セレクションセール 高額取引馬(1歳)

1歳 キルシュワッサー2019
(牡 黒鹿毛)

2019年4月16日生

7200万円(税抜)

キルシュワッサー2019
ドゥラメンテ キルシュワッサー 母父 サクラバクシンオー
販売者 (有)天羽禮治牧場 落札者 廣崎利洋HD(株)

父は皐月賞と日本ダービーの二冠を制覇し、ドバイシーマクラシック(UAEG1・芝2410m)では強豪ポストポンドの2着となった。その母アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯2回)、2代母エアグルーヴ(年度代表馬)、3代母ダイナカール(オークス)という良血で、近親にはルーラーシップなど活躍馬多数。2歳種牡馬ランキングでは現在4位(8月23日終了時点)と上々の滑り出しだ。

母はJRAで4勝。芝短距離を中心に走って1600万円以下(現3勝クラス)まで出世した。産駒のキルロード(父ロードカナロア)は、芝短距離で母と同じく3勝クラスまで昇格している。2代母ナミビアは「ミスタープロスペクター系×ダンジグ系」という硬質なスピード血統で、やや一本調子なところも伝えたが、名繁殖牝馬ブサンダを4×4で抱えた血統構成は魅力的。何を交配してもスピード馬を出すタイプだ。

母の父はスプリンターズS連覇を果たすなど卓越したスピードを誇った短距離王。十数年にわたって日本の短距離路線を牽引した名種牡馬でもあった。ビッグアーサー、ショウナンカンプ、シーイズトウショウといったスプリンターだけでなく、グランプリボスのようなマイラーも出した。母の父としても、年度代表馬キタサンブラックやハクサンムーンを出すなど好影響を与えている。

1歳 スマッシュハート2019
(牡 鹿毛)

2019年5月6日生

6000万円(税抜)

スマッシュハート2019
キズナ スマッシュハート 母父 キングカメハメハ
販売者 (有)酒井牧場 落札者 寺田 千代乃

父は日本ダービー、ニエル賞(仏G2・芝2400m)など14戦7勝。桜花賞などGIを3勝したファレノプシスの半弟にあたる良血で、ビワハヤヒデとナリタブライアン(いずれも年度代表馬で後者は三冠馬)の従兄弟でもある。初年度産駒からビアンフェ、ディープボンドをはじめ5頭(のべ6勝)の重賞勝ち馬を出して大成功。ディープインパクトの後継種牡馬として大きな存在感を示しつつある。芝・ダート兼用の万能タイプ。

母はJRAで2戦0勝。2代母ビーナスラインは函館スプリントSを勝ち、3代母ホクトペンダントは報知杯4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)2着、4代母ホクトビーナスは桜花賞2着。名繁殖牝馬ツルマルワンピース(ブラストワンピース、ホウオウピースフルの母)と同じ「キングカメハメハ×フジキセキ」という組み合わせ。デビューした産駒は3頭中2頭が勝ち上がっている。

母の父は2010、11年のリーディングサイアーで、12〜18年は2位。サンデーサイレンス系が支配するわが国における最も重要な対抗勢力の祖で、短距離王ロードカナロア、ダート王ホッコータルマエ、二冠馬ドゥラメンテ、中長距離型のルーラーシップなど、さまざまなタイプの産駒を出すオールラウンダー。これらは、それぞれの特色を加えて異なるタイプの産駒を出している。母の父としても優秀。

1歳 ティズウインディ2019
(めす 鹿毛)

2019年3月4日生

5800万円(税抜)

ティズウインディ2019
ディープインパクト ティズウインディ 母父 Tiznow
販売者 (有)酒井牧場 落札者 石川 達絵

父は無敗の二冠馬コントレイルをはじめ日本ダービー馬を6頭出し、海外でも英2000ギニー、仏ダービー、仏オークスを制覇するなど産駒が大活躍。世界屈指の大種牡馬と評価されている。2012年以降リーディングサイアーの座にあり、JRAにおける平地GI勝利数は「56」〔京都で開催された2018年のJBCレディスクラシック(優勝馬アンジュデジール)を含む〕、海外G1は「17」。サンデーサイレンス譲りの鋭い瞬発力が持ち味で、芝のマイル〜中距離で圧倒的に強い。

