データde出〜た
第1486回 2021年最初の重賞! 中山金杯を占う
2021/1/4(月)
2021年中央競馬の重賞はおなじみの東西金杯で幕を開ける。例年と違うのは西の金杯が京都競馬場ではなく、中京コースで施行されるという点だ。中京マイルでどういったレースになるのか、注意深く見ていきたい。今回のデータde出〜たは東の中山金杯に注目し、2016年以降・近5年のレース傾向から今年馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 中山金杯 近5年の3着以内馬一覧
年(馬場/頭数) | 着順 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 勝ちタイム | 人気 | 4角通過順 | 上がり3F | 前半1000m通過 |
2020 (良/17頭) |
1 | トリオンフ | セ6 | 58 | 1分59秒5 | 2 | 2 | 35秒6 | 60秒2 |
2 | ウインイクシード | 牡6 | 55 | アタマ | 6 | 4 | 35秒3 | ||
3 | テリトーリアル | 牡6 | 56 | 3/4馬身 | 11 | 6 | 35秒2 | ||
2019 (良/16頭) |
1 | ウインブライト | 牡5 | 58 | 1分59秒2 | 3 | 7 | 34秒9 | 59秒9 |
2 | ステイフーリッシュ | 牡4 | 56 | 1/2馬身 | 7 | 2 | 35秒4 | ||
3 | タニノフランケル | 牡4 | 53 | クビ | 9 | 1 | 35秒6 | ||
2018 (良/17頭) |
1 | セダブリランテス | 牡4 | 55 | 1分59秒8 | 1 | 3 | 35秒0 | 61秒5 |
2 | ウインブライト | 牡4 | 56 | クビ | 2 | 3 | 34秒8 | ||
3 | ストレンジクォーク | 牡6 | 54 | クビ | 10 | 10 | 34秒5 | ||
2017 (良/13頭) |
1 | ツクバアズマオー | 牡6 | 56.5 | 2分0秒6 | 1 | 7 | 35秒6 | 60秒4 |
2 | クラリティスカイ | 牡5 | 57.5 | 3/4馬身 | 6 | 3 | 36秒6 | ||
3 | シャイニープリンス | 牡7 | 56.5 | 2馬身1/2 | 4 | 8 | 36秒1 | ||
2016 (良/13頭) |
1 | ヤマカツエース | 牡4 | 56 | 2分1秒2 | 3 | 2 | 33秒0 | 62秒3 |
2 | マイネルフロスト | 牡5 | 57 | 3/4馬身 | 5 | 1 | 34秒4 | ||
3 | フルーキー | 牡6 | 57.5 | 3/4馬身 | 1 | 8 | 32秒7 |
まず表1は中山金杯・近5年の3着以内馬一覧。過去5年すべて良馬場で行われ、近3年の勝ちタイムは1分59秒台となっている。ただ、昨年末の中山芝はかなり時計が掛かっており、年末年始でどれだけ回復しているか。昨年末の水準ならば、今年は2分を超える決着になりそうだ。昨年の有馬記念では上がり最速はサラキアの35秒4で、2位がクロノジェネシスとペルシアンナイトの36秒2。今年の金杯でもかなりのスローペースにならない限り上がり34秒台は出ないだろう。35秒〜36秒台の上がりになりそうだ。
3着以内馬の年齢はその年によって大きく異なり、牝馬の好走はなし。また人気順では、勝ち馬は上位3番人気以内の馬から出ているものの、近3年は続けて3着に9番人気以下の伏兵が激走している。一昨年・昨年は3連単10万円以上の配当が出ており、波乱傾向が続いている。
■表2 中山金杯 近5年の枠番別成績
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
1枠 | 0- 1- 3- 4/ 8 | 0.0% | 12.5% | 50.0% | 0 | 233 |
2枠 | 0- 1- 0- 7/ 8 | 0.0% | 12.5% | 12.5% | 0 | 32 |
3枠 | 2- 0- 0- 7/ 9 | 22.2% | 22.2% | 22.2% | 58 | 27 |
4枠 | 2- 1- 0- 7/10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 92 | 65 |
5枠 | 0- 1- 0- 9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 17 |
6枠 | 1- 0- 2- 6/ 9 | 11.1% | 11.1% | 33.3% | 93 | 111 |
7枠 | 0- 0- 0-10/10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
8枠 | 0- 1- 0-11/12 | 0.0% | 8.3% | 8.3% | 0 | 28 |
表2は近5年の枠番別成績。中山芝は前年末のAコースからCコースへと替わる。過去5年も同様だ。勝ち馬は3・4・6枠から出ているが、複勝率では1枠が50%でトップ。1枠からは近4年続けて1頭ずつ3着以内に入っており、一昨年3着タニノフランケル(9番人気)、昨年2着テリトーリアル(11番人気)と人気薄が好走している。その他では4枠が連対率・複勝率30%と優秀で、6枠の複勝率も33.3%と高い。
一方、外の7枠は3着以内馬なしで、8枠も2着1回のみと不振傾向にある。
■表3 中山金杯 近5年の斤量別成績
斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
51kg | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
52kg | 0- 0- 0- 2/ 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
53kg | 0- 0- 1- 5/ 6 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 0 | 108 |
54kg | 0- 0- 1-12/13 | 0.0% | 0.0% | 7.7% | 0 | 41 |
55kg | 1- 1- 0-13/15 | 6.7% | 13.3% | 13.3% | 16 | 28 |
