ノースヒルズの育成部門として、これまでキズナ、コントレイル、トランセンドなど数多の名馬を競馬場に送ってきた大山ヒルズ。
2003年に52馬房でスタートした同場は、今では255馬房を擁する大所帯となった。近年は生産及びグループ所有馬だけではなく、非生産の預託馬も増えており、その中から昨年はゴライコウ(JBC2歳優駿)、オオバンブルマイ(京王杯2歳S)がタイトルを獲得。
ノースヒルズ生産馬ではエミュー(フラワーカップ)、ガストリック(東京スポーツ杯2歳S)が重賞ウィナーの称号を手にしている。
今年のPOG取材に際して取締役ディレクターの齋藤慎氏は、「昨年と変わった点は坂路のウッドチップを深くしてより負荷のかかる馬場になったこと。これまではダートコースも併用していましたが、今年は坂路中心のメニューを組んでいます。ハロン16、17ペースでも息が上がるほどですから、相当きついのでしょう。体力がついていますよ」と手応えをつかんでいた。
それでは、齋藤氏のコメントを交え2歳馬を紹介していこう。
アタラヨ (牝、父Justify、母マジックファウンテン)は、祖母が愛オークス馬のBraceletで、父は無敗の米3冠馬という血統配合。昨年10月の入厩からここまで順調にトレーニングを重ねて、今年の2歳牝馬の中でも特に目を引く存在だという。
「馬体に伸びがありますし、素晴らしい見栄えをしていますね。ゆったりとしたキャンターをしますし、芝の中距離から使い出して、先々は2000m以上でも良さそうです。秋デビューを目指しています」
デビュー目標は、中距離の番組が充実してくる秋。その先にはクラシックを見据えている。
馬っぷりの良さではケアラウレア(牝、父Quality Road 母Hard Not to Like)も負けていない。母は芝の米GIゲイムリーS、ダイアナS、ジェニーワイリーS勝ち。まだ幼さを残すため秋目標も、現時点で、「胸前が深くて雄大。持久力とパワーで勝負するタイプです」
と期待している。母同様、適性は芝マイル〜2000m。初戦からエンジン性能の違いを見せつけるつもりだ。
ノースヒルズ生産のマートル(牝、父レイデオロ、母オールスマイル)は、齋藤氏お気に入りの1頭だ。
「個人的に、今年一番好きな牝馬です。十分な馬格があって、気性も真面目。軸のブレない走りができるのは体幹が強いからこそ。なるべく早く、夏競馬あたりで始動したいですね」
ということで完成度の高さで一歩リード。2歳戦から楽しみな逸材だ。
牡馬の中で、大物感を漂わせていたのが、フェヴリエ(牡、父Sea The Stars、母アムールブリエ)。母はエンプレス杯など交流重賞6勝を挙げたダート女王で、祖母は天皇賞馬ヘヴンリーロマンス。叔父にアウォーディー、ラニというノースヒルズの看板血統だ。
「入場時から520キロあったくらいの大きな馬ですが、決して太くはなくて素軽さがあります。走る姿から芝2000以上をこなすイメージです」
狙うはもちろんクラシックの王道路線だ。
本コンテンツは、黄色のPOG本 「POGの王道」2023-2024(双葉社)の一部を掲載しています。