セレクションセール 高額取引馬(1歳)

1歳 アポロティアラの2017
(牡 鹿毛)

4100万円

アポロティアラの2017
ロードカナロア アポロティアラ 母父 パラダイスクリーク
販売者 (有)山際牧場 落札者 了コ寺健二ホールディングス(株)

 父はスプリンターズS(GT)2回、高松宮記念(GT)、安田記念(GT)などを制覇し、香港に遠征して香港スプリント(G1・芝1200m)を2連覇した。このレースは世界有数の芝スプリント戦で、これを5馬身差圧勝した能力は尋常ではない。種牡馬としても成功、牝馬二冠馬アーモンドアイ、スプリングS(GU)優勝馬ステルヴィオを出した。芝1400〜1600mがベスト。

 母はJRAで2勝。仕上がりの早い芝向きの短距離馬で、2歳時から頭角を現し、フェアリーS(GV・芝1200m)を13番人気で勝った。甥のジョーストリクトリはニュージーランドトロフィー(GU)の勝ち馬。2代母タイキフレグランスの半兄に七夕賞(GV)2着馬タイキフラッシュがいる。これまでデビューした2頭はいずれもJRA未勝利馬だが、高いポテンシャルを秘めている。

 母の父は米国産。その母ノースオブエデンはシアトリカルとタイキブリザードの半兄弟にあたる良血。現役時代はアーリントンミリオン(米G1・芝約2000m)などを制し、5歳時に米芝牡馬チャンピオンに輝いた。ジャパンC(GT)にも出走し2着。種牡馬としてはテイエムプリキュア(阪神JF)、カネツフルーヴ(帝王賞)などを出した。距離適性は幅広く芝・ダート兼用。

1歳 アートスタジオの2017
(牡 栃栗毛)

3400万円

アートスタジオの2017
ヘニーヒューズ アートスタジオ 母父 Bernardini
販売者 (有)矢野牧場 落札者 吉冨 学

 父は米国産。ヴォスバーグS(米G1・ダ約1200m)、キングスビショップS(米G1・ダ約1400m)を制覇した。アメリカ時代に米G1を11勝した女傑ビホルダーを出し、マル外として日本に入ったアジアエクスプレスとモーニンがGTを勝った。日本で種付けをして誕生した産駒にはドンフォルティス(北海道2歳優駿)、プロミストリープ(浦和桜花賞)がいる。ダート向きのマイラー。

 母は米国産で不出走。多くの名馬が誕生したコートリーディーを祖とする名門牝系に属している。「エーピーインディ系×デピュティミニスター」なのでシニスターミニスターやカジノドライヴに似ている。2代母と3代母は米G2勝ち馬で、とくに3代母アーイシャは、ヤマニンパラダイス(阪神3歳牝馬S)の母やベルトリーニ(ジェンティルドンナの母の父)の母と全姉妹の関係にある。

 母の父は米国産。米8戦6勝。プリークネスS(米G1)など3つのG1を制して米最優秀3歳牡馬に選ばれた。アメリカで発展ぶりが著しいエーピーインディ系に属し、基本的にはパワー型。ステイサースティやトゥオナーアンドサーヴなど多くの活躍馬の父となった。日本ではサトノプリンシパル(レパードS2着)やアメリカンウィナー(平安S4着)などを出している。中距離向き。

1歳 ユメノオーラの2017
(牡 青鹿毛)

3400万円

ユメノオーラの2017
エピファネイア ユメノオーラ 母父 マイネルラヴ
販売者 田中スタッド 落札者 松本 好雄

 父は14戦6勝(うち海外2戦0勝)。シンボリクリスエスの代表産駒で、母はオークス馬シーザリオ、半弟に最優秀2歳牡馬リオンディーズを持つ超良血。現役時代は気性面の難しさを抱えながら菊花賞(GT)とジャパンC(GT)を制した。瞬発力よりもスピードの持続力を武器とし、スタミナも十分で、ハマったときの強さは手が付けられないほどだった。種牡馬としても前途洋々。

