データde出〜た
第1402回 芝1400m実績が重要なフィリーズレビューを展望
2020/3/12(木)
今週末は、障害戦を含めて重賞が5鞍も組まれるなど注目のレースが目白押し。そのなかから今回は、日曜阪神のフィリーズレビューを取り上げたい。出走登録がある26頭の収得賞金を見る限り、桜花賞のゲートに入るためには優先出走権が必要な馬が大半を占める。激しい争いが繰り広げられそうな一戦を、過去10年のデータから展望しよう。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
■表1 人気別成績
人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1番人気 | 2- 3- 0- 5/ 10 | 20.0% | 50.0% | 50.0% | 71% | 75% |
2番人気 | 2- 1- 2- 5/ 10 | 20.0% | 30.0% | 50.0% | 94% | 94% |
3番人気 | 3- 0- 0- 7/ 10 | 30.0% | 30.0% | 30.0% | 156% | 66% |
4番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% | 10.0% | 0% | 38% |
5番人気 | 0- 0- 3- 7/ 10 | 0.0% | 0.0% | 30.0% | 0% | 95% |
6番人気 | 0- 1- 3- 6/ 10 | 0.0% | 10.0% | 40.0% | 0% | 137% |
7番人気 | 0- 1- 1- 8/ 10 | 0.0% | 10.0% | 20.0% | 0% | 71% |
8番人気 | 2- 1- 0- 7/ 10 | 20.0% | 30.0% | 30.0% | 495% | 135% |
9番人気 | 1- 0- 0- 9/ 10 | 10.0% | 10.0% | 10.0% | 262% | 50% |
10番人気〜 | 1- 1- 1- 77/ 80 | 1.3% | 2.5% | 3.8% | 25% | 92% |
表1は人気別成績。なお、昨年は1着同着だったため、過去10年の1着馬は11頭、2着馬は9頭という内訳になる。1着馬の人気傾向はなかなか特徴的で、1〜3番人気が7頭、8番人気以下が4頭と二極化しており、人気薄の勝ち切りも少なくないことに注意したい。また、2、3着には5〜7番人気の中穴クラスが入るケースも多くなっている。
■表2 枠番別成績
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1枠 | 3- 1- 1-15/20 | 15.0% | 20.0% | 25.0% | 267% | 120% |
2枠 | 2- 0- 1-17/20 | 10.0% | 10.0% | 15.0% | 39% | 30% |
3枠 | 2- 1- 1-16/20 | 10.0% | 15.0% | 20.0% | 148% | 74% |
4枠 | 0- 0- 1-19/20 | 0.0% | 0.0% | 5.0% | 0% | 9% |
5枠 | 1- 2- 2-15/20 | 5.0% | 15.0% | 25.0% | 111% | 65% |
6枠 | 1- 1- 0-18/20 | 5.0% | 10.0% | 10.0% | 38% | 287% |
7枠 | 0- 3- 3-19/25 | 0.0% | 12.0% | 24.0% | 0% | 73% |
8枠 | 2- 1- 1-21/25 | 8.0% | 12.0% | 16.0% | 29% | 55% |
表2は枠番別成績。勝率ベースで見ると1〜3枠がすべて10%以上の数値を残しており、計7頭が勝利している。例年出走頭数が揃ってゴチャゴチャしたレースになりがちなのだが、それでも内枠のほうが勝ちやすいことは覚えておきたい。
■表3 馬体重別成績
馬体重 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
400〜419キロ | 1- 0- 3- 11/ 15 | 6.7% | 6.7% | 26.7% | 23% | 63% |
420〜439キロ | 0- 4- 1- 35/ 40 | 0.0% | 10.0% | 12.5% | 0% | 41% |
440〜459キロ | 3- 4- 2- 43/ 52 | 5.8% | 13.5% | 17.3% | 56% | 146% |
460〜479キロ | 5- 1- 2- 35/ 43 | 11.6% | 14.0% | 18.6% | 156% | 52% |
480〜499キロ | 2- 0- 2- 13/ 17 | 11.8% | 11.8% | 23.5% | 166% | 146% |
500キロ〜 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
表3はレース当日の馬体重別成績。勝率が10%を超えているのは「460〜479キロ」「480〜499キロ」で、3歳牝馬としては比較的馬体に恵まれた馬が1着になりやすいことがわかる。残る4勝中3勝も「440〜459キロ」で、440キロ未満だった1着馬は昨年のプールヴィルしかいない。このデータを見る限り、1着を狙うなら440キロ以上は欲しいところだろう。
■表4 前走人気別成績
前走人気 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
前走1番人気 | 4- 0- 3- 29/ 36 | 11.1% | 11.1% | 19.4% | 157% | 64% |
前走2番人気 | 2- 1- 1- 25/ 29 | 6.9% | 10.3% | 13.8% | 27% | 36% |
前走3番人気 | 3- 2- 1- 11/ 17 | 17.6% | 29.4% | 35.3% | 232% | 128% |