56kg | 1- 2- 1-18/22 | 4.5% | 13.6% | 18.2% | 22 | 68 |
56.5kg | 1- 0- 1- 0/ 2 | 50.0% | 50.0% | 100.0% | 140 | 170 |
57kg | 0- 1- 0- 9/10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0 | 17 |
57.5kg | 0- 1- 1- 1/ 3 | 0.0% | 33.3% | 66.7% | 0 | 133 |
58kg | 2- 0- 0- 0/ 2 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 635 | 260 |
表3は近5年の斤量別成績。黄色で強調した56.5kg、57.5kg、58kgの馬が好成績をあげている。これら重めの斤量を背負った実績馬が好成績だが、57kgの馬だけが2着1回のみで連対率・複勝率10%と低い。近2年はトップハンデの58kgを背負った馬が一昨年のウインブライト、昨年のトリオンフと連勝している。
対して、斤量が軽い54kg以下の馬からは連対馬が出ていない。
■表4 中山金杯 近5年の前走からの間隔別成績
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
中1週 | 1- 1- 1- 5/ 8 | 12.5% | 25.0% | 37.5% | 35 | 75 |
中2週 | 0- 1- 1-10/12 | 0.0% | 8.3% | 16.7% | 0 | 35 |
中3週 | 0- 1- 0- 8/ 9 | 0.0% | 11.1% | 11.1% | 0 | 18 |
中 4〜 8週 | 4- 2- 2-25/33 | 12.1% | 18.2% | 24.2% | 60 | 81 |
中9〜24週 | 0- 0- 1-13/14 | 0.0% | 0.0% | 7.1% | 0 | 46 |
表4は前走からの間隔別成績。中1週の馬は17年ツクバアズマオーが勝利し、連対率25.0%・複勝率37.5%はトップ。この組の3着以内馬3頭はいずれも前走ディセンバーSで5着以内に入っていた。
また、中4〜8週の馬が4勝を挙げ、連対率18.2%・複勝率24.2%は中1週の馬に次ぐ数字だ。この組の3着以内馬8頭中6頭は前走3着以内に入っていた。なお、中9週以上の馬からは連対馬が出ていない。
■表5 中山金杯 近5年の前走からの斤量増減別成績
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
増減無し | 0- 1- 2-30/33 | 0.0% | 3.0% | 9.1% | 0 | 55 |
今回増 | 5- 3- 1- 7/16 | 31.3% | 50.0% | 56.3% | 143 | 104 |
今回減 | 0- 1- 2-24/27 | 0.0% | 3.7% | 11.1% | 0 | 38 |
最後に表5は前走からの斤量増減別成績。前走から斤量増の馬が全5勝をあげ、連対率50.0%・複勝率56.3%と非常に高い。単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。出走数こそ少ないが、今年も前走から斤量増の馬に注目していただきたい。
斤量減の馬は複勝率11.1%、増減なしの馬は同9.1%で、斤量増の馬に大きく離されている。
<結論>
■表6 今年の中山金杯の出走予定馬(1/3現在)
馬名 | 性齢 | 斤量 | 前走成績 |
バイオスパーク | 牡6 | 57(2) | 福島記念 1着 |
カデナ | 牡7 | 58(0) | 天皇賞・秋 8着 |
テリトーリアル | 牡7 | 56.5(0) | 中日新聞杯 9着 |
ロードクエスト | 牡8 | 56(0) | チャレンジC 8着 |
マイネルサーパス | 牡5 | 56.5(0) | 中日新聞杯 18着 |
ディープボンド | 牡4 | 56(-1) | 菊花賞 4着 |
アールスター | 牡6 | 56(0) | アルゼンチン共和国杯 8着 |
ヴァンケドミンゴ | 牡5 | 56(1) | 福島記念 2着 |
ダーリントンホール | 牡4 | 55(-2) | 日本ダービー 13着 |
マウントゴールド | 牡8 | 56(-2) | ディセンバーS 12着 |
ココロノトウダイ | 牡4 | 53(-2) | フルーツラインC 1着 |
ショウナンバルディ | 牡5 | 54(0) | 中日新聞杯 4着 |
シークレットラン | 牡5 | 54(-3) | 古都S 1着 |
ヒシイグアス | 牡5 | 54(-1) | ウェルカムS 1着 |
ロザムール | 牝5 | 52(-3) | 常総S 1着 |
ウインイクシード | 牡7 | 56(-1) | ディセンバーS 5着 |
リュヌルージュ | 牝6 | 52(-4) | エリザベス女王杯 12着 |
※フルゲート17頭出走予定。
今年の中山金杯の出走予定馬は表6のとおり。
未知数な部分はあるものの、人気は明け4歳のディープボンド、条件戦を連勝中のヒシイグアスあたりが集めそうだ。しかし、ディープボンドは古馬初対戦に加えて、表4で示した不振の中9週が気にかかる。ヒシイグアスも勝利した近2走がともに瞬発力勝負で、時計が掛かる今の中山に合うかは微妙だ。
これまでのデータからヴァンケドミンゴ、テリトーリアルの2頭を推奨しておきたい。ヴァンケドミンゴは前走の福島記念で2着。バイオスパークにクビ差届かなかったが、直線で内を通ったバイオスパークに対して、ヴァンケドミンゴは外を回しての2着で勝ちに等しい内容だった。今回は1キロ増の56kgで、バイオスパークから1kg軽く、逆転は十分に見込める。バイオスパークは2kg増で斤量増は買い材料だが、57kgは成績がいまひとつだ。
テリトーリアルは昨年の中山金杯で3着。前走の中日新聞杯は9着に敗れたが、2走前の福島記念では3着と好走している。前走と同斤量ではあるが、7歳と前走9着が嫌われるようなら面白い。穴としては昨年2着のウインイクシード。前走から中1週、ディセンバーSで5着も表4の好走データに合致しており、スムーズに先行できれば面白い一頭だ。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。