母はアメリカ産で同国にて19戦4勝。インディアナオークス(米G2・ダート約1700m)を勝った。その半弟にベルモントS(米G1・ダート約2400m)3着馬パッチがいる。近い世代にティズナウとアンブライドルドを併せ持っているので、コントレイルの母ロードクロサイトと配合構成が似ている。コントレイルはディープインパクト産駒なので、ディープインパクトの娘である本馬は、コントレイルと配合がよく似ている。

母の父はアメリカ産。ブリーダーカップクラシック(米G1・ダート約2000m)を連覇するなど米G1を4勝し、米年度代表馬に輝いた。種牡馬としても成功を収め、ウェルアームド(ドバイワールドカップ)、ツーリスト(ブリーダーズカップマイル)、フォルクローレ(ブリーダーズカップジュヴェナイルフィリーズ)、ダタラ(ベルモントS)、ティズウェイ(メトロポリタンH)など多くの一流馬を出している。

1歳 ゴールドコイン2019
(牡 鹿毛)

2019年4月17日生

5200万円(税抜)

ゴールドコイン2019
ロードカナロア ゴールドコイン 母父 デヒア
販売者 笹島 政信 落札者 吉岡 實

父は香港スプリント(G1・芝1200m)2回、スプリンターズS2回、高松宮記念、安田記念など19戦13勝。種牡馬としても基本的にはスピード型ながら、配合次第で2000m以上を得意とする馬も出す。アーモンドアイ〔ドバイターフ、牝馬三冠、ジャパンカップ、天皇賞(秋)、ヴィクトリアマイル〕、サートゥルナーリア(皐月賞、ホープフルS)、ステルヴィオ(マイルチャンピオンシップ)など重賞勝ち馬多数。

母は地方競馬に所属し、北海道、東海、南関東で計11勝をあげたパワー型のスプリンター。その半兄にフジノウェーブ(JBCスプリント、東京盃)、キネティクス(富士S)と2頭の重賞勝ち馬がいる。繁殖牝馬としてはオールインワン(父アドマイヤムーン)がJRAで5勝をあげてオープンクラスまで出世し、グランドディアマン(父ルーラーシップ)が伏竜Sで3着。非凡な能力を伝えている。

母の父はアメリカ産。2歳時にホープフルS(米G1・ダート約1300m)とシャンペンS(米G1・ダート約1600m)を制覇して、米2歳牡馬チャンピオンに選出された。種牡馬としては芝・ダート兼用タイプとして、アメリカ、オーストラリアの双方で成功。日本でもケイアイガード、ウエスタンダンサーなどの重賞勝ち馬を出した。ブルードメアサイアーとしてもグレイトパール(平安S、アンタレスS)を出している。

1歳 プリモタイム2019
(牡 鹿毛)

2019年2月27日生

4900万円(税抜)

プリモタイム2019
ヘニーヒューズ プリモタイム 母父 ブライアンズタイム
販売者 (有)グランド牧場 落札者 (株)吉澤ステーブル

父はアメリカ産。ヴォスバーグS(米G1・ダート約1200m)、キングズビショップS(米G1・ダート約1400m)を制覇した。アメリカ繋養時に、米G1を10勝した女傑ビホルダー、外国産馬としてアジアエクスプレス(朝日杯フューチュリティS)、モーニン(フェブラリーS)を送り出す。日本に輸入後誕生した産駒には、ワイドファラオ(かしわ記念、ニュージーランドT、ユニコーンS)、ドンフォルティス(北海道2歳優駿)などがいる。

母はJRAに所属し、地方競馬(名古屋)へ遠征して唯一の勝利をあげている。関東オークスや北海道2歳優駿などを制したタイニーダンサーの半姉で、リボー系のグロースターク3×4という底力満点のクロスを持つ。繁殖牝馬としてはその底力を産駒に伝え、NAR年度代表馬を受賞したヒガシウィルウィン(ジャパンダートダービー、東京ダービー)、スリーグランド(端午S3着)を出す。

母の父はアメリカ産。米芝牡馬チャンピオンのサンシャインフォーエヴァーと同血(父が同じで母同士が全姉妹)で、末脚を武器にフロリダダービー(米G1・ダート約1800m)を制した。種牡馬としては三冠馬ナリタブライアン、年度代表馬マヤノトップガン、日本ダービー馬タニノギムレットなど多くの名馬を出し、フリオーソやタイムパラドックスなど砂の猛者も多数出した。スタミナ、底力、パワーに優れ、先行して粘り強い。