 母はJRA3勝。フィリーズレビュー(GU)やエルフィンS(OP)で2着と健闘した。産駒成績も上々で、デビューした4頭中2頭が勝ち上がり、それらはいずれも3勝している。名門ホクトヒショウ系に属し、4代母ホクトビーナスは桜花賞(GT)2着。3代母ホクトペンダントは報知杯4歳牝馬特別(GU・芝1400m)2着。近親にビーナスライン(函館スプリントS)など。

 母の父は米国産。キーンランドのセリで購買され、日本で走った。父シーキングザゴールド譲りのスピードでスプリンターズS(GT)、シルクロードS(GV)、セントウルS(GV・芝1400m)を制覇。種牡馬としてもマイネルハーティー(ニュージーランドトロフィー)、ゲットフルマークス(京王杯2歳S)などを出した。芝・ダート兼用のスピードタイプで母の父としても悪くない。

1歳 アドマイヤスペースの2017
(牡 鹿毛)

3300万円

アドマイヤスペースの2017
ジャスタウェイ アドマイヤスペース 母父 アドマイヤコジーン
販売者 (有)辻牧場 落札者 永井 啓弍

 父はドバイデューティーフリー(首G1・芝1800m)を6・1/4馬身差で圧勝し、2014年のワールドサラブレッドランキングで年間1位となる130ポンドを獲得した。このほか天皇賞・秋(GT)、安田記念(GT)など5つの重賞を制覇するという華々しい競走実績を残した。母シビルは未勝利馬だが、2代母シャロンはCCAオークス(米G1・ダ約2000m)を勝った名牝。

 母はJRA4勝。クイーンS(GV)4着、愛知杯(GV)4着などの成績を残した。その半弟アドマイヤフライトは日経新春杯(GU)で2着、3着。オトメゴコロの孫なので年度代表馬キタサンブラック(有馬記念、天皇賞・春2回、天皇賞・秋、菊花賞、大阪杯)のイトコにあたる。デビューした産駒3頭のなかでJRAで勝ち星を挙げた馬はいないが、可能性を秘めた繁殖牝馬だ。

 母の父は23戦6勝(うち海外1戦0勝)。朝日杯3歳S(GT)を勝って2歳牡馬チャンピオンとなった。骨折による1年7ヵ月の休養を挟んで復帰すると、6歳時に安田記念(GT)など3重賞を制して最優秀短距離馬に選出された。スプリンターズS(GT)を勝ったアストンマーチャン、スノードラゴンの父となり、母の父としてもウインブライト、コウソクストレートを出しており悪くない。

1歳 マイプラーナの2017
(牡 鹿毛)

3200万円

マイプラーナの2017
ケープブランコ マイプラーナ 母父 マンハッタンカフェ
販売者 (有)フジワラファーム 落札者 吉岡 實

 父は愛国産。同国でデビューし、3歳時に愛ダービー(G1)と愛チャンピオンS(G1)を制覇。その後、やや頭打ちとなったが、4歳時にアメリカ遠征をすると復活。アーリントンミリオン(米G1)などG1を3連勝して米芝牡馬チャンピオンに選ばれた。アメリカとニュージーランドを経て2015年から日本で供用されている。日本初のガリレオ系種牡馬で、芝向きのスタミナを伝えるはず。

 母はJRA4勝。勝ち鞍はダ1400m以下で、1600万クラスまで出世した。産駒はこれまで2頭がデビューし、いずれも勝ち上がっている。2代母チェリーコウマンはウインターS(GV・ダ2300m)を勝った活躍馬で、繁殖牝馬としてもアンバルブライベン(京阪杯、シルクロードS)、マイマスターピース(兵庫チャンピオンシップ3着)などコンスタントに良駒を出した。

 母の父は菊花賞(GT)、有馬記念(GT)、天皇賞・春(GT)を制した名馬。長距離の大レースで良績を残したものの、サンデー系らしい切れ味勝負で勝ったという印象が強く、本質的にはステイヤーというよりも中距離馬だった。種牡馬としては09年にリーディングサイアーとなった。自身の特長を強く伝えるタイプではなく、交配牝馬の個性に応じてさまざまな産駒を出す傾向が見られる。

1歳 フラワーロックの2017
(牝 青鹿毛)

