セレクションセール2018
セレクションセールの歴史
今年からHBA(日高軽種馬農協)の主催するサマーセールの初日が、「サマープレミアムセール」となり、選抜市場として開催される運びとなった。
チリエージェの2016
セレクションセール2017年1歳 4,400万円
従来までの選抜市場と言えばセレクションセールであったが、生産者サイドとしては、まずはセレクションセールへの上場を目標としながら、遅生まれなどで成長を待ちたい馬はサマープレミアムセールを目指す、という選択も行えるようになった。
バイヤーにとってもこれは朗報である。売却率はセールレコードとなる81.41%、落札総額は28億8020万円と、「ストロングセール」と呼ぶに相応しい数字を残しているセレクションセール。そこで落札できなかったような良質馬を、今後はサマープレミアムセールで再び選び取ることが可能となるからだ。つまり、セレクションセールの信頼度と上場馬の質の高さが、更なる選抜市場となるサマープレミアムセールを作り出したとも言えよう。
それだけに選定を行うHBA職員の責任は重大となっていく。販売希望価格が500万円以上に定められているセレクションセール。生産者はその評価を受けるような血統、馬体共に優れた馬を送り出す必要がある。セレクションセールならではという実馬検査をクリアし、今年のセレクションセールに上場されたのは198頭。近年はコンサイナーの普及もあいまって、セリ馴致も年々進化を遂げており、血統背景や馬体だけでなく、人とのコミュニケーションにもバイヤーは注目するようになってきている。
また、セレクションセールの驚異的な売り上げの源となっているのは、血統的に魅力の溢れる上場馬も揃っているからでもある。近年は実馬検査の前に、「血統基準」による選考も行われており、ここ数年は産駒がデビューする前、もしくは産駒がデビューする年の種牡馬がラインナップされるようになった。一昨年はルーラーシップ、昨年のセールでは2歳戦から好調なスタートを切った、ロードカナロアの産駒に対して活発な競り合いが行われており、そのチョイスが正しかったことを証明している。
過去の取引馬からはホッコータルマエ、ビッグアーサー、セイウンワンダーといった、蒼々たるGTホースを輩出。今年も京成杯に優勝し、皐月賞でも3着に入着したジェネラーレウーノや、兵庫チャンピオンシップを制したテーオーエナジーが今後の更なる活躍に期待を持たせている。ちなみに3000万円で取引されたジェネラーレウーノは、日本ダービー終了時点でその3倍近い8708万8000円の賞金を得ており、高額落札馬への信頼度も高めてみせた。
ジェネラーレウーノ(京成杯)
セレクションセール2016年1歳 3,000万円
全国で約80%のサラブレッドが生産される日高地区を中心に、血統、馬体の全てでハイクオリティな1歳馬が集まるセレクションセール。今後はサマープレミアムセールと共に定期市場の両輪となり、HBA全体で昨年に続く100億円市場へと弾みを付けるような売却成績を期待したい。
※金額は全て税抜き
過去のGIウイナー
- ・ホッコータルマエ
(チャンピオンズC、帝王賞2回、川崎記念3回、東京大賞典2回、JBCクラシック、かしわ記念)
- ・サニングデール(高松宮記念)
- ・セイウンワンダー(朝日杯FS)
- ・フィールドルージュ(川崎記念)
- ・ロジック(NHKマイルC)
- ・メルシーエイタイム(中山大障害)
- ・ビッグアーサー(高松宮記念)
近年の取引馬における重賞馬
- ・テーオーエナジー(兵庫チャンピオンシップ)
- ・ジェネラーレウーノ(京成杯)
- ・ダンツプリウス(ニュージランドT)
- ・マイネルハニー(チャレンジC)
- ・モルトベーネ(アンタレスS)
- ・ストークアンドレイ(函館2歳S)
- ・サウンドリアーナ(ファンタジーS)
- ・テイエムイナズマ(デイリー杯2歳S)
- ・マイネルクロップ(マーチS、佐賀記念)
- ・マイネルバイカ(白山大賞典)
- ・ショウナンマイティ(大阪杯)
- ・アースソニック(京阪杯)
- ・マジカルポケット(函館2歳S)
- ・マイネルメダリスト(目黒記念)
- ・エーシンビートロン(サマーチャンピオン)
- ・コスモヘレノス(ステイヤーズS)
- ・エーシンホワイティ(ファルコンS、新潟ジャンプS)
- ・アントニオバローズ(シンザン記念)
- ・サーストンコラルド(東京ジャンプS)
ライタープロフィール
村本浩平(競馬ライター)
北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。