データde出〜た
第1454回 中京開催のセントウルＳで狙えるタイプは？
2020/9/10（木）
今週日曜は中山で京成杯ＡＨ、中京でセントウルＳと２鞍の重賞が組まれている。セントウルＳは例年阪神競馬場で施行されているが、今年は例外的に中京芝を舞台に行われる。今回のデータde出〜たでは、2015年以降における中京芝1200ｍ戦（古馬２勝クラス以上）の傾向からセントウルＳで馬券的に狙えるタイプを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表１ 中京芝1200ｍの枠番別成績（2015年以降/古馬２勝クラス以上）
| 枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
| １枠 | 6- 1- 4- 62/ 73 | 8.2% | 9.6% | 15.1% | 167 | 59 |
| ２枠 | 8- 10- 5- 51/ 74 | 10.8% | 24.3% | 31.1% | 85 | 142 |
| ３枠 | 5- 4- 5- 61/ 75 | 6.7% | 12.0% | 18.7% | 48 | 85 |
| ４枠 | 9- 6- 10- 53/ 78 | 11.5% | 19.2% | 32.1% | 167 | 179 |
| ５枠 | 4- 4- 6- 66/ 80 | 5.0% | 10.0% | 17.5% | 30 | 92 |
| ６枠 | 2- 4- 3- 72/ 81 | 2.5% | 7.4% | 11.1% | 10 | 35 |
| ７枠 | 2- 8- 3- 98/111 | 1.8% | 9.0% | 11.7% | 8 | 56 |
| ８枠 | 6- 5- 6- 95/112 | 5.4% | 9.8% | 15.2% | 99 | 72 |
まず表１は中京芝1200ｍの枠番別成績。2015年から今年の１回中京開催までにのべ42レース行われている。黄色で強調したように２枠と４枠に入った馬が複勝率30％以上と好成績をあげており、複勝回収率も100％を大きく超えている。
内の１〜４枠で全体の３分の２にあたる28勝をあげている点にも注目。外の５〜８枠は勝率も低く、連対率でも軒並み10％以下にとどまっている。
■表２ 中京芝1200ｍの脚質別成績（2015年以降/古馬２勝クラス以上）
| 脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
| 逃げ | 9- 1- 5- 27/ 42 | 21.4% | 23.8% | 35.7% | 375 | 134 |
| 先行 | 11- 17- 13-118/159 | 6.9% | 17.6% | 25.8% | 91 | 131 |
| 差し | 16- 19- 17-236/288 | 5.6% | 12.2% | 18.1% | 59 | 95 |
| 追い込み | 6- 5- 7-177/195 | 3.1% | 5.6% | 9.2% | 16 | 29 |
続いて表２は脚質別成績。逃げ馬が今春の高松宮記念におけるモズスーパーフレア（２着入線から繰り上がり１着）ら９勝をあげており、勝率21.4％と断然高い。複勝率も35.7％と高く、複勝回収率も100％を超えている。
先行馬も複勝率25.8％と逃げ馬に次いで高く、複勝回収率131％と優秀だ。なお、追い込み馬は複勝率9.2％と低く、狙いを立てるのは厳しい。
■表３ 中京芝1200ｍの３角位置取り別成績（2015年以降/古馬２勝クラス以上）
| ３角位置 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
| ３角1番手 | 9- 1- 5- 27/ 42 | 21.4% | 23.8% | 35.7% | 375 | 134 |
| 2〜3番手 | 6- 13- 6- 75/100 | 6.0% | 19.0% | 25.0% | 106 | 147 |
| 4〜9番手 | 14- 17- 21-215/267 | 5.2% | 11.6% | 19.5% | 54 | 82 |
| 10番手以下 | 13- 11- 10-241/275 | 4.7% | 8.7% | 12.4% | 34 | 64 |
表３は３コーナーでの位置取り別成績。中京芝1200ｍのスタートは向正面の中間にあり、３コーナーが最初のコーナーとなる。スタートから先頭争いを制して逃げた馬が３角１番手で、表２の逃げ馬と同じ数値となっている。
また、３角２〜３番手につけた馬は表２で示した先行馬よりも連対率で上回っている。３コーナーで先頭に立てるテンのスピードがある馬、また２〜３番手につけられるような先行力のある馬が狙いとして面白いタイプといえるだろう。
■表４ 中京芝1200ｍの種牡馬別成績（2015年以降/古馬２勝クラス以上）
| 種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
| ディープインパクト | 6- 6- 1-28/41 | 14.6% | 29.3% | 31.7% | 87 | 69 |
| アドマイヤムーン | 3- 3- 3-29/38 | 7.9% | 15.8% | 23.7% | 53 | 106 |
| サクラバクシンオー | 3- 1- 1-23/28 | 10.7% | 14.3% | 17.9% | 61 | 61 |
| マンハッタンカフェ | 3- 0- 0-15/18 | 16.7% | 16.7% | 16.7% | 72 | 28 |
| ヨハネスブルグ | 2- 1- 0-10/13 | 15.4% | 23.1% | 23.1% | 286 | 113 |
| スウェプトオーヴァーボード | 2- 0- 1-16/19 | 10.5% | 10.5% | 15.8% | 66 | 34 |
| ブラックタイド | 2- 0- 0- 8/10 | 20.0% | 20.0% | 20.0% | 627 | 123 |
| エンパイアメーカー | 2- 0- 0- 5/ 7 | 28.6% | 28.6% | 28.6% | 327 | 84 |