3100万円

フラワーロックの2017
ロードカナロア フラワーロック 母父 アッミラーレ
販売者 (有)酒井牧場 落札者 小林 祥晃

 父はスプリンターズS(GT)2回、高松宮記念(GT)、安田記念(GT)などを制覇し、香港に遠征して香港スプリント(G1・芝1200m)を2連覇した。このレースは世界有数の芝スプリント戦で、これを5馬身差圧勝した能力は尋常ではない。種牡馬としても成功、牝馬二冠馬アーモンドアイ、スプリングS(GU)優勝馬ステルヴィオを出した。芝1400〜1600mがベスト。

 母はJRA4勝。1000万下のノエル賞(芝1600m)を勝った。重賞には二度挑戦し、京都牝馬S(GV)8着、フェアリーS(GV)8着という成績。2代母カシオペアレディは未勝利馬だが、最優秀ダートホースに選出された女傑ホクトベガ(エリザベス女王杯、帝王賞、フェブラリーSなど)の半妹にあたる。日本で1年だけ供用されたデインヒルの血が入っているのは強調材料。

 母の父は重賞勝ち鞍がなく、現役時代はエルムS(GV)4着、根岸S(GV)4着が目立つ成績。全6勝はすべてダート戦だった。芝向きのサンデーサイレンス産駒のなかでは珍しいタイプだ。産駒もダート向きで、とくに東京ダ1300〜1400mは得意。全日本2歳優駿(JpnI)など地方競馬のダート重賞を勝ちまくったハッピースプリントをはじめ地方競馬での実績が目立っている。

1歳 ハイカックウの2017
(牝 黒鹿毛)

3100万円

ハイカックウの2017
ルーラーシップ ハイカックウ 母父 High Chaparral
販売者 (有)桜井牧場 落札者 宮崎 俊也

 父はキングカメハメハの後継種牡馬の1頭。二冠馬ドゥラメンテとは4分の3同血の関係で、エアグルーヴ(年度代表馬)を母に、ダイナカール(オークス馬)を2代母に持つ。サンデーサイレンスを持たないのも特徴のひとつ。現役時代にクイーンエリザベス2世C(G1・芝2000m)を楽勝するなど5つの重賞を制した。産駒は距離が延びて本領を発揮し、成長力がある。ダートは上手。

 母はJRA2勝馬。チューリップ賞(GV)7着、スイートピーS(OP)4着などの成績を残した。半弟セイウンコウセイは高松宮記念(GT)と函館スプリントS(GV)を勝っている。タイキフォーチュン(NHKマイルC)、タイキダイヤ(クリスタルC)、クラリティスカイ(NHKマイルC)など多くの重賞勝ち馬を出している名門パテントリークリアのファミリーに属している。

 母の父は愛国産。英ダービー(G1)、愛ダービー(G1)、ブリーダーズCターフ(米G1)2回、愛チャンピオンS(G1)など、芝10〜12ハロンのビッグレースを勝ちまくった。種牡馬としてはアイルランドとオーストラリアの双方で供用され、南北両半球でG1を10勝したソーユーシンク、サセックスS(英G1)とクイーンアンS(英G1)を勝ったトロナードなどを出した。

1歳 アンシェルブルーの2017
(牡 栗毛)

3000万円

アンシェルブルーの2017
キングカメハメハ アンシェルブルー 母父 マンハッタンカフェ
販売者 (有)矢野牧場 落札者 森中 蕃

 父は2010、11年のリーディングサイアーで、12年以降は2位をキープしている。サンデー系が支配するわが国における最も重要な対抗勢力の祖で、短距離王ロードカナロア、ダート王ホッコータルマエ、二冠馬ドゥラメンテ、中長距離型のルーラーシップなど、さまざまなタイプの産駒を出せるオールラウンダー。ロードカナロアとルーラーシップが後継種牡馬として成功している。

 母は重賞勝ちこそないものの、マイル以下の芝でコンスタントに走り、阪神牝馬S(GU)2着のほか、セントウルS(GU)と函館スプリントS(GV)で3着という成績がある。「マンハッタンカフェ×ストームキャット」はショウナンマイティ(大阪杯)と同じ。牝系をさかのぼると大種牡馬ヌレイエフ、サドラーズウェルズ、フェアリーキングなどの祖である名牝スペシャルに到達する。

