セレクションセール2017

セレクションセールのみどころ

 セレクションセールが凄いことになっている。昨年、同セールは、過去最高の73.5%の売却率を記録し、総売上も前年比22.7%アップの25億2590万4000円。従来のレコードを5億円あまりも上回った。それだけではない。最高価格が5000万円を超えたのは、FDO旋風吹き荒れた2007年以来9年ぶりのこと。さらに言えば、購買登録者数も過去最多の474人を数えた。そうした期待に応えようと、この春もセール出身馬たちは活躍。現3歳世代となる2015年セール取引馬からも京成杯2着ガンサリュートやスプリングS3着プラチナヴォイス、ユニコーンS2着ハルクンノテソーロが芝、ダートで活躍。2016年の高松宮記念を完勝したビッグアーサーや、長くダート界を牽引しGT/JpnT最多勝を成し遂げたホッコータルマエ、あるいは08年のJRA賞最優秀2歳牡馬セイウンワンダーら活躍馬のあとを追っている。

 毎回書き記すことだが、北海道市場セレクションセールの最大の特徴は、その選抜方法として国内で唯一、実馬検査が行われるということだ。今年も北は北海道から南は九州まで上場を希望する540頭すべての下へ選定委員が足を運び、そして234頭(牡167、牝67)に絞られた。

 その審査が正しいことは、セール直前に三石、平取の両地区で行われた1歳馬品評会で最優秀賞を取った「かんぞう(母ナムラミステリー)」「カシマフラワーの2016」が選ばれていることでも証明済。販売申込者も、市場主催者も自信をもって上場する234頭だ。だからこそ、購買者は安心して市場に参加することができる。市場に対する安心感が購買者に購買意欲をそそり、安定した売却率が良質馬の上場馬を促す。そして、厳しい審査を通り抜けたそれらの馬たちが競馬場で結果を出してくれる。大きな歯車が、良い方向に向かって動いているようなそんな気がする。

 そんなセレクションセール2017。今年の注目は、何と言ってもセール中盤に登場する「ラヴアンドバブルズの2016」。いわずもがな、ダービー馬ディープブリランテの半弟。父は今年から産駒をデビューさせるオルフェーヴル。夢が膨らむ血統馬だ。ほかでは2014年に最優秀短距離馬に選ばれたスノードラゴンの半妹「マイネカプリースの2016」(牝、父クロフネ)や天皇賞(春)に勝ったヒルノダムールの全弟「シェアエレガンスの2016」(牡、父マンハッタンカフェ)、NHKマイルカップ優勝馬マイネルホウオウの全妹「テンザンローズ2016」(牝、父スズカフェニックス)、セイウンワンダーの半弟「セイウンクノイチの2016」(牡、キングズベスト)などGT勝ち馬の兄弟たちがラインアップ。どんな市場が展開されるのか、とても楽しみだ。

ライタープロフィール

山田康文(道新スポーツ記者)

1963年東京生まれ。
道新スポーツ馬事通信部記者。北海道新聞中央競馬本紙予想担当でもある。

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