データde出〜た
第1421回 今年も要注目! レーン騎手の買い条件とは!?
2020/5/18(月)
昨春の短期免許時にノームコアでヴィクトリアMを制し、その後もリスグラシューを宝塚記念、有馬記念で勝利に導くなど強烈な印象を残したオーストラリアのダミアン・レーン騎手。今年も短期免許で4月18日から騎乗しており、活躍が期待されている。今回は初来日した昨春から今年5月10日までのデータからレーン騎手の買い条件を探っていきたい。なお、データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 レーン騎手の昨年と今年の成績(今年は5/10終了時点)
年 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
2020年 | 16- 9- 8- 27/ 60 | 26.7% | 41.7% | 55.0% | 78% | 84% |
2019年 | 38- 11- 18- 58/125 | 30.4% | 39.2% | 53.6% | 130% | 101% |
表1はダミアン・レーン騎手の昨年と今年の成績。レーン騎手は1994年オーストラリア生まれの現在26歳。昨年4月27日の東京競馬から短期免許で騎乗を開始し、土曜は未勝利に終わったものの、日曜には4勝の固め打ちを決めた。その週は3日間開催で、月曜の新潟大賞典において7番人気のメールドグラースをいきなり重賞制覇に導いた。
その後は京王杯SCをタワーオブロンドン、ヴィクトリアマイルをノームコアで制するなど快進撃が続いたのは記憶に新しい。昨年はリスグラシューで宝塚記念と有馬記念も制するなどG1を3勝。のべ38勝をあげ、単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えていた。
今年は5月10日終了時点で16勝だが、連対率・複勝率は昨年よりも上がっている。日本競馬への慣れと自信がついたことの成果だろうが、単勝回収率・複勝回収率はともに大きく下がっている。これは競馬ファンがレーン騎手を「馬券で頼れる騎手」と認めている表れだ。
■表2 レーン騎手のクラス別成績(今年5/10終了時点)
クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
新馬 | 2- 0- 1- 3/ 6 | 33.3% | 33.3% | 50.0% | 111% | 58% |
未勝利 | 19- 3- 9- 23/ 54 | 35.2% | 40.7% | 57.4% | 93% | 86% |
500万下 | 12- 11- 5- 19/ 47 | 25.5% | 48.9% | 59.6% | 111% | 115% |
1000万下 | 9- 1- 6- 17/ 33 | 27.3% | 30.3% | 48.5% | 97% | 85% |
1600万下 | 4- 3- 1- 8/ 16 | 25.0% | 43.8% | 50.0% | 86% | 108% |
OPEN他 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
OPEN(L) | 1- 0- 2- 5/ 8 | 12.5% | 12.5% | 37.5% | 37% | 77% |
G3 | 2- 0- 1- 1/ 4 | 50.0% | 50.0% | 75.0% | 462% | 130% |
G2 | 2- 1- 1- 1/ 5 | 40.0% | 60.0% | 80.0% | 218% | 144% |
G1 | 3- 1- 0- 5/ 9 | 33.3% | 44.4% | 44.4% | 238% | 101% |
表2はレーン騎手のクラス別成績。黄色で強調したように重賞での活躍が目立っている。いずれも単勝回収率・複勝回収率ともに100%を超えている。なかでもG2、G3は連対率・複勝率が非常に高い。先週の京王杯SCでもダノンスマッシュで逃げ切り勝ちをおさめている。大舞台でも物怖じしない強心臓、馬の力を出し切る技術の高さがあっての好成績だ。
■表3 レーン騎手の調教師別成績(今年5/10終了時点)
調教師 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
(美)堀宣行 | 16- 6- 6-19/47 | 34.0% | 46.8% | 59.6% | 105% | 105% |
(美)手塚貴久 | 5- 1- 1- 4/11 | 45.5% | 54.5% | 63.6% | 166% | 84% |
(美)藤沢和雄 | 4- 1- 1- 3/ 9 | 44.4% | 55.6% | 66.7% | 140% | 72% |
(美)木村哲也 | 4- 0- 3- 4/11 | 36.4% | 36.4% | 63.6% | 74% | 85% |
(栗)矢作芳人 | 3- 1- 1- 0/ 5 | 60.0% | 80.0% | 100.0% | 318% | 192% |
