セレクトセール2016
セレクトセールのみどころ
2016年のダービーは、マカヒキ、サトノダイヤモンド、そしてディーマジェスティという、ディープインパクト産駒3頭が、1〜3位を席巻。
昨年のクラシック二冠馬ドゥラメンテの母アドマイヤグルーヴも、このセレクト出身だったが、ひも解けばマカヒキの母ウィキウィキも、2004年のセレクトセールで、4250万円(税抜)という価格で金子真人氏によって落札。 よく見れば、当セール出身の繁殖牝馬の側から、二年連続してダービー馬を送り出したことになるんだなぁ。
なんて、8センチ差の2着に敗れたものの、サトノダイヤモンドも、当歳セールの価格は2億3千万。 セリ会場で目にした、幼いマルペンサの13の立ち姿と、ハンマーが落ちた時の高揚と興奮を、つい昨日のことのように覚えているが、ディープインパクトは、その後継者ディープブリランテ、トーセンホマレボシの産駒たちも、現2歳世代からデビューを果たしている。 来夏にはキズナの仔も、たぶんこのセレクトに上場されるだろう。
「ディープインパクト系」は着々とその礎を強固なものにしつつあるが、自身も現2歳が7クロップめと種牡馬として若い。 実はディープ自身もまだ道半ば、確変のさなかにあるのかもしれない。
本年のラインナップを見ても、1歳上場はシャムロッカー、イルーシヴウェーヴ、クライウィズジョイ、オンヴェラ、ペネンシアドール、ドバイマジェスティ、シャンパンドーロ、クリームオンリー、トップライナーII、オーサムフェザー、などの中から、確実にミリオンを超える馬が現れるだろう。
当歳はファイナルスコア、セリメーヌ、カンビーナ、シスタリーラヴ、ペイトンドーロ、マルペンサ、カトマンドゥ、マンデラ、リトルブックなど、まだ手垢のついていない、欧米のみならず世界各地から、新たに集められたエネルギッシュな繁殖牝馬の名前が次々と登場。
一つ代を経るたび、もっと新しい、もっと走る仔が現れるのではないかという期待が膨らんでくる。
そういえばつい先日海外では、ディープの息子エイシンヒカリが仏G1・イスパーン賞をブッチギリ。 世界でも最上位のランキングを与えられたばかりだ。
日本の中でももちろん、新しい馬主の参加もあるだろうが、一昨年はカタール、昨年はオーストラリアからのセレクト参加が話題となった。 世界経済情勢は日々大きな変動の中にあるけれど、ふたを開ければ海外から、思いもかけぬバイヤーが、ディープインパクト産駒奪取に参戦なんてことも十分考えられるよなぁ。
産駒数やセリに登場する数は減ってしまったが、ディープインパクトの次席をがっちり固めるキングカメハメハ産駒も、1歳ならばバランセラ、エミーズスマイル、ソニックグルーヴ、スペシャルグルーヴ、ミラクルレジェンド。 当歳はフィロンルージュ、グローリアスデイズなどがラインナップ。
ダイワメジャーは、現3歳メジャーエンブレムが、阪神JF・NHKマイルCのGIを制したことで、そのスピードと利便性が、想像以上の希求となって、落札額に反映されることだろう。
ルーラーシップ産駒は、6月の東京・新馬で、ワンツー・フィニッシュを決めたばかり。 ファーストクロップの時から、産駒たちの馬っぷりのよさが評判となっていたが、続く1歳世代、当歳評価も同様に芳しい。
オルフェーヴルは、種牡馬となって2年目。 つい先日、たまたま現1歳の産駒たちを牧場で10数頭目にする機会を得たが、1歳となり、いい意味でも悪い意味でも?(笑)、よりオルフェーヴルの個性が前面に出てきたというか。 ひとつ歳を得た1歳と当歳を見比べることによって、感じるものや得るものが多くなるかもしれない。
ちなみに当歳は、あのホエールキャプチャ、ラグジャリーなどのGI血統がスタンバイ。 カトマンブルー、リュヌドールも必見だろう。 同じく本年セカンドクロップを送り出すロードカナロア、ノヴェリストも、1歳馬たちを見ることで、種牡馬像のイメージが描きやすくなるかもしれない。
前年あたりから、ポスト・キンカメとして評価がうなぎ上りのハーツクライは、ミッキーパール、プラチナチャリス、ロイヤルペルラ、ミネルバサウンド、メジロジョーンズなど、自身の産駒たちはもちろん、世界のGIをまたにかけた息子ジャスタウェイが、新種牡馬としてデビューを迎える。
アドマイヤテレサ、アスピリンスノー、ベットーレ、アブソリューション、ヤマカツマリリン、ビーチパレードなどの名前が、下見を済ませた人たちの口から早くも評判に上っている。
ライタープロフィール
丹下日出夫(競馬評論家)
「ホースニュース馬」を経て現在は毎日新聞本紙予想。POG大魔王の通称も定着している。