| ダイワメジャー | 0- 1- 4-40/45 | 0.0% | 2.2% | 11.1% | 0 | 72 |
| ロードカナロア | 0- 0- 1- 6/ 7 | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 0 | 41 |
※上位は２勝以上を掲載。
表４は種牡馬別成績。ディープインパクト産駒が一昨年のＣＢＣ賞を制したアレスバローズら最多の６勝で、２勝以上あげている種牡馬の中では連対率・複勝率もトップだ。ただし、３着以内に好走した13頭中12頭は上位５番人気以内に支持されていた。
以下、アドマイヤムーン、サクラバクシンオー、マンハッタンカフェの各産駒が３勝ずつで続いている。なお、他の競馬場では勝ち星で上位に入っているダイワメジャー産駒、ロードカナロア産駒がどちらも未勝利。ダイワメジャー産駒は出走数最多にもかかわらず１連対のみ。ロードカナロア産駒はダイアトニックが高松宮記念で繰り上がり３着に入ったものの、ダノンスマッシュは高松宮記念を２戦してともに４着以下に敗れている。
■表５ 中京芝1200ｍの馬体重別成績（2015年以降/古馬２勝クラス以上）
| 馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
| 400〜419kg | 0- 0- 0- 7/ 7 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
| 420〜439kg | 1- 1- 1- 38/ 41 | 2.4% | 4.9% | 7.3% | 21 | 17 |
| 440〜459kg | 6- 7- 4- 95/112 | 5.4% | 11.6% | 15.2% | 42 | 59 |
| 460〜479kg | 11- 10- 12-160/193 | 5.7% | 10.9% | 17.1% | 100 | 83 |
| 480〜499kg | 12- 15- 12-144/183 | 6.6% | 14.8% | 21.3% | 96 | 123 |
| 500〜519kg | 6- 9- 7- 83/105 | 5.7% | 14.3% | 21.0% | 49 | 74 |
| 520〜539kg | 5- 0- 3- 26/ 34 | 14.7% | 14.7% | 23.5% | 67 | 115 |
| 540kg以上 | 1- 0- 3- 5/ 9 | 11.1% | 11.1% | 44.4% | 47 | 223 |
表５は出走時の馬体重別成績。黄色で強調した480キロ以上の複勝率が高く、いずれも21％を超えている。複勝回収率でも500〜519キロを除いて、すべて100％を超えている。
なお、480キロ未満は馬体重が軽くなるにつれ、複勝率も低くなる傾向にあり、420キロ未満の馬はいずれも着外に敗れていた。
＜結論＞
■表６ 今年のセントウルＳの出走予定馬（9/9時点）
| 馬名 | 性齢 | 前走成績 |
| ダノンスマッシュ | 牡5 | 安田記念 8着 |
| ミスターメロディ | 牡5 | 安田記念 11着 |
| ラブカンプー | 牝5 | 北九州記念 16着 |
| セイウンコウセイ | 牡7 | 安田記念 12着 |
| ビアンフェ | 牡3 | 葵Ｓ 1着 |
| タイセイアベニール | 牡5 | 北九州記念 9着 |
| シヴァージ | 牡5 | 函館スプリントＳ 5着 |
| ラヴィングアンサー | 牡6 | 朱鷺Ｓ 8着 |
| キングハート | 牡7 | UHB賞 8着 |
| トゥラヴェスーラ | 牡5 | 北九州記念 6着 |
| クリノガウディー | 牡4 | 関屋記念 18着 |
| メイショウグロッケ | 牝6 | 関屋記念 8着 |
| ボーンスキルフル | 牝5 | 稲妻Ｓ 1着 |
| トウショウピスト | 牡8 | 福島テレビOP 4着 |
| メイショウキョウジ | 牡5 | 北九州記念 10着 |
| フェルトベルク | 牝6 | 佐世保Ｓ 1着 |
| クライムメジャー | 牡6 | 北九州記念 4着 |
| ノーワン | 牝4 | NST賞 15着 |
| イエローマリンバ | 牝5 | 春雷Ｓ 16着 |
※フルゲート18頭。
今年の出走予定馬は表６のとおり。
１番人気に推されそうなのがダノンスマッシュ。ただし、前述したように中京芝1200ｍでは高松宮記念で昨年４着、今年10着でともに馬券圏内に入れていない。２走前の京王杯ＳＣでは勝利しているが、スローペースでの逃げ切りで本質的には左回りの1200ｍは合っていないと見る。前走の安田記念でも逃げているが、今回は他にテンに速い馬がいるため無理にハナには行かないだろう。中京コースでは結果が出ていないだけに、今回も懐疑的な見方をしたい。
これまでの中京芝1200ｍ戦の傾向から３歳馬ビアンフェを筆頭に推したい。前走葵Ｓは斤量57キロを背負っての逃げ切り勝ち。古馬初対戦となるが、テンのスピードは今回のメンバーでも最も速いと見る。ハナに行けばしぶといタイプで、馬体重も前走558キロとかなり大型なのも表５から好材料だ。ビアンフェの逃げ粘りにまず期待したい。
また先行力があり、中京芝短距離で実績あるミスターメロディ、クリノガウディーの２頭も上位に推奨したい。ミスターメロディは昨年の高松宮記念でダノンスマッシュを破って勝利し、中京芝は２戦２勝。条件的にはベストで、狙い頃だろう。
クリノガウディーは今春の高松宮記念で１位入線も４着降着。成績にムラがあるタイプだが、中京芝では中京記念２着もあり、安定して走れている。前走関屋記念では18着と大敗しているが、距離短縮で一変しておかしくない。
他では「行った行った」の前残りになった場合にセイウンコウセイの先行力も侮れない。穴として注目しておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ（けんたろう）
1978年６月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は１着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