前走4番人気 | 1- 3- 0- 12/ 16 | 6.3% | 25.0% | 25.0% | 128% | 103% |
前走5番人気 | 0- 1- 2- 10/ 13 | 0.0% | 7.7% | 23.1% | 0% | 70% |
前走6〜9番人気 | 1- 1- 1- 26/ 29 | 3.4% | 6.9% | 10.3% | 12% | 28% |
前走10番人気〜 | 0- 1- 2- 27/ 30 | 0.0% | 3.3% | 10.0% | 0% | 200% |
表4は前走人気別成績。複勝率ベースで見ると前走5番人気と6〜9番人気の間に隔たりがあり、基本的には前走5番人気までがいいだろう。前走1番人気は、4勝を挙げて単勝回収率157%。そのうち2頭はいずれも8番人気だった16年のソルヴェイグと18年のリバティハイツで、両馬ともに前走の500万下(現1勝クラス)で敗れたために人気を落とすこととなった。また、前走2番人気より、前走3番人気や4番人気のほうが優秀な数値を残していることも確認しておきたい。
基本的には前走5番人気までと述べたが、前走6〜9番人気や10番人気以下で好走した馬も計6頭いる。このうち4頭には前走が阪神JFという共通項があるので、狙うとすればここだろう。
■表5 芝1400mの実績別成績
芝1400m実績 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
あり | 7- 7- 7-54/75 | 9.3% | 18.7% | 28.0% | 74% | 72% |
なし | 4- 2- 3-86/95 | 4.2% | 6.3% | 9.5% | 76% | 100% |
※実績は「1着および重賞2着以内」を指す
表5は、芝1400m実績(ここでは1着および重賞2着以内)を持つ馬と持たない馬の成績を比較したもの。やはり、フィリーズレビューと同じ芝1400mで実績を持つ馬のほうが明らかに高い好走率を記録している。実績を持たずに好走した馬も9頭いるため絶対とまでは言えないが、できれば持っておきたいところだ。
■表6 前走距離別成績(芝のみ)
前走平地距離 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回率 | 複回率 |
1200m | 0- 0- 0- 25/ 25 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
1400m | 4- 3- 4- 42/ 53 | 7.5% | 13.2% | 20.8% | 107% | 67% |
1600m | 7- 6- 5- 52/ 70 | 10.0% | 18.6% | 25.7% | 102% | 149% |
表6は前走距離別成績。対象とする前走は芝のみとし、そのなかでも出走馬の大半を占める1200、1400、1600mに絞って掲載した。すぐに気づくのは、全部で25頭いる前走芝1200mは好走例が皆無ということ。次に、好走例が多い前走芝1400mと1600mはどちらもチャンス十分だが、5項目中4項目で高い数値を残している前走芝1600mがより有利と言える。また、前項で確認したことも考慮すると、芝1400m実績を持ち、そのうえで前走では芝1600mに出走していた馬が有望と考えられる。
なお、距離を問わず前走ダートの場合は【0.0.1.19】という成績。13年3着のティズトレメンダスが唯一の好走例となっている。
■表7 芝1400m実績なしの1〜3着馬一覧
年 | 着順 | 人気 | 馬名 | 血統 |
10年 | 1 | 9 | サウンドバリアー | 父・母父非サンデー系 |
11年 | 2 | 6 | スピードリッパー | 父非サンデー系 |
13年 | 3 | 11 | ティズトレメンダス | 父・母父非サンデー系 |
14年 | 2 | 13 | ニホンピロアンバー | 父・母父非サンデー系 |
3 | 6 | エスメラルディーナ | 父・母父非サンデー系 | |
15年 | 1 | 1 | クイーンズリング | |
17年 | 3 | 6 | ゴールドケープ | 父非サンデー系 |
18年 | 1 | 8 | リバティハイツ | 父・母父非サンデー系 |
19年 | 1 | 12 | ノーワン |
表5の項で、芝1400m実績を持たない好走馬も9頭いることを述べた。それを一覧にしたのが表7。ここで注目したいのが血統で、このケースでは「非サンデー系」の父を持つ馬の好走が目立つ。9頭中7頭が該当し、そのうち5頭は母の父も非サンデー系だった。サンデーサイレンスの血を持つ馬が非常に多い現在では珍しい傾向で、参考にしたいところだ。
【結論】
今年のフィリーズレビューは、フルゲート18頭のところに26頭が出走登録。このなかから、先に見たデータで好走例が多い「馬体重440キロ以上」「前走5番人気以内」「前走芝1400、1600m」に合致する馬を挙げていく。なお、馬体重のデータは本来レース当日のものに基づいているが、ここでは前走時を採用する。また、収得賞金400万円の18頭は出走が確定していないため、馬名の後ろに(※)を付記している。
まずは芝1400m実績を持つ馬から。アヌラーダプラは勝ち馬が多い前走1番人気で、より好走率が高い前走芝1600m。前走時464キロと馬体重も十分で、好条件が揃っている。ほかにカリオストロ、シャレード(※)、ナイントゥファイブ(※)、ミズリーナ(※)の4頭も該当する。
芝1400m実績を持たない馬では、前述の条件に加えて、父が非サンデー系の馬の好走が多い。該当するのはデンタルバルーンで、母の父も非サンデー系という血統だ。
最後に前走が阪神JFだった馬は、そこで6番人気以下でも好走するケースがあった。今年該当するのはヤマカツマーメイド、ルーチェデラヴィタ、ボンボヤージ(※)で、この3頭にもチャンスはありそうだ。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。