%、7倍以上【5.2.3.14】同129%。断然人気馬以外なら、やや穴っぽい馬で狙いたい。

ただ冒頭にも触れたように今年は変則開催のため、1回札幌(6月27日まで)に参戦するジョッキーの顔ぶれも例年とは違ってくるだろう。そこで今年の開幕週に騎乗していた騎手の中から、団野大成騎手を挙げたい。2019年デビューで2年間の参戦ながら3勝、2着5回。連対率34.8%は上位騎手に引けを取らず、10番人気馬で勝利を挙げるなど単複の回収率も非常に高くなっている。今年も要注目の存在となりそうだ。

以上、札幌芝1500m戦についていくつかデータを拾ってみた。まず覚えておきたいのは、外枠を引いた馬でもコース形態から受ける印象ほどは不利にならないこと。人気別では3〜5番人気の回収率が低いため、1〜2番人気を軸にしつつ6〜7番人気あたりの穴っぽい馬を拾っていくのが良さそうだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。


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