 母の父は菊花賞(GT)、有馬記念(GT)、天皇賞・春(GT)を制した名馬。長距離の大レースで良績を残したものの、サンデー系らしい切れ味勝負で勝ったという印象が強く、本質的にはステイヤーというよりも中距離馬だった。種牡馬としては09年にリーディングサイアーとなった。自身の特長を強く伝えるタイプではなく、交配牝馬の個性に応じてさまざまな産駒を出す傾向が見られる。

1歳 スターズアラインドの2017
(牡 鹿毛)

3000万円

スターズアラインドの2017
ダイワメジャー スターズアラインド 母父 Sea The Stars
販売者 (有)笠松牧場 落札者 日下部 勝徳

 父は皐月賞(GT)、天皇賞・秋(GT)のほかマイルGTを3勝した名馬。4分の3妹に女傑ダイワスカーレット(有馬記念などGTを4勝)がいる。種牡馬としては仕上がりの早いマイラータイプとして成功し、カレンブラックヒル(NHKマイルC)、メジャーエンブレム(NHKマイルC、阪神JF)、コパノリチャード(高松宮記念)、レーヌミノル(桜花賞)などを出している。

 母はブルーウインドS(愛G3・芝約2000m)で2着となったウィルゴーウォーキングの半妹で、イギリスで2回出走して未勝利に終わった。注目すべきはその配合。その父シーザスターズ、その母の父ガリレオはいずれも凱旋門賞(仏G1)を勝った名牝アーバンシーの息子なので、アーバンシー2×3という牝馬クロスを持っている。これが吉と出れば繁殖牝馬として大成功が望める。

 母の父は愛国産。現役時代に凱旋門賞(仏G1)、英ダービー(G1)など6つのG1を制覇し、カルティエ賞年度代表馬に輝いた。大種牡馬ガリレオの半弟で、母アーバンシーは凱旋門賞馬。強力なスタミナを伝え、英ダービー(G1)と愛ダービー(G1)を連勝したハーザンド、英オークス(G1)とキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)を勝ったタグルーダが代表産駒。

1歳 ゴールドチェイスの2017
(牡 栗毛)

3000万円

ゴールドチェイスの2017
エピファネイア ゴールドチェイス 母父 アドマイヤムーン
販売者 (有)グランド牧場 落札者 斉藤 宣勝

 父は14戦6勝(うち海外2戦0勝)。シンボリクリスエスの代表産駒で、母はオークス馬シーザリオ、半弟に最優秀2歳牡馬リオンディーズを持つ超良血。現役時代は気性面の難しさを抱えながらも菊花賞(GT)とジャパンC(GT)を制した。瞬発力よりもスピードの持続力を武器とし、スタミナも十分で、ハマったときの強さは手が付けられないほどだった。種牡馬としても前途洋々。

 母はJRA1勝。ダート短距離を主戦場とした。ダートでオープンクラスまで出世したスズカセクレターボの半妹で、2代母セクレゴールドは名種牡馬ゴーンウェスト、ライオンキャヴァーンの4分の3妹、現種牡馬ロードアルティマの全姉にあたる。「アドマイヤムーン×シーキングザゴールド」はアルキメデス(朝日チャレンジC)と同じ組み合わせ。芝・ダート兼用でスピードを伝えるタイプ。

 母の父は17戦10勝(うち海外3戦1勝)。3歳春のクラシックでは壁に跳ね返されたが、4歳時に本格化し、ドバイデューティーフリー(首G1・芝1777m)、宝塚記念(GT)、ジャパンC(GT)を勝った。種牡馬としては父エンドスウィープのスピードを伝え、高松宮記念(GT)を勝ったセイウンコウセイ、ファインニードルを筆頭にコンスタントに良質のスピード馬を出している。

栗山求(血統評論家)

大学在学中の1989年に競馬通信社入社。血統専門誌「週刊競馬通信」編集長を経て、現在はフリー。血統関係を中心に執筆活動を展開中。