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セレクトセール2017

セレクトセール2017 総括

セレクトセール2017

 ルナレガーロの2016(牝、父ハービンジャー)など、セレクトセール2017の1歳セッション、当歳セッションで5頭の産駒を競り落とした、カタールレーシング社のレーシングマネジャーを務めるデヴィッド・レッドヴァース氏(落札者名はDavid Redvers agent for H.H. Sheikh Fahad)。デヴィッド氏はグリーンチャンネル「セレクトセール中継」の中で、競馬評論家の合田直弘氏のインタビューに答えていたのだが、今年のセレクトセールについての感想を聞かれた際、「Strong sales」という言葉を口にしていた。

 思えば、Strong salesとの言葉を、自分も頻繁に使うようになったのは、セレクトセール以降のことであり、それはデヴィッド氏のような海外からのバイヤーが参入してきてからのこととなる。最初は耳慣れない言葉のようにも思えたが、近年の、特に今年のセレクトセールの結果を振り返る度に、改めてこの驚異的な売り上げに相応しい言葉は、「Strong sales」しか無いように思えてきた。

 1歳セッションには242頭が上場。うち216頭が落札され、落札総額は86億3450万円を記録。落札率の89.3%、一頭辺りの平均価格である3997万円と全ての数字で、従来の1歳セッションレコードを更新した。

 セリの盛り上がりを証明する事象として何よりも相応しいのが、15頭のミリオンホースが誕生したという事実であろう。その中には産駒1頭辺りの平均落札額が1億1719万円という驚異的な数字を記録したディープインパクト産駒も8頭含まれているが、その他にもキングカメハメハ産駒とハーツクライ産駒がそれぞれ3頭、そしてロードカナロア産駒も1頭含まれているなど、種牡馬を問わずに高い価格帯においても激しい競り合いが起こっていた。

 この激しい競り合いに果敢に参加していったのが、数年前まではセレクトセールの会場に足を運んでいなかった新規のオーナーたちである。今年は過去最高となる611名の購買者登録があった中、この日の当歳セッションでも7番目の高額落札馬となった、ラヴズオンリーミーの2016(牝、父ディープインパクト)を1億6000万円で落札したのが(株)DMM.comだった。

昨年のセレクトセールの1歳セッションでもベネンシアドールの2015(牡、父ディープインパクト)を1億9000万円で落札していた(株)DMM.com(昨年は(株)ドリームファーム名義)は、この2歳世代で4頭、1歳世代でも5頭の馬を所有しており、今年の夏からはクラブ法人のDMMドリームクラブをスタート。その募集馬のラインナップの中にベネンシアドールの2015、そしてラヴズオンリーミーの2016も入ることとなった。

 (株)DMM.comの野本巧取締役は記者会見の際に

「投資やギャンブルではなく、会員の皆さんと感動を共有したい」

 と話していたが、今後、セレクトセールの上場馬の権利を所有する機会があるとなると、ファンのセレクトセールに対する見方もまた変わってくるはず。その意味においてもセンセーショナルな出来事だったと言えるだろう。

 当歳セッションには220頭が上場。うち190頭が落札され、落札総額は86億9250万円を記録。落札率の86.4%、一頭辺りの平均価格である4575万円と、こちらも全ての数字で当歳セッションレコードを更新した。

 ミリオンホースの数は1歳セッションを超える17頭が誕生したが、その中でも日本競走馬市場における歴代2位の高額落札馬となったのが、5億8000万円で近藤利一氏が落札したイルーシヴウェーヴの2017(牡、父ディープインパクト)。また、この当歳セッションではドナブリーニの2017(牝、父ディープインパクト)も、日本競走馬市場の牝馬の取引馬では、歴代2位となる3億7000万円で(株)DMM.comが落札している。

 また、今年初年度産駒をデビューさせたロードカナロア産駒が1歳セッションだけでなく、この当歳セッションでも好調な売れ行きを示していた。1億8000万円で里見治氏が落札したシャムロッカーの2017(牡)を始め、当歳セッションでは3頭、1歳セッションでも1億8000万円で(株)NICKSがキングスローズの2016(牡)を落札するなど、セール2日間で4頭のミリオンホースが誕生。デビューしたばかりの2歳馬も目覚ましい活躍を見せているが、セレクトセールにおいても売却価格の面で、今後のセールを牽引していく種牡馬となっていきそうだ。

 セール2日間を合わせた総売上額は173億2700万円となり、当然のように従来のレコードを更新。それまでのレコードだった昨年が149億4210万円だったことからしても、驚異的な伸びであり、日本競走馬協会会長代行の吉田照哉氏が会見で話していた、

「日本中のお金が集まってきているような感覚さえあります」

 との言葉が事実なのではとも思えてきた。

 国内のバイヤーが活発な取引を展開した一方で、外国人購買者の数は19名と昨年より減少。1歳セッション、当歳セッションの取引馬の中にはアルファベット表記の落札者の名前も見られてはいたが、それでも1億に迫るような高額取引馬のセリにはハンマーが落ちるまで参加することが無かった。

日本競走馬協会理事の吉田勝己氏も、その事実を裏付けるように、

「外国人馬主の方もセリには参加されていたのですが、なかなか馬が買えないと話していました」

 と記者会見の際に語っている。

 今や世界各国から、その国のクラシックを制したような繁殖牝馬、GT級のブラックタイプを持った名牝が続々と導入されている日本生産界。セレクトセールにはその名にふさわしく、血統、馬体共に選ばれた上場馬たちが集まってくるのだが、その価値を誰よりも認めているのが、日本国内のオーナーであるのだろう。また、新規のオーナーにとってもセレクトセールは参入しやすく、また20年の歴史で積み重ねてきた実績と信頼もまた、「セレクトセールから馬を買いたい」という気持ちにさせてしまうのかもしれない。

 吉田照哉会長代行、吉田勝己理事共に、

「来年のセリはどんなことになるのでしょうね」

 と笑顔を浮かべながら話していたが、究極に近づきつつあるとしても、この売り上げや売却率が急激に落ち込むことは無さそうであり、むしろ、今の情勢を見ると、更なる上積みすら見込める。そのことで割を食いそうなのは外国人購買者ともなりそうだが、今後、海外の競馬で日本産馬が更なる活躍を見せていけば、いつまでも指をくわえているわけにも行かなくなってくる。21回目を迎える来年のセレクトセールもまた、「Strong sales」と表記することになりそうだ。

※取引価格は全て税抜

(村本浩平)

ライタープロフィール

村本浩平(競馬ライター)

北海道在住の“馬産地ライター”として、豊富な取材をもとに各種競馬雑誌で活躍中。

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