セレクトセール2018

セレクトセールの歴史

 今年の皐月賞を制したのは、新ひだか町の田上徹牧場が生産したエポカドーロ。セレクトセール2015の当歳セクションでは、「ダイワパッションの2015」という上場馬名で鑑定台に姿を見せ、3400万円で(株)ユニオンオーナーズクラブが落札した。

 毎年のように数多くのGT馬を送り出してきたセレクトセールであるが、日高産馬におけるクラシックレースの優勝馬は、エポカドーロが初めてとなった。

 田上徹牧場は家族経営の牧場であり、繋養する繁殖牝馬の頭数は8頭。その中で自己所有馬は4頭となっているが、決して多くは無い売り馬の中から、血統、馬体と自信を持って上場したエポカドーロが高い評価を得ただけでなく、皐月賞に続く日本ダービーでも2着の成績を残している。

エポカドーロ(皐月賞)

エポカドーロ(皐月賞)
セレクトセール2015年当歳 3,400万円

 この結果を受けて日高管内の生産者の中には、良質な生産馬をセレクトセールに上場させて、より多くのバイヤーに見てもらいたいという気運は高まったであろうし、バイヤー側としても、日高管内の上場にもより注目しなければと強く思ったに違いない。

 その一方でアメリカでは、セレクトセール2015に上場された、「ヒルダズパッションの2014」ことYoshidaが、チャーチルダウンズ競馬場で行われたG1ターフクラシックSを優勝。ハーツクライ産駒の外国調教馬としては、初めてのG1制覇ともなった。

Yoshida(ターフクラシックS)

Yoshida(ターフクラシックS)
セレクトセール2015年1歳 9,400万円

 仏ダービーではスタディオブマンが優勝。英ダービーでもサクソンウォリアーが1番人気の支持を集めるなど、世界中からディープインパクト産駒に注目が集まっているが、今後のセレクトセールではハーツクライに対しても、海外バイヤーから熱い視線が注がれることに違いない。

 今年の日本ダービーを制したのも、ディープインパクト産駒のワグネリアンであったが、そのレースにはエポカドーロを含めて、セレクトセールの取引馬が6頭出走していた。この3歳世代における6955分の1の頂点に立つためには、18頭のゲートの中に所有馬を送り出す必要がある。この結果を見る限り、セレクトセール上場馬の中から探し出すのが最も確率が高いとも言える。

ワグネリアン(日本ダービー)

ワグネリアン(日本ダービー)

 今年は1歳セクションに243頭、当歳セクションには239頭が上場予定。その中にディープインパクト産駒は1歳セクションに26頭、当歳セクションに14頭が上場を予定している。昨年はイルーシヴウェーヴ2017(牡)が、ディープインパクト産駒のセリ取引馬としては、過去最高となる5億8000万円で取引されている。今年の産駒実績からしても、数多くのミリオンホースが誕生してきそうなだけでなく、その中からはイルーシヴウェーヴ2017の取引額に迫るような高額落札馬も現れてきそうだ。

 また、エポカドーロの半弟となるダイワパッションの2018(牡)も上場を予定。父はこの当歳世代が初年度産駒となるドゥラメンテであり、血統的な背景を含めて、どれだけの評価がされるのかにも注目が集まる。

 いずれにせよ、国内外のホースマンから一際注目を集めそうな今年のセレクトセール。21年目を迎えた今年も、「昨年を上回るようなストロングセールが…」との書き出しで総評をまとめることになるのかもしれない。

※金額は全て税抜き

昨年のセール以降のGIウイナー

  • ・トーセンスターダム
    (トゥーラックハンデキャップ、
    エミレーツS)
  • ・ディアドラ(秋華賞、紫苑S)
  • ・スワーヴリチャード
    (大阪杯、アルゼンチン共和国杯、金鯱賞)
  • ・エポカドーロ(皐月賞)
  • ・レインボーライン(天皇賞・春、阪神大賞典)
  • ・Yoshida(ターフクラシックS)
  • ・ミッキーロケット(宝塚記念)

昨年のセール以降の重賞勝ち馬

  • ・グッドスカイ(新潟ジャンプS)
  • ・ミッキースワロー(セントライト記念)
  • ・ドンフォルティス(北海道2歳優駿)
  • ・ベルーガ(ファンタジーS)
  • ・マイネルフィエスタ(京都ジャンプS)
  • ・グレイル(京都2歳S)
  • ・サトノクロニクル(チャレンジC)
  • ・アルバート(ステイヤーズS)
  • ・ヒーズインラブ(ダービー卿CT)
  • ・グレイトパール(アンタレスS)
  • ・ゴーフォザサミット(青葉賞)
  • ・アスターサムソン(京都ハイジャンプ)
  • ・サトノアーサー(エプソムC)
  • ・セイウンコウセイ(函館スプリントS)

ライタープロフィール

村本浩平(競馬ライター)

北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。

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