1歳 ココロノアイ2019
(牡 鹿毛)

2019年4月6日生

4600万円(税抜)

ココロノアイ2019
ロードカナロア ココロノアイ 母父 ステイゴールド
販売者 (有)酒井牧場 落札者 野村 茂雄

父は香港スプリント(G1・芝1200m)2回、スプリンターズS2回、高松宮記念、安田記念など19戦13勝。種牡馬としても基本的にはスピード型ながら、配合次第で2000m以上を得意とする馬も出す。アーモンドアイ〔ドバイターフ、牝馬三冠、ジャパンカップ、天皇賞(秋)、ヴィクトリアマイル〕、サートゥルナーリア(皐月賞、ホープフルS)、ステルヴィオ(マイルチャンピオンシップ)など重賞勝ち馬多数。

母はチューリップ賞、アルテミスSを制し、阪神ジュベナイルフィリーズでも3着と好走した。ステイゴールド産駒の大物は牡馬に偏る傾向が見られ、牝馬で複数の重賞を勝った馬はわずか4頭しかいない。ココロノアイはその一頭。4代母マックスビューティは桜花賞とオークスを含めて重賞を5勝した名牝で、ホクトベガと並んで近年の酒井牧場(本馬の生産牧場)を代表する超大物だ。

母の父は抜群の底力と激しい気性を伝えるサンデーサイレンス系種牡馬。オルフェーヴル、ドリームジャーニー、ゴールドシップ、フェノーメノ、ナカヤマフェスタなど、芝中長距離の大舞台で抜群の強さを発揮する。東京、京都コースよりも中山、阪神コースを得意とし、北海道の洋芝でも良績を残している。少し時計のかかる馬場になるとさらに輝きが増し、道悪を苦にしない。ダートは苦手としている。

1歳 レオパステル2019
(牡 鹿毛)

2019年5月22日生

4600万円(税抜)

レオパステル2019
キズナ レオパステル 母父 キングカメハメハ
販売者 土田ファーム 落札者 廣崎利洋HD(株)

父は日本ダービー、ニエル賞(仏G2・芝2400m)など14戦7勝。桜花賞などGIを3勝したファレノプシスの半弟にあたる良血で、ビワハヤヒデとナリタブライアン(いずれも年度代表馬で後者は三冠馬)の従兄弟でもある。初年度産駒からビアンフェ、ディープボンドをはじめ5頭(のべ6勝)の重賞勝ち馬を出して大成功。ディープインパクトの後継種牡馬として大きな存在感を示しつつある。芝・ダート兼用の万能タイプ。

母は芝短距離で5勝をあげ、重賞でもアイビスサマーダッシュ4着、阪神牝馬S6着と健闘した。キングマンボとロベルトを併せ持つので底力を感じさせる。その半兄トウカイトリックは対照的に長距離路線で活躍し、ステイヤーズS、阪神大賞典、ダイヤモンドSを勝った。2代母ズーナクアは現役時代にオークリーフS(米G1)などを制覇した活躍馬。

母の父は2010、11年のリーディングサイアーで、12〜18年は2位。サンデーサイレンス系が支配するわが国における最も重要な対抗勢力の祖で、短距離王ロードカナロア、ダート王ホッコータルマエ、二冠馬ドゥラメンテ、中長距離型のルーラーシップなど、さまざまなタイプの産駒を出すオールラウンダー。これらは、それぞれの特色を加えて異なるタイプの産駒を出している。母の父としても優秀。

1歳 クイーンオリーブ2019
(牡 栗毛)

2019年4月23日生

4600万円(税抜)

クイーンオリーブ2019
モーリス クイーンオリーブ 母父 マンハッタンカフェ
販売者 (有)杵臼牧場 落札者 ノーザンファーム

父は安田記念、マイルチャンピオンシップ、天皇賞(秋)のほか、海外でも香港マイル(G1・芝1600m)、チャンピオンズマイル(香G1・芝1600m)、香港カップ(G1・芝2000m)を制した近年最高のマイラー。父系はスクリーンヒーロー→グラスワンダー→シルヴァーホーク→ロベルトとさかのぼり、2代母は重賞を4勝した名牝メジロモントレー。今年から走り始めた産駒は好調で、2歳種牡馬ランキング(8月23日終了時点)で首位に立っている。