(栗)清水久詞 | 2- 0- 1- 0/ 3 | 66.7% | 66.7% | 100.0% | 616% | 260% |
(美)萩原清 | 2- 0- 0- 1/ 3 | 66.7% | 66.7% | 66.7% | 403% | 156% |
※2勝以上を掲載。
表3はレーン騎手の調教師別成績。身元引受調教師である堀宣行厩舎の管理馬における騎乗が抜けて多く、勝利数も最多の16勝をマークしている。堀厩舎では先日の皐月賞で2着だったサリオスが思い出されるが、昨年6月の新馬戦で勝利に導いている。意外なことに堀厩舎の管理馬では重賞制覇がまだないのだが、サリオスに騎乗予定の日本ダービーで達成なるかも今春の注目点だ。
他では手塚厩舎、藤沢和厩舎、木村厩舎と美浦を代表する厩舎が並ぶ。栗東ではリスグラシューとのコンビの矢作厩舎、メールドグラースとのコンビの清水久厩舎など実績ある厩舎が続いており、G1や重賞の勝負掛かりで依頼される騎手といえる。
■表4 レーン騎手の前走からの距離増減別成績(今年5/10終了時点)
前走距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
同距離 | 21- 8- 11- 29/ 69 | 30.4% | 42.0% | 58.0% | 86% | 87% |
今回延長 | 10- 9- 3- 28/ 50 | 20.0% | 38.0% | 44.0% | 90% | 73% |
今回短縮 | 18- 3- 11- 22/ 54 | 33.3% | 38.9% | 59.3% | 165% | 135% |
表4は前走からの距離増減別成績。黄色で強調したように、勝率・複勝率は前走から距離短縮組が最も高い。また距離短縮組は単勝回収率・複勝回収率ともに100%を大きく超えている。
連対率トップは前走と同距離組。最多の21勝をあげており、複勝率でも距離短縮組とほぼ変わりない高い数字だ。距離延長組は勝率・連対率で他の2組より劣っていた。
■表5 東京芝コースにおけるレーン騎手の脚質別成績(今年5/10終了時点)
脚質 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
逃げ | 6- 1- 0- 2/ 9 | 66.7% | 77.8% | 77.8% | 203% | 102% |
先行 | 8- 3- 4- 7/22 | 36.4% | 50.0% | 68.2% | 83% | 94% |
差し | 10- 5- 8-18/41 | 24.4% | 36.6% | 56.1% | 86% | 117% |
追い込み | 3- 1- 2- 9/15 | 20.0% | 26.7% | 40.0% | 94% | 84% |
マクリ | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表5は現在継続騎乗している東京の芝コースにおける脚質別成績。逃げた場合に勝率66.7%と非常に高い数値を残している。先週の京王杯SCでもダノンスマッシュで逃げ切り勝ちをおさめたように、「積極的な騎乗で脚をもたせる」のがレーン騎手の最大の特長といえるだろう。
先行した場合も連対率50.0%・複勝率68.2%と優秀な成績を残している。騎乗馬の質が高いのももちろんあるが、もたせる技術があっての好成績といえる。逃げ、先行タイプの馬は馬券的にも狙い目といえそうだ。
■表6 東京芝コースにおけるレーン騎手の世代別成績(今年5/10終了時点)
世代 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
現 4歳(2016年産) | 10- 4- 4-18/36 | 27.8% | 38.9% | 50.0% | 72% | 71% |
現 3歳(2017年産) | 8- 3- 3- 5/19 | 42.1% | 57.9% | 73.7% | 103% | 110% |
現 5歳(2015年産) | 6- 3- 4- 6/19 | 31.6% | 47.4% | 68.4% | 142% | 186% |
現 6歳(2014年産) | 2- 0- 2- 6/10 | 20.0% | 20.0% | 40.0% | 61% | 52% |
現 7歳(2013年産) | 1- 0- 1- 1/ 3 | 33.3% | 33.3% | 66.7% | 243% | 123% |
現 9歳(2011年産) | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
最後に表6は東京芝コースにおける世代別成績。騎乗数・勝利数が多いのは現4歳世代だが、勝率・連対率・複勝率いずれもトップなのが現3歳世代。1戦1勝だったデゼルでスイートピーSを制するなど、今春だけで7勝をあげている。複勝率も73.7%と非常に高い。
デゼルで今週のオークス、サリオスで来週の日本ダービーに騎乗予定となっている。今後もレーン騎手の手綱さばきから目が離せない。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。