母は芝中距離で4勝をあげ、1600万円以下(現3勝クラス)まで出世した。近親にこれといった活躍馬はいないが、4代母マイダーリングワンが安田記念を勝ったハートレイクを出している。マキャヴェリアンを介したヘイローのクロスを持つ馬は繁殖牝馬として成功する傾向が見られるが、クイーンオリーブはまさにこのパターンにあてまはる。

母の父は菊花賞、有馬記念、天皇賞(春)を制した名馬。長距離の大レースで良績を残したものの、サンデーサイレンス系らしい切れ味勝負で勝ったという印象が強く、本質的にはステイヤーというよりも中距離馬だった。種牡馬としては2009年にリーディングサイアーとなった。自身の特長を強く伝えるタイプではなく、交配牝馬の個性に応じてさまざまな産駒を出す傾向が見られる。

1歳 コーテサン2019
(牡 鹿毛)

2019年4月18日生

4100万円(税抜)

コーテサン2019
Mastery コーテサン 母父 ストリートセンス
販売者 (有)大島牧場 落札者 (有)坂東牧場

父はキャッシュコールフューチュリティ(米G1・ダート約1700m)、サンフェリペS(米G2・ダート約1700m)を圧勝して無傷の4連勝を達成したが、骨折のためケンタッキーダービーを迎える前に引退を余儀なくされた。その3代母は名種牡馬ミスワキの全妹。父の父キャンディライドはアルゼンチン産の名種牡馬で、ガンランナーをはじめ多くのG1馬を出している。ダートの中距離タイプ。

母はアメリカ産。馬産の中心地ケンタッキーではなくフロリダで誕生した。現役時代は芝を中心に走って2つのステークスを勝ち、ジェサミンS(米G3・芝約1700m)で3着。日本に輸入されたのは、芝適性を期待されてのことだろう。2代母はディスクリートキャット(米G1シガーマイル優勝)の半姉。スピードタイプというよりは中距離タイプで、血統的にはダート向きに転化してもおかしくない。

母の父はブリーダーズカップジュヴェナイル(米G1・ダート約1700m)とケンタッキーダービー(米G1・ダート約2000m)の双方を制した史上初めての馬。ディキシーランドバンド、ヒズマジェスティといったスタミナを抱えるので、アメリカ産馬にしては重厚なタイプ。それでいてスピードに欠けるところはなく、オーストラリアでは複数の芝G1馬を出した。日本でも1年間供用されたが、産駒はダートに向き、距離はマイル前後がベスト。

1歳 フォトジェニック2019
(めす 鹿毛)

2019年3月14日生

4000万円(税抜)

フォトジェニック2019
キズナ フォトジェニック 母父 Sinndar
販売者 築紫 洋 落札者 三木 正浩

父は日本ダービー、ニエル賞(仏G2・芝2400m)など14戦7勝。桜花賞などGIを3勝したファレノプシスの半弟にあたる良血で、ビワハヤヒデとナリタブライアン(いずれも年度代表馬で後者は三冠馬)の従兄弟でもある。初年度産駒からビアンフェ、ディープボンドをはじめ5頭(のべ6勝)の重賞勝ち馬を出して大成功。ディープインパクトの後継種牡馬として大きな存在感を示しつつある。芝・ダート兼用の万能タイプ。

母は現役時代JRAで走り、芝とダートの双方で2着に入ったが未勝利に終わった。英1000ギニー(G1)、英チャンピオンS(G1)などを制した名牝ハトゥーフ、愛ダービー(G1)を勝ったトレイディングレザーと同牝系で、「シンダー×サドラーズウェルズ」という欧州血統なのでスタミナと底力に秀でている。初仔のストンライディング(父ストーミングホーム、JRA4勝)は芝2200m以上で強かった。

母の父はアイルランド産。英・愛ダービー(共にG1・芝約2400m)、凱旋門賞(仏G1・芝2400m)など8戦7勝の成績を残した。スタミナと底力に優れ、父としてシャワンダ(愛オークス)、ユームザイン(サンクルー大賞)を、母の父としてトレイディングレザー(愛ダービー)、エンケ(英セントレジャー)を出した。エンケはシャワンダの息子で、キャメロットの英三冠を阻止した馬でもある。ここ一番で発揮する底力は魅力的。

栗山求(血統評論家)

大学在学中の1989年に競馬通信社入社。血統専門誌「週刊競馬通信」編集長を経て、現在はフリー。血統関係を中心に執筆活動を展開中。